横に寄り添う青き炎   作:綾凪九尾

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札幌旅行(第11レース)

合宿していた所から成田空港まで少し時間がある。

成田空港で飛行機に乗る。向かう先は札幌にある新千歳空港だ。

 

「トレーナーさん。大丈夫ですか?」

 

「あ…ああ。中学生以来でな。グラスは大丈夫か?」

 

「はい。問題ないですよ。慣れていますから。」

 

「そういえば、グラスはアメリカ出身だったな」

 

「はい〜♪覚えてくれてたんですね。」

 

「そりゃな。そのうち行かないと?」

 

「いけませんね〜。」

 

俺らは札幌に旅行しに行くことにした。理由としてはある日、札幌競馬場の方から電話がかかってきた。

 

「もしもし。今葉トレーナーさんの電話で宜しいでしょうか?」

 

「はい。そうですよ。」

 

「私は札幌競馬場の奥村と言うものなんですが…お話聞いてもらってもよろしいでしょうか?」

 

「はい?大丈夫…ですけど?」

 

「ありがとうございます。実は…誘導担当のウマ娘が引退するんです。」

 

「引退はよくあることですね。」

 

「はい。それで…その娘がファンのウマ娘が居るんですが…」

 

「なるほど。その娘にサプライズでグラスを呼ぶってことですか。んー…わかりました。理事長とお話してから折り返し電話させてもらいます。 」

 

「本当ですか!ありがとうございます!」

 

「いえいえ、ファンのお願いならグラスだって駆けつけますよ。」

 

「そうですか!旅費はこちらが持ちますので。」

 

「それはありがたいです。それでは、また折り返し電話させていただきます。それでは。」

 

これが理由だった。グラスは横に居たので話を全て聞いていた。グラスは「行くが大丈夫か?」と聞く前から行く気満々だった。理事長にも話を通すとトレセンの評価などが上がるから行ってこいと言われ、今に至る。

 

「トレーナーさん。札幌と言えば何が有名ですか〜?」

 

「北海道で育ったグラスの方が詳しいんじゃないか?」

 

「そういえばそうでしたね。何があったかしら…。」

 

「そうだなぁ。札幌…。」

 

「「んー…。」」

 

2人で頭を悩ませる。グラスは久しぶりに北海道に帰るため何があるか忘れており、俺は北海道へ行くのが初めてなので何が名物なのかも分からない。だからこそ、悩んでいる。

 

「あっ!」

 

「どうされました〜?トレーナーさん。」

 

「北海道と言えば海鮮じゃないか?」

 

「そういえばそうでした。海鮮物食べたいですね〜♪」

 

「せっかく旅行なんだ。いいもの食べても文句は言われないだろ。」

 

「そうですね♪」

 

ご飯のことばかり話していると飛行機内のアナウンスが流れ出した。

「機長です。当機はもうすぐ離陸致しますのでシートベルトをしっかりお締めください。」

 

どうやらもうすぐで離陸するらしい。俺はゴクリと唾を飲み込む。グラスは緊張してる俺を見てクスクスとわらう。そして、俺の手にグラスは手を置いた。まるで「大丈夫」って言うように。飛行機は動き出し、滑走路に着いた。エンジンは轟音を鳴らし、フル回転している。外から「ゴゴゴゴゴゴ!!」と音が聞こえる。そして数分後、航空機はスピードを上げ出した。俺はシートに押し付けられるようなGに驚きついグラスの手を握ってしまった。グラスはその手を見て笑い、俺の耳元で「私は横にいますよ。」と優しい声で言ってくれた。この時航空機は飛び立っており、新千歳空港へ針路を向けていた。1時間半かかるので俺らは他愛のない話をしていた。

 

「トレーナーさん。札幌に着いたら下の名前で呼びますから覚えておいてくださいね〜。」

 

「まだ言ってるのか?」

 

「もちろんです♪付き合っているんですから♪」

 

「そうだけど。グラスがいいのなら別に…な?」

 

