横に寄り添う青き炎   作:綾凪九尾

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前回のあらすじ!
正月?違う!岩手旅行?少し関わりある!札幌旅行?それだ!!
札幌旅行から帰ってきた今葉達はゆっくりする暇もなくパリへ。
パリは初の場所で焦る今葉。どうなってしまうのか!


パリ遠征(第12レース)

俺とグラスは理事長室に来ていた。

 

「トレーナーさん。秋川理事長…まだでしょうか。」

 

「噂だとたづなさんに荷物確認されてるだとか。」

 

「見た目によりませんね…。」

 

グラスは俺の噂話を聞き苦笑いをする。ちょっとしてから秋川理事長が「失敬ッ!」と言って理事長室に入ってきた。

たづなさんは笑顔で秋川理事長の後から理事長室に入ってきた。

 

「お疲れ様です今葉さんトレーナー。」

 

「お疲れ様ですたづなさん。」

 

「いつもの事なので慣れてますよ?」

 

「慣れていいのですか?」

 

「まあ…ずっとしてきましたか。」

 

「たづな!それ以上は!私の赤恥では無いかッ!」

 

秋川理事長はたづなさんを怒るがたづなさんは「理事長が変なもの入れなければいいのですよ?」と反論し秋川理事長は言い返さなかった。

俺らはその光景に苦笑いした。改めて秋川理事長にフランスに行くことを説明される。

 

「今葉トレーナー!今回の件だが、私の付き添いのつもりでいてくれたまえ!フランスについてあちらのトレセンの学長と挨拶したら観光なり、エルコンドルパサーに会いに行くなり好きにしたまえ!」

 

「無理難題を受けていただきありがとうございます。」

 

「いいや!これは将来の幹部になるにはいい心がけだ!」

 

「幹部ですか?」

 

「肯定ッ!今葉トレーナーには将来的には理事長になってもらいたいと思っているッ!」

 

「ええ!?そんな…無理ですよ!」

 

「否定ッ!君ならできる!」

 

「そうですか?」

 

俺らが話しているとたづなさんが腕時計を見て焦りながら秋川理事長に話しかけた。

 

「理事長!時間がやばいですよ!」

 

「そうだな!行くぞ!今葉トレーナーとグラスワンダー!」

 

「「はい!」」

 

俺らは秋川理事長が乗る黒塗りの車に乗り猛スピードで空港へ行く。

1年に2回空港に来ることがあるのかと考えつつ、空港のVIPルームに通される。

 

「少しここで待っているがいい!」

 

そうゆって秋川理事長はソファに座って書類を見始めた。俺らは初めて入ったVIPルームに萎縮していた。

 

「トレーナーさん…ここVIPですよ…。」

 

「VIPルームだな…。俺らが入っていいところじゃないよな。」

 

「そうですね…。とりあえず…お茶飲みますか?」

 

「そうだな…。」

 

グラスは近くにいた人にお茶を注文した。すぐにお茶が来て俺とグラスはお茶を飲み落ち着こうとしてた。

すると、秋川理事長が声を上げ俺らに教えてくれた。

 

「刮目せよッ!このジェット機が私の所有物だッ!」

 

秋川理事長は扇子には「自慢!」と書かれており広げている。

俺らは「おー。」と歓喜の声が出る。普通の航空会社が持ってそうな大型ジェット機だった。

 

「グラス…俺らはあれに乗るのか?」

 

「多分…そうなりますね…。」

 

「うぅ…胃がが…」

 

「大丈夫ですか?トレーナーさん。」

 

「あ…ああ、大丈夫だ。」

 

「それならばいいのですが…。」

 

俺は少し蹲りながらも秋川理事長の話を聞く。途中から何を言っているかわからなくなってきたが、とりあえず聞いておく。

そして、秋川理事長が「うむ!最後に質問はあるかッ!」と聞いてきたので「ありません」と答えておいた。秋川理事長は満足そうに荷物を持ち「行くぞ!」と言って搭乗口に向かっていった。

 

「トレーナーさん行きましょう。」

 

「そうだな。」

 

俺らも秋川理事長の後を追って搭乗口へ向かう。

そして、飛行機に乗るとすぐに滑走路まで行く。俺はその速さに驚き秋川理事長に話しかける。

 

「早くないですか!?理事長!」

 

「肯定ッ!時間に遅れぬ様に早めに飛び立つことを心掛けている!」

 

「そ…そうなんですね…。」

 

俺はまだ飛行機に慣れていないのでキョロキョロと周りを見る。グラスは落ち着いたように話しかけてくる。

 

