「はぁぁぁぁぁ!」
「こんな夜にも練習とは精が出るなハヤヒデ。」
俺は書類整理を終わり、外を見るとハヤヒデが走っていたから様子を見に来た。どうやら1人で走っているようだ。俺はトレセン校舎からコースに出る。
「ん?ああ、トレーナーくんか。」
「オーバーワークになってないか?」
ハヤヒデはベンチにメモを取りに行き確認にする。
「ふむ…少しオーバーワークだな。」
「それで怪我したら天皇賞・春出れないからな。」
「ふふ。私がそんなヘマをするわけないだろう?」
「そうやって慢心してると慢心王さん来るよ。」
「慢心王?誰だ?」
「あー…こっちの話だ。」
俺の『慢心王』については置いておいて、ハヤヒデのメモを覗く。どうやら、スタミナを中心的に向上させていくようだ。俺はハヤヒデのトレーニング方法に口を出そうとしたが、最近はハヤヒデに任せているので何も言わなかった。それで勝てると『勝利の探求者』が予想しているのなら、それでいいと思ったからだ。
「そろそろ寮の門限だぞ〜。ほら、帰った帰った。」
「待ってくれトレーナーくん!もう一周だけ走らせてくれ!」
「ダメでーす。寮に帰りなさーい。トレーナーさん怒っちゃうぞ〜?」
「ぐっ…なら、こちらも奥の手を出そう。」
「ほう?」
ハヤヒデはまたベンチへ行き携帯を取ってくる。そして、携帯をいじりこっちに携帯を見せてきた。
「トレーナーくん。ワンダーくんの秘蔵写真だ。全て君に渡す。これでどうかな?」
「…いや、その写真どうした。」
「ふっ、私にも色々あるんだよ。トレーナー君。」
「そっか。仕方ない。」
「認めてくれるのだな!」
ハヤヒデは目をきらきらさせて俺の事を見るが俺の答えはもう決まっていた。
「帰れ。」
「君には人の心ってものは無いのかい?」
「失礼だぞ。」
トレーナーとして、教師として、ここは心を鬼にしなければならなかった。もちろん、グラスの秘蔵写真は欲しい。しかしだ、グラスの写真ぐらいグラスにお願いすれば手に入るんだよ!灯台もと暗しだな!ハヤヒデ!
「そんなこと思っていたんだな。トレーナー君。」
「あれ?声に出てた?」
「灯台もと暗し…だと?」
ハヤヒデは下を見ながら、俺に近づいてくる。170cm越えのハヤヒデを前にすると俺の身長(165cm)が小さく見えてしまう。俺はデカいハヤヒデにビビる。
「あっちょっと待ってください。ハヤヒデさん話し合いましょ?」
「誰が頭デカいだ!」
「誰も言ってないです!つーか!帰れ!」
「君がそう言うのなら、仕方ないか。」
ハヤヒデはベンチにあるタオルを持って寮の方へ歩いていった。
「しっかり休むんだぞハヤヒデ。」
「それは君にも言えるだろう?おやすみトレーナーくん」
「おやすみハヤヒデ。」
芝のコースで1人になった俺は特にやることも無いから、トレセン校舎に戻る。しかし、俺の後ろにすごい違和感がある。ハヤヒデが戻ってからだ。振り返っても誰もいない。一体誰が居るんだ?
