ハイスクールD×D 銀ノ魂を宿し侍   作:イノウエ・ミウ

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ドッチボールで顔面セーフがあるけど、絵面的にはアウト

歓迎パーティーから数日後。

オカルト研究部の面々はいつも通り部室でくつろいでいると、リアスが陸兎、一誠、アーシアの三人に話しかけてきた。

 

「使い魔ですか?」

 

「えぇ。イッセー、アーシア、貴方たち二人には使い魔と契約してもらうわ。陸兎の方は契約しなくても問題ないけど、オカルト研究部の部員として活動する以上、使い魔と契約しておいて損は無いと思うわ」

 

使い魔というのは、悪魔にとって必要不可欠な存在であり、偵察や監視、相手の追跡など主をサポートする役割を持っている。

そのことについて、三人に説明していると、部室の入口から声がした。

 

「失礼します」

 

入口の扉が開かれ、部室に入って来たのは生徒会長のソーナを始めとする生徒会の面々だった。

生徒会の突然の来訪にオカルト研究部の面々が疑問に思う中、唯一生徒会の事を知らないアーシアが一誠に問いかける。

 

「あのー・・・どちら様でしょうか?」

 

「あのお方は生徒会長、支取蒼那先輩だよ。それに副会長の真羅椿姫先輩や生徒会長補佐の十門寺剣夜、副会長補佐の七星麗奈ちゃん、つか、生徒会のメンバー全員いるじゃねぇか!?」

 

驚く一誠をよそに、リアスがソーナに来訪の目的を問う。

 

「眷属全員お揃いでどうしたのソーナ?」

 

「お互い下僕が増えたことだし、ご挨拶をと」

 

ソーナから下僕という言葉を聞いて、疑問に思った一誠が隣にいた朱乃に問いかける。

 

「えっと・・・生徒会長って、もしかして凄いお方ですか?」

 

「イッセー君、この方の真実のお名前はソーナ・シトリー。上級悪魔シトリー家の次期当主様ですの」

 

「マジかよ!?前に十門寺と一緒に部室に来た時、悪魔関係の人だとは思っていたけど、そんな凄い人だったなんて・・・」

 

「ついでに言やぁ、剣夜とは小さい頃からの幼馴染らしいぜ。つーか、剣夜。なんか生徒会全員いるみてぇだけど、この感じだと、他の奴らにもお前と麗奈の事を話したのか?」

 

「まぁね、一応この町で十天師として活動することになった以上、こちらも正体を明かしておかないとね」

 

どうやら、生徒会の人間も剣夜と麗奈が十天師であることを知ったようだ。

朱乃と陸兎から説明を聞いて、一通り納得した一誠。その様子を感じたソーナは最近悪魔に転生させた自身の眷属の紹介をする。

 

「紹介するわ。彼は匙元士郎。最近、私の『兵士』になったわ」

 

「へぇー、俺と同じ『兵士』か。よろしくな」

 

同じ『兵士』として、親睦を深めようと一誠は匙に挨拶した。

しかし、匙は何処か小馬鹿にしてるかのような顔で返す。

 

「俺としては、変態三人組の一人であるお前と同じにされるなんて、酷くプライドが傷つくんだけどな」

 

「なっ!?なんだとテメェ・・・!」

 

「お、やるか?俺は駒を四つも消費した『兵士』だぜ」

 

「つまり、ただのモブキャラじゃねぇか」

 

陸兎が呟いた言葉に匙は顔をしかめながら陸兎に目線を向ける。

 

「なんだお前は?いきなり人をモブキャラ呼ばわりしやがって、失礼な奴だな。つか、よく見たら問題児の八神陸兎じゃないか。まさか、悪魔だったとはな。問題児のお前に相応しい役職だな。なんなら、この場で退治してやろうか?『兵士』の駒を四つも消費した俺の力でな」

 

「はっ!たかがボードゲームの駒の数だけで勝敗が決まれば、世の中に苦労なんて言葉は生まれねぇよ。それに、俺はグレモリー眷属でも悪魔でもねぇよ」

 

陸兎の発した悪魔じゃないという言葉に、陸兎を悪魔だと思っていた匙は目を丸くする。

そんな彼に向かって、リアスが説明する。

 

「彼は八神陸兎。普段は問題児だけど、裏の顔は十天師よ」

 

リアスから紹介されて、匙は再び陸兎に目線を向け、今度は驚いた顔で陸兎を見た。

 

「えぇ!?十天師って、会長が言ってた憎き十門寺剣夜や麗奈ちゃんと同じ、異形にとって驚異となりうる存在で絶対に戦ってはいけないと言われている最強の退魔師!?」

 