「トレーナーさん?まだ慣れてませんか?」

 

「どうしても慣れないんだ…うーん。慣れないとなぁ…。」

 

「大丈夫ですよ〜。私がいますから♪」

 

そう言ってグラスは札幌に行った時と同じように手を繋いでくれる。俺はそれだけで少し心に余裕が出来、目を閉じる。こうすれば怖くないと思うからだ。

 

「トレーナーさん。もうすぐ飛び立ちますよ。」

 

グラスからそう言われ、力が入る。グラスは強く握られても離さず俺の顔を見てくれていた。

そして、飛行機は飛び立ちグラスが話しかけてきた。

 

「トレーナーさん。飛び立ちましたよ。」

 

「あ…ああ。飛び立ったな。」

 

「あちらに着くのは12時間後です♪」

 

「結構掛かるな。」

 

「地球の反対側に行きますからね。エルは大丈夫かなっと心配しています。」

 

「エルなら大丈夫だと思うぞ。」

 

「それもそうですね♪」

 

こんな話をして、意識を手放し12時間40分後に時間は進む。

 

「…さん。…ナ…さん。トレ…さん。トレーナーさん。」

 

「ん…んー?どうした?」

 

「おはようございます♪パリですよ。」

 

「着いたのか?」

 

「はい♪パリの空港【シャルル・ド・ゴール国際空港】ですよ。」

 

「ここがパリ…か。」

 

秋川理事長も起き、俺らは荷物を集めて飛行機から降りる。搭乗口には「welcome to Tokyo trace」と英語で書かれており、グラスが読んでくれた。

 

「トレーナーさんって英語苦手だったんですね。」

 

「ああ…。高校生の時の点数悲惨だった…。」

 

「失礼かもしれませんが…点数は…?」

 

「最低30点だ。」

 

「エルよりマシだと思いますけど…。」

 

「え?そうなの?」

 

「ええ…確か…18点とかでしたよ?」

 

「そうなのか。」

 

俺らは会話しながら秋川理事長の後を追う。秋川理事長が足を止めた先にいたのはスーツを着た男が立っていた。

 

「Il venait souvent. toutes les personnes(よく来てくれました皆さん。)」

 

俺はフランス語を勉強してなかったので意味がわからなくグラスに聞く。

 

「あれ…なんて言ってるの?」

 

「すみませんトレーナーさん。私もフランス語は…。」

 

2人で悩んでいると秋川理事長が俺らに話しかけてくれた。

 

「今葉トレーナー!今の言葉は『よく来てくれました皆さん』と言う意味だッ!」

 

「なるほど!理事長ってフランス語出来るんですか?」

 

「肯定ッ!理事長たる物!外国語を使わなくてどうするのだ。」

 

「それもそうですね。」

 

こうして秋川理事長が男の人の言葉を翻訳してくれた。

 

「Vous serez fatigué d'un long voyage. Allons à l'école(長旅でお疲れでしょう。学園へ行きましょう。)」

 

「Oui(うむ)」

 

秋川理事長が振り向いて簡単に翻訳して、歩いていった。俺らはその理事長の後について行った。

黒い外国車に乗り、パリのトレセンへ向かう。数分後、パリの街並みに合うように建てられたトレセン校門が見えてきた。校門の門に【Centre de Formation de Paris】と書かれており、ゴージャスを感じる。

 

「Président Akikawa, qu'en est-il des personnes derrière vous et votre fille de cheval ?(秋川理事長、後ろの人とウマ娘は?)」

 

「Imaha Trainer et Grass Wonder(今葉トレーナーとグラスワンダーだ。)」

 

「Donc c'est tout. Je vous remercie(なるほど。よろしくお願いします。)」

 

俺は急に話しかけられて、オドオドする。俺はどうにか考えてもどうすることも出来ず、男の人も心配そうにこっちを見る。俺が口を開こうとした時。

 

「Thank you. But my trainer doesn't understand French.(よろしくお願いします。しかし、私のトレーナーはフランス語は分からないんです。)」

 

とグラスが英語で答えてくれた。男の人は驚いた顔をして「Sorry」と謝って来た。俺は「please do not worry(気にしないでください。)」とたどたどしい英語で返す。グラスもクスクス笑って安堵していた。理事長はこちらに親指を上げてokとしてくれていた。

 

「Je suis en retard. Jacques, Président du Centre de Formation de Paris(遅れました。パリトレーニングセンターの理事長のジャックです。)」

 

「Je suis Yayoi Akikawa, directrice de la Japan Uma Musume Training Center Academy(私は東京トレーニングセンター学園理事長の秋川やよいだ)」

