色々版権ネタ満載ですがよろしくおねがいします。
幻想郷。
博麗大結界で外の世界と呼ばれる一般人たちの暮らす世界とは切り離されている幻想の世界。
ここでは昔の日本の風景がそのまま残されており、人里に住む人間もまた昔の日本では当たり前であった、悪く言えば時代錯誤な生活が送られている。
そして、ここでは外の世界では架空の存在となった『妖怪』と呼ばれる種族がすべて暮らしており、人と妖怪は絶妙なバランスのもと共存し合っている。
とはいえ、共に暮らしているわけではなく人間たちは基本的には人里で暮らしており、妖怪たちは妖怪の山や魔法の森など美しい自然の中で暮らしているのだが。
そして、この幻想郷では異変と呼ばれる妖怪たちの騒ぎが起きる場合がある。
その異変を解決するのが、人里から離れた場所に境内を置く博麗神社に住まう博麗の巫女の仕事である。
そんな博麗の巫女だが、今はまさに異変解決のために霧の湖にある西洋の洋館を訪れていた。
紅霧異変。
首謀者はこの洋館……すべてが真紅に染められし紅き洋館『紅魔館』の主であり500年の時を生きている吸血鬼『レミリア・スカーレット』。
彼女が起こした幻想郷を包む赤い霧を異変と感じた当代の巫女、博麗霊夢はその首謀者の元に向かっていたのだ。
だが、博麗霊夢はまだ知らない。
幻想郷の賢者である妖怪、八雲紫ですら知らない小さな異変が今まさに霧の湖からは離れていない妖怪の山の麓に産声を上げていることを。
博麗霊夢はまだ知る由もない。
本来彼女が辿る軌跡に一度も存在することがなかったそれが彼女に新たな出会いを起こし、本来起こり得なかったはずの異変に巻き込まれていくことを。
それを語るには、時をこの紅霧異変よりほんの僅かだけ巻き戻す必要があるだろう……
時は、この紅霧異変より3ヶ月程遡る。
霊夢は博麗神社の境内で饅頭を頬張り日向ぼっこをしていた。
そんな平和な日々を過ごす霊夢の元にいきなりスキマが現れた。
「やっほー、霊夢。元気?」
「紫じゃないの、どうしたのよいきなり。」
スキマから一人の女性が顔を覗かせ霊夢に挨拶を交わす。
霊夢もめんどくさそうにしながらも真面目に応対する。
「いやね、ほんの僅かに結界に綻びが出来たからあなたにも報告と何かなかったかを確かめにね。何かあったかしら?」
「全然、今日も平和に饅頭を食べていて異変のいの字もないわよ。」
結界に綻びが出来れば修正をする。
紫はそれを実行し異変がないかを確認しに来ていた。
しかし、霊夢が勘すら働かず平和だった話をすれば安心したように霊夢の饅頭を1つ奪い取って口にする。
「そう……しかし美味いわねこれ。」
「あーっ!私の饅頭!勝手に食べるんじゃないわよ!」
「食べた物勝ちよ、じゃあ何もないなら私はまた寝るわね。じゃあね〜。」
「こらー!私の饅頭返しなさいよ!」
本当に怪しいことはなく何もなかったために紫はまたスキマに戻り再び眠りについた。
霊夢は饅頭を1つ奪われ何やら叫んでいるが、この程度はまだまだ日常。
しかし、既に幻想郷にはその綻びから一人の男が意図せず幻想入りしてしまっていたことに二人共……いや、紫の式神である八雲藍すら気付いていなかった。
「……あら?」
ここは博麗神社より離れた場所にある幻想郷唯一の山、妖怪の山。
離れたとはいえ霊夢たち幻想少女たちに取ってはそこまでの距離ではないのだが。
そんな妖怪の山の麓にある樹海地帯に一人の少女がやって来ていた。
妖怪の山には神様がいるとされ、豊穣と稔りを司る神である秋穣子とその姉であり寂しさと終焉の象徴である、紅葉を司る程度の能力を持つ秋静葉の二人が有名である。
そして、妖怪の山の山頂にはまだ守矢の二柱が幻想入りしていないため一般的に妖怪の山にいる神様といえばこの秋姉妹を指すであろう。
しかし、もう一人だけ……その特性から人々から忌避される神であり、同時にあの秋姉妹と同じかそれ以上に人間を好いている神が存在している。
それが、今この樹海にいる厄神様……鍵山雛その人である。
ゴスロリファッションに近いドレスにフリルの大きなリボン。
くるくる回り厄を集める彼女はこの樹海に足を踏み入れていた。
樹海には彼女の住まいがあり、今日も厄を集めに行こうとしていたところである。
