剣の皇は異界にて何を想う   作:天羽風塵

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お待たせしました!
息抜きに東京喰種を書いておりました……すんません。

そして今回の話に関わる話じゃないが先に言っておく。
オリジナル要素が無いシーンは基本的に飛ばす! それだけ! 以上!

それでは本編をどうぞ!


第9話 義妹の姉

アノスが自分の席へ戻ると、エミリア先生が言った。

 

「立候補者は起立してください」

 

先程挙手をした生徒たちが一斉に立ち上がった。

アノスを入れて五人か。個人的にはその中の一人の少女が少し気になった。

 

金髪碧眼でツインテールで、気の強そうな表情をしているのだが、背格好や顔立ちがミーシャに似ている。なにより魔力がそっくりだ。

 

「それでは班分けを始めます。班リーダーに立候補した生徒は自己紹介をしてください。それじゃ……サーシャさんから」

 

金髪ツインテの少女が、勝ち気な表情で微笑む。

 

「ネクロン家の血族にして、七魔皇老が一人、アイヴィス・ネクロンの直系、破滅の魔女サーシャ・ネクロン。どうぞお見知りおきを」

 

スカートの裾をつかみ、サーシャは優雅にお辞儀する。

それをミーシャはぼんやりと聞いているのだが、視線はまっすぐ彼女に注がれていた。

 

「ネクロンってことはあいつが?」

 

「……お姉ちゃん……」

 

「なるほど」

 

会うどころか見るのも初めてだな。

 

「母親が違うのか?」

 

アノスが訊くがそんなことはない。

 

「それなら、ミーシャは純血のはずだろ?」

 

「白服になるのは血統以外が理由のこともあるってこと」

 

「なんだ?」

 

「ネクロン家が決めたんだ。理由は訊くな」

 

純血を尊ぶヤツらがなぜミーシャを純血として扱わないのか。生憎俺はその理由を知らない。

 

「偉い人の考えることは分からん」

 

「ふむ、そういうものか」

 

「アノス君。あなたの番ですよ」

 

話している間にアノスの順番が回ってきた。

 

アノスは顔を生徒たちに向け、堂々と言い放った。

 

「暴虐の魔王アノス・ヴォルディゴードだ。言っておくが、貴様らの信じている魔王の名前は真っ赤な偽物だぞ。本当の名はアノス・ヴォルディゴードという。もっとも、信じないのだろうが、まあ、責めはしない。ゆくゆくわかることだからな。よろしく頼む」

 

アノスの自己紹介に教室がシーンと静まり返る。

始祖を自称するというのはそれだけで偽物であり、また不敬とされるのだろう。伝承された始祖の名前が違うと口にしては尚更のことだ。

 

みんなちらちらとアノスに視線を向けてきては、こそこそと不適合者がどうのこうのと話している。

 

本来なら咎める立場にいるであろうエミリア先生も、さっきのことがあったからか、軽くスルーして説明を続けた。

 

なんでわざわざ心象を悪くするかな、お前。

 

「以上で全員の自己紹介が終わりました。それでは班リーダーに立候補していない生徒は、自分が良いと思ったリーダーのもとへ移動してください。まだよく知らないでしょうから、第一印象で構いません。班には人数制限がありませんので、大人数の班になることもあります」

 

その言葉で生徒たちは立ち上がり、自らが良いと思った班リーダーのもとへ移動を始める。

 

「またいつでも班を変更することは可能です。ただし、班リーダーは班員を班に入れるかどうか選ぶことができます。また班員が一人もいなくなった場合、班リーダーは資格を失います」

 

「なあ、おい。どうする?」

 

「やっぱり、サーシャ様の班だろ」

 

「そうね。破滅の魔女って言ったら、混沌の世代でも有望株よ。彼女こそ転生した始祖に違いないって噂されてるもの」

 

「ええ、わたしもよく知ってるけど、とんでもない魔力と魔法の持ち主よ」

 

薄々感づいてはいたが、やっぱサーシャも混沌の世代の一人か。

始祖の生まれ変わりと噂されるからにはなかなか魔力があるんだろうな。

 

その証拠に、生徒の大半はサーシャのもとへ移動している。

 

隣にいたミーシャが立ち上がる。

一瞬、サーシャの方へ視線をやり、次に無表情のままアノスを見た。

 

「姉のもとへ行きたいなら、行っていいぞ」

 

ふるふるとミーシャは首を振った。

 

「……アノスの班がいい……」

 

「そうか?」

 

「……ん……」

 

「それは助かる」

 

するとミーシャは俺の方を向いて言った。

 

「……キリヤも一緒……」

 

元々そのつもりだったんだがな。

 

「別にいいぞ」

 

「お前もか。助かる」

 

こいつの下にいた方が得しそうだし。

 

「……友達だから……」

 

「そうだな」

 

しかし、これでようやく班員が二人か。これで一応班としては成立するけども、さて、どうしたものか。

 

すると金髪の少女、サーシャがこちらに近づいてきた。

 

「ごきげんよう。アノス・ヴォルディゴードだったかしら?」

 

「ああ」

 

 彼女は一瞬、ミーシャに視線をやった。

 

「あなた、まだ班員が二人しかいないようね。それも、そんな出来損ないのお人形さんと得体の知れない男を班に入れるなんて、どうかしてるんじゃないかしら?」

 

