横に寄り添う青き炎   作:綾凪九尾

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入学式&ファン感謝祭(第21レース)

『これより、入学式を開会します。』

 

季節は、春。この日、トレセンに新入生が多く入ってくる日入学式。

 

「なぁなぁ、今葉〜。」

 

「なんだよ。」

 

「どうして、私たちは校門の前で警備員をしなければならないのか分からないんだけど?」

 

松風はそう言って、ムキムキの腕を組む。お前の見た目を見たら大体の不審者は入って来ねぇよと思いつつ、簡単に流しておく。

 

「たづなさんのご指示だ。入学式を邪魔するバカがいると面倒臭いから警備員をしてるって訳だ。」

 

「私たちだけっておかしくない?坂本と中山は入学式に参加してるわけだ。」

 

「そうだな。俺らはこうして、ここで警備員をする訳だが…こうやって無理やり通ろうとするゴルシが居るわけだ。」

 

校門前にはゴールドシップが仁王立ちをして、笑っていた。

 

「要注意人物…『ゴールドシップ』」

 

「たづなさんからの手紙では、今日だけ奴をトレセンに入れては行けない。」

 

「おいおい、ゴルシちゃんは普通にトレセンに来ただけだぜ?」

 

ゴールドシップは仁王立ちのまま、話し出す。俺と松風は臨戦態勢に入る。

 

「ゴルシちゃんとやろうって奴か!?」

 

「ゴールドシップ。お前はここから先俺らが行かせない。」

 

「ふっふっふ…いくらグラスのトレーナーだとしても!ゴルシちゃんを止めようだって、そうはいかねぇぜ!なんだって、ゴルシちゃんは最強だからな!行くぜ!うぉぉぉぉぉ!」

 

校門側に走ってくるゴールドシップ。俺らも止めるために机を用意する。そして、松風が机に腕相撲の体勢を取る。

 

「よし!ゴールドシップ!松風と腕相撲をしろ!」

 

「元からそのつもりだぜ!」

 

こうして、ムキムキ松風VSゴールドシップの腕相撲が始まる。

 

「「うォォォォォォォ!」」

 

「頑張れ松風!入学式はお前に掛かってるんだ!」

 

一切動く気配がない。1時間…2時間と動かない。いや、人間とウマ娘で腕相撲したら人間が負けるのが当たり前じゃないのかよ…。

 

「あっ、トレーナーさんお疲れ様です!」

 

「おお、ダイヤちゃん。大きくなって…あれ?キタサンは?」

 

「さっきまでいましたけど…?」

 

ダイヤが周りを見渡すが、俺も2人の腕相撲なんかほっといて周りを見る。

 

「うーん…?本当にさっきまで居たんですが…。」

 

「まあ、また来るでしょ。これから寮案内?」

 

「そうです!また終わったら連絡しますね。」

 

そう言って、ダイヤは寮方面へ歩いていった。俺は振り返れば

、未だに腕相撲をしている松風&ゴールドシップ。俺は見てられないと思い、2人を放置して自室に帰る。

 

「やってられるか!俺は帰らせてもらう!」

 

そう言って走って帰る。特に止められる訳もなく、寮に着く。誰もいないことを願いながら、ドアを開ければそこにはグラスが座っていた。

 

「あら?トレーナーさん帰ってきたんですね。お茶入れますね。」

 

「あ、ああ。グラスなら大丈夫か。」

 

安堵しながら靴を脱いで、リビングに行けば座っていたのはグラスだけではなかったらしい。

 

「お疲れ様ですトレーナーさん。」

 

水色の髪…メジロアルダンが座っていた。グラスと話していたのだろう。しかし、なぜ中に居るのか分からないが。

 

「どうして…アルダンがここに?」

 

「どうしてって…グラスさんにお呼ばれされまして。」

 

その話を聞いていたグラスが「トレーナーさんのこと心配してたので、声をかけてちゃいました」と言いながら戻ってきた。

 

「心配って…心配されることなんてあったか?」

 

俺が単純な疑問を2人に問いかけると、2人は真剣な顔で俺のことを見る。

 

「いくらトレーナーさんでもゴールドシップさん相手に無傷で帰ってくるとは思えなかったので…。」

 

「アルダン…。いや、ゴルシはそんな危ないヤツじゃないぞ?な?グラス」

 

グラスは真剣な顔を変えずに、俺へ返答する。

 

「たしかに…危ない方ではありません。しかし、問題なのは行動です。」

 

たしかにゴルシは行動で、静かで落ち着いていれば美人と言われている。古典的な黙っていれば何とやらとやつだ。ゴルシに合わせるとしたら、松風も同様であろう。あいつは間違いなく黙っていればだろう。

 

「トレーナーさん。」

 

グラスが知らないうちに俺の後ろに立っている。俺は顔を引き攣らせながら振り向く。そこにはニコニコ笑顔のグラスがいる訳だが、これは笑っているのではなく怒っているのだ。では、こう考えるだろう。「なぜ怒っているのか?」それは簡単なことだ。俺が別の女のことを考えたからだろう。勝手に人の頭を覗くな…。

