ハイスクールD×D 黒の処刑人   作:夜来華

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遂に、3勢力による会談が開催されようとしています。


何も起こらずに終わる事を祈るばかりです。


──お願いですから、姉さまそのカッコで会談に出るのはやめてください!


第11話 魔王

ソーナ達がひしぎの訓練を受けている最中に、一誠の元には様々な出来事や

変化があった。

 

まずは、今回の戦いにより神の死を知った事により、教会側から異端認定され追放され、

信じるもの、帰るべき場所を失ったゼノヴィアはリアスの提案により、悪魔に転生し

グレモリー眷属となった。

 

ランクは『騎士』である。

 

そして、『白龍皇』であるヴァーリがあの夜、『赤龍帝』である一誠に対して挨拶を

忘れていたので、学園へ訪れた事。

 

極めつけは、一誠のお得意さんであるお客さんが堕天使の総督アザゼルだと

発覚した事。

 

会談の日が徐々に徐々にとなくなる一方慌しさが伺える週だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「匙君、もっと力を入れて攻撃してきてください。それでは蚊すら

 殺せませんよ?」

 

今のところ『黒い龍脈』によるメイン攻撃方法を獲得していない匙は、この1週間

ずっと体術のみを訓練させられていた。

 

ひしぎの顎へ向けて鋭い拳を繰り出すが、簡単に手に平で弾かれそのまま投げ飛ばされてしまう。

匙が投げ飛ばされた瞬間に入れ替わるようにして、小猫が腹部目掛けて突きを入れるが

弾かれてしまう。

 

「狙いはいい感じですよ、ですがまだまだ、スピードと威力が足りません」

 

そのままいなされると、背後から由良が上段蹴りを放つが、振り向く素振りをみせず

少しだけ頭を前に下げ交わすひしぎ。

 

「由良さん、背後から攻撃するならばもっと早く攻撃に移りなさい」

 

「はぁぁ!」

 

由良の背中を蹴って上空に飛び上がり、体を1回天させ踵落としで攻撃をしかける

留流子に対して、横に捻るだけで軽かる避ける。

 

「攻撃動作に余計な動きが多すぎますよ」

 

そのまま落ちてきた足を掴むと、先ほど投げ飛ばした匙の方向に彼女も投げた。

すると、匙はまだ体を上半身だけ起こしただけであり──

 

「ちょ!わぷ!」

 

投げ飛ばされた留流子のお尻を顔面で受け止めてしまい、そのまま二人はもつれるようにして

地面に倒れた。

 

これは僅か1~2秒の出来事であり、その間にも小猫はいなされた姿勢のまま無理やり体を捻り

回し蹴りを放つが

 

「甘いです」

 

いとも簡単に掌で受け止められてしまう。

 

「──っ!」

 

そのまま押し切ろうとするが、ビクともしない。

由良は先ほど留流子に背中を踏み台にされたため姿勢を崩して居たためすぐさま

追撃はできずにいたが、漸く攻撃姿勢を獲得し、しゃがみ込んだまま

高速で足払いを背後から掛けるが、少しジャンプされ回避される。

 

「後ろにでも目がついてるんですか・・・!」

 

流石に振り向かずに攻撃を何度も避けられ、苛立ちを隠せない由良。

 

「いえ、気配でどんな攻撃が繰るかはわかるので、振り向くまでもありません」

 

易々と答えるひしぎだが、そんな芸当できるのは上級戦士以上の者だけである。

受け止めていた小猫の足を掴むとそのまま由良に衝突させ、軽く吹き飛ばす。

 

「「・・・っ!」」

 

地面に倒れこむ二人、そして──

 

長刀を構えた椿姫が待ってたと言わんばかりに、背後からひしぎ目掛けて横薙ぎを放つ

 

「いい感じですよ──最初よりはスピードは上がってます」

 

だが、2歩歩いただけでそれを避けられてしまった。

 

「えぃ!」

 

正面から刀を水平に構えた巴柄が突撃をかけ──顔面目掛けての突きを高速で放つ

 

「狙いは正確ですが、正面からでは避けてくださいといってるようなものです」

 

簡単に顔を捻るだけで避けられてしまう

 

「まだまだ!」

 

刀を引くとそのまま、高さを下げ、胸目掛けての2連続突きを放つ

 

「・・・・」

 