 

2人が自己紹介している間に、車は校舎前に着き俺らは車からすぐに出て秋川理事長の荷物を持とうとすると「今葉トレーナー。観光に行ってくるのでは無いのか?あっ、少し待て。」と秋川理事長がパリの理事長と話し出した。

 

「Où est El Condor Pasa, un élève de notre école ?(当学園の生徒エルコンドルパサーはどこに?)」

 

「Euh...Je pense que je m'entraîne à Turf à cette époque.(えっと、確か今頃ターフでトレーニング中だと思う。)」

 

「merci(ありがとう)」

 

秋川理事長がこっちに戻ってきてエルコンドルパサーの居場所を教えてくれた。ついでにパリトレセンの地図も渡してくれた。

 

「エルコンドルパサーに会いたければここに行くと会えるぞ。」

 

「理事長?いつもの口調は?」

 

「えっ…うむ!心配させたようだなッ!心配無用ッ!」

 

「それなら良かったです。」

 

秋川理事長はそう言ってパリトレセンの中に入っていった。俺らは秋川理事長に教えてもらったタープに来てみると「デェェス!」と聞こえてきた。

 

「さっきの声は…エルですよね?」

 

「そうだな。今のはエルの声だな。」

 

グラスがそう言って走り出した。俺は小走りで追いかける。グラスが俺の事を待って居たので急いで合流すると「おい、今葉。」と話しかけられた。俺が振り返るとそこには岡本先輩が立っていた。

 

「あっ、岡本先輩。お疲れ様です。」

 

「ああ、あれか?グラスワンダーがエルに会いたがっていたって聞いたがそれか?」

 

「まあ…そうですね。」

 

「相変わらず嫁には弱いな今葉は!」

 

「ぐぅの音も出ません…。」

 

「まあいい!せっかく来たんだ!エルに会わせてやるよ。」

 

「ありがとうございます。」

 

岡本先輩がそう言って「着いてこい。」と言って歩いていった。俺らはついて行くとエルコンドルパサーが準備運動していた。

 

「おい!エル!お前に客だぞ!」

 

「ケ?私に?」

 

エルコンドルパサーは岡本先輩の声でこっちに向き、グラスを視線に入れる。そしてエルコンドルパサーは走ってこっちに来た。

 

「グラスゥ!久しぶりデェース!」

 

「久しぶりエル、こっちの方々に迷惑かけてませんか?」

 

「かけてるわけないデェース!」

 

「それならいいのだけど。」

 

グラスとエルコンドルパサーが話している間、俺らトレーナーは和食とフランス料理の話をする。

 

「凱旋門賞が終われば日本に帰るが…意外とフランス料理って美味いんだよ」

 

「そうなんですか?和食の方が美味しいと思いますけど…?」

 

「いやいや、ここの料理も絶品だぞ?」

 

「そうなんですか?」

 

「ああ、食べたらわかるぞ。」

 

フランス料理を食べたくなったが、グラスがエルコンドルパサーと話し込んでいるので俺はパリのトレセンのターフを確認する。トレセンとはまた違うターフで「(始めて来た子なら走りにくいだろう。)」と調べ、グラスのフランス遠征はやめておこうと考えた。

 

「トレーナーさん?難しい顔してどうしたんですか?」

 

「いや?何も無いぞ。」

 

「いえ、何か考えてましたね。私には分かりますよ?」

 

「えっと…ね?」

 

「ちゃんと私の顔見て言えますか?」

 

グラスは笑顔で俺に圧力をかけてくる。エルコンドルパサーと岡本先輩はその光景を見て「今葉は将来尻に敷かれるタイプだな。」としみじみ声に出していた。

 

「言えます…。もし、グラスがフランス遠征する場合…このターフはキツイかなって…思いまして…。」

 

「なるほど。私はもう走らないと言いましたよね?」

 

「いや、でもね?走ってもらわないと…。」

 

「なにか急を要するのなら走りますが…今はもう走りませんよ?」

 

「そこをなんとか〜!」

 

「そうですね〜。将来的にまたフランスに行きそうですけどね。」

 

「それは予想か?」

 

「そうですね。最強の勘ですかね。」

 

「最強の勘ってなんだ…?」

 

「勘は勘ですよ。」

 

「勘ってそんな都合のいいものだっけ?」

 

俺は少し悩むが考えるだけ無駄な気がしてきたから考えるのをやめた。そして、グラスは俺の手を繋いでパリ市街へ向かった。

 

「トレーナーさん、あれエッフェル塔ですよ。」

 

