死神?滅却師?大丈夫!僕、最強だから。   作:瓢さん。

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こっから原作と違っていきます。


黒閃

「では先ず無様な化け物であるあなたから死んでもらい(ます)。いや、”生きてもらい(ます)”と云うべきか」

 

 

 

 頭上の光輪を怪しく煌めかしたキルゲが、アヨンに向かって、そう宣言した。

 

 しかし、理性を持たないアヨンにはキルゲの言っていることが理解できない。アヨンが男に向かって襲い掛かる。

 

 

 

「待て、アヨン!!行くな!!!」

 

 

 

 男に突き刺された破面とは違う破面が、アヨンに警告する。

 

 しかし、時すでに遅し。

 

 アヨンの顔が、身体が、骨すらも霊子の粒子となってキルゲに吸収された。

 

 

 

聖隷(スクラヴェライ)

 

 

 

 ザッ、ザッと足音か近づく。

 

 

 

「これは滅却師の基本能力である”霊子の集束”を極限まで高めた、霊子の絶対隷属(・・・・)。できれば、使いたくなどなかった」

 

 

 

 キルゲの霊圧が、これ以上ないほど上昇していた。

 

 

 

「聖ナル翼が、(よこしま)ナルモノで穢れて仕舞(ます)カラ」

 

 

 

 キルゲの背中からは大蛇が生え、羽には狂気を孕んだ二つの瞳が現れ、その左手は巨大なものになり果てた。

 

 キルゲは、人間でも虚でもない、見るもおぞましいただの化け物と化した。男は破面たちに近づいていく。

 

 変わり果てたキルゲの姿をその目に映すや否や、二人の破面は、倒れている破面を右脇に抱え、茶渡と井上のもとに走り寄った。

 

 

 

「『蛇殻砦(ミューダ)』!」

 

 

 

 破面を抱えていない、蛇のような破面が二つに割れたかと思うと、その場にいる者たちを包み込み、やがて見えなくなった。

 

 

 

「擬態か、なるほどね」

 

 

 

 自分たちではかなわないと知るや否や、逃げの一手に走る。彼女らにとっては最善の案だ。

 

 力の差が計算から抜け落ちていることに目をつぶれば、の話だが。

 

 遅かれ早かれ、彼女たちは見つかるだろう。そうなれば待っている結末は一つしかない。

 

 

 

「させるかよ!」

 

 

 

 そのことを黒崎も理解しているからか、刀を手にキルゲに斬りかかる。

 

 

 

「邪魔です」

 

 

 

 しかし、あえなくキルゲの一撃に吹き飛ばされる。黒崎でさえ、今の奴には勝てない。

 

 

 

「はーいハイハイ、そこのおじさんストーップ」

 

 

 

 破面たちが見えているのか、特定の方向に向かって歩もうとするキルゲの前に、五条が立ちはだかった。

 

 

 

「あなたも邪魔です。とっとと死になさい」

 

 

 

 先ほど黒崎を吹き飛ばしたのよりも高い威力を持った拳が、瞬時にして五条に叩き込まれる。

 

 当たれば全身が骨折するような必殺の一撃。五条はその場から動かない。

 

 仕留めた、と男は思っただろう。

 

 

 

「何……?」

 

 

 

 しかし、そのような一撃を喰らっても、五条は吹き飛ばされず、傷一つ負っていなかった。

 

 驚いたキルゲは再び拳を何回も叩き込むが、倒れる様子がない。終いには、五条を形成している霊子を根こそぎ奪おうとしたが、それも出来ない。

 

 

 

「さっき似たような下りやったと思うんだけどなー」

 

 

 

 ただ、平然と五条はその場に立っていた。

 

 

 

「なぜ私の一撃を喰らって、平然としているのです?」

 

 

 

「んー、実際には、君の攻撃は喰らってない。君が殴ったのは、僕との間にあった「無限」だよ」

 

 

 

「無限……だと?」

 

 

 

 キルゲは五条の言っていることが理解できていない。そんな男に、五条は教室で先生がやるように、優しく教えてあげた。

 

 

 

「僕の術式は、収束する無限級数みたいなもので、僕に近づくモノはどんどん遅くなって、結局僕まで辿り着くことはなくなるの。まー単純に言うと、あらゆる攻撃を寄せ付けない無敵のバリアが、常に僕を取り囲んでいると思ってていいよ」

