日本、宇宙人との交渉を開始する 作:R47
『コウフクとは何だ?』
『抵抗を止めることだ、そちらの条件を伺いたい』
『お前たちが我等の餌になること。
そうすれば狩りは終わり。
我らはまた別の餌場に行く』
招かれざる者
異次元からの侵略者。
こいつらは正真正銘の悪魔だ、思考形態が銀河の知的生命体とはまるで違う。
交渉という概念すら無い。
捕食者としての本能から来る習性を絶対に変えない。
科学者によると知的生物というよりは、サイオニック次元に存在するウイルスや細菌に近いらしい
パリヤン帝国と招かれざるものとの数少ない交信が成功した例にて
宇宙、そこは人類のみならず全ての知的生命体にとっての生活の場。
彼らはそこで時に平和的に、時に暴力的に生きて死んでいく。
様々な種族、信条理念を持った数多の生命体が惑星の上で繁栄し、時に争いながら発展しやがては光よりも速く進むFTL航法を発明する。
生命は遅かれ早かれ(FTL無しで星間を往くツワモノも中にはいたが)星の海へと乗り出していく。
『我ら』はかつて取るに足らない種族だった。
かつては惑星の浅く薄い海から遠く離れずに暮らしていた。
かつては野生の獣に襲われては呆気なく餌になり果てていた。
宇宙にようやく乗り出した頃、彼らの原始的な化学ロケットは薄いアルミ缶も同然だった。
だが多くの種族と同様に石器や木材、青銅器から鉄器というように彼らも一歩一歩進歩の道を歩みながらようやくにして文明の最初の一歩である星の海へと超光速で乗り出したのだった。
銀河には天孫来航とばかりに他の星からの来訪者によって文明化される種族も中にはいるが、その文明としての寿命は意外にも短い事が多い。
大抵は圧倒的な来航者の力の前に精神的に折れてしまい文明的に飲み込まれる。
彼ら弱きものは同化され、その歴史も文化も支配者の一部に組み込まれてしまうのならまだいい方。
攻撃的な文明の中には弱者を文字通り血肉とする者も多い、彼らに目をつけられた非文明の民は文字通り餌と成り果てる。
攻撃的文明の進路上にあった、どれだけの非文明が宇宙へと飛び立つ前の卵の段階で餌と成り果てたかはわからない。
だがそのような文明国同士の殺し合いなど可愛い者。
神聖パリヤン銀河帝国
惑星パリヤン(彼らの言葉では大地)の上で進化した狐型の二足歩行種族が打ち立てた帝国
聖パリヤン教を主軸とした強大な軍事帝国。
神聖歴2200年時点での人口は80億人で21世期中盤ごろの地球と変わらず
しかしその後に様々な種族と交流し、2260年頃に第一同盟の遺跡都市惑星フェン・ハバニスを発見
惑星全土を都市の遺跡が覆う巨大遺跡の発見は当時のトップニュースとなった。
遺跡調査隊を中心とした開拓者団が崩落した都市の発掘と一部インフラの再建を行う。
「瓦礫をどけるて遺跡の調査にかかるだけでも1000年はかかる」と言われていたが
精神力貪食生命体である『招かれざる者』戦争では都市の軍需工場遺跡を国家総力戦態勢のもと臣民を強制徴募で再稼働。
ついには月に一隻のペースで戦艦を建造し銀河大戦に多大な貢献をしたとして英雄惑星の称号を授かる。
2400年では都市人口約4000億人
最盛期の1兆人には未だ遠いもののその発展ぶりは
神聖歴2400年頃には辺境伯国なども含めれば臣民数は4兆人を超える
これは
かつて銀河に侵攻してきたサイオニック生命体である『招かれざる者』『プレスリン』及び全治的生命体抹殺機械のコンティジェンシーを撃退。
銀河大同盟を成立させる。
この後には『管理人』なるリングワールドを支配し(3つのうち2つは壊れてるし、残りも1/4壊れてるが)