「私はいつでも大丈夫です♪」

 

「偉くご機嫌だな。」

 

「はい〜。だって、トレーナーさんとの旅行は京都以来ですから。」

 

「ああ…あれか。」

 

「いつになったらトレーナーさんのご両親に会えるでしょうか?」

 

「あー…そのうちだ。そのうち。」

 

「そうですか?それならいいんですが…。」

 

「そうゆうグラスの両親にも話に行かなきゃダメじゃねぇか。」

 

「そうですね〜。覚悟決めておいてください♪」

 

「その前に卒業だろ。」

 

「そう…ですね。」

 

「来年には高等部へ進学だろ?」

 

「ええ。後輩達に惨めな姿は見せられません。」

 

「偉く張り切るのはいいが…コケるなよ。」

 

「もちろんです♪ 」

 

「さて、少し寝てもいいか?」

 

「そうですね〜。トレーナーさんからしたら少し早い起床でしたから。」

 

「さすがに無理だ。すまん。」

 

「大丈夫ですよ〜。私も少し眠ります。おやすみなさい勝馬さん。」

 

「今それ言うか…。はぁ、おやすみグラス。」

 

こうして、朝早くから起きてはしゃぎ疲れた俺らは眠った。次起きた時は飛行機が着陸する前だった。俺はグラスを起こし、衝撃に備えた。

 

「おはようございます。トレー…勝馬さん。」

 

「ああ。おはようグラス。」

 

俺はグラスの頭を撫で挨拶をした。グラスは照れて下を向く。これもまた可愛い行動だ。飛行機は着陸し、ターミナルへ向かっていた。空港には札幌競馬場の奥村さんが待っているはずだ。飛行機がターミナルとドッキングし、乗客が荷物を取り出した。俺らも荷物を飛び出した。あとはベルトコンベアで流れてくる荷物を受け取るだけだ。俺とグラスは飛行機を後にし、ターミナル内へ入った。新千歳空港はU字の空港で、ターミナルが2つある空港らしい。俺らは出口に向かって歩いていると看板を持っている人を見つけた。

 

「あ!今葉トレーナーさんとグラスワンダーさん!札幌へようこそ!」

 

「お招きありがとうございます。改めて私が今葉勝馬です。こちらが私の担当ウマ娘のグラスワンダーです。」

 

「もちろん知っていますよ。それに、URA界隈では最も結婚して欲しいランキング2年連続1位じゃないですか。」

 

「なんですか…そのランキング…。」

 

「あれ?ご存知じゃなかったですか?」

 

「知らないです…。はい、一切。」

 

「あれま。とりあえず札幌方面へ行きましょうか。」

 

「えっと…はい?よろしいお願いします。」

 

俺とグラスは少し顔を赤くして奥村さんの後をついて行った。奥村さんの車に乗り込み、奥村さんの運転で札幌市内へ向かった。

 

「宝塚記念見てましたよ。」

 

「それはありがとうございます〜。」

 

「かの皇帝様を破る程の力を持っているグラスワンダーさんに1つ聞きたいことがあるんですがいいですか?」

 

「大丈夫ですよ。」

 

「グラスワンダーさんはどうして頂点を目指したんですか?」

 

「それは…ですね。」

 

「あっ、無理に答えて欲しいわけじゃないので無視してくださって構いませんよ。」

 

「いえ、これは答えなければなりません。そうですね。トレーナーさんのおかげと言いますか…。私は元々ウマ娘の頂点に立つことを目標にしていました。友達達と切磋琢磨し、レースで勝つ。そして、トレーナーさんに褒めてもらう。これが理由です。もし、トレーナーさんがトレーナーじゃなかったら私はこんな感じにはならなかったでしょう。」

 

「ははは。やっぱり似てますね。」

 

「え?」

 

「マイネルスケルツィですよ。今回引退する娘で、グラスワンダーさんによく似た性格でしてね。自主練もして、頑張ってたんですけどね。」

 

「そうですか。」

 