これすらも簡単に体を捻るだけで避けられる──そして後ろからは

椿姫が追撃に、先ほどの薙ぎの勢いを殺さず、そのまま追加させ

もう一度横薙ぎを放つがあと数ミリ足りなかった。

服に当たりそうになっただけでかわされてしまう。

 

「今のスピードを常時だせるように」

 

「はい!」

 

正直、現状の彼女達の攻撃をまともに食らっても傷を負う事がないひしぎだが、

よける事により、彼女達に最後まで攻撃の動作を行わせ、攻撃の手数を

増やさせる事、そして何より体力を付けさせるために避けているのだ。

 

攻撃を何度も何度も最後まで行うことにって、普段以上に体力を消費する。

戦闘でまず必要なのが体力と精神力なのである。

 

制限時間内に自身に攻撃を当てなければ彼女達に休憩させるつもりは無いひしぎ。

 

かなりのスパルタだと思わせるが、彼女達のレベルに合わせかなり手加減をしている

それ故ある程度は当たるようになってきている。

 

匙の上に多い被さったままの留流子は目を回している。

 

「うぅぅ~」

 

「おい、早くどいてくれ!」

 

視界が真っ暗で柔らかいものに顔を包まれている匙は嬉しさ半分、息苦しさ半分といった所であった。

 

「ひゃあ! 匙先輩息がくすぐったいですぅ!」

 

「いいから早く!息が持たない・・・!」

 

絡み合う二人を見たひしぎはため息をついて声をかけた。

 

「二人とも、早くしないとレベルを上げますよ?」

 

「「は、はい!」」

 

逆に反対側に飛ばされていた小猫と由良は既に体勢を整え、椿姫と巴柄の

猛攻のスキが出来るのを待っている。

 

何度も何度も繰り返しているうちに、椿姫と巴柄のコンビネーション攻撃はかみ合い、

トップスピードを維持したままお互いの動きが邪魔にならないように

斬撃を放つ事ができるようになった。

 

だが、それでもひしぎには"届かない"のである。

 

そして、二人はひしぎの背後に居る小猫に視線を送ると

 

「──はぁ!」

 

小猫は大きく息を吐くと、全身の力を右手に集中させ地面に拳を放った。

 

その瞬間、込められた力が爆発し、くぐもった唸りを発して震動しと、大地が割れ、

小猫を中心とした地面が陥没、そのまま周辺一体に亀裂が走り、

中心から十メートル以上の地面が割れたのだ。

 

地の底から突き上げられたのように音高く弾け、無数に隆起し、

鋭い先端を持つ大地の針が地面から生えていった。

 

そしてそのまま軸線上にいるひしぎ目掛けて、大地の柱が

ひしぎを囲うようにして襲い掛かる。

 

既に椿姫と巴柄は離脱しており、ひしぎは振り向くと同時に右手で巨大な岩を

砕き払いのけた。

 

周囲の空中には砕き割られ散乱しており、その中から

 

「貰った!」

 

岩に身を隠し接近していた由良が姿を現し、渾身の右ストレートを放つ

 

「・・・・」

 

慌てるそぶりを見せないひしぎは、不安定な足場だか軽くバックステップし

回避行動を取る──が、

 

「──なるほど、コンビネーション能力が高まってきてて私は嬉しいです」

 

同時に背後から椿姫と巴柄の左右からの振り払いに逃げ場が塞がれており、

 

「今日はこれで一旦休憩にしますか」

 

振り向かず、そのまま両手の掌で二人の刃を掴み止めたひしぎは休憩宣言を出した。

 

その瞬間、全員が腰を落とし全身で呼吸を始めた。

 

「──ただし、そこでまだ縺れている二人はグラウンド10週してから休憩です」

 

「「えええ!?」」

 

匙と瑠流子が悲鳴を上げると、無言の視線を送るひしぎ

 

「・・・・」

 

「「は、はい!いってきます!」」

 

二人は仲良く姿勢をただし走り去った。

 

「では、30分の休憩にするので今のうちに水分を補給してしっかりと

 体を休めておいて下さい」

 

崩れ落ちた4人に声を優しくかけて、ひしぎは校舎の方へ向かった。

 

グラウンドと少し離れた校舎近くには桃と憐耶が結界術式と拘束術式の

改良に取り組んでいた。

 