「出来損ないのお人形というのはミーシャ、得体の知れない男というのはキリヤのことか?」

 

「それ以外にあるのかしら?」

 

ふふっと嘲笑うかのようにサーシャは俺を見下してくる。

 

「知ってる? その子ね、魔族じゃないのよ。でも、人間でもないの。さっき言った通り、出来損ないのお人形さん。命もない、魂もない、意志もない。ただ魔法で動くだけのガラクタ人形よ」

 

言い終えるとサーシャは今度は俺の方を見た。

 

「そしてそっちの男は庭に突然出現した()()。そう。人間なのよ。なのに少し目を離してもう一度見たら魔族になってた。結局人間なのか魔族なのかも分からない」

 

「それがどうした?」

 

「……どうしたって……」

 

「魔法人形に命も魂もないと考えるのは、魔法概念の理解が浅すぎる。もっと魔眼()を凝らして、深淵を見ることだな」

 

一瞬驚いたような表情を浮かべ、サーシャはそれでも不敵に笑った。

 

「そんな呪われたお人形さんと一緒にいたら、わるーいことが起きるんじゃないかしらって忠告してあげたのよ。ね。わかるでしょ?」

 

「くくく、くはははは。なんだ、それは、脅しか? この俺を?」

 

すると、サーシャがキッとアノスを睨む。

 

「ねえ。あなた。死にたいのかしら?」

 

サーシャの碧眼に魔法陣が浮かぶ。

 

アノスの様子を窺っていた生徒が慌てたように言った。

 

「おい、やばいぞ、あいつ。サーシャ様とあんなに目を合わせたら……?」

 

「……どういうことだ?」

 

「知らないのか。サーシャ様の魔眼は特別だ。<破滅の魔眼>と言われ、その気になれば視界に映るすべてのものの破滅因子を呼び起こし、自壊させる。サーシャ様が破滅の魔女と呼ばれる所以だ」

 

へー、そんなものあるんだ。ミーシャといい、サーシャといい、ネクロン家は魔眼に特化した魔法特性を持っているようだな。

 

だが、アノスにはまるで効いている様子がない。

 

「……そんな……」

 

「どうした? 睨めっこはもう飽きたか?」

 

アノスの瞳に魔力がこもり、魔法陣が描かれる。

 

「その目……嘘でしょ……あなた……」

 

「なんだ? お前にできることが俺にできないとでも思ったか? それに一つ指摘しておいてやろう。<破滅の魔眼>の使い方がなっていないぞ。見せてやろう。これが真の<破滅の魔眼>だ」

 

「……あ……あ……」

 

教室にあるものはなに一つ壊れていない。サーシャも一見して無傷だ。

 

「信じられねえ……あいつ、サーシャ様と目を合わせて平然としてやがる……」

 

「……わたし、前にサーシャ様が<破滅の魔眼>を出していたときにうっかり目を合わせたら、それだけで一年は目が覚めなかったのに……」

 

「どういうことだよ? あいつは白服で、しかも不適合者のはずだろ? 魔法術式の知識だけじゃなく、反魔法までズバ抜けてるなんて……」

 

分かっちゃいたけどやっぱ騒がしくなったな。面倒くさい。

 

この騒ぎを鎮めることもできなくはないが……俺の()()()()()はあまり使いたくないしな。まだ制御できてない。

 

「……実は、箝口令が敷かれているからここだけの話なんだが、俺は入学試験で見たんだ。アノスがあのリオルグ様を瞬殺するところ……」

 

「ええっ……!? あの、魔大帝を……瞬殺っ!?」

 

「その前にゼペスも軽く殺していた」

 

「殺したって? 本気で? 殺したのっ!?」

 

「ああ、その後、生き返らせたんだ」

 

「生き返らせたっ!?」

 

「それでまた殺したんだ」

 

「また殺した……」

 

「ゼペスは腐死者(ゾンビ)とかいうのになって、リオルグ様を消し炭にしたんだ」

 

「そ、そんなことが」

 

「……あれ? でも、あたし、入学試験の後にリオルグ様を見た気がするけど……」

 

「結局、二人とも生き返ったんだ……」

 

「なにがなんだか、わからないわ……」

 

そろそろ止めといた方がいいかな。

 

「そろそろやめとけ、アノス。騒ぎがデカすぎるとお前のためにもならねぇぞ」

 

「ふむ、一理あるな。おい、いつまで惚けている。自壊したのは心の表層だけだ。気をしっかり持て」

 

アノスはサーシャの頭を軽く撫で、精神を起こしてやる。

はっと気がついたように、彼女の目がアノスを捉えた。

 

「……あなた、何者なの……?」

 

「自己紹介は済ませたはずだが?」

 

アノスは不敵に笑ってみせる。

彼女は悔しそうにアノスを睨んだ。

 

「ところで、サーシャ。まあまあの魔力を持っているようだが、俺の班に入らないか?」

 

思いもよらない台詞だったか、彼女は目を大きく見開き、絶句したのだった。

 

え? こいつ何言ってんの?




・■■の魔眼

キリヤがこの世界に来てから発現した魔眼。
本人以外には詳細が把握できず、キリヤが声に出して魔眼の名前を言っても常人が聞けば昏倒するほどのノイズが走り、紙に書いてもなぜか本人以外には読めず、それどころか見続けるほどシャレにならないレベルで精神が削られていき、終いには発狂して廃人化、酷ければ死ぬ。
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