魔法科高校の劣等生~Absolute Terror~   作:taipho

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プロローグ

 

「ねぇ、イオリア。何故ボクだったの?」

 

1人の青年が世間一般ではよくあるタイプの携帯端末に向かって話しかけている

 

『それは君のその特殊な精神系統魔法と机上の空論の技術を魔法によって再現できる独自性に惹かれたからだと言ったハズだが?』

 

「それはわかってるんだ。でもね、母上はボクに価値なんてないと思ってるんだよ。」

 

『大丈夫だ。ヴェーダの予測ではもうすぐ君の母上からお呼びがかかるだろう…………言ったそばからだ。たった今この端末に「本家(・・)に出頭しろ」とメールが届いたようだ』

 

「ヴェーダの予測ではどんな用なの?」

 

『君を司波兄妹(・・・・)が目立たないように隠れ蓑として国立魔法科大学附属第一高校に入学させるつもりのようだ』

 

「なるほど。どうせもう車は外にいるんだろうな………行こうイオリア。外は久しぶりだ」

 

青年は普段は外から鍵が掛かっている(・・・・・・・・・・・)部屋から5年ぶりに外に出た

 

そして青年が予測した通り車が1台止まっており、外の景色から遮断された車に乗り込み、7年ぶりとなる実家へと向かった

 

 

 

 

 

 

 

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薄暗い部屋では青年と妙齢に見える美しい女性が机を挟んで向かい合っていた

 

「……………」

 

「久しぶりね、刹那(・・)さん。何年ぶりかしら?」

 

「7年ぶりになります。ご当主様」

 

「7年ですか………時が経つのは早いですね。では早速本題です。刹那さん、貴方には我が姉である四葉深夜の子である司波達也、司波深雪両名のカムフラージュとして四葉を名乗り、東京にある魔法大学附属第一高校に入学してもらいます…………………貴方の役目は達也さんと深雪さんが四葉だとバレない様に立ち回ることだけです。……………なにか質問はありますか?」

 

「いえ。全てはご当主様の望むがままに……………」

 

「では、詳しいことは葉山さんに教えて貰いなさい。下がっていいわ」

 

「ハッ、失礼致します」

 

7年ぶりとなる血を分けた親子(・・・・・・・)の面会は12分で終了した

 

 

 

 

 

 

 

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四葉家の執事長の立場にあたる葉山に入試等の詳細を聞いた刹那が四葉本家の廊下を歩いていると前から体格のいい青年と街中で誰もが振り返るような美人の少女が並んで歩いてきた

 

「久しぶりだな、名無し(・・・)。覚えているか?司波達也だ」

 

「お久しぶりです、名無しさん。司波深雪です」

 

「えぇ、覚えています。達也様(・・・)にはよく訓練に付き合っていただきましたし、深雪様(・・・)は何かと本家では有名でしたので…………」

 

「(()………か。嘗て四葉全員が歓喜をあげて生まれた子が今ではガーディアンである俺よりも下だと言うのか…………)今日は叔母上に呼ばれて来たんだろう?」

 

「えぇまぁ。ご当主様との面会も済みましたのでコレから戻るところです。………………ところで達也様、名無しと言うのは辞めていただけませんか?今は刹那と呼ばれておりますので………………」

 

「あ、あぁ。済まないな…………(刹那がどういう意味を込めて付けられた蔑称か、知らないわけでは無いだろうに……………)」

 

青年の名である『刹那』は本名ではなく彼をある理由から疎んだ四葉真夜によって付けられた蔑称であり、意味はできるだけ早く消える事

 

青年には本名という物が無い

 

何故なら子を望めない身体となった四葉真夜が以前採取され冷凍保存されていた卵子を使い、四葉真夜の代名詞とも言える『夜』を継ぐ物として産まれて来た青年は産まれて間もない頃に四葉英作の魔法によって魔法適正が母親の『夜』では無く『精神系統』魔法の適正を持って居ると発覚

 

姉の深夜に対してコンプレックスを持っていた真夜は我が子ながら姉と同じ『精神系統』使いの青年に対して名すら付けることなく育児を放棄した

 

しかし、貴重な『精神系統』使いという事もあり四葉英作の手により青年は生かされ、兵器となるべく訓練を積むも英作の死とともに再び死を望まれるが青年の生存本能にも反応する固有の『精神系統魔法』によって如何なる方法であっても殺害することが叶わず、結局監禁と言う処分が下った

 

更にこの処分は達也が真夜の望んだ世界を滅ぼす力を秘めている為、真夜にとって青年に価値は一切無かったのだ

 

だが、ここへ来て自身のお気に入りである達也が望む進学の道の為に利用価値が生まれた

 

そのお陰で青年は7年ぶりに母親との対面が叶い、公式・非公式含めて初めて四葉を名乗ることができるのだ

 

「達也様には本当に感謝しております。貴方が第一高校に入学しなければボクが四葉を名乗ることはできなかった」

 

「……………なんとも返事に困る御礼だな……」

 

「お兄様、ここは素直にどうたしましてと言うところですよ?」

 

「そうか…………なら、どうたしまして」

 

「…………はい!」

 

その後司波兄妹と青年は入試の事など他愛ない話をしてそれぞれ自宅に戻った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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青年がイオリアと呼ばれる携帯端末内にいる存在と出会ったのは5年前────

 

青年が監禁され始めて2年がたった頃だった

 

イオリアのフルネームは『イオリア・シュヘンベルグ』

 

歴史の教科書に置いて『加重系魔法の技術的三大難問』を確立し、その実それら全てを裏で理論上実現可能まで漕ぎ着けていた男である

 

そしてそれを青年は知っている

 

だが、未だに世間ではこの三大難問は解決されていない

 

ではなぜ理論上実現可能まで漕ぎ着けていた事を知っているのか

 

それはイオリア・シュヘンベルグが最後に作り出した量子型演算処理システム『ヴェーダ』の中に自身の脳を元にした知識と人格、記憶をAIとして保存していたからだ

 

そして『ヴェーダ』が全世界の情報を手に入れる手段となるヴェーダの生体端末『イノベイド』の1人にある条件を元に人を探させた

 

最低限の基準となるのは日本の十師族並の魔法力を持っていること、十師族レベルの加重系魔法が使えること、最後に精神系統魔法に適性がある事だった

 

イノベイドは自身がイノベイドだという自覚を持たない個体も多く存在する

 

イノベイドはイオリアがAIとなった約100年前から着々と地球上の至る所に散らばっていき、四葉にも数名居るのだ

 

コレにより、四葉家内では特に秘密にすることなく公然の秘密となった青年を見つけ出したのだ

 

イオリアはヴェーダを使って青年の携帯端末をハッキングし、自身のバックアップを残して青年の携帯端末内に侵入した

 

こうして2人は出会い、共に太陽炉搭載型GNドライヴを作り上げ、5年かけて魔法の開発、GN粒子のビーム変換などを行いながら過ごした

 

青年は世界中の情報をヴェーダを通して閲覧できた

 

その為、マルチキャストを使えば理論上の技術を再現できることに気が付き、使い方によっては戦略級に匹敵する戦果を期待できるオリジナルの魔法を3つ開発した

 

全ては母親に会いたいが為に………

 

それが叶い、母親から初めて必要とされた青年はいつもよりもやる気でビーム兵器の訓練に取り組んだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして半年後、青年は四葉刹那と名乗り筆記は司波達也に続いて2位、実技は司波深雪に続いて2位の成績で次席としての入学が決定した

 

 

 

 

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