「トレーナーさん。もう…振り返ってはいけません。」
「どうゆう事だ?」
どこからか聞いたことのある声が聞こえた。俺は振り返ろうとするが「ダメ。」と声が聞こえて、首が前を向いて動かない。
「すみません…。お友達に今葉トレーナーさんの顔を掴んで貰ってるんです。あの…大丈夫ですか?」
「だいひょうぶにみえましゅ?」
俺は顔の掴まれているようで、ちゃんと喋れない。どうやら、カフェが助けてくれた?ようだった。
「ちょっと力強いみたいですね。あっもう離して大丈夫です。」
カフェがそう言うと、掴まれてた感覚が無くなった。俺は疑問になったことを聞いた。
「振り返ったらダメってどうゆう事だったんだ?カフェ。」
「そのままの意味ですよ。あのまま振り返って居たら…今葉トレーナーさん、あの子たちに連れて行かれてましたから。」
「あの子たち…?」
俺は振り返ってカフェが指を指している所を見る。なんか、黒いモヤが居るのがわかる。
「あの子たち…最近この辺に来たみたいで…。後でお友達に教育してもらいますから…。」
「すまないな。助かった。」
「いえ…夜には多くなるので気をつけてください。それでは。」
「ああ。また近くにいたら助けてくれ。」
「もちろんです。」
カフェも寮の方に歩いていき闇に消えていく。俺はトレセン校舎へ歩いていく。校舎に入ったと思ったら、また違和感がする。しかし、この違和感の正体は俺は知っている。
「はーい。不審者松風さん。出てきてくださーい。」
俺はどこからか出した懐中電灯で後ろを照らす。すると、壁の中から松風が出てきた。
「あれ?バレた?」
「しれっと壁の中から出てこないでもらいます?」
「いやぁ、今日のタキオンの薬の副作用が『物を通り抜けられる』って感じでね。今日1日、仕事も何も出来ないんだ。これは困ったね。」
「いや…待て!今日の書類は!」
「出来るわけないだろ?この状況だよ?」
「ここにコパ特製札があるんだ。」
「待って。それだけはやめよう?」
「お前…ほぼ悪霊みたいなもんだもんな?」
俺はコパが作った札を松風に近づける。すると、白い光に包まれ出した。
「ああ…これが極楽浄土…暖かそう。じゃないよ!」
「なんだ、成仏しないのか。」
「君は私のことをなんだと思ってるんだい!」
「変態年中発情発光通り抜け野郎。」
「あれ?なんか増えてないか?」
「いつも通りだな。」
「そうかい。じゃあ、私はこれからどんなものも通り抜けられるか試してくるから。」
松風は手を振りながら壁に向かって歩いていく。しかし、松風は壁とキスをする。
「わぁ…壁に発情したんかよ…。」
「違う違う!待って?どうして?」
どうやら、コパの札で副作用が消えたようで松風は物の通り抜けが出来なくなったみたいだ。
「いやいや、風水にそんな効果あったらタキオンがもう研究してるから。」
「謎だな。」
「まあ…私とコパの相性が悪いのもあるのかもしれないね。」
「ははは。松風吹き飛ばし事件。」
俺は大阪杯前の事件を思い出して笑う。松風は呆れ顔で「本当に大変だったんだから。」と言う。どこまで飛ばされたか聞いてみると。
「あ、あれ?フランスまで飛んでいってたね。」
あれ?こいつ、飛ばされた速度マッハ超えてるくね?
「おやおや、今葉くぅーん。その計算だけは早いんだね。」
「人の心を簡単に見抜くのやめて貰えません?」
「人の心を読んで何が悪い?」
どこかのロボットアニメの艦長のポーズで言われても…。そのポーズ通じる人居るんかな…。
「松風の名前で何が悪い!私は松風だよ!」
急に殴ってくる松風。だから某ロボットアニメの真似はやめろって。
「君はここで言わなくちゃ!『ぶったね!』って!」
「いや、なんで…。」
「ほらほら!」
松風の押しに負けて「ぶったね!」と言うとまた殴られた。
「ちょ待てや。」
「違う違う!次は『2度もぶった!親父にもぶたれたことないのに!』って言うんだ!」
マジでそのネタ何年前かわかってます?松風さん。