しかし、自宅を出た雛は樹海の奥には考えられないものを見つけてしまっていた。
「嘘、人間!?」
……幻想郷で一番の美少女と勝手に考えているちょっと残念な美少女、鍵山雛は素っ頓狂な声を上げ……
「いや勝手に変なナレーションしないでよ!?」
『いやあんたこそ地の文に突っ込まないでくださいよ!ただでさえ無駄に霊夢たちの描写と紅魔郷6面道中の描写をしてて話のテンポが異常に悪いんですから!』
……とにかく、そんな雛は倒れ伏す人間を見つけてしまい、仕方なく自宅に運ぶことにした。
「……人間にしては、厄が、異常すぎるわね、うんしょ!なんで、こんなに、重いの、かしら!」
倒れ伏していた人間は雛から見るととんでもないくらい厄の量が大きかったのである。
厄の塊、それが彼に抱いた第一印象である。
見た目は人里にいるような服装をした青年、しかし髪の色は蒼く、それでいて長髪。
腰には刀が差されており、剣士であることが伺える。
しかし周りにはリュックサックが落ちており、外の世界のものと思われる液晶画面のついた機械や不思議な形の機械がたくさん入っていた。
そんな青年はやがて雛が暮らす小さな一軒家に運び込まれ、雛が普段使っているベッドに寝かされることになる。
彼の荷物はベッドの脇にある机の上に安置されている。
それから半月の月日が流れた。
やがて彼は意識を取り戻した。
「う、うぅぅん……ここ、は……?」
「あっ、気が付いたのね。私がわかる?」
「あんたは……誰、だ?」
青年は頭を抱えながら起き上がろうとする。
「あっ、無理しないの!寝てていいから。」
「すまぬ……」
青年は楽にしていいと言われ再び横になる。
相変わらず青年には強い厄が憑いているのが厄神である雛には見えていた。
当然、能力で適宜厄祓いはしている。
厄祓いして半分以下に減らしてまだ厄祓いする前の普通の人間が纏う厄の量と同等なのである。
「私は鍵山雛、あなたは……?」
雛は軽く自己紹介をして自己紹介を促すも青年はすまない、と謝ってきた。
「すまない、俺は記憶がないらしい……名前は……」
名前すら必死に思い出さなくてはならないくらいの重度の記憶喪失。
まだ永夜異変すら起きていないため雛の頭には永遠亭に連れて行くという思考は一切浮かんでいない。
どうしようか考えていたまま青年が頭を抱えて苦しむのをどうしようもなく見るしか出来ていない雛。
やがて10分くらいしただろうか、少し落ち着きを取り戻したのか青年は息を整えてからゆっくりと話を始めた。
「名前は……セリス。セリス・アイオライト……記憶は、ないが……そこにある、剣から、多分、剣士なんだろう……」
青年セリスは荷物にあった刀を見て自身を判断しわかる限りを伝えた。
刀はセリスから見える位置に立て掛けてあり、鞘に納まった今の状態からでも業物であるのは間違いないだろう。
また、白玉楼の庭師である魂魄妖夢のように二振りの刀があり、2本共力を宿しているのか何か力を雛でも感じているのが伺える。
「何……あなたの目覚めに刀が共鳴している……?」
雛がぼつりと呟けば刀が光り輝きだしている。
刀はまるでセリスの目覚めに呼応しているかのようである。
「すまない、刀をくれないか?」
「えぇ、いいわよ。」
そう言われた雛が刀を持ってきて渡せばセリスが刀を抜いた。
刀はあっさりと鞘から引き抜かれ、眩い光と共にその刀身を現している。
ここは妖怪の山の樹海地帯にある一軒家。
当然辺りは昼でも薄暗く、屋内であるとはいえその光は余計に目立つものであった。
「これは……」
「マーニ・カティ。……この刀の名前だ。」
「マーニ・カティ……」
セリスはそれを語れば静かに鞘に戻して再び立てかける。
当然ながら自分は病人、雛は助けてくれた恩人である。
助けてくれた恩人にいきなり斬りかかるような無粋な人間ではないセリスはあっさりと刀を納めたのだ。
「あなたは一体……」
「そう問われたらよくわからない、俺は……名前しかわからないのに変わりはない。刀の名前は……柄に銘柄が彫られていただけだ。」
セリスの答えは、そこで完結していた。
時折痛みで頭を抱え苦しみだしながら会話をするので雛は眠るよう伝えれば「しばらくはここにいましょう?後のことは後で考えたらいいわ」と言い残し部屋から立ち去った。
