横に寄り添う青き炎   作:綾凪九尾

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前回のあらすじ!
全然関係ない!以上!


岩手旅行(特別編成レース)

今日はオグリと一緒に岩手県に来た。

まず、なぜ岩手に行くことになったか説明していこう。

 

「トレーナー!」

 

「ん?どうした?」

 

「ユキノビジンに聞いたのだが、わんこそばと言う食べ物が岩手県にあるらしいんだ。」

 

「そうだな、有名だな。それがどうした?」

 

「私も食べてみたいのだが…いいだろうか?」

 

「ちょっと待てよ。オグリの次のレースは…」

 

「有馬記念だな。」

 

「年末か…よし。行こうか。」

 

「あっ、ついでに盛岡競馬場も見に行ってみたいんだがいいだろうか?」

 

「笠松競馬場時代の友人でもいるのか?」

 

「いや、いないのだが…1人、気になるウマ娘が居てだな。」

 

「なるほど。わかった。用意しておこう。」

 

とオグリのわんこそば食べたい欲によって旅行が敢行された。わんこそばは夕食と決めていたらしく、今は宮古市にある「道の駅みやこシートピアなあど」に来ている。盛岡からどうやってここまで来たか?それは俺が運転したからだ。車はレンタカーだ。オグリと道の駅を見ていると海鮮物が多くやはり海の近くは海鮮物が有名になるものかと考えていたら、オグリのお腹が鳴った。

 

「と…トレーナー。お腹が空いたぞ…。」

 

「なら、近くの海鮮市場食堂に行こうか。」

 

俺らは道の駅の目と鼻の先にある海鮮市場食堂に入ると店員さんが驚いていた。

 

「いらっしゃ…あら!オグリキャップさんじゃないですか!」

 

「ん?私を知っているのか?」

 

「知ってるも何も無いですよ!私の息子がファンなんですよ。」

 

「そうか。ありがとう。」

 

「オグリキャップさんが来たってことはサービスしなきゃ!」

 

「いや、そこまでしなくてもいい…のだが。」

 

「大丈夫ですって!海鮮物は横から仕入れたら良いんですから!」

 

「そうか…?それならいいのだが…。」

 

オグリは戸惑いながら注文をする。オグリはいくら丼と三色丼を頼み俺は刺身定食を頼む。

 

「トレーナー。明日はどこに行く予定だ?」

 

「えっと…盛岡競馬場に行ってオグリが気になってる娘を見に行くんだろ?」

 

「ああ、そうだったな。名前は確か…」

 

「ミンナノヒーローだな。」

 

「地方なれど2連勝しているウマ娘か。中央に来るのも近いのかもしれないな。」

 

「まあ、その場合トレセンが動くと思うけどな。」

 

「それもそうだな。」

 

俺とオグリが明日の話をしていると店員さんが丼と定食を持ってきてくれた。

 

「はい。オグリキャップさんのオグリ盛りね。」

 

「オグリ盛り?そんなもの無いはずだが…?」

 

「サービスです。これトレーナーさんの定食です。」

 

「ありがとうございます。」

 

「じゃあ、ごゆっくりです。」

 

俺はオグリ盛りを見て絶句する。ご飯が見えないぐらいいくらがかかっているからだ。オグリは目をキラキラさせながら食べる。

 

「上手い!上手い!上手い!」

 

「某アニメみたいな感想の言い方だ…。」

 

「どうした?トレーナー?」

 

「ん。いや、オグリの食べっぷりはさすがだと思ってな。」

 

「ふふっ。私を褒めても何も出ないぞ?」

 

「そうだな。」

 

俺が定食を食べ終わってもオグリは丼を食べていた。俺は外を見ていると、堤防で釣りをしている人を見つけた。緑色の髪の毛にウマ娘証の耳。俺はそのウマ娘の特徴に合う娘がいるか記憶を探した。たった1人俺の記憶の中で思い出す子がいた。一昨年の有馬記念でグラスワンダーに敗北したセイウンスカイだ。あの時の有馬記念はセイウンスカイが有利に見られていたがグラスワンダーが差し切って勝利を勝ち取った。その後セイウンスカイのトレーナーはその敗北に絶望し、トレセンから行方不明になったと聞いた。

俺はオグリに「すぐ戻る」と言って堤防に向かった。

堤防には数人の釣り人が居て、セイウンスカイはしっぽを振りながら魚を待っていた。

 