「ニドモブッタ!オヤジニモブタレタコトナイノニ!」
「すごい棒読み。」
「だって…何年前よ…。」
「あのロボットアニメでしょ?始まりが…えっと…。」
俺らが頭を悩ましていると、廊下の奥から声が聞こえた。
「1979年だ。」
松風は「ああ!1979年だから…それで今が2022年だから…?」と独り言を言う。俺は廊下の奥を懐中電灯で照らすとそこには中山が立っていた。
「中山!よくそんなこと知ってたな。」
「ふっ。ロボットアニメは男のロマンさ。」
「うわぁ…ジジイクセェ。」
「いや、ロボットアニメは永遠の男のロマンだからな?お前みたいなやつが異端児なんだよ。」
「いや…うん。それは認めざるを得ない。」
「ええ!?」
松風は急に叫ぶ。俺らはビック!として松風を見ると松風はアワアワした感じで話し出した。
「…あのロボットアニメ…43年前だって…。」
「じゃあ結構人気が続いてるんですなぁ。」
「どうして落ち着いて居られるんだい!」
松風は声を荒らげて言う。特に興味が無いからなんだけど…そのまま言うと文句言われるからあえて濁す言葉を言おうとすると中山が叫んだ。
「43年前ぇぇぇぇ!?ざけんな!数年前だろ!」
「お前何歳だよ。」
俺は無意識にツッコミを入れてしまった。今2022年だぞ。某ロボットアニメは1979年って言ってんだろ。
「でも、最近新しいの始まったよな?」
「ああ!水星の魔女だっけか!あれは私楽しく見させてもらってるよ!でも、何かが足りない気がするんだけど…な。」
2人で盛り上がってる所に入ること迷惑が掛かりそうなので俺は、コソッと影に入り闇に消えていった。やっとの思いで、トレーナー室に戻ってきて書類を確認し、俺も寮に戻る。廊下ではまだロボットアニメ談義をしている松風&中山。俺は黒いマントを被り闇に溶けつつ、バレないよう横を通り抜けた。外に出ると、ウマ娘達の寮はほぼ消灯されており、門限が過ぎたことを把握した。俺はのんびり、トレセンの校門の方へ歩いていくと桜の下に青髪の人影があるのに気づいた。ここはトレセン学園。さすがに不審者を入れるほど、不用心では無いはずだ。俺は恐る恐る近づくと、頭に耳があり、腰からは髪の毛と同じ青いしっぽがユラユラと揺れていた。
「あの…君…ウマ娘?」
俺は謎の青髪の子に話しかける。青髪の子は俺の声に気づいて「え?」と振り向く。
「こんな所で何してるんですか。門限は過ぎてますよ?」
俺は敬語で話す。すると、青髪の子はアワアワしだした。
「えっと…あれ?門限…あっ…過ぎてしまってますね。どうしましょう…。」
「ところで、君はウマ娘でいいんだよね?」
「はい。私、メジロアルダンと申します。」
「メジロ…ってことはマックイーンと家族?」
「そうですね。マックイーンさんとは家族です。」
これはまた、有名な所の子に話しかけてしまった。俺はとりあえず、アルダンをどうするか決めなくてはいけなかった。
「寮は…もう鍵締めてるだろうから…。」
「そうですね…。どうしましょう。」
「ここにいた理由ってあるのか?」
「ええっと…桜が綺麗だったもので。こうして、桜を見る機会ってあまり無かったので。」
そういえばマックイーンのトレーナー(先輩)から聞いたことがあった。
『マックイーンの家族にメジロアルダンと言う子がいてメジロラヌーモの妹だ。少しその子が問題があって…身体が生まれつき弱いらしい。メジロ家のお祖母様はアルダンをトレセンに入れるのは反対だったそうだが、本人の意思で行かせることを決めたらしい。そして、今葉。お前が今、メジロのお祖母様に目をつけられている。グラスの無敗伝説でな。いつでも、メジロ本家に呼ばれてもいい覚悟しとくんだな。すげぇ怖ぇから。』
なんだろう。すごい嫌なこと思い出した。
「あの…大丈夫ですか?」
「あ…ああ!大丈夫だ。アルダンの方こそ大丈夫か?」
「私ですか?」
「そうだ。君は生まれつき身体が弱いはずだろう?」
「どうしてそれを…?」