ロストテクノロジーを使った大艦隊を擁する癖に、銀河の危機には全く立ち上がらない。
その癖いろいろイチャモンつけてくるあげく、銀河戦争では何故か暴走して無差別攻撃を始めたポンコツ機械帝国を滅ぼす。
「とっとスクラップになれ!このガラクタどもが!」という時の女帝の怒りにはかつてはパリヤン相手に戦争までしていた銀河諸国もうなづいたらしい。
後日の調査ではセキュリティソフトが少なく見積もっても500万年は更新されていない上に、以前の危機勢力の攻撃でクラッシュしたサーバーがバグまみれだったらしい。
更にリングワールド護衛艦隊があっさり全滅するとなぜか集団自殺(?)した管理人のリングワールドに足を踏み入れた調査隊はおぞましい光景を目にする。
知的生命体の避難所という触れ込みのリングワールドは数兆人収容のコールドスリープ(ただし生命維持装置はついてないので文字通り永遠の眠り)冷凍遺体安置所になっていた。
当時の女帝は『死者の尊厳への冒涜である』として太陽による宇宙葬を指示。
ひどい事故物件になっていたリングワールドだがパリヤン帝国の科学技術部によって破損箇所は修復された。
建造者によって数百万年は前に作られた特異点エンジンも修復、再稼働され今は開拓者や技術者が中心になって
数百万年は放置されていた残り二つのリングワールドも修復中されている。
とはいえ一つの居住可能人数はかなり少なく見積もっても300兆人というリングワールドが3つ
対して銀河で生き残っている人口は戦後当時は僅かに20兆人程度
リングワールドは明らかに今の我々の文明には過ぎた代物だった。
だがそれでもなお、帝国の文明復興のあゆみは止まらない。
帝国は銀河戦争以前から古代文明の残した巨大建造物を調査、戦後には軍需工場の余剰生産力を活かしてそれらを次々と復興させていった。
惑星サイズの科学調査機関であるサイエンスネクサス、長年に渡って放棄され荒れ果てていたこの知の巨人に再び活力を注ぎ込んだ我々は自信を持った。
帝国全土がこの大建設プロジェクトに熱狂しその領域に次々と巨大な建造物を建てていった。
あるいは銀河全域で50兆人とも言われる(正確な数はもはや算定不能だろう、永久に)侵略者への恐怖からか
2度と侵略者に銀河領域を侵犯させぬ堅い決意とともに参謀本部から一兵卒まで完璧に帝国軍を完全無欠の戦闘マシンへと訓練するために戦略調整センターを
銀河に侵入するものはワーム1匹見逃さないためにセントリーアレイを
銀河全域に素早く帝国艦隊を展開させるためにゲートウェイネットワークを
恒星のエネルギーを余さず帝国軍の為に捧げさせるためにダイソンスフィアを
帝国艦隊の建設のために鉱石をブラックホールから吸い上げる物質展開器を
そして帝国艦隊そのものを作り出す小惑星サイズの巨大造船所を
遂にはそれ自体が戦艦すら作り出すジャガーノート級巨大造船戦艦まで
戦後の大建設はまさに恐怖からの熱狂から生まれた、今も馬鹿げたまでに巨大な建造物が銀河のどこかでは常に建設されている。
遂には先の大戦で地表が焼き尽くされた惑星を再利用し、惑星そのものを戦艦として作り替えるという計画が今の帝国軍に大真面目に進言されたとか。
余りにも馬鹿げているようだが…帝国軍ならやりかねない…
あの大災厄が再び訪れるかもしれないという恐怖に銀河の全ての人は耐えられないのだ。
何しろ惑星そのものが偽装要塞だったコンティジェンシーがやれた事。
なら帝国軍がやってやれないはずは無いという根拠の無い楽観論が議会では堂々と通るのだから。
一方で純粋に銀河平和の為の建設も戦後復興のラッシュの中で生まれたこともここに記しておこう