「セイウンスカイ…でいいのかな?」

 

「んー?セイちゃんを呼んだのはそこのトレーナーさんですかなぁ〜?」

 

「そうだ。」

 

「おやおや、よく見たらグラスちゃんのトレーナーさんの同期さんじゃないですかにゃ〜。」

 

「坂本桜花だ。」

 

「ご存知ですよ〜。オグリ先輩のトレーナーさんで…私に見事釣り上げられたトレーナーさん。」

 

「釣り上げられた?」

 

「知らないとは言わせませんよ?私には…トレーナーがいないの知ってますよね?」

 

「それは…もちろん。有名だからな。」

 

「やっぱり知ってる。セイちゃんに言わせた責任取ってくださいよ〜?」

 

「ん〜…。そうだな。」

 

「あっ、無理にとは言いませんよー?」

 

「わかった。トレーナーになろう。」

 

「え?」

 

「だからトレーナーになるって言ってるんだ。」

 

「私の次のレース何かわかって言ってます?」

 

「なんだ?」

 

「天皇賞・春ですよ?」

 

「なら、回避だ。」

 

「え?」

 

「ビワハヤヒデが出る。」

 

「いや、セイちゃんはやる時はやりますよっと。おっ!大きい引き!」

 

「大丈夫か?セイウンスカイ」

 

「んー。ありゃ、これは地球ですなぁ〜。がっちりハマっちゃってますなぁ。」

 

「切るしかない…な。」

 

「ですねぇ〜。」

 

「にしても、セイウンスカイはトレーナーがいないからここで釣りをしているのか?」

 

「そうなりますよ〜。ぴろぴろりん!トレーナーさんが話してくれるからセイちゃんの好感度が3上がりましたよ。」

 

「簡単に上がるんだな。」

 

「実はセイちゃん人に懐っこいんですよ〜。」

 

「なるほどな。」

 

「ところで、トレーナーさんはなぜ岩手に?」

 

「ああ、オグリの要望でな。旅行だ。」

 

「ほうほう、旅行ですか。どうゆう理由で?」

 

「わんこそば食べに。」

 

「ありゃ?セイちゃんの予想が外れちゃいました。」

 

「どんな予想してたんだ?」

 

「てっきり、『ミンナノヒーロー』の三連勝目を見に来たのかと思ってましたよ。」

 

「そんなに強いのか?」

 

「んー。私が走りを実際に見たわけじゃないですけど〜。オグリ先輩みたいなパワーがあるらしいですけどね。」

 

「意外と詳しいんだな。」

 

「一応、セイちゃんが岩手に来た理由は『ミンナノヒーロー』を見に来たってのもありますからねぇ〜。」

 

「そうなのか?」

 

「これならどんな成長をするのか予想するのが楽しいですから。ところでトレーナーさん。」

 

「ん?」

 

「オグリ先輩のところに戻らなくていいんですかな〜?」

 

「あー。そろそろ戻る。明日この時間に競馬場に居るな、一緒に見るのなら来てくれ。これ電話番号だ。」

 

「トレーナーさん。私の好感度上げようとしてます?」

 

「別にしてないよ?」

 

「なら、好感度上がりましたよ〜。」

 

「良いトレーナー関係を築けそうだな。それじゃまた明日。」

 

「はいはーい。」

 

俺はオグリの待っている海鮮市場食堂に戻った。

 

(セイウンスカイ視点)

 

「(遅かれ早かれセイちゃんにトレーナーが就くと思ってたけど思いのほか早かったなぁ。それに好感度爆上げすぎてほんとやばいよぉ。セイちゃんに釣り上げられたトレーナーさんはもう二度と離さないから。野良猫が近づくようなら私は容赦なく倒すだけだから。)」

 

(セイウンスカイ視点終わり)

 

海鮮市場食堂に戻ると全て食べ終わっていたオグリは俺の事を待っていた。

 

「おかえりトレーナー。何をしていたんだ?」

 

「セイウンスカイと話してた。」

 

「セイウンスカイってトレーナーが行方不明になったウマ娘か。」

 

「ああ。俺が担当しても文句ないよな?」

 

「トレーナーが決めたことなら私は何も言うつもりは無いからな。」

 

「いつものオグリらしい。」

 