しまった…自分で墓穴を掘ったようだ。これは…諦めるしかないな。
「マックイーンのトレーナーから聞いた。」
「なるほど〜。ところで貴方の名前を聞いていませんでしたね。」
「俺…か。俺は…今葉勝馬だ。」
アルダンは俺の名前を聞いて目を大きく開いた。どうやら驚いたようだった。
「貴方が…おばあ様が言っていた…無敗伝説のトレーナーさん…?」
「そうです…。お恥ずかしながら。」
「1度会ってみたかったんです!そうですか。」
アルダンはニコニコ笑顔で顔の前で指を合わせる。
「どうしました?」
「あっ…いえ。合格だな〜って思いまして。」
「合格?」
「こちらの話ですので、またゆっくり話せる時に話しませんか?」
「まあ…いいですけど…?」
「では、またこちらから向かいます。それでは、おやすみなさい。私と共にの永遠を刻んでくれるトレーナーさん。」
アルダンの最後の方の言葉が聞こえなかった。まあ、女の子には何か隠し事はある物だ。気にしたら負けだと思い「ああ…身体に気をつけてアルダン。おやすみ。」と返す。
天皇賞・春後、マックイーンのトレーナーに会った時にアルダンがメジロのお祖母様に俺の話をしたことがわかった…。
俺はやっと寮に付き、自分の部屋の中に入る。
「ただいま〜って誰もいないか。」
俺はいつもの独り言を言う。すると、返事があった。
「おかえりなさい。トレーナーさん。」
「ああ、ただいま…あああああぁぁぁ!?」
そこには先程別れたはずのアルダンがいた。
「いやいや、何してるんだここで!いや待て!トレーナーでもない男の部屋に入ってるの!?」
「寮は入れませんから…ここならいいと…マックイーンさんのトレーナーさんが…。」
「待って…なんであの人俺の部屋の鍵持ってるの…?」
「とりあえず、ご飯にしましょうか。」
俺は荷物を放り投げて、アルダンを止める。
「メジロ様にそんなことさせられませんし、この部屋汚いんで!」
「少しお掃除しときましたから大丈夫ですよ?」
アルダンがそう言うので、俺はリビングの方を見ると綺麗に整頓されていた。
「やだこの子いい嫁になるよ!」
「そんな…トレーナーさん結婚は早いですよ?」
「どうして満更じゃないの君!?」
「本当ですね。私の事お嫁さんにしてくれませんか?」
「ここで逆プロポーズはおかしいでしょ!?とりあえず!メジロ様は座っててください!」
俺はアルダンをリビングへ連れていき、綺麗な座布団へ座らせた。そして、台所に行きもう帰っているのも承知でたづなさんに電話をかけた。すると、予想外にも出てくれた。
『もしもし?どうされましたか?今葉トレーナーさん』
「あっ夜分にすいません。あのご確認なんですけど…?」
たづなさんは何かを察して「大丈夫そうですね!」と言って電話を切ろうとする。
「待て待て!もしかしてあなたもグルか!グルなのか!?」
『私はグルじゃないですぅー。どっちかと言えば脅されてますね。メジロ家に。』
「どうしてそうなる。」
『今葉トレーナーさんには申し訳ないんですが…生贄になってもらうしかないんです。』
「生贄って酷い!!」
『大丈夫です。アルダンさんのトレーナー兼恋人になれば全て万事解決ですから。』
「トレーナーはまだわかる!でも、恋人は分からない!俺にはグラスが居るんですけど!?」
『ご結婚しますよね?重婚って知ってますか?』
「日本は重婚制度ないんですけど!」
『あー…大丈夫ですよ。そのうち無くなるんで。』
「それはそれでやばくないですか!?」
たづなさんは必死に逃げ道を探しているようで、言い訳が苦しい物ばっかりだった。たづなさんはこれ以上言い訳を続けると自分が辛くなるだけなので「では、ごゆっくり〜。」と言って電話を切る。
「何切ってるんだ!あの人!」
俺は1人台所で叫ぶ。その声に反応して、アルダンが台所とリビングを仕切っているドアを開ける。
「トレーナーさん?大丈夫ですか?」
「え?あーうん。大丈夫です。アルダンの方は何も無かったか?」
「はい?私は至って普通ですよ?」