「だから、最後に僕達からも恩返しと思ってグラスワンダーさんに来てもらったんです。」

 

「私で良かったんですか?」

 

「マイネルスケルツィはグラスワンダーさんのファンですから。絶対喜びますよ。」

 

「そうですか。」

 

「さて、そろそろ着きますよ。札幌市内です。」

 

グラスと奥村さんの会話が終わり、札幌市内に入っていた。奥村さんは札幌市内を教えてくれた。

 

「あれがさっぽろテレビ塔です。多分、テレビ等で見たことあると思います。」

 

「あれがテレビ塔ですか。小さい東京タワーみたいですね。」

 

「東京に住んでいる人はそう思うかもしれませんね。んで、テレビ塔の前の公園でさっぽろ雪まつりが行われるんです。いつも凄いですよ。去年はグラスワンダーさんの雪像がありましたね。」

 

「それはありがたい話です♪」

 

「おつかれだと思いますので、このままホテルに向かいますね。」

 

奥村さんはそう言って札幌プリンスホテルへ向かって走り出した。俺らは札幌の光景を見ていた。

数十分してから、ホテルに着いた。

 

「さぁ、ホテルに着きました。札幌競馬場の名前を出してくれましたら、部屋に案内してくれると思うので。マイネルスケルツィの送別会の準備もしないといけないので私はここで。」

 

「観光などありがとうございます。」

 

「いえいえ、呼んだのはこちらなので。では、明日お迎えに参りますね。」

 

「はい。お願いします。」

 

奥村さんは車を進めた。最後にクラクションを鳴らし札幌競馬場へ向かっていった。俺らは札幌プリンスホテルに入っていった。受付カウンターに列が出来ていたのでゆっくり待っていると俺らの番になった。

 

「ようこそおいでなさいました。」

 

「はい。札幌競馬場と言えと言われたのですが…。」

 

「はい。受け付けております。今葉勝馬さんとグラスワンダーさんですね。スイートルームへご案内します。」

 

「え?スイートルーム?」

 

「はい。奥村様からそう言い伝えられております。」

 

「そ…そうですか…。」

 

俺らはスイートルームへ案内された。看板には「ロイヤルスイートルーム」と英語で書かれており、入るのも戸惑ってしまった。

 

「勝馬さん…。」

 

「わかってるグラス。俺だって緊張してんだ。」

 

「そう…ですね。入りましょう。」

 

「ああ。」

 

俺らは重い1歩を踏み出した。そこには俺の部屋よりも広いスイートルームだった。俺は空いた口が閉じず、色んなところを見て回った。

 

「なんじゃこりゃ!これがスイートルームってか!スゴすぎだろ!」

 

「勝馬さん…これはさすがに凄すぎますね。」

 

「んで、ベットは……。」

 

「1つですね。2人用です。」

 

「あらぁ…いつも通り…。」

 

「こればかりはどうもなりませんよ?私が一緒に寝て欲しいから誘ってるわけでなく、ベットが元から1つしかないです。」

 

「そ…そうだな。とりあえず…外見てみる?」

 

まだ明るいから部屋の窓からは札幌の景色が綺麗に見てた。グラスと俺は言葉を失い改めてスイートルームなんだなと思い出させられた。

 

「本当に…スイートルームなんだな。」

 

「ですね。」

 

「2人にしたら広くないか?」

 

「そうですね。」

 

「どうする?ちょうど昼食ぐらいだが…?」

 

「それなら、名産物を食べませんか?」

 

「それもそうだな。明日が本番みたいなもんだからな。」

 

「はい♪」

 

俺とグラスは部屋のロックをして、街に出た。

東京みたいに全てのビルが高いって訳では無いが、都市と言えば都市だろう。東京より少し涼しい札幌。近くに海鮮丼屋があったのでそこに向かうことにした。そこは人で賑わっていた。

「有名なお店なのかもしれませんねぇ。」

 

「クチコミ4.3だからな。人気で有名なんだろう。」

 

「待ちますか?」

 