そう言って俺らは会計をした海鮮市場食堂を出た。

レンタカーに乗った時に窓をノックされた。俺は「警察か?」と思って外を見るとセイウンスカイが笑って見ていた。

 

「ん?何しているんだ?」

 

「いやぁ〜、セイちゃん電車なんですけど。乗せて貰えたらありがたい…んですけどぉ。」

 

「なんだそんなことか。それならば乗ればいい。」

 

「ありがとうございますトレーナーさん。おや?オグリ先輩もご一緒ですか。なるほど〜。」

 

「言ってただろ。」

 

「そういえばそうでした。もしかしてセイちゃんお邪魔です?」

 

セイウンスカイは少し苦笑いをしながら聞いてきた。俺とオグリは顔を見合せた。アイコンタクトで会話をする。

 

「(これっては…どう言えばいいのだ?)」

 

「(俺に聞かれても…とりあえず邪魔じゃないって言うからな。)」

 

「(わかった。)」

 

俺はオグリから目を離しセイウンスカイを見て話す。

 

「邪魔じゃないよ。一緒にお風呂行くかな?」

 

と聞いてみる。セイウンスカイは少し悩んだ後に笑顔で返事をした。

 

「おおー…温泉ですかぁ。いいですねぇ〜。セイちゃんもご一緒しても大丈夫ですか?トレーナーさん?」

 

「大丈夫だ。なんとかなる。」

 

「本当ですか〜?少し冷や汗かいてますよ〜?」

 

「えっ!?ガチで?」

 

「嘘ですよ。全く、今回釣りあげたトレーナーさんは少しポンコツかねぇ〜。」

 

「ポンコツって…」

 

「ポンコツはポンコツですよ。いい意味のぽんこつですから。」

 

「それは…ポンコツでは無いのか?」

 

「にゃはは〜♪バレちゃいましたか〜。」

 

「よくわからんが…。」

 

「まあまあ、オグリ先輩にも書きたいことありますから温泉行きましょうよ〜。」

 

「そうだな。少し遠いからリラックスしててくれ。」

 

「わかりましたよぉ〜。」

 

俺は車を動かした。花巻温泉郷に向かった。

オグリはお腹が膨れたのか眠ってしまっていた。セイウンスカイが後ろから話かけてきた。

 

「トレーナーさんは今までどんなレースにオグリ先輩を出したんですか?」

 

「そうだな…NHKマイルカップ、マイルチャンピオンシップ、有馬記念2回、大阪杯、天皇賞・春、天皇賞・秋、安田記念、宝塚記念だな。」

 

「かなり出てますねぇ。セイちゃんも酷使されるんですか?」

 

「まだ担当になれるか分からないが…そうなるだろうな。」

 

「あっ知ってます?来年の新入生の時に『アオハル杯』が開催されるらしいですよ?」

 

「アオハル杯?そういえば今葉が言ってたな。ん…」

 

「じゃあ、トレーナーさんは同期の方々と組むんですかぁ?」

 

「ん…まあ、組んでいいのなら組むな。」

 

「そうですか。トレーナーさんの担当はオグリ先輩とマンハッタンカフェさん。今葉勝馬トレーナーはグラスちゃんとビワハヤヒデさん。松風華麟トレーナーはライスちゃんとアグネスタキオンさん。中山翔夢トレーナーはテイオーちゃんとマルゼンスキーさんでしたっけ?」

 

「そうだな。どうしてここまで知ってるのか知りたいところだが…」

 

「それはですねぇ〜。理事長からトレーナー一覧貰ったからですよ〜♪」

 

「あの理事長…一覧渡したのか…。」

「どうやら、前のトレーナーさんから退職届を受け取ったらしいですよ?まあ、私にはあまり説明なかったんですけどね。」

 

「多分…落ち込まないようにってことだろう。」

 

「違いますよ〜。多分前のトレーナーさんはグラスちゃんの気迫に負けちゃったんだと思いますよ?」

 

「確かにグラスワンダーの気迫と言うか…青い炎と言うか…。」

 

「あの炎ですよね。もう1人見たことありますよ?」

 

「誰だ?」

 

「ライスちゃんですよ。」

 

「天皇賞・春…か?」

 

「そうですよ〜。あの時私も見に行ってましたから。」

 

「そうか。」

 

「あの時のライスちゃんはグラスちゃん以上の炎だったんですよ…。」

 