ひしぎ自身は魔法の事はからっきしだが、この二つは法力に通じる物があり

似たような形式であるため、ひしぎでも教えれる部分はあったのだ。

 

「お二人とも、術式の進行具合はどうですか?」

 

地面にしゃがみ込む形で、術式を書き込んでいる二人に声をかけると、

 

「結界の方はもう少しで、ひしぎさんに教えてもらったような

 広範囲で強固な結界は完成できます──ただやっぱり、こう魔法術式の間に

 法力を混ぜるっていうのが、たぶんこの世界で始めての試みなので、

 どの部分で書き加えていいかが・・・なんとか候補は数通り見つけたんですが、

 どこが一番馴染む・・・いえ、同化するかがまだ試している最中なのです」

 

桃は元々魔法でも結界、防御などに素質があり、その所為なのか、

少しだけひしぎに法力の素質を分け与えらことですぐさま開花したのである。

 

元々ひしぎは桃を見た瞬間から本人は気づいていないが心の奥底に何かの力が

眠ったままの状態だと見抜き、その力が法力だと云う事に薄々感じていた。

そして、彼女の張った結界に触れた瞬間それは確信となり、今回、切っ掛けを

与えた事によりその力が眠りから覚めたのだった。

 

ちなみに、憐耶の方は法力の力が無い為、諜報の部分の強化と、魔法に関して

緻密なコントロールは憐耶の方が上なので桃の魔法のサポートにつくようにいわれていたのだ。

 

ただ、法力はどちらかといえば属性は『光』よりであり、悪魔である彼女達に

『毒』にもなる可能性はあったが、桃の体調はまったく変化がなく、

むしろ、普段より体の調子がいいと伝えられたのである。

 

万が一、それが体を蝕むのであればひしぎは迷う事無く、法力の力を

彼女の体内から"排除"するつもりだった。

 

法力の知識を一対一で教え、法力は使い方によっては自分自身の体に悪影響を与えると

注意したのだった。

 

「恐らくですが、魔法と法力は根源が似ている部分がありますので」

 

流石にひしぎでも魔法と法力がどうやって発現したのかまでは知らないが、

ソーナと桃の話を聞いているうちに根本はおなじなのかと、思い始めていた。

 

「はい、私もそう思います──だから、もしこれが成功すれば、

 同じ悪魔でも結界に関しては優位に立つ事ができます」

 

二人は相談しながら熱心に地面へ術式を書き込んでいく、

確かにこの新しい魔法と法力の融合した結界が出来れば『光』属性に弱い

同属の悪魔に対してアドバンテージが上がり戦略が広がる。

 

熱心に取り組む姿勢に満足したのか、ひしぎは表情を緩めて彼女達が

気が散らないようにそっと傍から離れていき、備え付けのベンチに腰を落とし

空を見上げた。

 

擬似空間なので空はどんよりとしているが鈍く光る月があり、それを見ながら

ひしぎは呟いた。

 

「弟子に教えるのはこれほど大変なものとは思いもしませんでしたよ

 ──吹雪、村正」

 

生前は一度も弟子を取らずに居たため、戦い方を教える大変さを

初めて身にしみたひしぎであった。

 

「──さて、今ソーナはどこら辺にいてるんでしょうか」

 

ソーナはあの時の戦いの詳細を報告する為に、昨日学園が終わった後冥界へ一度

戻っていたのだった。

 

そして今日の学園を休んでおり、予定では夜には戻ると言っていたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「──っ、今誰かに呼ばれた気が・・・・気のせいですか」

 

ソーナは冥界から出ている駒王町行きの地下列車に乗車していた。

窓の外は真っ暗であり、ずっとトンネル内部に居るような感じで、景色など見えず

窓側に体をもたれさせながら、実家にあった本を読みふけっていた。

 

本の題名は『鬼神(おにがみ)の伝説』という子供用に作られた御伽噺の同書、

冥界に着いたとき、実家にいてる祖母に連絡を取り帰り際に持ってきてもらったのだ。

 

「やはり、何も書かれていませんね」

 

少しだけ何か彼の事が分かるかな、と、期待していたのだが所詮子供用の

本であり、ただただ『鬼神』を怒らせてはいけないとしか分からなかった。

 

「ふぅ・・・・」

 

ソーナは一旦本を閉じて全身の力を抜き、体をリラックスさせた。

昨日からずっと力の入れっぱなしだったので、体力の消耗が激しかったのだ。

 