「テレビで見たあれだな。東京タワーみたいに見えるな。」

 

「ですね〜。」

 

「あれ?あそこにあるのって…松風じゃない?」

 

「本当ですね〜。何してるんでしょう?」

 

「近づいてみようか。」

 

俺らはエッフェル塔に近づいてみると日本語で書かれた看板に目がいく。看板には「ギネス!フランスパンでエッフェル塔を超え!」と書かれてあった。俺らはどうゆうことか少し考えて分からないので挑戦していることを見に行くとそこには松風とゴルシがフランスパンを立てていた。

 

「何してるんだ…こいつら…。」

 

「分かりません…。」

 

「これはアホだな…」

 

「どうすればいいんでしょうね」

 

「知らないフリしてあっちに行こうか。」

 

「ですね…。」

 

俺らはエッフェル塔から離れていった。

俺らは観光をするためにどこか行きたい所をグラスに聞く。

 

「グラスどこ行きたい?」

 

「トレーナーさん忘れたんですか?」

 

「あー…そういえば行きたいところ言ってたな。」

 

「はい♪【チュイルリー庭園】です♪」

 

「なら、今から向かうか。」

 

「その前に凱旋門見に行きません?」

 

「そうだな。行ってみようか。」

 

俺らは凱旋門へ向かった。凱旋門前で2人で写真を撮り、凱旋門の上に登る。

 

「高いですね〜。」

 

「パリの街並みが一望できるな」

 

「そうですね〜♪トレーナーさん綺麗ですね。歴史を感じます。」

 

俺らは凱旋門の上でも写真を撮る。2人で顔を合わせて笑い合う。

 

「やぁやぁ、フランスでもイチャイチャかな?今葉くーん?」

 

嫌な奴に絡まれてしまった。俺はゆっくり振り返る。そこには、3人の男の人を連れ凱旋門に来ていたバカ(松風)だった。

 

「フランスまで来て会いたくなかったけどな?」

 

「君を追いかけてるために来たってわけじゃないぞ?私の元会社がね、ほらあそこにトラックあるでしょ?」

 

松風に言われるがまま下を向く。そこにはトラックがあるのだがトラックの荷台に「ホワイトドックの扶桑便」と書かれていた。

 

「あれが前に私たちの荷物を持って行ってくれた会社。最近フランスにも上陸してね。その調査も兼ねてきて見たのさ。もちろん!あの理事長には許可もらってるから安心してくれ。」

 

「あなたっていつもそうですよね!自由気ままで!ライスのことどう思ってるんですか!」

 

「抱かせろパロやめたまえよ?もうそれ古いって言われただろう?」

 

「俺は言われてないからな。」

 

「今葉が私に言い返してきた…?明日は槍が降るだろうね。」

 

「なんだとゴラ?」

 

「まあ、ここらでさいなら。」

 

「待て。一つ話聞かせろ。」

 

「いいとも。何かな?」

 

「フランスパンどうなった?」

 

「お目が高い。いいだろう!聞かせてあげるよ。」

 

「結果は…?」

 

「それはもちろん…ククク。」

 

「どうなんだよ!」

「強風が来て失敗に終わったよ。いやぁ、もうちょっとフランスパンに重みがあれば良かったんだけどね?あれは惜しかったよ。」

 

「そうなのか。」

 

「んじゃ聞きたいことは聞いたようだし私はこの3人の師匠とお食事行ってくるから。理事長に会ったらよろしく頼むぞ。」

 

「お前のお願いは受理されません。」

 

松風は去っていき、グラスは空気になっていた。俺はそれに気づき話しかけた。

 

「すまんなグラス。」

 

「いえ、相変わらず…気ままな方ですね。」

 

「そうだな。」

 

俺らは凱旋門から降り、チュイルリー庭園を向かった。チュイルリー庭園は静かで噴水の音だけしか聞こえず、至って平和の庭園だった。

 

「トレーナーさん綺麗ですね〜♪」

 

「綺麗だな。あれは…?」

 

「【ルーブル美術館】ですよ。モナ・リザなどがあると言われる。」

 

「あれが有名な…か。」

 

「ええ。フランスの建物って歴史を感じますね。日本とはまた違う…と言いますか。」

 

「確かにな。確か凱旋門から放射線状に広がるのってナポレオン時代のやつだよな?」

 

「観光サイトにはそう書いてましたね〜。日本の歴史は得意なのですが…外国は少し苦手でして…。」

 

「そうか?なんでも出来ると思ったが…?」

 

「私にも得意不得意あるんですよ?」

 

「そうなのか?」

 