「グラスワンダー以上の炎か。」

 

「とりあえず、セイちゃんも疲れたのでお休みさせてもらいますね〜。それじゃ。すぴー。」

 

セイウンスカイも寝てしまった。静かな車内で俺は花巻温泉郷に向かう。セイウンスカイのホテルはどこなのかと思いつつ、車を走らせる。秋が深くなって木の葉は赤くなっていた。温泉地に着いたのでオグリとセイウンスカイを起こす。2人は車から降りるとセイウンスカイに質問をした。

 

「セイウンスカイはホテルどうしてるんだ?」

 

「にゃはー♪どうしましょうかね〜。」

 

「緩すぎじゃないか…?」

 

「トレーナーさんの力で何とかなりません?」

 

「さすがにならないと思うんだが…?」

 

俺はセイウンスカイとの会話で汗を流しているとどこかに行っていたオグリが話しかけてきた。

 

「トレーナー。何とかなったぞ。」

 

「はい?」

 

「説明したら同室だが、布団を用意してくれるらしいぞ。」

 

「なるほど?待て!今、同室って言ったか?」

 

「言ったな。」

 

「担当でもない子と同室なのか!?」

 

「私も同室だが?」

 

「いやいや!別室を頼んでたはずだろ!」

 

「あー。そのことなら。このumainを見てくれ。」

 

「えっと…?『オグリに言われた通り別室から同室に変更しておきました。もしかしたら、ある人に会うかもしれないので3人泊まれるような大きな部屋に変更してもらいました。キャンセル代はこちらで払っておいたのでごゆっくりしといてください。』だと?これは誰から?」

 

「今葉トレーナーだ。」

 

「あいつ!やりやがったな!」

 

(その頃、今葉トレーナーは…)

 

「ハッ!クション!」

 

「あらぁ?トレーナーさん風邪ですか?」

 

「違う違う。多分今頃坂本が叫んでる頃だ。ちょっとしたイタズラとセイウンスカイの元トレーナーからの情報でセイウンスカイの居場所が割れた。必死に考えたグラスのおかげだぞ〜?パリに行った時好きなところ行ってもいいぞ?」

 

「そうですね…やっぱりチュイルリー庭園に行きたいですね。」

 

「なら、そこに行こうな。」

 

「そうですね〜♪」

 

(時は戻り岩手へ。)

 

俺は今葉から受けたいじめ?を諦めて大部屋に入る。

 

「トレーナー!広いな!」

 

「…そう…だな…。」

 

俺は興奮しているオグリを横目に外を見ながら懺悔する。

 

「(ああ。神さま…俺をお許しください。担当と担当じゃない子と同室なのをお許しください…。)」

 

俺は外を見ているとオグリとセイウンスカイが話していた。

 

「オグリ先輩はトレーナーさんのことお好きですか?」

 

「好きと…言えば好きだな。」

 

「(俺がいないところでしてくれ!!)」と思いつつ、お茶を飲んで落ち着くことにする。

 

「ズズズ。はぁ、いい天気だな。」

 

「トレーナー…曇りだぞ…?」

 

「そうだな。いい天気だな。」

 

「?どうしたんだ?」

 

「多分トレーナーさん現実逃避してますねぇ。ここはセイちゃんの腕の見せどころですなぁ。」

 

セイウンスカイはそう言って俺に近づいてきた。

 

「どうした?セイウンスカイ。」

 

「トレーナーさん。そろそろスカイって呼んでくださいよぉ〜。セイちゃんだけ仲間はずれですかぁ?」

 

「でも…担当じゃない…だから…。」

 

「それでも、フルネームで呼ばれるのは少し嫌ですよ?」

 

「そう…なのか?オグリ」

 

「私に聞かないでくれトレーナー…。」

 

「それもそうか…。」

 

「とりあえず、トレーナーさん。お風呂入りません?」

 

「風呂か…まあいいが?」

 

俺らは風呂に入る用意をして大浴場に向かった。混浴はないらしく自然的に男風呂と女風呂に別れた。俺は脱衣所でさっさと服を脱ぎ、大浴場に入る。少しの間の一人の時間だからゆっくりさせてもらう。

 

(一方セイウンスカイとオグリキャップは…。)

「オグリ先輩はトレーナーさんのこと好きですか?」

 