星間会議場は戦後のより良い銀河平和の為に銀河各国が協調の場として
芸術体験施設は戦後の希望に満ちた世界を象徴する為に作られた
いずれも戦争の中で生まれた技術が平和にいかに貢献したかを示す良い例だろう。
銀河連邦議員の中にはかつては銀河で略奪を繰り返していた遊牧略奪帝国出身もいた。
彼らの宇宙の故郷はもうない、彼らの巨大ステーションは銀河大戦で招かれざる者により破壊され生き残ったものが僅かに難民としてフェンハバニスに辿り着いただけだ。
『あの時代はまさに何もかもが目まぐるしく変わる…そんな時代だった』
遠い目をしながら我々にそう語るのは大ハーンすらまだ即位する前の時代に生まれた最後のマローダー遊牧民の生活を知る老人だった。
猫化生物から進化したという彼らは見た目に違わず勇猛な種族だったという。
彼の全身の毛皮には数多のプラズマ放射火傷の跡が残り、彼がどんな時代を過ごしてきたかを口以上に雄弁に語っている。
『私が生まれた頃、我々マローダー遊牧民はお互いに殺し合うか他の惑星上を拠点にするドゥワマァク・・・
ああ惑星生まれの種族を当時はこう蔑んで呼んでたんだ。
とにかくそういう種族を脅して上前を掠めるかという生活だった、他にも傭兵や略奪、海賊業なんかだな。
それがずっと、ずっと続いてみんなそれが当然だと思ってた。』
聞いたことはある、ある日突然彼らを纏め上げたカリスマ的指導者。
大ハーンは彼らを突如として纏め上げ銀河征服に乗り出した。
当時のパリヤン帝国はいまだに弱体な軍事力しか持たず大ハーン帝国には全く敵わなかったらしい。
まだ銀河の端と端の遠い出来事だったから静観していたが、最悪の場合は戦わずして降伏も検討に入れられていたとか。
ハーンの死とともに帝国は空中分解し、ディアドイコイと呼ばれる後継者が4分割の戦国時代へと突入。
その国家群も今はアンビデンに殲滅されてもはや無い。
まさに諸行無常、猛き者も遂には倒れるとはこの事か。
帝国はLゲートの技術を解析し更に別の銀河領域への進出に乗り出すという。
そこには更なる未知の文明があるのだろう。
だがコンティジェンシーやプレスリンが別の銀河から来たという事は、そこにも別の文明や脅威が存在するのだろう。
だが帝国は全ての知的生命体に連邦への加盟と脅威への対策を伝えて回らねばならない。
私はこの度に他銀河で発見された前FTL文明の『地球』という原始未開惑星への連邦への加入準備を伝えられた。
発見された天の川銀河には多量の有機生命体の痕跡があると推測され、それはつまり我等の銀河を襲った危機が襲いかかってくる可能性があるという。
探検記者として新しい未開文明との出会いは非常に興味深い。
地球に到着次第記事を交信する予定である。
そこに住む宇宙人がどのような姿形をしているのか、これほどまでに興味深い事はない。
神聖パリヤン帝国発 地球宛
我々は地球上の人類種国家の内一つより条件をつけて交渉を要求する。
交渉相手の条件は以下である
1:民主主義国であり法の支配を是とする国家
2:核分裂・核融合を利用した爆発物の保有をしておらず今後も保有する意思が無い国家
3:人類種の生産経済規模で1%以上を占める国家
4:帝国軍艦艇の停泊に適した海洋のある国家
5:恒星間法の定める非道政策を採用していない国家
地球において以上の条件を満たす日本国を暫定駐留国家兼交渉相手として我々は指名する。
なお拒否、我々への攻撃・その他妨害行為は神聖帝国、銀河連邦および全銀河知的生命体への脅威行動とみなし殲滅する。
これは決定事項である、抵抗は無意味だ。