(流石に、完全に誤魔化せた──とは、言いがたいですが。何とか彼への追求を

 止める事には出来た)

 

昨晩、ソーナはこの列車に乗り込み冥界に着くと、冥界を仕切る者達が

集まる城へ赴き、謁見の間にて、今回の件を現魔王4人と悪魔界の

仕切る評議員達にソーナは簡潔に報告した。

 

まず、今回の事件は首謀者である堕天使コカビエル、その部下十名と元教会側の人間二人に

よって起こされた事件であり、その真意は3竦みの状態を破壊し、戦争を

再開させることだった。

 

事件の当事者であるリアス・グレモリーと自身ではまったく歯が立たず、

苦戦していた所、自身が助けたただの人間が自分達を守るために戦い、

それに勝利し、その後暴走した『白き龍』をも迎撃した事を説明した。

 

ひしぎの事を壬生一族という部分を隠しながらどういった人間で

知り合った経緯、そして望みを説明した。

 

「その人間は本当に"神器"を持っていなかったのか?」

 

1人の初老の男性悪魔がソーナに問い掛け

 

「はい」

 

「その人間は危険ではないのか?」

 

髭を生やした議員が問う

 

「彼はそんな危険な人物ではありません」

 

「だが、あのコカビエルを消滅させる人間だぞ、ほおって置くのは危険すぎる!」

 

その言葉に何人もの議員が同意する。

 

「ですが、彼は我々を守ってくれました!」

 

「それこそ何か裏があるに違いない!力を持った人間はろくな事をしないからな」

 

どんどんと否定的な言葉が、ソーナに浴びせられ──

 

「もう!おじいちゃん達!それ以上ソーナちゃんをいじめると氷漬けにしちゃうからね!」

 

突如魔王の席に座っていた少女が議員達に向かって吼えた。

その反応にどうしていいか困る議員たち。

 

「こらこら、セラフォルー落ち着いて、魔王であるキミが真っ先に

 怒ってどうするんだ」

 

隣に居たもう一人の魔王がなだめに入る

 

「だって!ソーナちゃんが・・・・!」

 

「分かっている。おじいさま方ここは、その人間の監視を彼女に一任してみてはどうでしょうか?

 現に、その人間は自身に火の粉が降りかからない限り干渉はしないといっているんですから

 ──そうだよね?ソーナ君」

 

魔王──サーゼクス・ルシファーに話を突如話を振られたソーナ

 

「はい、それは私が直接彼に聞いた言葉なので信用できます。

 彼のことは私にお任せしてください──万が一彼が暴走したら

 シトリー家の次期当主として、この命に代えてでも止めます!」

 

ソーナの真剣な訴えにより、先ほどまで騒がしかった議員達は黙り込む。

 

「ソーナちゃん・・・」

 

それを心配そうに見つめる魔王──セラフォルー・レヴィアタン。

ソーナの実の姉である。

 

サーゼクスの提案は過半数以上の議員が猛反発した。

理由は様々であり、存在自体が危険だと主張した。

 

すると今までずっとソーナの言葉を真剣に聞いていた、議長が口を開いた。

 

「ソーナ・シトリーよ。その者を"歴史上の人物"に例えるなら何になる?」

 

その問いに一瞬ソーナは何と答えるべきかと思案したが、一つしかなかった。

ただこれはひしぎが壬生一族出身とばれてしまう可能性があった──が

議長のこの言葉の真意を確かめるため、そして他の議員達の反応を見る為に

遠回しに例える事にした。

 

「そうですね、人物というより絵本などで出て来る空想上の『鬼神』と、

 感じました」

 

その瞬間、議長の目と眉が少し跳ねたのをソーナは見逃さなかった。

そして他の議員達の反応はというと──

 

「ははは!子供のような感想だな!」

 

「まったくシトリー嬢は、可愛らしい乙女ではないか!」

 

「そうじゃな!」

 

議員たちの笑い声が謁見の間を支配する。

だが、ソーナはそんな声など気にもしていなかった、ただただ議長を凝視する。

 

「・・・・」

 

議長はソーナの視線に当てられ、そっと目を閉じた。

そして──

 

「──ご苦労であったソーナ殿。その人間の件そなたに一任しよう」

 

「議長?!」

 