 

 

 

「馬鹿な……そんな能力があっていいはずがない!」

 

 

 

「はずがないって言ったって、実際にあるんだからどうしようもないでしょ。あと、そのまま突っ立ってていいの?君がさっき吹っ飛ばしたのが、そろそろ戻ってくると思うんだけど」

 

 

 

「しまっ……」

 

 

 

 五条の説明を棒みたいに突っ立って聞いていたが、正気を取り戻したように、後ろを振り向いた。

 

 

 

「卍解―――」

 

 

 

 キルゲの頭上に浮かんでいる光輪が切り裂かれた。

 

 それにより、霊子の吸収が止まる。

 

 

 

 

「天鎖斬月!!」

 

 

 

 舞い戻ってきた黒崎の呪力が桁違いに跳ね上がり、手にした大刀が漆黒の刀に変化していた。

 

 

 

「頭の円盤壊せば……もう”霊子の絶対隷属”ってのもできねえだろ!」

 

 

 

「それが分かったからと言って早々できるものではありませんよ……!あなたといいあの男といい……本当にやりにくいですねえ!!!」

 

 

 

「ちょっとちょっと―。僕のことも忘れないでよね」

 

 

 

 黒崎にキルゲが気がとられているうちに、五条が背後に回っていた。

 

 無数の拳がキルゲの身体に深々と突き刺さった。

 

 

 

「ごあっ……」

 

 

 

 キルゲの身体がくの字に曲がる。

 

 その隙に黒崎がキルゲに向かって攻撃を繰り出す。爆発が何度も引き起こされた。

 

 再びキルゲの視線が黒崎に向いたところに、五条の拳が叩き込まれる。

 

 しかし、少しはダメージを与えているものの、キルゲに有効打を与えることは出来なかった。

 

 

 

「効っ……きませんねえ!!!」

 

 

 

「ありゃ」

 

 

 

「無駄です!あなたの拳ではこの静血装(ブルート・ヴェーネ)を破ることは出来ません!」

 

 

 

 五条は自分の敵ではないと判断したのか、キルゲは五条には目もくれず、黒崎と戦闘を繰り広げた。

 

 その最中、キルゲはメダルのようなものを取り出し、黒崎に向けたが、別に何も起こらなかった。

 

 

 

「何やってんだろ」

 

 

 

「くッ……そオオオオオアッ!!やはり駄目かッ!!!」

 

 

 

 キルゲが吠える。そんなキルゲに、追撃とばかりに黒崎が畳みかける。

 

 キルゲが攻撃を仕掛けても、黒崎には通用しない。

 

 すると、いったん距離を取って仕切り直そうと思ったのか、キルゲは飛翔し黒崎から逃走する。

 

 その隙を、五条が見逃すはずがなかった。

 

 キルゲの目の前に五条が立ちはだかる。

 

 

 

「無駄と言ったはずです!あなたの攻撃など、怖くも――なっ!?」

 

 

 

 キルゲの左腕が一瞬にして何の予兆もなくグシャグシャに潰された。

 

 自分の左腕に発生した現象を見て、キルゲの動きが一瞬止まる。

 

 

 

「この能力は、まさか親衛隊(シュッツシュタッフェル)の――!?」

 

 

 

 追いついた黒崎が、隙だらけのキルゲに斬りかかる。

 

 キルゲが吹き飛ばされながらも、神聖滅矢(ハイリッヒ・ブファイル)を五条と黒崎に向かって放つが、五条は言わずもがな、黒崎もその矢をすべて弾き、後方にそらした。

 

 背後で大きい爆発が起こる。

 

 

 

「―――前に会った奴も俺の卍解を封じようとしたみてえだった。お前ら、なんでそんなに卍解を封じたいんだ?」

 

 

 

「……そんな事、あなたに答える義理はありませんねえ……」

 

 

 

「成程、あのメダルは卍解を奪うための物って事ね」

 

 

 

 そう威勢づいてはいるが、現状黒崎が卍解をしてから、戦況が一気に変わった。

 

 それもそうだろう。卍解は死神の最終奥義と言える技。呪術師で言えば領域展開に当たる技だ。

 