「どうする?」

 

「私は別に待っても大丈夫ですよ?」

 

「なら待つか。」

 

俺らは列に並んだ。周りの人からは「グラスワンダーとトレーナーだ」と言う目で見られていたり、握手をお願いされたりと有名人だった。俺まで握手を求められるのはよく分からないが…。グラスは俺が思っていることを当ててきた。

 

「勝馬さんが悩んでいることは『どうして俺まで握手をお願いされたりするんだろう。』でしょうか?」

 

「笑顔で考えていること当ててこないでよ。」

 

「勝馬さん。あなたはURA界でも伝説を残したんですよ?」

 

「そう…なのか?」

 

「はい♪私を無敗で育て上げた勝馬さんだからこそ他の人から尊敬されるんですよ。ハヤヒデ先輩も2着以内ですから、勝馬さんは誇ってもいいんですよ?」

 

「そう…か。ありがとうグラス。」

 

「私たちは支え合っていくって京都の時約束しましたから♪」

 

「そうだな。本当にありがたいよグラス。」

 

「ふふっ。勝馬さんって繊細ですね。」

 

「よく言われる。」

 

そんなことを話していると、俺らの番になった。店の中に入ると人が多く店員さんが忙しく海鮮丼を作っていた。俺らも椅子に座り海鮮丼を頼む。グラスはいくら丼。俺はウニマグロ丼を頼んだ。

 

「そういえば、ハヤヒデ先輩大丈夫でしょうか?」

 

「んー。大丈夫だと思うが…?」

 

「オーバーワークしてないでしょうか…。」

 

「してない。ハヤヒデはそんなことするやつじゃないからな。」

 

「そうですか。」

 

ハヤヒデについて話していたら、海鮮丼が早く来た。

 

「おまたせしました。いくら丼ですね。そして、ウニマグロ丼です。」

 

「ありがとうございます♪さぁ、勝馬さん食べましょ?」

 

「そうだな。」

 

俺とグラスは海鮮丼を食べる。グラスがこっちの海鮮丼を欲しそうに見ていた。

 

「グラス?」

 

「…はい?」

 

「欲しいのか?」

 

「い、いえ。大和撫子たるもの、ここは我慢です。」

 

「はい。あーん。」

 

「トレーナーさん!?」

 

グラスは我慢しようとしたが俺はそんなことお構い無しにグラスにウニマグロ丼を食べさせようとする。グラスはそれを見て顔を紅くしながら口を開け食べた。

 

「えっと…その。美味しいです…。」

 

「なんだ?照れてどうした?」

 

「その…トレーナーさんも…どうぞ?/////」

 

「ん。あーん。」

 

俺もグラスのいくら丼を食べる。いくら丼はプチプチといくらが噛めば噛むほど美味しさが出る。そして、グラスは照れる。

 

「グラス?大丈夫か?」

 

「だいじょひゅです…。」

 

グラスはどうやらさっきのでキャパーオーバーしたらしく頭から湯気が出まくっている。俺は会計を終わらしてグラスをおんぶしてホテルに戻る。

 

「わっ!トトト…トレーナーさん!?」

 

「はいトレーナーさんですよ。」

 

「ふざけてないで下ろしてください!」

 

「無理だ。俺がホテルまで送るんだ。」

 

「トレーナーさんも同じ部屋じゃないんですか?」

 

「ん。それもそうだな。」

 

「でも…勝馬さんの背中って暖かいです。肌寒いですからね。」

 

「そうか。もうすぐでホテルだぞ。」

 

「はい。そろそろ…下ろしてもらっても…」

 

「んー。いいぞ。」

 

俺はグラスを背中から下ろし、グラスは俺の手を握った。

 

「グラスさん?」

 

「どうされました〜?」

 

「手繋ぐの?」

 

「そうですよ。」

 

「しっぽすごいね。」

 

「えっ…あっちょっと…。」

 

「いいと思うけどな。可愛いと思うよ。」

 

「そう…ですか?ありがとうございます〜♪」

 