俺らは庭園でゆっくりしていると電話が掛かってきた。

 

「トレーナーさん携帯鳴ってますよ?」

 

「んー?あー坂本からだ。」

 

俺は電話を取り出し、坂本からの電話に出た。

 

「もしもし?楽しんでます?」

 

「楽しんでるとかじゃない。」

 

「納得納得。」

 

「違う。なぜ、同室にした?」

 

「えっと…んー。」

 

「なんだ?歯切れが悪いぞ?」

 

「秘密。」

 

「こいつ…」

 

「まあまあ、落ち着いて。」

 

「落ち着けるのはお前だけだろう?」

 

「今回の件を考えた本人に変わりますから…ね?坂本さん落ち着こう。」

 

「わかった変わってくれ。」

 

「はい。お待ちを…」

 

俺は保留音を流し、グラスに簡単に説明した。

 

「グラス、今坂本が今回の件で文句があるらしい。何とかしてくれないか?」

 

「そうですね〜。それなら…はい♪トレーナーさんのお願いですから私も一肌脱いでみせます♪」

 

そう言ってグラスは俺の携帯を持って電話に変わってくれた。

 

「はい。変わりましたグラスワンダーです。」

 

「え?グラスワンダー?」

 

「はい?私ですが?」

 

「今回考えたの…君か?」

 

「坂本トレーナーにしっかり説明しますね?」

 

「ああ。」

 

「まずは今年の夏からセイちゃんの行方がわからなくなってまして…それをセイちゃんの前のトレーナーさんに聞いたところ…『あいつは釣りが好きだから…今は秋前だから意外と岩手方面にいるんじゃないかな?』と教えてくださったので、坂本トレーナーにお迎えを頼もうってことになりまして…すみません。オグリ先輩との旅行でしたのに…。」

 

「いや、そう言うことなら先に言って欲しかったな。」

 

「すみません。トレーナーさんが内緒にしとけってうるさくて。」

 

「今葉らしいと言えばらしいな。」

 

「そうですか?すみません。じゃあ、よろしくお願いします。」

 

「ああ。頼まれた。」

 

グラスは坂本を説得し、電話を切った。そして、俺に携帯を渡す。

 

「すまないグラス。」

 

「いえいえ、私はトレーナーさんと一心同体から。」

 

「そう言って貰えると嬉しいよ。」

 

「そろそろ、理事長の所を戻りませんか?」

 

「そうだな。」

 

俺らはチュイルリー庭園からパリトレセンまでバスに乗って戻る。グラスの英語力で何とか帰ってこれた。

 

「ありがとうグラス。色々助かったよ。」

 

「いえいえ〜♪トレーナーさんの力になれて私は嬉しいです♪」

 

「相変わらず可愛いヤツめ。」

 

「トレーナーさん…ここトレセン内ですよ…?」

 

「それがなんだ。」

 

「いえ…別に意味はないんですけど…。」

 

こう話していると理事長が出てきた。

 

「衝撃ッ!?私のことを待っていたのかッ!?」

 

「そうですよ?俺らは付き添い人ですから。」

 

「否定ッ!!自由にしていいと言ったはずだ!」

 

「ホテルの場所聞いてないです…。」

 

「え?」

 

「ホテルの場所聞いてないです…。」

 

「謝罪ッ!ホテルの場所は…。」

 

秋川理事長からホテルの場所を聞き出し、3人でホテルに向かった。

 

「理事長。どんな話してたんですか?」

 

「うむ。ある生徒を留学させたいとの事だ。」

 

「その子は?」

 

「この書類を読んでみればわかるぞ。」

 

「えっと…エイシンフラッシュ?」

 

「肯定ッ!ドイツ出身のウマ娘らしく今日本語を勉強中らしい。」

 

「なるほど…いつ日本に留学に来るのですか?」

 

「未定ッ!だいたい2年〜3年後となっているんだが…。本人次第とところだろう。」

 

「そうですか。ところで一つ質問いいですか?」

 

「うむ。いいぞ!」

 

「どうして、グラスと同室でベットがダブルなんですか?」

 

「疑問ッ!逆にどうして同室だと悪いことがあるのか?」

 

「えっと…それは…。」

 

「許嫁同士に同じ部屋はおかしくないのではないか?」

 

「ぐぬぬ…」

 

「つまり、おかしいことは無いってことだ。」

 

そう言って理事長はホテルの一室に入っていった。俺らも部屋に入る。まさか理事長からのお墨付きで同じ部屋同じベットにされるとは予想もしてなかった。俺らは無言のまま数分間居た。