「そうか。とりあえず、ご飯は食べたか?」
「はい。メジロの家で食べてきましたので。」
「そうか。」
俺はアルダンにリビングで座ってもらって台所に立つ。そして、冷蔵庫を開ける。
「あー…なんもない…。」
俺は時計を見るがスーパーはもう閉まっている。どうする…アルダンを1人部屋に置いておくのも…と考えとりあえず、リビングに戻った。
「トレーナーさん?大丈夫ですか?」
「あ…あっあっあっ…。」
俺はアルダンを改めて見ると「何をしてるんだ」と言う思考が頭を駆け回る。
「トレーナーさん!主治医!」
アルダンは叫ぶとドアが開いた。そこから入ってきたのは白い服を着た人だった。
「主治医です。アルダンお嬢様どうされましたか?」
「トレーナーさんが。」
「確認します。大丈夫ですか?主治医です。」
俺は主治医と言い続ける人に問診され、主治医はアルダンの方を見た。
「食事を取ってない上に精神的な疲れで発作が出てますね。精神的な発作です。よく休ませれば大丈夫だと思います。」
「分かりました。戻っていいですよ。」
「失礼します。」
主治医は部屋を出ていき、アルダンは心配そうに俺の事を見る。普通に神秘的で綺麗なんですけど?どうしたらいいんですか?俺は。
「よし!私が食事を作りますね。」
アルダンはそう言って立ち上がった。俺はアルダンの手を掴んで「あっ…材料ないんです…。」と言うとアルダンは「大丈夫ですよ。」と言って笑顔で俺の鼻をツンとする。俺は諦めてお嬢様に料理させたことを後悔して机に倒れ込む。
そして、頬をツンツンされている感触があり俺は目を覚ます。
「あっ、おはようございますトレーナーさん。」
アルダンの顔が俺の頭の方から出てくる。あれ?俺はアルダンと結婚してたかな?などと脳内お花畑になっていたが、よくよく考えたら結婚もしてなければ担当ウマ娘でもない。俺はすぐに座り込む。そして、後ろを向いて俺の置かれていた状況を把握した。
「膝枕…嫌でした?」
「あ…あっあっあっ…。」
グラスにも数回しかしてもらってない膝枕を担当じゃない子にしてもらっていた。いや、何してるんだ俺。まあ?気を失ってましたし?不可抗力ってやつじゃないんですかね?などと自己弁護を繰り返してアルダンに対しての言葉を探す。左脳が自己弁護、右脳が言葉探しを担当しフル回転していた。
「大丈夫ですか?トレーナーさん。」
「あ…ああ。問題ない。すまないな。」
「いえ〜♪私の方こそすみません。勝手に膝枕してるのはダメでしたよね。」
「いや!ダメじゃない。相手が俺でよかっただけだ。あっちこっちでしたらダメだからな?」
「もちろんです。あ…し…ま…ん…ど。」(なんの言葉が入る考えてみよう。ヒント:11文字です)
「え?さっき何を言ってた?」
「何もありませんよ〜。ふふふ。」
俺はアルダンの顔を見るがアルダンは頬ぐらいまで手で隠して笑う。そして、「お食事の用意が出来てますから食べてちゃってください。」と言って立ち上がった。俺も手伝わなければ思い立ち上がるが立ちくらみがしてしゃがみこむ。
「まだフラフラするのでしたら、座っておいてください。私は1人で出来ますから。」
不甲斐ない…。仕事のやりすぎでこんな姿を担当ウマ娘じゃない子に見られてしまうなど…男として…。なんてことを考えていた。お食事は美味しかったです。シェフが作ったのような高級感のあるお食事でした。このままメジロの担当になってもいい気がする。すると、ドアがバーン!と開いた。
「ここからラブでコメな氣がする!」
「コパ!?寮は?!」
「あっ、トレーナーさんんんンンンンンン!?」
どうやら、アルダンが目に入ったようだった。
「これは…どうゆうことですか…?」
「帰ってきたらアルダンがいた以上。」
「事は深刻ですね…精神病院…。」
「待て待て!」
アルダンは俺らを見て少し頬を膨らませてこちらを見ている。コパはそれに気づいて俺の肩をグイッと持って話出した。
「トレーナーさん。もしかして、あれってメジロアルダンさんですよね。」