「そうよ。今の貴方が戦っても、絶対に彼に勝つことはできない」

 

「そ、そんなのやってみないと分からないじゃないですか!大体、こんなガサツで態度が悪い奴が十天師なわけ――」

 

「あ"ぁ?」

 

「ひっ!?」

 

あまりにも甞められていた為、陸兎が少しばかり威嚇すると、匙は顔を青くしながら素早くソーナの後ろに隠れ、そのままソーナの後ろで震えていた。

その様子を見て、ソーナはため息をつくと、頭を下げた。

 

「ごめんなさい、八神君。それと兵藤君も。私の眷属が無礼な態度を取って」

 

「か、会長!?こんな奴らに謝る必要なんて――」

 

「黙りなさい、匙。元はと言えば、貴方が最初に兵藤君にとった態度からして、こっちに非があるのは明白よ。あれは挨拶をしてきた人に対して、取っていい態度では無いわ。分かったら、貴方も二人に謝りなさい」

 

「・・・悪かったよ」

 

そう言って、匙も頭を下げたことで、この場はひとまず収まった。

 

「ところでリアス。一つ聞きたいのだけど、来週使い魔のことで彼に依頼するつもり?」

 

「えぇ、そのつもりよ。もしかして、ソーナの所も?」

 

リアスの問いに頷くソーナ。

二人の言う彼という人物は使い魔を手に入れるに当たって必要な人物だが、依頼できるのが月に一回と非常に少ない。

どちらが先に依頼するかでお互い頭を悩ませ、しばらく経った後にリアスが提案した。

 

「ここは一つ、勝負でもして、勝った方が彼に依頼できる権利を得るでどう?」

 

「勝負?もしかして、レーティングゲームでもする気?」

 

ソーナの問いにリアスは「まさか」と言うと、キリッとした顔で言った。

 

「ここは高校生らしく、スポーツで決めましょう」

 

その後、話し合いによりオカルト研究部VS生徒会のドッチボール対決で勝った方が先に依頼できることになった。

ん?テニスの試合はどうしたのかって?特にアニメと変化無いからカット。気になる奴はアニメか原作見ろ。

 

 

 

 

生徒会との遭遇から数日経った金曜の夜、ドッチボールの時間がやってきた。

 

「これより、生徒会対オカルト研究部との試合を始めます」

 

陸兎を含む部員全員が参加しているオカルト研究部に対して、生徒会はオカルト研究部より人数が多い為、麗奈ともう一人が審判を務めている。

 

「ハッ!」

 

「ぐっ!」

 

生徒会の女子のボールが小猫の腹部に掠り、着ていた体育着が破れた。

 

「小猫ちゃん!?」

 

「問題ありません。掠り傷です」

 

「お前自身に問題無くても、その貧相な体が丸見えになってんぞ。見ているこっちが恥ずかしいから、さっさとこれ着ろ」

 

「・・・ありがとうございます。でも、貧相は余計です」

 

そう言いながら、小猫は陸兎のジャージを着ながら外野へと向かう。

その後の試合は白熱していた。時には魔力を駆使して、体育館の窓ガラスが割れるぐらいのレベルまで盛り上がっていた。

しかし、そんな熱い試合をしているにも関わらず、未だに動かない者が二人いた。

両チームの中で唯一の人間である陸兎と剣夜である。

先程から、彼らは自分の方にボールが来た時だけは避けているが、それ以外は一向に動く気配がない。

一向に動く気配のない陸兎を見て、ソーナは狙いを陸兎に定める。

 

「くらいなさい!シトリー流バックスピンシュート!!」

 

「よっと」

 

ソーナが投げたボールを難なく躱した陸兎。

しかし、ボールは陸兎の後ろを通った瞬間、軌道を変えて、陸兎に向かって再び迫ってきた。

追尾してくるボールを躱し続ける陸兎。しかし、ソーナが投げたボールは勢いが衰えることなく、軌道を変えながら次々と陸兎に迫っていた。

しつこい追尾に痺れを切らした陸兎は一誠の近くに寄ると、彼に声を掛ける。

 

「たく、しつけぇなー。こうなったら・・・イッセー!合体技だ!」

 

「お、おう!合体技・・・合体技!?」

 

合体技と言われたが、陸兎と合体技をした覚えがない一誠は戸惑う。

そんな一誠の後頭部を掴んだ陸兎は追尾してくるボールの前に一誠を置きながら叫ぶ。

 

「行くぜ!これが俺とイッセーの合体技!必殺!ガードベント!!」

 