 

「……。」

 

「……。」

 

顔を合わせずらい。どうしても話す話題が見つからない。とりあえず、フランス語は分からないがテレビを付けてみる。テレビを付けた時にCMが流れていた。俺はそれを見ているとグラスも見始めた。

 

「トレーナーさん。これ…凱旋門賞ですね。」

 

「ああ。エルが走るレースだな。明日…か。」

 

「明日見に行きませんか?」

 

「そうだな。理事長にお願いしてみようか?」

 

「出来ますか?」

 

携帯を取り出し秋川理事長に電話を掛けようとした時に秋川理事長がドアを開けてきた。

 

「許可ッ!明日凱旋門賞を見てくるといい!」

 

「理事長!?えっと…ありがとうございます。」

 

秋川理事長は凱旋門賞を見に行く許可をくれてドアを閉めていった。俺らはその秋川理事長を見て顔を合わせて苦笑いをする。先程の黙っていた空気が馬鹿らしくなり、話し出す。

 

「グラス、綺麗だな。」

 

「そうですね。フランスの夜景ですから、いい思い出ですね〜。」

 

「これはいい思い出になるぞ。写真撮るか?」

 

「そうですね〜♪ツーショットにしませんか?」

 

「ツーショット!?えっと…グラスのお願いなら聞くぞ。」

 

「ありがとうございますトレーナーさん♪」

 

「どんな感じに撮るんだ?」

 

「それはですね〜。携帯をここにおいて…。」

 

グラスは机に携帯を立てかけて、シャッターのタイマーをセッティングして横に戻ってきた。

 

「じゃあ、時間もないですからいきますよ?」

 

グラスはそう言って俺に抱きつきピースをする。俺は驚いた時にシャッターが押された。グラスは携帯を取りに行き、写真を見る。

 

「トレーナーさん驚いた顔で写ってますね〜。これは流石に頂けませんよ?」

 

「じゃあもう1回か?」

 

「もう1回とも言わず、何回でも撮りませんか?」

 

グラスは今日すごく押しが強い。いつもより、わがままだった。グラスが気に入る写真が撮れるまで永遠と写真を撮られた。

翌日、朝起きるとグラスの顔が横にある。俺はすぐに起き上がり状況を察する。

 

「(ああ、ここパリか…。)」

 

いつも急に部屋に泊まられることが多すぎて一瞬、また侵入されたと思ったがここはパリだったことを思い出す。そして、時刻を見る。朝の9:00でグラスを起こす。

 

「んー…?」

 

「おはようグラス。」

 

「勝馬さんがいますね。夢ですか?」

 

「朝からトレーナーの名前呼び捨てか?」

 

「んー…えっと?」

 

グラスは目を擦る。服装は何故か彼シャツなのはあえて突っ込まないでおこう。昨日先に寝てしまったからわからないからだ。

グラスは目を擦りながら俺と目が合う。そして「え?」って顔してから自分の服装を見て赤面し布団を被った。

 

「お…おはようございます…トレーナーさん。/////」

 

「おはようグラス。よく寝れたか?」

 

「…はい。快眠でした。」

 

「そっか。じゃあ、これ服な。洗面所で顔洗ってくるからその間に着替えといて。」

 

「わかりました…。」

 

グラスは小さい声で返事をする。俺はそれを聞いたあと洗面所に入り歯を磨く。しっかり入念に。歯が磨き終わり洗面所に出るとグラスは着替えてパリの景色を見ていた。

 

「あっ、トレーナーさん。」

 

「どうした?」

 

「凱旋門から見たパリも綺麗でしたけど…ここから見るパリも綺麗ですね。」

 

「そうだな。でも、グラスの方が綺麗だぞ。」

 

「トレーナーさん。反則ですよ…////」

 

グラスはカーテンを持って顔を隠した。俺はベットに座り、グラスが落ち着くのを待った。数分してグラスが洗面所に歯を磨きに行ったので俺は荷物を集め出す。グラスが着ていたであろう俺のワイシャツを畳み、キャリーケースに入れ荷物の確認をした。グラスはまだ洗面所から出てこず、俺はフランス語のテレビを見る。

 

「フランス語わからない…。でも、また来るかもしれないから勉強はしとかないといけないよなぁ。」

 

俺は独り言で呟いているとグラスが洗面所から出てきた。俺は「遅かったな。」と言おうとしてグラスを見るとグラスが薄紅の口紅をし、少しソワソワしながら出てきた。

 

「グラス…お前…口紅してるのか?」

 

「やっぱりダメ…ですか?」

 