唐突に言い渡される決定に他の議員達は目を丸くする──勿論4人の魔王達もだ。

 

「──私は反対ですぞ!彼女はまだ若くて弱い!監視を付けるならば

 最上級悪魔に担当させるべきです!」

 

議員の中でも比較的若い分類に入る男性悪魔が意義を唱えるが

 

「──二度も言わせるな小僧。この件はわしが預かる」

 

初老とは思わぬほどの鋭い視線を浴びせられ、萎縮する男。

そして他の者も黙り──魔王たちも黙って聞いている。

 

「ありがとうございます」

 

ソーナは感謝の気持ちを込めて深々と頭を下げる。

 

「では、これに終了する──解散!」

 

手元にある鐘を議長が宣言と同時に鳴らすと、他の議員達は席を立ち、

ぞろぞろと部屋を後にしていく。

 

そしてソーナももう一度議長に頭を下げ、謁見の間を後にし、すぐさま帰りの

列車に乗り込んだのだ。

 

(あの質問、そしてあの反応──議長は明らかに彼の正体に薄々感じているはず

 ただ、あの反応をしたのは議長のみ、それ以外は失笑していた。

 魔王様たちも特に反応はしなかった)

 

冷静にあの時の状況を思い返してみると、明らかに議長は何かを感じ取っていた。

ただ、それを回りに言わず、自身が預かると言って終了させたのだ。

 

(──やはり、あの幻の一族は存在しているのですね)

 

ソーナ自身ひしぎの言葉は疑っていないが、何か確証を得るものが欲しかったのだ。

だから、遠回しにいい、反応を確かめたかったのだ。

 

手応えはあり、収穫ができた。

 

そして会議の途中その人間を眷属にしないのかという質問に

 

「今のところ予定はありませんし、本人にもその気はありません」

 

実際はしたくても"出来ない"というのが答えだった。

残っている駒では彼を転生さす事ができない──いや、どの駒が

残っていようと彼を転生さす事は不可だと推測するソーナ。

 

彼の戦闘力はソーナの予想では魔王クラスかそれ以上だと

思っているため、転生は不可だと考えている。

 

それに聞いた話では、転生しなくても不老不死と聞いたので

転生するメリットがない、デメリットが増えるだけである。

 

故にソーナは諦めが付いたのだ。

 

(それに私は眷属ではなく彼とは"対等"でありたい)

 

ソーナの心にはひしぎに対してそういう感情を持っていたのだ

 

(今後どうなるかはわかりませんが──ただ、ひとまずはゆっくり出来ます)

 

 

 

 

 

 

 

謁見の間には全員が退出し、議長のみが自分のイスに全身を預けならが

目を閉じ思案していた。

 

(まさか、『鬼神』が表に出てくるとは・・・いや、しかしまだ確証はないが、

 万が一の事を考えると──現戦力であの『鬼神』クラスにまともに対抗できるのは

 魔王である4人か──荷が重過ぎるな、保険としてあやつに声をかけておくか。

 まぁ、こちらから手を出さない限り彼らは動かないのが幸いじゃ・・・)

 

あの時の過ち、悲劇を繰り返さないために、最古の悪魔はゆっくりと腰を上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ソーナが学園に戻り、数日後授業参観日の日がやってきた。

この日は、学生の親御さん、そして駒王学園中等部の学生も見学が出来る事もあり、

その親御さんも参加できるという、フリースタイルな授業公開の日なのだ。

 

それ故、ソーナはひしぎに学園がどのようにして運営、授業しているか案内、紹介するには

絶好の機会であった。

 

これだけの大勢の人が集まれば彼1人堂々と学園内を歩いても不信と思われない。

ただ、普段の格好は怪しすぎるため、軽めの真っ黒な着流しを渡し

溶け込むようにお願いした。

 

ただ実際、着流しも普通の一般人は着ないという匙のツッコミは普通にスルーされた。

 

ソーナと椿姫は別件で用があると云い、ひしぎへの校内案内役は桃に一任されていた。

 

「先生、どうですか私達の学園は」

 

通常の学園とは思えないほどの豪華な造りで出来た入り口を通り、

色々な教室を案内している最中に桃が質問した。

 

そして、修行の最中からひしぎへの呼び方が先生に変わっていた。

 

「ええ、非常に興味深い建物ですね──それに、清掃も行き届いていて

 綺麗ですね」

 