俺らは手を繋いでホテルに向かった。グラスはニコニコしている。でも笑っていてもなにか悩んでいることがありそうだ。

 

「何か悩み事か?グラス」

 

「勝馬さん。明日私はなんて言えばいいと思いますか?初めて会うウマ娘に。」

 

「そうだな。ファンなんだからありがとうって言う気持ち伝えたらいいんじゃないか?」

 

「そうですね。わかりました。」

 

グラスは悩みの種が取れたようで、またニコニコしていた。

ホテルに入り、スイートルームに入った。俺はソファーに座った。

 

「ふぅ。初めての土地はよくわかんないな。グラス。」

 

「私は地元ですから♪」

 

「正しくは地元じゃないだろ。」

 

「北海道自体が地元です♪」

 

「ざっくりしてるんだな。」

 

「そうですよ。」

 

「そんなんでいいのか…?」

 

「大丈夫です。」

 

「夕食まで時間あるな。」

 

「そうですね。あっエルに電話してもいいですか?」

 

「え?ああ。大丈夫だぞ。」

 

「今エルはフランスにいるので。」

 

「そういえば、そんなこと聞いたな。」

 

「ちょっと掛けてみますね。」

 

グラスはそう言って俺のパソコンでエルコンドルパサーに電話をかけた。

 

「これどうするんデスカ?」

 

「エル〜♪」

 

「ケッ!?グラス!?」

 

「やぁ、エル。」

 

「あっ。グラスのトレーナーさん。」

 

「そっちはどう?」

 

「強豪ばっかりで強くなりそうデス!」

 

「私も行きたいけど…無理ですよね?勝馬さん。」

 

「んー…その気になれば行けると思うけど…?」

 

「本当ですか?」

 

「ケッ!?グラス来るんデスカ!?」

 

「行けたら行くです♪」

 

「あっこれ来ないやつデース。」

 

「ふふふ。」

 

グラスはエルコンドルパサーと電話していたので俺はテレビを見ていた。楽しく乙女同士の話で盛り上がっていると思っていたが、どうやらレースのことで盛り上がっているらしい。エルコンドルパサーはフランスで凱旋門賞に出ることを決定していた。グラスはそのレースを見に行きたそうにしているので、理事長に電話をした。

 

「もしもし、秋川理事長でしょうか?」

 

「肯定ッッ!私こそ秋川やよいである!」

 

「理事長、また旅行なんですけどいいですか?」

 

「む?それは何処へ?」

 

「フランスです。」

 

「フランスか。凱旋門賞であるな?」

 

「そうですね。」

 

「グラスワンダーがエルコンドルパサーの応援に行きたいって言っているで間違えないな?」

 

「はい。ダメでしょうか?」

 

「否ッッ!逆に行ってきて欲しいまである!」

 

「え?」

 

「実はな。私もフランスに行くことになった。」

 

「理事長が?」

 

「肯定ッッ!だからこそ、秘書を任せたい。」

 

「俺にですか?そんなの無理ですよ?」

 

「うむ。わかっている。」

 

「なら、どうして?」

 

「そう言っておけば大丈夫であろう?」

 

「ありがとうございます…。」

 

「うむ。それだけか?」

 

「はい。ありがとうございます。」

 

「それでは、待っておるぞ。」

 

俺は電話を切った。グラスとエルコンドルパサーはまだ話しているようでまた俺はテレビを見ていた。そして数時間後グラスが電話を終えてベットに乗ってきた。

 

「おはようございます。勝馬さん。」

 

「寝てはいないけどな。」

 

「知っていますよ。時間も時間ですから夕食食べに行きましょう?」

 

「そうだな。」

 

俺らはホテルで夕食を食べた。そして部屋に戻った。少しゆっくりしてからグラスにお風呂入るように勧めた。グラスは自分が先に入るのが嫌だったらしいが仕方なくって入っていった。俺はグラスが出るまでテレビを見て待っていた。どんどん暗くなっていく札幌の空に札幌の景色がどんどん夜景に変わっていく。函館の夜景も綺麗って聞くが、札幌の夜景も綺麗だった。その景色に見とれているとグラスが出てきた。