「それさっきも聞いただろう?好きって感情がわからないんだ。」

 

「まあ、私も言えたもんじゃないですけどねぇ〜。」

 

「ん?そうなのか?」

 

「私も恋愛弱者なので〜。」

 

「しかし、私より恋愛のことわかってるだろう?」

 

「にゃはは…なんですか?私が弱者に見えませんか?」

 

「ん、そうだな。見えないな。」

 

「にゃはは…困りましたなぁこれは…。」

 

「なら、セイウンスカイはトレーナーのことが好きなのか?」

 

「えっ!?オグリ先輩は何を言ってるんですかねぇ…?」

 

「君の視線を見たらわかるな。」

 

「えっと?オグリ先輩?」

 

「セイウンスカイ。セイウンスカイはトレーナーをどう思ってるんだ?」

 

「そうですねぇ〜。一言で言えば…優しい人…かなってセイちゃんは思いますけどね〜?」

 

「そうか。つまり、セイウンスカイも好きなんだな?」

 

「にゃ!?なっなななななな…何を言ってるのかセイちゃんにはわかりませんねぇ〜。あはは…。」

 

「?そうか?違ったのかすまない。」

 

「あはは…先出ますね?」

 

「ん?ああ、いいのか?」

 

「セイちゃんは…暑いの苦手ですから!それじゃ!お先に♪」

 

「…?おかしな奴だ。」

 

(坂本に視点が戻る。)

「はぁ〜…出るか。」

 

俺はゆっくり温泉に浸かるがなかなか疲れが取れない。多分身体的に疲労じゃなくて精神的疲労だったようで、寝るしか方法がないと思い大浴場から出る。バスタオルで体を拭き、浴衣に着替える。脱衣所から出ると同じタイミングでセイウンスカイが女風呂から出てきた。

 

「「あっ…。」」

 

謎の沈黙が続く。その間、視線を交差させる。セイウンスカイの顔がどんどん顔が赤くなる。

 

「えっと…えっと…私!先戻りますね〜。」

 

「お…おう?」

 

セイウンスカイはすごい速さで部屋に戻って行った。俺は、休憩ルームでゆっくりと牛乳を飲んで涼んでいた。遅れてオグリも出てきた。

「やぁ、トレーナー。」

 

「ん。おかえり。」

 

「先にセイウンスカイが出たと思うんだが?」

 

「ああ。会ったな。それが?」

 

「いや、そうか。」

 

オグリは何かを察したように俺の隣に座る。そして俺の牛乳瓶を取って飲む。

 

「それ俺のだが?」

 

「トレーナーのだったか。」

 

「そうだ。まあ、それも過去だがな?」

 

「すまない。喉が乾いてしまったから飲んでしまったんだ。」

 

「うん。俺半分も飲んでなかったぞ?」

 

「そうか。しかし、私に手持ちはないぞ?」

 

「だと思い、2本目の小銭持ってきてる。」

 

「用意周到だな。トレーナー。」

 

俺はソファから立ち上がり、牛乳が売ってる自販機の前に立つ。さっきオグリに飲まれた牛乳を買う。俺は呆れながらソファに戻った。

 

「それは…さっきと同じ牛乳なのか?」

 

「ああ。牛乳飲んだら戻るから先戻っといてくれ。それと、夕食はオグリだけわんこそばだ。」

 

「わかった。楽しみにしておく。」

 

「ああ。」

 

オグリはしっぽをブンブンと振り回しながら部屋に戻っていった。俺は牛乳を一気飲みすると携帯を取りだし電話をかけた。

 

「もしもし?楽しんでますか?」

 

「楽しんでるとかじゃない。」

 

「納得納得。」

 

「違う。なぜ、同室にした?」

 

「えっと…んー…。」

 

「どうした?歯切れ悪いぞ。」

 

「秘密。」

 

「こいつ…。」

 

「まあまあ、落ち着いて。」

 

「落ち着けるのはお前だけだけだろう?」

 

「今回の件考えた本人に変わりますから…ね?坂本さん。落ち着こう。」

 

「はぁ。わかった変わってくれ。」

 

「はい。お待ちを…。」

 

今葉はそう言って、保留中にした。数分ぐらい待っていると保留音が消え、声が聞こえてきた。

 

「変わりました。グラスワンダーです。」

 

「え?グラスワンダー?」

 