「……何者なんだ、僕……俺は……ぐぅぅ、まただ、頭が、痛い……」
そして、痛みで再びセリスは意識を落とし寝息を立てるのであった。
……それから3日が経過した。
その日の朝、雛が様子を見に来ればベッドからセリスが消えていた。
部屋からはマーニ・カティと靴が消えており、ベッドはまだ暖かった。
「どこにいったのかしら……」
雛があちこち探していると、家の外から声が聞こえてきた。
「誰……?」
雛が外を覗いてみると、セリスが刀を素振りしていた。
木刀がないからだろう、マーニ・カティをそのまま使っていた。
セリスは雛のリボンに気付けば雛の存在に気が付き挨拶をした。
「おはよう、えーっと……」
「雛よ、鍵山雛。おはようセリス。」
「あぁ、おはよう雛ちゃん。頭痛が治まってきたから素振りをしていたんだ、ごめんよ。」
「心配させないでよ!もう……病人は黙って寝てなさいよ。」
「はははっ、大丈夫!記憶はなくても生活は出来るさ。」
そうやって他愛もない会話が続き、二人は中へ入った。
話し合った結果、しばらくセリスは雛の自宅に居候することになった。
色々わかるまでは迂闊に離れられないと言ったらあっさりと了解されたのだ。
セリスがベッドを使うため雛は仕方なく同じベッドで……
「寝てないから!ちゃんとにとりに頼んでベッドまた作ってもらったから!」
『私が悪かったから地の文に突っ込まないで!もうここで4000文字行ってて尺がいい加減ヤバいんだから!』
……とにかく、こうして雛とセリスの奇妙な同居生活が始まったのだった。
始まったばかりでこの始末、はてさて……この先どうなりますことやら。
……それと同時期、幻想郷のとある場所。
「いいわねパチェ、紅霧は大丈夫?」
「いけるわよレミィ、でも大丈夫?これは異変よ、博麗の巫女がやってくるわよ?」
「大丈夫よ、今度の満月の日……我ら紅魔館が力を示すのよ!」
「仕方ないわね……咲夜、美鈴。私は図書館にいるからそこへの誘導は頼むわね?」
「かしこまりました。美鈴、門番なんだからしっかりやるのよ?」
「わかってますよ咲夜さん!何とか抵抗してみますから頭にナイフは勘弁してくださいよ?痛いんですから……」
「だったら、必死に頑張ることね。これは妹様のためでもあるんですから」
「はーい!」
……紅霧異変の時は近い。
少女たちは、新たな異変を起こそうとしていた。
しかし………紅霧異変とセリスは、何の関係もないのであった。
「ないのかよ!てか、だったらなんで私達の会話を書いたのよ!」
『わかりましたからお嬢様まで地の文に突っ込まないで!時系列解説に必死なんですから!』
「ちなみに次回私たちの出番は?」
『美鈴さんだけ無様にやられてあとはおしまいです』
「ギルティ。」
『人殺しー。』
……というわけで、本当におしまい。
これが、鍵山雛と一人の青年の出会いなのであった。
今回使われた版権ネタ
・マーニ・カティ
ファイアーエムブレム烈火の剣にて主人公のリンが手に入れる刀、元はサカという地域にある神殿に祀られていた刀であったがリンがリキアのキアラン領に行く際に願掛けしに行った時に手に入れた。
・液晶画面が付いた機械
我々の世界のスマートフォンです。ちなみにiPhone。当然ファイアーエムブレムヒーローズインストール済。
周りにあった不思議な形の機械はDSとかです。
・雛とレミリアの扱い
いすぃ氏の東方雛ちゃんシリーズの名残で彼女たち二人だけ地の文へツッコミが出来ます。
ギャグ補正です、というかネタです。
・人殺しー。
ファイアーエムブレム紋章の謎にて戦うボスキャラ『ダール』の死亡セリフ。
ちなみに地の文さんはカジュアルモードです。
作者は常にクラシックモード。
ルナティックは遊べません、マニアック以前の縛りプレイで許して(チキン)
こんにちは、はじめまして。
ファイアーエムブレム小説書いてる人です。
息抜きに幻想入り作ったんですが主人公はファイアーエムブレムネタの塊みたいなものです。
スペカも咲夜さんの幻世『ザ・ワールド』みたいな所謂パロディ枠で2つ用意されていたりします。
息抜き小説なので更新かなり遅いですがお付き合いくださいませ。
一応東方しか知らない人のために後書きは元ネタ解説コーナーになります。
よろしくね。