 それを奪うだけでも大幅な戦力ダウンを狙うことが出来る。

 

 大方そういった目的だろうと、五条は踏んでいた。

 

 

 

「……もしかして、お前ら、卍解が怖いのか?」

 

 

 

「そっ……そんな訳があるか!!!我等「見えざる帝国(ヴァンデンライヒ)」に恐れるものなどある訳――」

 

 

 

 黒崎の言葉にキルゲが激昂する。しかし、その隙は致命的であった。

 

 キルゲが気付いたころには、五条はキルゲの懐に入り込み、拳を構えていた。

 

 しかし、たとえ五条が普通にキルゲを殴っても、先ほどのように有効打を与えることは出来ないだろう。

 

 彼には静血装という防御手段があるのだから。ならば、どうすればよいか。簡単である。

 

 その一撃が、「ただの一撃」でなくなればよい。

 

 五条の拳がキルゲの身体をとらえた瞬間――

 

 

 

 五条の呪力が黒い稲妻のように光り輝いた。

 

 

 

 

 黒閃。

 

 打撃との誤差0.000001秒以内に呪力が衝突した際に生じる空間の歪み。

 

 その瞬間に呪力が衝突した瞬間、呪力は黒く光る。

 

 そして、その威力は平均で通常の2.5乗。

 

 しかし、これはあくまでも平均(・・)の話である。同じ黒閃といえど術師によってその威力は変わる。

 

 そして、五条が黒閃を発動した場合、その威力は通常の2乗、すなわち5乗にまで跳ね上がる。

 

 それに加え、元々の五条の拳や蹴りの威力は特級呪霊を圧倒するほど。

 

 素でそれほどの威力の打撃が、黒閃によって5乗されたらどうなるか。

 

 

 

「ガっ……!?」

 

 

 

 キルゲの上半身と下半身が、殴られた部分を起点とし、上下二つに分かれた。

 

 上半身だけとなったキルゲが、後ろに倒れこむ。

 

 しかし、その一瞬で、キルゲは鼬の最後っ屁とばかりに、黒崎に神聖滅矢を放つ。

 

 黒崎が刀でその矢をはじいた。その瞬間、

 

 

 

「……何だよ、これは……!?」

 

 

 

 光の矢が変化し、檻となって彼を閉じ込めた。

 

 

 

「一護!」

 

 

 

 五条が檻を殴って破壊しようとするが、びくともしない。

 

 

 

「私……は……」

 

 

 

 五条は振り向いた。

 

 キルゲはまだ生きていた。しかし、上半身だけとなった体でいつまでも生きていられるわけがない。もうすぐ死ぬだろう。

 

 

 

「私は……”J”……。監獄(The Jail)……の……キルゲ……オピー……。私が……陛下から……与えられた命は……黒崎……一護を……命を賭しても……足止めすること……」

 

 

 

 うわごとのようにキルゲはつぶやいた後、

 

 

 

「陛下……万歳……」

 

 

 

 その一言を口にして、キルゲは息絶えた。

 

 しかし、キルゲが死んでも檻が解除される様子がない。

 

 

 

「五条さん、どいてくれ!――月牙天衝!!」

 

 

 

 黒崎が檻に全力の月牙天衝を放つ。しかし、それでもびくともしない。

 

 

 

「くそっ……!!!どうすればいいんだよ……」

 

 

 

 黒崎が檻の頑丈さに悪態をつく。

 

 五条がこの檻を破壊できるか、と言われれば破壊できるが、その場合黒崎も巻き添えになる。ゆえに、使えない。

 

 

 

「五条サン!!」

 

 

 

 突如、名前を呼ばれた。

 

 振り向くと、携帯のようなものと、何やらスプレーのようなものが五条に投げ渡された。

 

 

 

「アナタに頼むのも何ですが……緊急事態です。すぐに尸魂界に向かって下さい。アタシたちは黒崎さんを解放させ次第、すぐ向かいます」

 

 

 

 浦原の背後には、穿界門が既に開かれていた。

 

 

 

「穿界門は開いておきました。詳細は阿近さんって人から聞くことが出来ます。移動しながら聞いて下さい」

 




キルゲさんにジェイル使わせないルートも考えたんですが、それはそれでジェイルさんに可哀そうかなーと。

原作通り、黒崎がその餌食になりました。
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