「ちょ、おま!?あうっ!」

 

後頭部を掴まれ、逃げることができなかった一誠は、自身の象さんにボールがクリティカルヒットし、象さんを抑えながら悶絶した。

周りが啞然と見守る中、陸兎は悶絶している一誠を見て一言。

 

「・・・良し」

 

「良しじゃないでしょう!」

 

同じ部活のメンバーを平然と盾にした陸兎にリアスがツッコんだ。

 

「落ち着け部長。よく言うだろ、近くにいたお前が悪い」

 

「貴方が近くに寄ったからでしょう!王蛇ネタで誤魔化そうとしない!」

 

「心配すんな。当たったのが顔面だったら絵面的にアウトだったけど、股間に当たってくれたお陰で絵面もセーフだし、イッセーにとっては修行にもなって、正に一石二鳥じゃねぇか」

 

「全然一石二鳥じゃないでしょう!股間に当たっても絵面的には十分アウトよ!ていうか、股間にボールを当てることのどこが修行なの!?」

 

「バカヤロー!股間は男にとって象徴でもあり、最大の弱点でもあるんだ。そこを鍛えずして何を鍛えろという!部長、今度の部活の時にイッセーの股間に思いっ切りスパーキングしてやってください。そうすれば、あいつは必ず強くなれる」

 

「そ、そうなのかしら・・・今度、試しにやってみましょうかしら?」

 

「や、八神、テメェ・・・覚えてろよ・・・!後、部長・・・その特訓方法、絶対に間違っていますから止めてください・・・俺の股間が死にます・・・」

 

陸兎の気迫に押され、思わぬ勘違いをしそうになったリアスを、一誠が悶絶しながら止めようとした。

一誠が股間をアーシアによって治療している間、陸兎は落ちてあるボール拾い、目線をコートに残っている生徒会の面々に向けた。

 

「さてと、イッセーと会長のお陰でアップも済んだし、早いとこ終わらせて、さっさと寝るとしますか」

 

遂に陸兎が動き出し、コートに残っているソーナと匙は緊張しながら陸兎を警戒していた次の瞬間

 

ブンっ!

 

「!?」

 

突っ立っていた匙の腹に突如ボールが直撃し、ボールはその勢いが止まることなく、匙ごと後ろへと飛んでいき

 

バーン!

 

体育館の壁を壊して、外に飛び出た。

そして、外まで吹き飛ばされた匙は、体育館から少し離れた場所でようやく背中に地面が着き、停止した。

 

「え・・・?」

 

一瞬の出来事にソーナは何があったのか分からず、穴が空いた壁と外で倒れている匙を呆然と見る。

他の面々も呆然として空いた壁とその奥で倒れている匙を見つめる中、陸兎は腕で汗をふく動作をしながら一言。

 

「フゥー・・・良し!準備運動終わり!今から、本気出すわ」

 

この時、グレモリー眷属とシトリー眷属の面々はこう思った。

 

『(陸兎(八神)君だけは、絶対に敵に回したらダメだ・・・!)』

 

敵に回せば、必ず自分たちは滅される。両者の心情が見事に一致し、顔を青ざめながら陸兎を見つめていた。

そんな彼らと違い、外に倒れていた匙を審判を務めている麗奈の横に置いた剣夜は陸兎の方に目線を向ける。

 

「やってくれたね。まさか、去年よりも更にパワーアップしているなんて・・・驚いたよ」

 

指先でボールを回転させながら呟いた剣夜はボールを手に持って構える。

 

「それじゃあ・・・次は僕の番と行こうか」

 

そう言った次の瞬間、剣夜は陸兎たちの方ではなく、体育館の壁に向かってボールを投げた。

剣夜の行動の意図が掴めず、陸兎以外の面々が目を見開きながら疑問に思う中、壁に向かっていたボールは壁にぶつかった瞬間、強烈なスピンを生みながら跳ね返り、天井へ向かっていった。

更に天井にぶつかったボールは今度は壁にと、こんな感じに剣夜が投げたボールは壁やら天井やらで跳ね返り続けながら、体育館をあちこち飛び回り、最終的にリアスの方へと迫って来た。

リアスは咄嗟に魔法陣を展開し、受け止めようとしたが

 

「!? 回転が強すぎる!・・・キャ!?」

 

強力なスピンにリアスは己の魔法陣で受け止めることができず、自身の体にボールがぶつかり、更に強力なスピンによって、ジャージがビリン!と破け、下着のみとなった。

 

「いや~ん!」

 

「キャ!?」

 

リアスにぶつかったボールは、今度は朱乃に向かい、彼女は成す術も無くアウトになり、着ていたジャージが破ける。更に、今度はアーシアへと迫り、彼女も抵抗する暇もなくスピンボールの餌食となった。

そして、三人をアウトにしたボールは、そのまま地面で回転し続け

 

パシッ!