 

そして、時間が飛び『ファン感謝祭』になる。

 

「やっと来た!去年のファン感謝祭はトレーナーダービーだったが、今回はトレーナーは何もなし!」

 

「私はトレーナーダービー2Rでも良かったんだけどなぁ…。」

 

松風は少し残念そうに柵にもたれかかっていると、中山が驚いた顔で俺らを見る。

 

「は?お前らメール見てないのか?」

 

「「メールだ?」」

 

「メールに『問題ッ!トレーナー早押しレース』って言うのがあって、俺らでチームだぞ。」

 

「「何それ…。」」

 

「いや、わかんない…。」

 

何も話さない坂本に松風は詰め寄って行く。坂本はそんな松風を見て一言「何?」だけ。松風はもっと詰め寄り、責め立てる。

 

「なんで友達の私に伝えないわけですねぇ?無口だとしてもこう言うのは教えてあげるのが普通でしょうよ?ね!今葉!」

 

急に俺に振られるが、俺も「そうだーそうだー!」と便乗する。坂本はそれを見て、少し考える素振りを見せたと思ったら「わかってると思ってた。」と言う。

 

「「なんだてめぇ?」」

 

俺と松風の声がハモる。坂本に二人で詰め寄っていると、放送が流れ始める。

 

『まもなく、トレセンファン感謝祭を開幕させていただきます。ファンの皆様、どうぞお楽しみください。』

 

「おい、始まったが…お前らどうするんだ?」

 

「なーに、私はライスとかと出店を回る予定でね。君たちも担当ちゃんたちと回るんだろ?なら、楽しむべきだ。それに、早押しクイズは私に任せとけばいいんだよ。」

 

「お前に任せて大丈夫なのかよ。」

 

「大丈夫!私最強だから。」

 

「その旬終わってない?終わってるよね?」

 

「大丈夫大丈夫。旬は新しく作り直すのが当たり前。それに君。あのセリフ好きでしょ?『○○っていつもそうですよね!』ってやつ。」

 

「あー…やめようやめようこんな話。」

 

松風はニヤニヤしながら、どこかに消えていく。俺と坂本が残される。坂本はスマホを見ながら、俺のことを見る。

 

「…行かないの?」

 

「あー…そろそろ行くか。お前はお前で、オグリと回るんだろ?俺はここで消えさせてもらおうか。」

 

俺は坂本を置いて、人混みに入っていく。すると、アーモンドアイトラッキーライラックの2人がいた。

 

「ちょっとアイさん?全て行こうとしてません?」

 

「当たり前じゃない!ここで全て回れば、私の勝ちなのよ!」

 

「それは違うと思いますけど…。」

 

相変わらずの負けず嫌い…。俺は知らないふりをして、横を通る。絡まれたらめんどくさいと思ったからだ。

 

「ちょい待ってください。そこの…トレーナーさん。」

 

どうやら、捕まってしまったようだ。まさかの、ラッキーライラックからの声掛けだ。これは予想外。

 

「えっ…ど、どうしました?」

 

「グラスさんのトレーナーさんで合ってますか?」

 

「えっと…人違いでは?」

 

俺は切り抜けようと嘘をつく。しかし、ラッキーライラック以外と声が聞こえてきた。

 

「トレーナーさん、待っていましたが迎えに来ましたよ。」

 

「グ…グラス……。」

 

「やっぱりグラスさんのトレーナーさんやん。ちょっと一緒に茶しばきませんか?」

 

「し…しばき?」

 

グラスは困惑した感じに俺に聞く。関西弁で『茶をしばく』は『カフェに行きませんか?』という意味になる。それを簡単にグラスに説明する。

 

「そういう事ですか。なるほど…。」

 

「ラッキーライラック……。さすがに、グラスも居るわけで…お茶はさすがに…。」

 

「そうですか。じゃあ、また今度にしときます。ウチはいつでも待ってますから。」

 

顔が笑ってねぇよ…ラッキーライラック…。関西弁ではあるけど、どっちかと言うと京都弁に近い。

 

「あっ、アイさん行きましょう。」

 

「えっ?ララいいの?」

 

「大丈夫です。いいもの見れたので。」

 

含み笑いをしながら消えていくラッキーライラックに寒気がしながらも、グラスと話す。

 

「グラスはここで何を?」

 

「トレーナーさん達が、早押しクイズをするって聞いたので様子を見に来たんです。」

 

「あー…理事長の無理難題だよ。トレーナーダービーよりはマシだからいいんだけどね。」

 

「そうですねぇ〜。そろそろ時間じゃないでは?」

 

時計を見れば、確かにトレーナーの集合時間だ。俺はグラスと一緒に向かう。集合場所には松風とライス、坂本とオグリ、中山とテイオーが立っていた。

 