「はい!私も入学した当初は驚きの連続でした。違う場所に来たのかと

 思ったぐらいです」

 

公開授業のお陰とあってか、廊下はワックスで磨かれており、窓ガラスも

曇り一つ存在せず、来るものを歓迎しているような感じである。

 

「どこか気になる場所とかありますか?案内します!」

 

再度の質問に少しだけ思案し

 

「そうですね。理系の部屋など見てみたいですね──後は大きな図書室ですかね」

 

「わかりました!」

 

ひしぎがそう答えると、桃は嬉しそうにして彼を先導する。

 

(現代の生物学、科学がどれほど新化しているか見てみたい気もします

 それにソーナから聞いていた学園屈指の図書館。これを逃したら何時行けるか

 分かりませんし)

 

現状ひしぎは肩書きは貰っているが、学園長からの許可がまだ下りず、

未だに校内の行動は制限されている。

 

ただ、今日のみ生徒会の誰かが付いているならば、行動しても良いと

許可がでたのだ。

 

実際に学園長はまだひしぎを信頼していないが、行く当てもない彼を

追い出すのは出来ないという、立場と情に挟まれ悩んでいる最中なのだ。

 

そこから、桃の案内で生物学部屋、理化学部屋、をゆっくりと周り、

道中、ひしぎが暇にならないように桃が自分自身の悪魔になった経緯や、

今目指している夢などをひしぎに語り聞かせていた。

 

聞き手となったひしぎは時折、優しく相槌を打つなどして

桃の話をちゃんと聞いていた。

 

そしてメインである図書館を案内され、ひしぎは表情ではあまり表さなかったが

素直に喜んでいた。

 

すると、図書館の入り口付近で数人の生徒が体育館でなにやら騒ぎがあるらしいと

生徒会役員である桃に伝えに来たのだ。

 

現状自由に動ける役員は自分しか居ないと知っている桃は申し訳無さそうに

ひしぎに伝えると

 

「ええ、私のことは気にせず、その体育館とやらに行きましょうか」

 

優しく了承してくれた。

 

そして二人は図書館を後にする。

すると──廊下を歩いていたひしぎは突如足を止め、真剣な眼差しで

窓の外、学園入り口を見ていた。

 

その様子をみた桃は今までと雰囲気が変わったことを、感じながら

恐る恐る声をかけてみた。

 

「あ、あのどうかしたんですか?」

 

「・・・・・」

 

ももの質問に答えずひしぎは黙って入り口を凝視する

 

(かなり巧妙に隠していますが殺気の篭った闘気を纏った人物が、

 この学園に入ってきた)

 

よく目を凝らしてみて探す──ほとんどは一般人であり、悪魔の気配を

漂わせている親子

 

そして、数秒後漸く問題の人物を見つけた

 

(──あれは・・・・ふむ、なるほど)

 

生前生きていたときに、見知った人物と瓜二つの顔を見つけたひしぎは

無意識に笑みを浮かべていた。

 

そして深く探ってみると、その人物は自分の知っている人物に似ているが、

まったくの別人である事まで分かった。

 

(なるほど、あれほど闘気を放出していても悪魔達は気づかないのですね)

 

悪魔である彼らが自身の気配を読めないカラクリが漸く分かってきた。

 

悪魔や堕天使、天使達は、魔力や神器の気配、魔の気配、聖の気配、

常時それらに当たっているため、純粋に発生させる闘気(オーラ)には

鈍いのである。

そして相手は学園に入った瞬間一気に闘気を消してしまったので、

悪魔達は気づかずそのままだった。

 

万が一感知していても、気のせいかと思わせるぐらいの達人級なのだ。

 

(さて、何の目的で着たのか──何と無くは予想付きますが、

 これは当分暇にはならなさそうですね・・・)

 

漸く窓側から視線を外し、桃に向き直り

 

「すみません、少し見知った顔の人を見つけたので」

 

「そうだったんですか?もしよければ体育館の後に一緒に探しますけど?」

 

「いえ、よくみたら別人だったので気にしないでください」

 

そういってひしぎはやんわりと断った。

 

「はぁ、わかりました。では、行きましょうか」

 

「はい」

 

 

 

 

 

 

 

 

二人が問題の体育館に付き、真っ先に視界にはいったものは──

 

「ソーナちゃん、みーつけた!」

 