 

外野にいた椿姫の手元にピッタリと収まった。

 

「い、一気に三人もアウトにするなんて・・・これが、最強の退魔師の力・・・!」

 

丸見えとなった己の体を両腕で隠しながら悔しそうな顔で呟くリアス。

一気に三人もアウトになり、残り一人となってもう後が無いオカルト研究部。

 

「これで残りは陸兎一人だね」

 

「おいおい、何勝った気でいるんだ?勝負は最後の一秒まで分からないって言うだろ?例えば・・・'バシッ!'・・・試合中、たまたまお前の頭上を飛んでたはぐれ悪魔がその場で糞をして、その糞がお前の頭上に落ちてくることだってあるかもしんねぇぞ」

 

「ハハハ、流石にそんなことはないと思うな。カラスじゃあるまいし」

 

しかし、こんな状況であるにも関わらず、陸兎は余裕な態度を剣夜とソーナに見せる。ついでに、話している隙をついて、椿姫が魔力を込めて投げたボールをノールック(しかも片手)でキャッチし、それに対して、椿姫が体育座りで落ち込んでいたのを他の生徒会のメンバーが宥めていた。

 

「ウシッ!・・・行くか・・・!」

 

「・・・下がってて、ソーナ」

 

陸兎の雰囲気から、ただならぬ力を感じた剣夜はソーナを後ろに下がらせ、自身は前に出てボールを受け止めようと体制を整える。

陸兎はボールを持ちながら、一度コートの後ろまで下がると、そこから勢いよく剣夜に向かって走り出した。

そして、相手コートのライン間近で足を踏み込んだ瞬間、踏み込んだ床にひびが入り

 

「チェストォォォーーーーーー!!!」

 

陸兎は叫び声と共に渾身の一球を投げた。

常人の目では見えないくらいの速さで迫るボールを、剣夜は何とかキャッチしたが

 

「ぐっ!?」

 

あまりにもパワーが強すぎて、剣夜は匙同様、ボールごと後ろに飛ばされ、体育館の壁を突き破った。

しかし、それだけでは終わらなかった。ボールは勢いが衰えることなく更に向こうへ進んでいき、遂には校舎の壁をも突き破った。

それも、一回だけでなく次々と壁を突き破っていき、一番奥の壁が壊れた直後

 

どっかーん!!

 

高い衝撃音が響き渡り、それ以降何も聞こえることはなかった。

あっという間の出来事に誰もが呆然となり、静かになる体育館。そんな中、一誠が恐る恐る聞いてくる。

 

「な、なぁ、八神。十門寺、死んでないよな?」

 

「何言ってんだ?死んだに決まってんだろ。何せ、俺の愛と怒りと悲しみが混ざったヤッベーボールだからな。これで死ななかったら、最早人間辞めて――」

 

その瞬間、体育館の壁が破壊され、強力なスピンがかかったボールが陸兎に迫った。

陸兎は即座に反応し、そのボールを両手で受け止めたが

 

「う、うおぉぉぉぉぉ!?」

 

手元にあるボールがキャッチしているにも関わらず強力なスピンをしており、そのスピンの力によって、ボールは陸兎ごと上へ上がり、体育館の天井を貫いた。

 

「やれやれ、前までは校舎の壁で止まったけど、まさか、校舎の壁を全て壊すなんてね・・・」

 

そして、壊された壁の穴から、ジャージがボロボロになっている剣夜が姿を現した。

ジャージに付いた土や葉を払っている剣夜に、ソーナが恐る恐る問いかける。

 

「ね、ねぇ、剣夜。貴方、何したの?」

 

「さっき飛ばされた場所から、ボールを投げただけだよ。飛ばされた場所から陸兎にたどり着くまでの軌道や回転の威力を計算しながらね」

 

そう言いながら、晴れやかな顔で戻って来た剣夜だが、周りは二人が次々と繰り出す神業に最早何も言えなくなっていた。

そんな中、夜空へ飛ばされた陸兎が地面に着地すると、剣夜を睨みつける。

 

「おいおい、去年よりも上へ上がる高さが上がってんじゃねぇか。危なく、天界まで旅行するところだったぜ・・・いいぜ、俺もまだまだ本気だしてねぇからな。そのムカつくにやけ顔を歪ませてやるよ」