 

「勝馬さん次どうぞ。」

 

「ああ。ありがとう。」

 

「綺麗ですね。夜景」

 

「そうだな。じゃあ風呂に入ってくる。」

 

俺はお風呂に入った。グラスはその間夜景を見ているのだろうと思ってリラックスしていた。

 

「勝馬さん。」

 

「は!はい!?なんですか?」

 

「あっ。驚かしてしまいましたか?」

 

「大丈夫だ。どうした?」

 

「今しか言えないことを思い出しました。」

 

「ん?出てからじゃないとダメなのか?」

 

「えっ?あっ…すみません。あとでも大丈夫ですよ。」

 

「すまんな。」

 

「いえいえ。」

 

そう言ってグラスは洗面所から出ていった。俺はグラスを待たせないために急いで頭を洗い身体を洗いすぐに風呂から出た。

 

「勝馬さん。札幌の景色って綺麗ですね。」

 

「そうだな。」

 

「先程、パソコンにメールが来ていたので見てしまいました。」

 

「俺とグラスの間だ。構わないぞ?」

 

「フランスへのチケット。これはなんですか?2人分。」

 

「それは…だな。」

 

「もしかして、理事長さんとフランス旅行ですか?私と行かずに。」

 

「はははっ!なんだそんなことか。」

 

「答えてください。」

 

「そうだな。グラス、お前は何か一つ勘違いしてるぞ。」

 

「え?」

 

「それは俺らのチケットだ。」

 

「……!」

 

「つまり、グラスお前も行くんだ。」

 

「勝馬さん!いつの間に伝えたんですか?」

 

「グラスがエルと電話している時にちょちょいと。」

 

「さすがです。」

 

「さて、明日早いしそろそろ寝るか。」

 

「そうですね。」

 

俺とグラスは同じベットに入りお互い手を繋いで眠った。

翌朝、アラームがなる。横にグラスはいない。グラスはどこだろうと探しているとポニーテールにしたグラスが洗面所にいた。

 

「あっおはようございます。勝馬さん」

 

「おはようグラス。その髪型似合ってるぞ?」

 

「ありがとうございます。でも、札幌は肌寒いですから下ろしますけどね。」

 

「仕方ないな。」

 

俺はグラスの隣で歯を磨き出した。鏡に映った俺らは結婚したあとの夫婦みたいだった。グラスがトレセンを卒業する時にはこうなるのだろうかと考えつつ、歯を磨いた。口をゆすぎ、ゆったりとした服へ着替えた。

グラスはカバンに勝負服と俺のスーツを積めてくれていた。さして、チェックアウトした。

外には奥村さんが待っていた。

 

「おはようございます。今葉トレーナーさん、グラスワンダーさん。」

 

「おはようございます。奥村さん。」

 

「今日はレースはなく、引退式だけなので急いで行きますよ。」

 

「すみません。ありがとうございます。」

 

「いえいえ。来てもらってるので。」

 

奥村さんは札幌競馬場へ向かった。ホテルから競馬場まで近かいらしくすぐ着いた。札幌競馬場にはたくさんの登りが立っていた。書いているのは「ありがとうマイネルスケルィ」だった。俺らは裏口から入り、関係者にもバレずに控え室に入っていった。グラスが先に着替えると言ったので、俺が廊下で待つ。グラスが着替え終わるとドアから顔を出し「おまたせしました。」と言って俺が入る。グラスは俺の着替える姿に慣れているのか部屋から出ていこうとしない。俺もグラスの前で着替え出す。グラスはお茶を飲んで落ち着いていた。俺はスーツに着替えるが、ネクタイだけなかなかできない。するとグラスが俺の前に来てネクタイを締めてくれた。

 

「ありがとうグラス。」

 

「これからは私がする番ですから気にしないでください。」

 

