バーチャルライフオルタナティブ[無冠の王]獲得RTA挑戦記録 作:神仙神楽
少々修正を入れますが、流れは同じですね。
番外編:おかゆ√After A-1
「…おかゆん、此処に居たんですね」
振り返る。そこにはぼくの幼馴染の一人であるころね。手元には、色とりどりの花が色彩を放って存在を主張している。
「うん。…幻夜が帰ってくるとしたら此処かなって」
「…」
獣人の反抗革命が終わって、もう5年。革命そのものは成功し、フブキとミオが治めている"まほろば"でぼくところねは過ごしていた。…本当は幻夜も連れてきたかったのだけど…彼は盗賊騎士から監視者となり、"まほろば"となった祖国から去ってしまった。
監視者は世界の不穏分子を監視し、不穏分子が行動を起こすのに合わせて襲撃をかけて排除するのだと幻夜は言っていた。
「…私だって、信じたくないよ。でも…」
「うん、分かってる。…監視者と、6の滅びが、正面戦争をして。双方共に全滅した」
この出来事は、世界を震撼させた。魔族からしたら「定められた滅びが、たかが旅団1つに覆された」事による騒然。それ以外は「滅びによって失われた都市の被害を知っていたが故に、監視者達によって討ち果たされた」事による歓喜。それにより現在第二の滅びを魔族統治国家が作り上げようとしているが、魔族以外が統治している国家に阻止されている。
るしあは魔族だが…どうやら幻夜がぼく達と別れた後に一緒に旅をしていた時期があり、幻夜の頼みで"まほろば"の死霊術研究施設に缶詰となっている。曰く
『魔王の作り方は諸説あるが、そのうちの一つに”魔王の亡骸に死霊を詰め込む”と言う物がある。逆に"魔王の亡骸から死霊を引き離す"術式で復活を阻止できるかもしれない』
…とのこと。ぼくには詳しくわからないけど、魔王*1をどうにかできるかもしれないなら、やる価値はあると思う。
そんなことを考えていると、隣にころねが腰かけ。ぼくが先ほどまで見ていた―――彼の家だった場所に出来た、共同墓地へと目を向ける。
「…かなたん、久々に誘おうかな。おかゆん、かなたんは見かけた?」
「たぶん日課通りなら、傍の教会だと思うよー」
かなたはというと、やはりというべきか聖堂教会の天使となった。元々ヘスティの敬虔な信者だったから、ヘスティを奉る守護天使*2となるだろうという事は私たち誰もが予想していた事だ。
「ん、分かった。おかゆん、風邪をひかないようにね。少しずつ冷えてきているから」
「分かってるってー」
ころねがそのまま共同墓地の傍にある教会へと向かっていく。ぼくところねは革命成功後、本格的に家を継ぐために従業員として働く毎日を送っている。
…時々ギルドの方へ顔を出して、幻夜の捜索願を確認するのだけど、芳しくない。
「…ねぇ、幻夜」
呟いても、彼は言葉を返さない。…共同墓地には、滅びと相討ちした監視者達の慰霊碑が存在している。その墓の下には、彼らの遺品は詰まっているが…遺骨・遺灰と言う物は何もない*3。
「もう、卒業してから5年たったね」
卒業して、ぼくところねが家を継ぐと言って。それに対して幻夜は監視者に誘われたと言って、それ以来ぱったりと音沙汰が無くなり。
「ぼく、伝えたかったことがあるんだよ。幻夜が去って、漸く自覚できたんだけどね」
―――君の事、好きだよ。
風が空しく、吹きすさぶ。
…ああ、駄目だ。君が居なくなって、ぽっかりと空いた心が。雨となって、ぼくを濡らす。
「ねぇ、幻夜」
「僕は、どうしたら。君が監視者になるのを止められたかな?」
水滴が、地面に落ちていく。
視界は既に潤み、目前ですらまともに見えない。
「あの時に気持ちを自覚して、告白してたら止められたかな?幻夜について行けたのかな?」