 

「フッ、かかってきなよ。今日こそ、僕が勝たせてもらうよ」

 

その後の描写は敢えて書かないが、お互いに火花を散らせ合う二人は、どちらかが再起不能(アウト)になるまで全力で戦闘(ドッチボール)を楽しんでいた。

そして、リアス達は化け物二人の戦闘(ドッチボール)に巻き込まれないよう、必死に逃げるのであった。

 

 

 

 

夜が明けて、太陽の日が昇り、辺りが明るくなり始めた頃、決着は遂についた。

 

「「ハァ・・・ハァ・・・」」

 

最早体育館の原型をとどめていない瓦礫の地面で、ボロボロの状態で大の字に倒れる陸兎と剣夜。

 

「・・・結果はドローだな」

 

「そう、だね・・・」

 

そんな二人の間にはボールの原型をとどめていないこげ茶色の何かが置かれている。

超人二人の凄まじい投球に耐え切れなくなったボールは最早使い物にならず、オカルト研究部VS生徒会のドッチボール対決の結果はドローという形で幕を閉じた。

しばらく倒れていた二人だが、やがてゆっくりと立ち上がり、お互いの顔を見る。

 

「たく、しばらくやれねぇ内に回転の力が上がりやがって。いったいどんな体してんだテメェは?」

 

「君こそ、前はあそこまで飛ばなかったよ。そんな風になるまで体を鍛えて、いったい何を目指しているつもりなんだい?」

 

両者愚痴を言い合っていた二人だったが、再びお互いの顔を見合わせると、笑みを浮かべた。

 

「次は俺が勝つ」

 

「それはこっちのセリフだよ。その日が来るまで負けた時の言い訳を考えておくんだね」

 

次は俺が勝つと熱い友情を胸に二人は体育館を立ち去ろうとした。

 

「「貴方たち・・・」」

 

だが、そんな二人の前にリアスとソーナが怒りのオーラを漂わせながら立った。

 

「随分、楽しそうに暴れてくれたわね。こっちは巻き込まれないよう必死に逃げてたのに、人の気も知らないで・・・!」

 

「学校がめちゃくちゃになったじゃない・・・どう責任を取ってくれるのかしら・・・?」

 

オーラを剝き出しにしながら完全にお怒りの様子のリアスとソーナ。

そんな二人に対して、陸兎と剣夜はお互いの顔をしばらく見つめ、顔を戻したと思った次の瞬間

 

シュッ!

 

『神速』でその場から消えるように逃走した。

 

「あ!逃げたわ!」

 

「待ちなさい!逃がしはしないわ!」

 

何としても捕まえようと、リアスとソーナが背中に黒い羽を出現させた次の瞬間

 

どっかーん!!

 

突如、衝撃音が響き渡り、辺りに砂煙が舞い上がる。

何事かと思い、二人が段々と晴れていく砂煙を眺めていると、晴れてきた砂煙から、上半身が瓦礫に突き刺さって、犬○家と化した陸兎と剣夜が現れた。

 

「全く・・・ダメですよ。陸兎さんも剣夜様も。人に迷惑を掛けたんですから、しっかりと反省しないと」

 

そして、二人が飛んできた方向から、麗奈が微笑みながらやって来た。

微笑みながらこちらに向かって歩いてくる麗奈。しかし、その後ろにはリアス達のような怒りのオーラとは違い、冷たく、けれども、力強く恐怖を感じる絶対零度のオーラが漂い、この場にいる誰もが、そのオーラに圧倒され、動けずにいた。

 

「それではリアス部長、支取会長。後の事はよろしくお願いします。あ、剣夜様の方は一時間後、取りに行く予定ですのでそのつもりで」

 

「「あ、ハイ」」

 

リアスとソーナにそう伝えると、麗奈は去っていった。

残った面々はただ呆然としていたが、とりあえず、陸兎と剣夜はそれぞれのリーダーから1時間程説教を食らい、剣夜は十門寺家総出で体育館と校舎の壁の修復、陸兎は旧校舎の掃除を一人(朱乃の監視付き)でするという罰が下された。

ちなみに、使い魔の件だが、試合はドローだったが、オカルト研究部の方が使い魔を持っていない眷属が多い為、先に依頼する権利を手に入れることとなった。

そして、オカルト研究部と生徒会との間で一つの方針ができた。

この学園で一番敵に回してはいけないのは麗奈であると。




次回は陸兎の使い魔が登場します。

陸兎の使い魔どっちがいい?

  • 定春
  • オリジナル使い魔
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