「君がビリか。いやぁーグラスは最速なのに君は遅刻だったとは。ある意味皮肉かな?」

 

「殴るぞ松風。」

 

「なーに。君の拳ぐらいなら、避けれるし?それに君が怒っても怖くない。」

 

「仕方ない、コパさんお願いします。」

 

「ちょ、話し合いませんか?コパノリッキーはちょっと…。」

 

「コパ!」

 

俺がコパノリッキーを呼べば、何故か来る。別にトレーナー契約をした訳じゃないが、呼べば来てくれる。優しい子だ。

 

「あーコパノリッキーさんお日柄もよく…。」

 

「お見合いかよ。どんだけ苦手なんだよ。」

 

「だって、コパノリッキーって、私自体の風水が悪いって殴られるんだから!なんでだろうね!」

 

「タキオン印の薬のせいじゃないかな。」

 

「はっはっは!まさか!タキオンの薬に風水が悪くなる副作用なんてないよ!あるわけが無い!私が保証しよう。」

 

「わぁ…一瞬で胡散臭く…。」

 

「君は私の信頼はどうなってんだよ。」

 

俺と松風が話をしていると、放送が流れる。

 

『まもなく、問題ッ!早押しトレーナークイズが開幕します。参加予定のトレーナーさんは随時テーブルに着いてください。』

 

「じゃあ行こうか!」

 

俺たちはど真ん中のテーブルに着く。意外と人気があったようで人が集まっている。これはこれで緊張するもんだ。どんな問題があるのか心配になる。

 

『感謝ッ!トレーナー諸君!これより、私の方で決めた問題を答えてもらう!では!問題ッ!』

 

「デデン!」とクイズ番組のような効果音がなる。全員がボタンに手を乗せる。

 

『日本トレセン学園の理事長は』

 

松風がボタンを押す。

 

「秋川やよい!」

 

『ですが〜!彼女が作ったレースはなんでしょう!』

 

次は沖田トレーナーがボタンを押す。

 

「URAファイナルズ!」

 

『正解!沖田、黒沼、樫本理事長代理チーム10ポイント!他のチームも頑張ってください!』

 

「松風…。」

 

「わぁかってるよ!次は任せておけ。」

 

『問題!グラスワンダーと今葉トレーナーが婚約したレースはなんでしょう!』

 

「ちょい!それはちがうでしょ!」

 

「それは私に任せろ!!宝塚記念!」

 

『正解!あの時の今葉トレーナーは凄かったですね。今葉トレーナーチーム10ポイント獲得です!』

 

「なんで俺の問題が出るんだよ!おかしいだろ!」

 

『じゃあ次の問題!この小説の作者は2026年に驚愕なことをしました。何をした?』

 

「メタイメタイ!それはダメだって!みんなわかんないって!」

 

「それも私知っているぞ!ウマ娘コラボの為だけに北海道に行った!」

 

『正解!本当にウマ娘コラボの為だけに北海道に行ったそうです。他のところ行かずに、ノーザンホースパークだけ行ったそうです。何してるんですかね。』

 

「いや…ほんとやめよ…。」

 

『ってことで今葉トレーナーチーム20ポイントですね。』

 

この後、問題が続き盛り上がった。俺はぐったりと椅子に座る。例えるのなら、FXで有り金溶かした人みたいな感じになっている。

 

「今葉…。」

 

「あ?なんだよ松風。」

 

「ざまぁwwww」

 

「もうヤダ…当分休む。」

 

「休めないよ。君は働かないといけないよ。」

 

「やだぁー働きたくない…。」

 

「このままだと、グラスに嫌われるんじゃないかな?」

 

「やります。仕事しかしません。」

 

松風はこの俺を見て、ドン引きする。いや、好きな人の名前が出れば頑張れるだろ。

 

「おい、引くなよ。お前も頑張れるだろ?」

 

「いやぁ?私は私だからね。」

 

「お姉さま、頑張ろ?」

 

「頑張らせていただきます。グラスなんて何するものぞ!」

 

「人のこと言えねぇなお前も。」

 

「うるさーい。同類だ私と君は。」

 

ごちゃごちゃと話をしながら、ファン感謝祭は幕を閉じる。しかし、松風は忙しそうにあることをしようとする。そう、夏合宿にいつものイベントだ。何が起きるかはまた違う話だ。




大変お久しぶりの綾凪です。
約2年ぶりの新作…(꒪∀꒪ ;)ヒェッ
ごめんなさいすいません申し訳ありません
現在、何故か小説を書くのがしんどくなってきてしまって、なかなか書けない状況にありました。書いても、すぐに書くのをやめてしまうのを繰り返し、今に至ります。とりあえず、レースを終わらせないといけないのですが、少し話の流れを変えようかなと、思います。
次回はいつ出るか、分かりませんが気長にお待ちください。
もしかしたら、試作品を出すかもしれませんが、それも読んでいただいたらいいかと思います。それでは、皆さんまたよろしくお願いします。
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