「そうだな。アルダンだ。」
「トレーナーさん…間違ってたらあれですけど…アルダンさんトレーナーさんのこと好きだったりしません?」
「まさか?」
「だって、風水的に恋愛の実りやすい場所に座ってたり…片付けたあとの状態を見ると…これは…むむむ。」
「あれ?やばいのこれ?」
「なるほど…ラブでコメの氣はこの部屋からでしたか。失礼しますね。」
「待て待て!どこに行く!」
「ごゆっくりです。」
コパはドアを閉める時に手を振って「頑張ってくださいね!」と言ってドアを閉めた。そして、俺は振り返るとそこにはアルダンがニコニコとして座っていた。とりあえず、俺はリビングに戻り座る。
「あら?トレーナーさんもう大丈夫なんですか?」
「あ…ああ。問題ない。この通りだ。」
「んー?」
アルダンは首を傾げて俺の事を見る。どうやら、まだ疑っているようで異常を探しているのだろう。会ってさっきのトレーナーの異変を探すのもすごいことだと俺は思うが。アルダンが膝歩きをしてこちらに近づいてくる。頭を撫できた。
「頑張って偉いですね。」
「普通だよ。これぐらい。」
「いいえ、こんなに仕事をしてるのはトレーナーさんだけですよ?」
「書類を遅れて出す同期が居るんだよ。」
「まあ!それは大変ですね。」
アルダンは手を合わせて目をキラキラとさせる。アルダンは立ち上がり押し入れを開けた。
「アルダンさん?何を?」
「お布団を出すんですよ〜。よいっしょ…っておっとっと…」
「危ない!」
俺は躓いて転びかけてるアルダンに向かって俺は走った。布団は床へ落ち、俺はアルダンを抱き抱えていた。
「あ…あの…トレーナーさん?」
「大丈夫か?アルダン」
「は…はゆぅぅ…。」
「アルダン?アルダン!?」
アルダンは顔を真っ赤にし、口から煙を出して俺にもたれかかった。俺はアルダンを起こさないように慎重に布団をひいてた。アルダンを寝かせて、あれはパソコンの電源を付けてトレーニング方法を考えていながら寝落ちをした。
翌日、アルダンをメジロ家の執事に任せて俺は寮を出た。何事も無かったと思いつつ、ハヤヒデのトレーニングに顔を出した。
「ん?これはトレーナー君じゃないか。」
「すまんなトレーニング任せ切りで。」
「私がしたいって言ったのだが…」
「まあ、タイムを測ろうか。」
「わかった。」
ハヤヒデは走る用意を始めた。俺はストップウォッチを取り出した。
「走ってもいいかな?」
「いつでもどうぞ。」
「行くぞ!」
ハヤヒデの走り出しを俺は見逃さずにストップウォッチを押す。コースは1周のみでハヤヒデは向正面に入っていた。それと同じ頃にアルダンが練習場を見下ろすように観客席から見ていたことを俺は知らなかった。
ハヤヒデは最後のスパートで力強く土を蹴り、俺の前を通り過ぎた。
「うん。速くなってるな。」
「しかし、何かが違う気がするのだが…。」
「うーん…どうなんだろうな。」
俺とハヤヒデが悩んでいるとスタスタと「そう言う時は並走すべきだと思いますよ〜。」とグラスが練習場に来た。
「おはようグラス。」
「おはようございますトレーナーさん♪」
「ふむ…並走か。」
ハヤヒデは並走を相手を考えていた。グラスは無敗で相手にならない。であれば、天皇賞・春を走ったことのあるウマ娘を相手にするべきだった。
「ライス君かマックイーン君かな?」
「そうだな。連絡はこっちで入れておこう。」
「すまない。」
「あっ、そろそろチャイム鳴るぞ。ほら行った行った。」
ハヤヒデとグラスは話しながら校舎に歩いていった。俺は練習場で1人ハヤヒデのフォームを見ていた。
「ここで1人寂しくフォーム確認か?」
後ろから話しかける声が聞こえた。俺は振り向かずに「その声はマクトレさんですね。」と言った。マクトレは「当たりだ。」と言って俺の横に座った。
「ハヤヒデは速い。さすがは今葉の担当だな。」
「まだですよ。」
「んで?俺に言いたいことあるだろ?」