グラスがネクタイを締めてくれたと同時に放送が聞こえてきた。

 

「まもなく引退式を致しますので、お客様はスタンドにお集まりください。」

 

奥村さんが控え室に入ってきて「そろそろ行きますよ。」と伝えてきてくれた。俺らはそれについて行った。ターフでは引退式が始まっていた。

 

「皆さん!誘導担当のウマ娘だった。私のために集まって貰ってありがとうございます。改めましてマイネルスケルツィです。」

 

歓声でマイネルスケルツィはすごく人気者だったらしい。

 

「勝手ながら私は引退してしまいますけど、同僚達にあとを任せたいと思います。これまで色んなレースを見ました。どれも心踊らせるレースばかりでした!でも、やっぱり1番はグラスワンダーさんのレースでした。私はあの人のレースはとてもいいレースで周りには強い人達ばかりで…。私はグラスワンダーさんのファンでした。」

 

そう言った時放送が聞こえた。

 

「レースに出るウマ娘とトレーナーは本バ場入場してください。」

 

観客からも不思議がる声が上がった。マイネルスケルツィも不思議そうに周りを見る。

俺らは奥村さんに「行ってください!」と言われたのでスタンドから出てきた。

観客からは大歓声が上がった。

 

「今回マイネルスケルツィ引退式のために無敗のウマ娘グラスワンダーさんとグラスワンダーのトレーナーである今葉勝馬さんに来てもらいました。」

 

俺らは観客に手を振った。

 

「どうして…グラスワンダーさんがここに…。」

 

「それは呼んでいただいたからです♪」

 

「本物…ですよね?」

 

「はい♪本物です。」

 

「私…ずっとグラスワンダーさんのファンで…。」

 

「ありがとうございます♪誘導お疲れ様でした。私はここでレースは出たことないですが、これからはURA職員として頑張ってください。」

 

「ありがとうございます。頑張っていきます!」

 

「トレーナーさんからは何かありますか?」

 

「んー。誘導担当お疲れ様でした。これからは辛いこと悲しいことあるかもしれませんが、マイネルスケルツィさんはまだこれから楽しいこと沢山あるの思うので頑張ってくださいね。」

 

「ありがとうございます。それと1つだけ質問いいですか?」

 

「大丈夫ですよ〜。」

 

「お2人はご結婚するんですか?」

 

「「は?」」

 

「宝塚記念の時プロポーズをしていたのでするのかなと?…思いまして」

 

「そうですね。そのうちしますよ。」

 

「そうですか!お幸せになってくださいね。」

 

「ありがとうございます♪」

 

 

マイネルスケルツィの引退式は大成功し、俺らは奥村さんの車で札幌競馬場を後にし、新千歳空港へ送ってもらった。

 

「本当にありがとうございます。マイネルスケルツィも喜んでいましたから。」

 

「こちらこそ、喜んでもらえて嬉しい限りです。そうだろ?グラス。」

 

「はい♪」

 

「また、機会がありましたら札幌へ来てください。」

 

「もちろです。ですけど、次はお忍びで来ますね。」

 

「そうですね。次はお忍びで。」

 

「それでは2日間ありがとうございました!」

 

「こちらこそですよ。それでは。」

 

「はい。それでは。」

 

俺らは奥村さんに手を振り成田空港行きの飛行機の搭乗口へ向かっていった。




どもども綾凪九尾です。
今回無理やり2週間で出すのですがかなりきついですね。
1万文字近く書いてしまったことを後悔しています。
さて、今回早めに出した理由はさておき。
この小説が出る日には無敗の三冠馬コントレイルが引退だそうですね。
私はつい最近競馬に興味を持っているのですが…有名馬が沢山引退する年なんですかね?今年は。
とりあえず、私は疲れたのでここで締めさせてもらいます。
今回も読んで頂きありがとうございます。
今回はラブコメ要素少なめです。すみません。
次は1週間後に出す予定ですのでよろしくお願いします。
それではさよならバイバイ。
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