「はい。私ですが?」

 

「今回考えたのは君…か?」

 

「坂本トレーナーにしっかり説明しますね?」

 

「ああ。」

 

「まずは今年の夏からセイちゃんの行方がわからなくなってまして…それをセイちゃんの前のトレーナーさんに聞いたところ…『あいつは釣りが好きだから…今は秋前だから意外と岩手方面にいるんじゃないかな?』と教えてくださったので、坂本トレーナーにお迎えを頼もうってことになりまして…すみません。オグリ先輩との旅行でしたのに…。」

 

「いや、そう言うことなら先に言って欲しかったな。」

 

「すみません。トレーナーさんが内緒にしとけってうるさくて。」

 

「今葉らしいと言えばらしいな。」

 

「そうですか?すみません。じゃあ、よろしくお願いします。」

 

「ああ。頼まれた。」

 

俺はそう言って電話を切った。同室にされた理由もわかった?ので俺は部屋に戻った。

 

「トレーナー?遅かったんじゃないか?」

 

「少し電話を…ね?」

 

「なるほど。そうか。」

 

オグリはソワソワしながら俺と会話をする。俺はオグリとセイウンスカイと一緒に宴会場に向かった。

 

「ここでわんこそばが食べれるのか?トレーナー」

 

「そうだ。なるべく食べすぎないように。」

 

「わかった。」

 

俺の言葉があんな出来事がおるなどと今は誰も思わない。

時間は流れ、夕食を食べ終わった。オグリを見ると100杯は食べているのだろう。お腹は出ていて、妊婦さんと間違われそうになる。

 

「にゃはは。オグリ先輩、それ妊婦さんみたいですね〜。トレーナーさんとの子ですな?」

 

「こら、セイウンスカイ。そんなこと言うな。」

 

「とか言って、嬉しいくせにうりうり。」

 

「うるさい。ほら、部屋戻るぞ。」

 

「はーい。」

 

俺らは部屋に戻り、オグリを布団の中に入れた。

 

「トレーナー。すまない。先に寝させてもらう。」

 

「ああ。どうぞ寝てくれ。」

 

オグリが寝るために襖を閉める。隣の部屋では俺とセイウンスカイだけだ。

 

「セイウンスカイ。」

 

「セイウンスカイって呼ぶのはやめてくださいって。」

 

「なら、どう呼べばいい?」

 

「そうですねぇ。セイちゃん?ですかね?」

 

「聞かれても困るんだが…無難にスカイでいいか?」

 

「それでいいですよ〜。」

 

「なら、質問だ。」

 

「ドンと来いです。」

 

「なぜ、音信不通になった?」

 

「トレーナーさんはいきなり本題に触りに行く人なんですね〜。探偵には向いてませんよー?」

 

「俺は探偵を目指してる訳じゃない。」

 

「そうですか。なら、説明しますよ。」

 

セイウンスカイは淡々と音信不通になった理由を答えっていった。

 

「まず、前のトレーナーさんの辞任です。私からしたら信頼してた人が急に消えるってことですから、光を失った状態で…」

 

「まあ、俺も恩師が亡くなった時もそう思ったな。」

 

「そうなんですか。お互い似た者同士ですね。」

 

「そうだな。」

 

「トレーナーさんは私を担当にしてもご迷惑じゃないですか?」

 

「少し理事長を説得するのは時間かかるが…やってみる。」

 

「そうですか。それだけ…聞けてセイちゃんの好感度爆上がり…ですよ…。」

 

「スカイ…?」

 

「あれ?さっきの言葉聞いたら泣けてきましたね。トレーナーさん女の子を泣かすのはダメなんですよ?」

 

「ぐぅの音もない…。」

 

「じゃあ…セイちゃんも寝ますね。」

 

「ああ。」

 

「おやすみなさいトレーナーさん」

 

「おやすみスカイ。」

 

セイウンスカイは襖をあけオグリの寝ている部屋に入っていった。俺はお茶をすする。外を見ると綺麗な星が輝いていた。まるでダイヤのように…。

翌朝、俺が起きると布団がモッコリしている。主に人の大きさで。

 

「誰だ?入ってるのは。」

 

返事がない。よく耳を済ませると寝息が聞こえてくる。オグリの寝息では無いのがわかる。俺は布団を取るとそこには丸くなって寝てるセイウンスカイが居た。

 