「いや、そう言う意味じゃないんだ。その…なんて言うか…あれだな。」

 

「なんですか?はっきり言ってください。」

 

「似合う…。」

 

俺はそっぽ向いて呟く。グラスはその呟きが聞こえたらしく、俺とは逆方向を向いて「ありがとうございます。」と呟く。そしてまた話さない時間が始まってしまったが数分してから秋川理事長が入ってきた。

 

「おはようッ!今日は凱旋門賞ゆえ!楽しむようにッ!」

 

秋川理事長は元気よくそう言うが俺らの状態を見て状況を察した。

 

「ふむふむ。いちゃらぶ?なるものをしていたのだな!」

 

「理事長〜…。」

 

こうして、秋川理事長に連れられて朝食をホテル外で食べに行く。秋川理事長が事前に決めておいた所に向かう。俺らは少し話しかけにくい空気を流してしまい秋川理事長はこっちを振り向かなかったが、仲を取り持とうとしてくれた。

 

「今葉トレーナー!昨日、坂本トレーナーから電話があった!」

 

「え?あいつからですか?」

 

「うむ!セイウンスカイが見つかったこととセイウンスカイのトレーナーになりたいと私に伝えてきた。私はもちろん!成績を残している君たち同期組には3人目の担当を付けようと思っている!」

 

「グラスにハヤヒデと忙しいですよ?」

 

「そこで坂本トレーナーに『生徒会』を説得するように言ったのだ!」

 

「理事長!それはいくらなんでも無茶です!」

 

「そうです!考え直してください理事長!」

 

「何か勘違いしているな。私はいつ、1人でも言った?」

 

秋川理事長の声のトーンが変わる。いつもは高い元気のいい声だが、今の声は理事長としての秋川やよいとなっていた。

 

「トレーナー不在のウマ娘。突然の休学。それで罰されないのもおかしな話かもしれない。だが、私は罰することをしたくないのが考えだ。だからこそ、君たちの力を借りたい。」

 

秋川理事長はそう言うといつもの声のトーンに戻して、朝食の場所に着いた。

 

「ここは…パン屋ですか?」

 

「肯定ッ!フランスといえばパンでは無いか?」

 

「いえば…そうですね。」

 

このパン屋で各々好きなパンを選び、パリトレセンに向かうまでの車の中で食す。

パリトレセンでは、パリトレセンの理事長を乗せパリロンシャン競馬場に向かう。時間はまだ早いが先に向かうことになった。パリロンシャン競馬場では人がごった返しになっており、テレビのインタビューを受けてる人などが居た。今回エルコンドルパサーが2回目の参加とことでたくさんの日本人も来ていた。俺らは裏口から競馬場の中に入り、VIPルームに通された。そこは競馬場を一望でき、スクリーンがよく見えた。そこには一つ椅子が置かれており、誰かが座っていた。

 

「理事長…誰か座ってますよね?」

 

「うむ。あれが今回の凱旋門賞に参加するウマ娘。前の凱旋門賞でエルコンドルパサーを2着に押え、ジャパンカップでスペシャルウィークに惜しくも負けてしまった欧州最強のウマ娘『ブロワイエ』だ。」

 

「この貫禄…凄すぎますね…。」

 

「グラス…これが世界だ。」

 

「私はスペちゃんを倒しました。ブロワイエさんを倒したスペちゃんを倒した私が最強ってことになりませんか?」

 

「んー…その考え方は…んー。」

 

「それならなると思うよ。日本最強のグラスワンダーくん」

 

ブロワイエが急に話に入ってきた。俺らは少し驚いた。日本語で話しかけれているかもっと驚く。

 

「君も走ってみたかったよ。」

 

ブロワイエは立ち上がりこっちを向く。そして、グラスに近づく。

 

「日本最強で負け無しの不死鳥と走ってみたかったが…」

 

「すみません。あいにく、私はもう走らないと決めたので。」

「それは残念だよ。ああ、あの子も強い。私が気を抜けば負けてしまうだろう。だけど、私は手を抜かないからね。」

 

「エルはもう二度とあなたには負けません。」

 

「ふっ。では楽しみにしておこうかな。」

 

ブロワイエは座っていた椅子に座り直し、俺らは隣の部屋に通された。

 

「あーーーー…。」

 

「グラス?」

 

「大口…叩いてしまいました…。」

 

「大丈夫だ。エルならやってくれるから。」

 

「でも…もし負けた場合…。」

 

「親友を信じなくてどうする。」

 

「それもそうですね。」

 