「あっはい。マックイーンと並走して欲しいんですが…。」
「うーん。すまない…マックイーンは今オフでスイーツを爆食いしていてな…。」
「そうですか…。」
俺は仕方なく思い引き下がった。悪いと思ったのかマクトレは「松風とかに話を通しておこう。」と言って松風に連絡をしてくれた。すると、指パッチンの音が聞こえたかと思うと松風が姿を表した。
「やぁ!待たせたね!並走だって!」
「朝から元気ですね…。」
「ふっふっふ。そりゃ!私は寝なくていいからね!」
「ハイハイ副作用副作用。」
「この後泥のように眠るけどね!」
よくよく松風の目を見ると松風の目はグルグル巻きになっていた。俺はこれでよく理解した。「ああ…こいつただただ寝てねぇだけだ。」と。
「んで、申し訳ないんだが…今葉。」
「ん?なんだ?」
「君…カレンダー見てないのかい?」
「はい?」
俺はスマホのカレンダーを見ると天皇賞・春は今週だった。
「並走って言ってももう時間が無いからやめておいた方がいい。ケガしないように見守るべきだ。」
松風は俺の顔の目の前を指を指してそう言った。松風の言っていることは的確に的を射ている。珍しく俺は松風の意見を受け入れた。
時間は時間で飛んでいき、阪神競バ場に俺らは来ていた。
「今日のレースは波乱の気が!」
「リッキー…キミィトレーナーは?」
「コパッ!」
リッキーは俺の話を聞かないように耳を畳んだ。それを見るようにグラスは苦笑いをしていた。そして、少し離れたところにアルダンが来ていた。もちろん、俺は知らなかった。
「トレーナーさん。京都競バ場はいつになったら改修工事が終わるんですか?」
「5月には終わるそうだ。」
「そうなんですか?」
「らしいぞ。」
俺とグラスは他愛のない話を続けているとついに天皇賞・春が始まった。
(いつもの実況パート)
実況「唯一無二、一帖の盾をかけた熱き戦い!最長距離GⅠ 天皇賞・春!虎視眈々と上位を狙っています。14番。実力は1番人気にも引けを取りません。マンハッタンカフェ。秋から姿を見せていなかったビワハヤヒデ!ファンたちの期待を胸に1番人気です。」
解説「私が1番期待してるウマ娘ですね。」
実況「各ウマ娘ゲートイン完了。出走よ準備が整いました。スタートです。各ウマ娘、綺麗なスタートを切りました。 」
解説「これは位置取りが熾烈になりそうですね。」
実況「先行争いは1番、13番、18番。期待通りの結果を出せるか?1番人気ビワハヤヒデ。先頭集団を見ていきましょう。さぁ、激しい先行争いで前に出たのは7番。すぐに続いて18番。早くも激しい競り合い。さらに4番。13番外から行く。1番、5番手。そしてその外をまわってビワハヤヒデ。1バ身離れて14番。1バ身差16番。少し後ろから12番。うしろ10番。およそ5バ身離れてマンハッタンカフェ。その後ろから5番。1バ身離れて9番。11番外から行く。第4コーナーから直線へ向かう。7番快調に飛ばしていきます。前から大きく開きました。隊列は縦長となっております。」
解説「仕掛け所の難しいレースになりそうですね。 」
実況「現在、1番手は7番。続きました13番。少し後ろから18番。4番、4番手。まずは1周目、正面スタンドに入った。この辺りまで先頭集団を形成しています。さらに7番。そしてその外に18番。その内並んで13番。そしてその外から行ったのは4番。そしてその内から行ったのは1番。あとからビワハヤヒデ。2バ身離れて12番。少し後ろから16番。少し離れて14番。そのあと3、4バ身開いて10番。2バ身、3バ身開いて5番。1コーナーから2コーナーへ向かう。更には13番。あとは18番。そのあと7番。4番並びかけてきた。そしてそのうちを回って1番。そのあと3、4バ身開いてビワハヤヒデ。そしてその後ろから行くのは16番。それを見るように12番。1バ身差14番。その後から10番。1バ身差5番。1バ身離れて11番。1バ身差15番。その後ろからマンハッタンカフェ。2週目の向正面に入って変わらずに先頭を突き進みます13番。依然として13番。続いて18番。1バ身離れて7番。少し後ろから4番。5番手には1番。ビワハヤヒデ、ここにいます。1バ身差16番。そして12番。外には14番。2バ身、3バ身離れて10番。少し後ろから5番。残り1000メートルを通過。そしてマンハッタンカフェ。6番並びかけてきた。意気揚々と先頭を行きます13番。どうでしょうこの展開?」