「は…い?」

 

「んー…ん?あっトレーナーさんおはようございます〜。」

 

「何してるの?」

 

「何って一眠りですよ?それ以外に何かありますか?」

 

「いや…ないが…。」

 

「なら、また起こしてくださいね〜。」

 

セイウンスカイは俺が眠ってた布団で寝始めた。俺は布団から追い出された。とりあえず、盛岡競馬場に行く用意を始めた。オグリ起きてくる気配がない。セイウンスカイはもってのほかだ。少し時間があるのでたずなさんに電話をかけた。

 

「もしもし?どうかなされましたか?坂本トレーナー」

 

「いえ、セイウンスカイの件で。」

 

「見つかりましたか!?今葉トレーナーに相談して正解でしたね。」

 

「そうですか。それで理事長に繋いで欲しいのですが…。」

 

「理事長ですか…。理事長はですね。今、パリに行くための用意をしているのですが…それでもよろしいでしょうか?」

 

「構いません。」

 

「なら少しお待ちください。」

 

たずなさんは理事長に電話を変わってくれた。

 

「変わった!私だ!」

 

「理事長。お世話になっています。」

 

「うむ!さて、言いたいことがあるのではないか?」

 

「はい。理事長。」

 

「聞かせてもらおう。」

 

「理事長。セイウンスカイの担当権を俺にくださいませんか?」

 

「なるほど…そう来たか。」

 

「返事は待ちます。」

 

「わかっているのだ。セイウンスカイの担当を立候補してくれるのはありがたい。しかし、セイウンスカイは…本人はいいと言っているのか?」

 

「はい。」

 

「なるほどな。わかった。許可する。しかし、生徒会の方にも話を通すようにだ。」

 

「わかりました…。」

 

「ではな。パリに行かなければならないんだ。」

 

「はい。お手間をお掛けしました。」

 

俺は電話を切り、ため息を吐くと「どうした?トレーナー。」と後ろから話しかけられる。俺は驚いて振り向くとオグリが立っていた。

 

「おはようトレーナー。」

「おはようオグリ。」

「どうした?どこかに電話か?」

 

「セイウンスカイの件でな。」

 

「そう言うことか。」

 

「生徒会にも話を通さないといけなくなった。はぁ…胃が痛い…。」

 

「私がついて行こう。」

 

「あー…んー。今葉について来てもらう予定だったんだが…。」

 

「なら、私も行こう。」

 

「3人で生徒会に殴り込み?」

 

「話し合いでは無いのか?」

 

「話し合いです…。」

 

オグリと話しているとセイウンスカイも起きてきた。

 

「2回目のおはようございますトレーナーさん。」

 

「お…おはようスカイ。」

 

「どうしたんですか〜?トレーナーさん顔色悪いですよ〜?」

 

「スカイの件で生徒会に話を通さないといけなくなった。」

 

「ありゃりゃ…。えっ?本当ですか?」

 

「本当です…。」

 

「大丈夫なんですか?」

 

「何とかする。」

 

「そうですか。」

 

そう言ってその件の話は終わった。2人は盛岡競馬場に行くために用意を始めた。

数十分後2人は用意ができたようで話しかけてきた。

 

「トレーナー用意ができたぞ。」

 

「トレーナーさんおまたせしましたー。」

 

「ああ。今日には帰るから荷物もってくれ。」

 

「わかった。」

 

俺らは旅館を出た。何故か料金も今葉の名前で領収書が発行されていた。どこまであいつの予想通りなのかと思うと恐ろしくなる。既にグラスワンダーと言う最強を作り出した時点で恐ろしいがもっと恐ろしくなるので俺は考えることをやめた。

旅館から盛岡競馬場はかなり遠かった。ゆっくり向かった。途中オグリがお腹すいたと言ったのでご飯屋に寄る。数十分で食べ終わり盛岡競馬場へ向かう。そして俺の財布は寒くなる。セイウンスカイはニコニコしている。数時間後盛岡競馬場に着いた。

レースは始まっており、奇跡的に次のレースがオグリとセイウンスカイが見たがっていたウマ娘が出走する。オグリとセイウンスカイはスタンドの1番前に向かう。俺も2人について行く。レースはダート。地方では普通だが中央にいる俺からしたら不思議に思ってしまう。すると本バ場入場が開始された。

 