俺らはレース開始時刻までゆっくりしていた。

時間は流れ、レース時刻になった。バ場では本バ場入場が始まり、エルコンドルパサーが俺らに手を振ってくれた。ブロワイエも入場し、エルコンドルパサーと握手を交わした。各ウマ娘がゲートに入っていく。エルコンドルパサーも覚悟を決めたような顔で入っていく。ブロワイエは少し笑いながら入り、ゲートイン完了した。

レースは始まり、ブロワイエとエルコンドルパサーは列の後方の始まりだった。凱旋門賞は日本のレースの周回ではなく、直線からのカーブで直線と珍しいレースとなっている。最終コーナーカーブの時エルコンドルパサーが一気に勝負を仕掛けた。ブロワイエも同じタイミングで勝負を仕掛け、先頭はエルコンドルパサーとブロワイエの一騎討ちとなっていた。そしてゴール板の前を通過したのはエルコンドルパサーだった。

日本初の凱旋門賞優勝ウマ娘の誕生だった。スタンドは歓喜に溢れ、エルコンドルパサーは泣き顔を見せる。グラスは走って下に行く。俺もグラスについて行く。

グラスがエルコンドルパサーに話しかける。

 

 

「エル。ついに夢が叶いましたね。」

 

「グラスありがとう。私の夢を見に来てくれて。」

 

エルコンドルパサーはいつもの元気な声ではなく、大人しい声だった。

 

「グラスのトレーナーさんもエルの夢見てくれましたか?」

 

「ああ、しっかり見たぞ。岡本先輩今頃泣いてるだろ。」

 

「そうですね。」

 

エルコンドルパサーはそう言ってブロワイエの方に歩いていった。

何かを話しているようだが、歓声で聞こえなかった。俺らは元の部屋に戻ると秋川理事長が「歓喜」と書かれた扇子を広げていた。こうして、パリの地で日本のウマ娘の伝説が作られ、後世に伝えられていくことになった。

秋川理事長と俺らは【シャルル・ド・ゴール国際空港】でパリトレーニングセンターの理事長『ジャック』さんと別れ、日本へ帰路に着く。あの感動的なレースを見せられたのならば、次のハヤヒデのレースである『菊花賞』を勝たなければならないと心に決めた。

 

「トレーナーさん。」

 

「どうした?」

 

「この写真どうですか?」

 

「すごくいいと思うよ。」

 

俺らのツーショットの写真を見せてくるグラスは少し子供のように笑った。




はい。2日ぶりですね。綾凪九尾です。
今回はパリ編とさせて頂きました。札幌行ってパリに行くって控えめに言って弾丸ですね。私でもさすがに引きますよこれ。さて、今回のお話は…『トレーナー人気アンケート』ですね。
まあ見てわかる通り、今回の話は『今葉、坂本、松風』しか出てません。中山居るんですけど、中山の話は今はありませんのでご理解を。
しかし、次々の天皇賞・秋で出す予定です。天皇賞・秋の情報は控えさせてもらいますね。
とりあえず、トレーナーの人気アンケートをやりたいんですよ。期間は…そうですね〜。2月22日としましょう。私が小説投稿初めて1年になる日です。その日に締切にさせていただきます。
では、次に今回の小説について。
大変でした。フランス語…パリ近郊の観光地。本当に大変でした。
いつもならホテル名も書くのですが…今回、観光地を調べすぎて時間が無くなったのでなしにさせて頂きました。すみません。
ブロワイエに勝ったエルコンドルパサー。話的にはそうした方がいいと思い勝ちました。
史実ではまだ勝てていない『凱旋門賞』。あの日本最強だった『ディープインパクト』でさえ、2着だったのです。
欧州恐るべし…。今年はどの子が凱旋門賞に行くのか楽しみですね!え?気が早い?まだ7ヶ月ぐらいある?ははは…お恥ずかしい…。
あっ、もしかしたら今回恋愛系多めかもしれません。
理由としては、私のリア友が「恋愛小説の書き方を教えてくれ。」と言ってきたので少し意識して恋愛系多めにしてみました。
それと!「トレーナーさん…/////」の「/////」使っても問題ないですよね?調べるとあんまり使うべきじゃないって書いてあるんですけど…表現するには使うべきかな…?と考えてるんですけど…大丈夫ですよね?大丈夫だと思って次から入れてみますね。
さて、長くなってしまいました。申し訳ありません。
あっUA10000ありがとうございます。艦これ…は20000超えているので抜くために頑張ってるんですが…なかなか…。
これからも地道に頑張っていきますので応援お願いします。
それでは。
凪の中に言葉の綾あり綾凪九尾でした。
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