解説「少し掛かっているかもしれませんね。少し落ちつければ良いのですが。」
実況「まもなく第4コーナーカーブ。」
解説「をウマ娘達がどう動くか目が離せません!」
実況「まだ差がある。ここから先頭を捉える娘は出てくるのか?さぁ、いよいよ直線だ!どのタイミングで誰が仕掛けるのか!?さぁ、内から先頭を伺うのは13番。400を切りました。」
(レース中のウマ娘視点)
「(足が重い…肺が苦しい…。だが、これが私の覚悟だ!見ていてくれトレーナー君!)」
ビワハヤヒデは前を睨み、先頭の場所を確認したあと、ビワハヤヒデに残っている全ての体力と力を使って先頭へ突き進んだ。
「(これは覚悟の違い…ですね。ですが、私だっているってことを見せます!)」
マンハッタンカフェも同じくして、先頭へ駆け出した。
(実況へ戻ります。)
実況「最終コーナー先頭、先陣を切ったのはビワハヤヒデ!ビワハヤヒデ強い!強すぎる!彼女の勝利の方程式はこれで完成する!完全に抜け出した!200を通過!追いすがるマンハッタンカフェ。13番追走。ビワハヤヒデ、リードは6バ身!脚色は衰えない。ビワハヤヒデ!強いの一言しかない走り!彼女の方程式は完成した!これが勝利の探求者だ!マンハッタンカフェを寄せ付けない走りに天晴れです!2着にマンハッタンカフェ!」
(実況パート終わり。)
大歓声が上がる阪神競馬場。ビワハヤヒデは倒れかけるが、マンハッタンカフェに手を取られて倒れずに済んだ。
「すまない。カフェ君。」
「いえ、おめでとうございます。さすがの走りです。」
「そう言われると嬉しいものだよ。」
俺はレース終わりの2人に近づき会話をする。
「おつかれさん。2人とも、特にハヤヒデお前は最強だよ。」
俺はビワハヤヒデの頭を撫でて褒める。ビワハヤヒデはムスッとした顔をしたが、諦めたように「今日はもっと褒めてもらおうか?トレーナー君。」と言って、控え室へ戻って行った。
アルダンが別のところで見ていた。そして、独り言をつぶやく。
「これが…ビワハヤヒデさんの走り…ですか。私もこんな走りができるかな。」
「あなたなら出来ますわ。メジロですもの。」
「そうですね。マックイーンさん。」
「はい。身体が弱くても、支えてくれるトレーナーさんがいればそれはもう健康体です。だから、あのトレーナーさんにどんどん甘え…いえ、貴女の生涯を全て、今葉トレーナーに任せればいいんです。」
「はい。マックイーンさん。」
アルダンはマックイーンの言葉を聞くと、早歩きで阪神競馬場を後にした。
「おいおい…そんなこと勝手に言っていいのか?マックイーン。」
「構いません。これは、あの娘が決めることです。それに、私はもう生涯を貴方に捧げますから。」
「あはは…手厚い娘が来そうだな…。」
どうもー綾凪九尾でございます〜!
前は1月3日に投稿だそうですね?
つまり…28日ぶりの投稿…ッテコト!?
今回は申し訳ないのですが…私がアルダンを推しになってしまって、アルダン中心の前座になってしまったことをかなり反省しておりますが、私は謝りません。これが!ラブでコメ!と思っているので。
次回は宝塚記念…ではなく!入学式+ファン感謝祭をやりますね。
やっと書けるよ…ファン感謝祭。暖め続けたトレーナーダービー…3ヶ月眠ってたね。えっ?もう腐ってるって?やめなさい!投げつけますよ!!スパーキングですよ!?メジロで殴りますよ!?
さて、遅れた理由は仕事なので気にしないでください。
次回も未定になりますが、またお読みになってください!