…そんなはずはないと、分かっている。
「…、うぅ…、っ」
蹲り、泣いているのを数少ない人から隠すように。
…だから、気付けなかったのだろう―――後ろに、誰かが居る事に。
15分ぐらい、泣いていただろうか。
「…大丈夫か?」
躊躇うように、ノイズのかかった男性の声がぼくにかけられていると、漸く気付いた。
「…うん。遺骨も遺灰もない好きな人が…この慰霊碑の下に、眠っていてね」
「そう、か。好き”だった”…ではなく、”好きな”という事は、今でも思っているのか?」
頷く。
そのノイズのかかった男性の声は、ぼくの隣に座り。慰霊碑をそっと、撫でるように触れたのが見えた。目に映ったのは、間接部位が錆びた右手の甲冑。
「俺の戦友たちも、此処に眠ってるんだが。…良かったら、その話を聞いてもいいか?」
「…ぼくの話を聞いても、面白くないと思うよ?」
「面白くなくともいいさ。あまり知らなかった、戦友の1人の話を聞けるだけでも」
ぽつり、ぽつりと話していく。地下水路であった貴族たちの計画を一緒に解決したこと。ゲーム大会で優勝した時、彼が祝ってくれた事。夏休みに向かった海で遊んだこと。…彼が居なくなって、初めて好きだと気付いたこと。
「馬鹿だよね、ぼくって。…いなくなって、初めて気付いてさ」
ノイズのかかった男性の、小さなため息が聞こえた。フードと、フルフェイスメットで隠されて見えない顔を、小さく睨む。
「…なにさ、これ見よがしに溜息なんてついて」
「…あぁ、
「そ、そんな言い方ないんじゃないかな!?」
言い返して、気付く。…彼に名前、名乗ったっけ?
「…あぁ、気付かないのは仕方ないか。よく考えたら声帯壊れてっし」
フード、フルフェイスメットを男性―――否。
「…幻、夜?」
「戦友の馬鹿どもの慰霊参りしてたら、幼馴染に泣きながら告白された俺は、どう反応すりゃいいんだろうな」
…最後に見た彼の姿よりも、傷は増え。左顔半分においては火傷で赤黒くなったけれど。面影は残っている、幻夜の姿があった。
此方で幻夜がたどった展開は以下の通りです。
卒業後、監視者としての地域徘徊開始。
初め1か月のみ潤羽さんと同行し、旅支度等を教授。
半年後、"獣人の反抗革命"が勃発。
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半年後、革命成功。
混成民族国家"まほろば"立国。
↓
2年後監視者の目に余る禁術を潤羽さんが確保。
その襲撃に幻夜が向かい死闘。
結果として監視を条件として所有を認めることに。
↓
1年間潤羽さんと同行。
その後潤羽さんが両親の蘇生の為に禁術使用。
結果として「潤羽さんを核として魔王が復活」。
魔王の復活により、魔族国家が活性化し「黄昏前哨戦」勃発。
↓
半年で6の滅びが魔王の復活に連動し目を覚ます。
それによって小国家及び市町村が半数まで減少し、白い霧の覆う荒野になり果てる。
6の滅びの集合に合わせ、監視者が戦争開始。
この地点で幻夜が監視者の長となっていた為、魔王の依り代にされている魔族の救助方法を調べる為の調査隊と6の滅びの侵攻を遅らせる為の遅延戦闘/陽動部隊、国家に避難を呼び掛ける伝令部隊に別れる。
↓
3か月で調査隊が資料を発見。
駄目元で決行し、監視者の部隊1つを犠牲に潤羽さんの救助に成功。潤羽さんをまほろば迄他監視者に送ってもらう。
↓
3か月後幻夜を残して監視者及び6の滅び壊滅。
遅延戦闘によって疲弊を重ねていた事(幸運にも調査隊と伝令部隊は比較して疲労が少なかった)、及び魔王の力が依り代を失ったことによって弱体化した事が勝因。
重傷だったが、偶然にも隠れ里を見つけ2か月ほど療養。体がある程度動くようになってからまほろばへ。