「あの子だトレーナー。」

 

「ん?あの芦毛の子か?オグリに似ているような?」

 

「似てる場合もある。名前は『ミンナノヒーロー』だ。」

 

「主な成績は?」

 

「今2連勝中だ。ここで勝てば中央に来るかもしれない。」

 

「なるほど。」

 

オグリに説明してもらった。スタンドに居る観客はミンナノヒーローの三連勝を望んでいるようで「ミンナノヒーロー!頑張れよ!」と大声で応援する人もいる。ミンナノヒーローは片手を上げ、歓声に答えた。

 

「オグリと同じ歓声への答え方だな。」

 

「やめてくれ。恥ずかしい。」

 

「トレーナーさん。ミンナノヒーローの作戦は逃げですよ。セイちゃんが気になるのも分かります?」

 

「そうだな。逃げのセイウンスカイだからか。」

 

ファンファーレが流れ、ゲートインが始まっていった。オグリとセイウンスカイはレースを見始めた。俺も地方レースを見るのは初めてなので見ていた。

レースは始まり、ミンナノヒーローが先頭に立つ。短距離なのですごく早くスタンド前に来た。ミンナノヒーローは逃げ切り1着でゴールする。

 

「見事!三連勝を果たしたミンナノヒーローさんにインタビューしてみましょう!」

 

「ありがとう皆。私が勝ったのは皆のおかげだ。」

 

「そうですか!中央からスカウトが来た場合、行きますか?」

 

「そうだな…って…」

 

「どうされました?」

 

ミンナノヒーローは言葉を詰まらせた。ミンナノヒーローの目線の先にはオグリキャップが居たのだ。

 

「オグリ…キャップ…?」

 

「えっ?オグリキャップさんがどうしま…ええ!?」

 

「えっと…私はオグリキャップさんのファンでして…その…えっと…。」

 

「ありがとう。ヒーロー。」

 

「あっ…いえ、私にそんな言葉…」

 

「そして、おめでとう。中央に来た時、私は歓迎するぞ。そうだろう?トレーナー。」

 

「そうだな。来たら歓迎する。」

 

「ありがとうございます。一生の思い出になります。」

 

ミンナノヒーローは泣き出した。オグリキャップと会えた上に話せたのだから、ミンナノヒーローは大々的に夢を語った。

 

「私は!オグリキャップと同じ舞台に立ってオグリキャップを倒すことが夢です!」

 

「そうか。ならば、私も頑張らないといけないな。」

 

オグリはそう言って「トレーナー。トレセンに戻ろう。負けてられないからな。」俺に伝えてきた。

 

「わかった。帰ろうか。」

 

セイウンスカイも俺の方見て帰ることにした。車で盛岡駅に向かう。レンタカーを返し、新幹線で東京に戻る。

俺はオグリの思いに答えるべく、有馬記念に向けてトレーニング方法を考える。セイウンスカイは理事長や生徒会に謝るために覚悟を決め、オグリは将来自分を倒すような後輩に心を躍らせ気合いを入れた。




どもども綾凪九尾です。
遅れてしまい申し訳ありません。
投稿日に神戸で開催された「神戸ファンブックステークス」に参加してまして…いや、ストック用意しとくのが普通ですって?にゃはは…グゥの音も出ないですぅ…。
さて、話は変わりまして本日は有馬記念との事。
私はクロノジェネシス、エフフォーリア、タイトルホルダーの3連複が来ると思ってるんですよね。
クロノジェネシスさんはお疲れ様でした。
タイトルホルダーもお疲れ様でした。
次に、『輝けるダイヤ』の件です。
主人公が誰?の投票多すぎなので説明しますね。
まず、この小説「横に寄り添う青き炎」は1年後に全ストーリーが終わります。その次が「輝けるダイヤ」です。
はっきり言ったら時系列的に「青き炎」のあとの話で主人公は変わらず今葉君です。同期達も相変わらず参戦。3人目の担当が出てくるのみです。
伏線は張ってるつもりなので、頑張って行きましょう。
そして、この小説は次投稿されるのは年末年始小説です。
時系列的におかしいですが気にしないでください。クリスマス?何とかしますよ。
それでは、次は1月1日に投稿します。
読者の皆さん!今年はありがとうございました!
良いお年を!そして!来年もよろしくお願いします!
以上!綾凪九尾でした!
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