ソーナに魔法少女のコスプレをした美少女が抱きついていた。

 

「「・・・・」」

 

流石に言葉を失ったひしぎと桃。

すると、ソーナの後ろに居た赤毛の長身の男性が──

 

「ああ、セラフォルーか、キミも来ていたんだね」

 

「あ、サーゼクスちゃん。うん、あたりまえでしょ!ソーナちゃんの公開授業だよ?!」

 

「はは、そうだったね」

 

その二人の後ろで、リアスと一誠の会話がこちらにも聞こえてくる。

 

「この方は現四大魔王の一人、セラフォルー・レヴィアタン様よ。

 そして、ソーナの実のお姉さんなの」

 

「えええええええええええええ!?」

 

一誠の驚愕した声が体育館に響き渡る、そして周りに居る匙や、

他のソーナの眷属達も驚いた表情を作っている──勿論ひしぎの隣に居る

桃でさえ素敵な表情を浮かべていた。

 

彼女達は話しては聞いていたが、実際に会うのは椿姫を除外して全員

初めてだったのだ。

 

(性格が正反対の姉妹ですか──それに、なんとも表現に困る

 摩訶不思議な服装ですね)

 

と、ひしぎは内心思っており、そして面倒ごとになるのが嫌なので、

気配を消した。

 

故に、サーゼクスは入り口から距離が離れている事、そして完全に気が緩みきってる

事も有り、死角にいてるひしぎには気づかなかった。

 

ただ、逆にセラフォルーからは丸見えであり

 

「「・・・・・」」

 

一瞬だけだが視線が合った。

 

(なるほど、中々抜けてそうな感じでしたが──私に気が付くとは)

 

気配を消しているためかなりの実力を持つ者でなければ視界に入っても、気づかれず

視線さえ合わないが、彼女はひしぎの存在に気が付いたのだ。

 

だが、彼女はこちらに来る事無くソーナと会話を続けた。

 

「ソーナちゃんどうしたの?!お顔が真っ赤だよ?!もしかして風邪引いちゃったの!?

 お姉ちゃんと保健室に行く?!」

 

ソーナはあまりにも姉の服装、言動に恥ずかしさを感じており

 

「お、お姉様。ここは私の学び舎であり、生徒会会長でもあり、いくら身内とは云えど、

 その格好、この騒ぎは容認できません・・・・!」

 

ソーナ達が来る前、セラフォルーの撮影会が行われていたのだ。

彼女自身が開いたものではないのだが、美少女であり、可愛らしい魔法少女の

コスプレ写真を撮りたいと思った男子が群がり、ちょっとした騒ぎに

なっていたのだ。

 

「えー、ソーナちゃんにそんな事言われたらお姉ちゃん泣いちゃうよ?!」

 

こんなやり取りが、この後も数回続き

 

「もう、耐えられません!」

 

姉から身を翻して、あの冷静沈着なソーナが目元に涙を潤ませ一目散に二人の居る

入り口へ向かって走ってきた。

 

そして──

 

「・・・・」

 

「~~!!」

 

視線が合い、ひしぎに見られていた事に気が付き、両手で顔を隠して彼の横を

通り過ぎて走り去っていった。

 

「待って!お姉ちゃんを置いて何処に行くの?!」

 

セラフォルーがソーナを追ってこちら側に走ってきた。

 

「ついてこないでください!」

 

「いやぁぁん!お姉ちゃんを見捨てないでぇぇ!ソーナたん!」

 

「『たん』付けは止めてとあれほどっ!」

 

そう言いながら、走り去っていくソーナ。

 

ひしぎの横をセラフォルーが通過しようとした瞬間

 

(後で屋上でにきてちょーだい)

 

桃には聞こえないように、ひしぎに向けてメッセージを残して

去っていった。

 

(・・・・ふぅ)

 

心の中でため息を付くひしぎ──とりあえず後で行ってみる事にした。

 

 




こんにちは、夜来華です。

少し予定外よりも早く投稿できました。

物語の進行具合がかなり遅くなってますが、一応ダイジェストでは
流せない部分なので、丸々一話使った感じになりました。

ちなみに前回書いた桃と憐耶の技はオリジナルです。
原作、テレビを見直しても攻撃魔法を使ってるシーンがなかったので、
追加してみました。

感想、一言あれば嬉しいです。
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