ハイスクールD×D 銀ノ魂を宿し侍   作:イノウエ・ミウ

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修行パートは重要だが、十年も続けば人生の10%は損する

ライザーがやって来た翌日、リアス達オカルト研究部の面々は現在山を登っていた。

 

「ぜぇ・・・ぜぇ・・・」

 

一誠は大量の荷物を背負いながら息も絶え絶えと登っている。

 

「イッセーさん、少し持ちましょうか?」

 

「ダメよアーシア。これも修行のうちよ」

 

見かねたアーシアが荷物を少し持とうとしたが、リアスに止められた。

一誠は気づいていないが、彼は大量の荷物に加えて、荷物の上に手を置いてぶら下がるように寝ている定春も背負っている為、原作以上に修行していた。

 

「お先に」

 

「あばよ、とっつぁん」

 

「待ちやがれ・・・イケメン共・・・!」

 

「お先に失礼します」

 

「な、なんだと・・・!?」

 

木場と陸兎に追い越され、一誠は必死に追いかけようとしたが、直後に後ろから追いついてきた小猫が自分の倍以上はある荷物を背負って歩いているのを見て絶句した。

そんな一誠を無視し、荷物を背負っている三人は会話し始める。

 

「それにしても、凄いですね陸兎先輩。この荷物、普通の人間なら背負って歩くだけでも不可能なのに、それを軽々と持ち歩くなんて・・・」

 

「そうだね。いつごろから鍛えているんだい?」

 

「五年くらい前だ。そっから今日に至るまでずっと鍛えてら」

 

「五年か・・・僕も悪魔に転生して、それくらい経つけど、こうも差があると少し自信を無くすよ」

 

「無くすのはテメェの勝手だが、本当に大事なモンだけは無くさないようにしろよ。それに、強くなんなきゃ、護れるモンも護れねぇしな・・・ところで部長。駒王町から結構離れたが、いったいどこに向かってんだ?」

 

そう言いながら、リアスの方を見ると、リアスは後ろに振り向いて答えた。

 

「グレモリー家が所有してる別荘よ。この先を進んだ所にあるわ」

 

「なるほどな・・・ん?ここら辺って確か、少数のあやかしが住んでるって聞いたぞ。住処の近くで勝手に修行したら流石にマズくねぇか?」

 

「そこら辺は大丈夫よ。山に住んでいる妖怪さん達には、予め事情を説明して、十日間別の山に住んでもらうようお願いしてあるから」

 

どうやら、あやかしの事に関しては問題なかったようだ。心配事も杞憂に終わって、リアス達は道を進んでいく。

しばらく歩いて、やっと別荘らしき建物にたどり着いたが・・・

 

「む、無駄にでけぇ・・・」

 

そこにあったのは、別荘というより、お偉いお坊ちゃまが住んでそうな豪邸だった。巨大な建物の横には巨大なプールもあり、数千万は軽くいってそうな価格の物件であった。

 

「おいおい、これホントに別荘なの?どっからどう見てもスネ夫の家、いや、スネ夫の家以上だぞこれは」

 

予想だにしなかった別荘を見て、ドン引きする陸兎。

その時、遅れて一誠がやって来た。

 

「ぜぇ・・・やっと着いた・・・」

 

「お疲れ様です、イッセーさん。定春くんもおはようございます」

 

「え?定春?」

 

アーシアから聞こえた定春という言葉に一誠は疑問を浮かべながら荷物を降ろして後ろを見ると、荷物にぶら下がった定春が大きなあくびをしていた。

 

「定春テメェ!いつから乗っていやがった!?」

 

「山に登る頃からよ。修行になると思って、敢えて黙っておいてたけど、どうやら、いい修行になったみたいね。さて、早く着替えて修行を開始しましょう」

 

「ぶ、部長・・・悪魔ですか・・・?」

 

「悪魔よ」

 

 

 

 

レッスン1、木場と剣の稽古

 

「剣の動きだけじゃない、相手の動きもよく見るんだ」

 

「くっ!でぁーーー!」

 

「遅い!」

 

木場に向かって大きく振りかぶった一誠だが、木場はその隙をついて木刀を叩き落とすと、そのまま一誠の頭に木刀を振り下ろした。

 

「ぐぁ!」

 

木刀をもろに食らって、その場に倒れる一誠。

陸兎は倒れた一誠を一瞥すると、一誠が持っていた木刀を手に持って木場の前に立つ。

 

「次は俺とだな。言っとくが、俺相手に手加減はいらねぇぜ木場」

 

「勿論、そうさせてもらうよ!」

 

そう言うと、木場は先程までとは違う『騎士』本来のスピードで陸兎に斬りかかる。

対する陸兎は表情を変えることなく、淡々と木場の攻撃を防いだ。

 

「お前の剣は確かに早ぇが、それだけだ。お前の動きから、お前の攻撃パターンを予測すりゃこれくらい簡単に見切れる」

 

「なるほど・・・勉強になるよ!」

 

陸兎に言われながらも、木場は再び攻撃を仕掛ける。

その後も木場は持ち前のスピードで幾度も攻撃するも、陸兎は全て防いだり、体を捻って躱したりしている。

その様子をリアス達は感心しながら見ていた。

 

「流石ですわね」

 

「えぇ、『騎士』である裕斗のスピードと互角に渡り合うなんて・・・」

 

「いいえ、それだけじゃありません。陸兎先輩、さっきから一歩も動いてないです」

 

小猫に言われ、リアス達は陸兎の方を見ると、言われた通り、陸兎は先程から後ろに振り向きながら木場の攻撃を防いだりしているが、自分から仕掛ける素振りはしてない上、その場から一歩も動くことすらもせず、黙々と攻撃を防いでいる。

それは、木場の剣が早すぎで防ぐのが精一杯という理由じゃない。一歩も動いていない事と先程から変わらない表情から、明らかに陸兎が本気を出していないことが見受けられる。

木場も手を抜かれていることを感じて、顔色に焦りが見えてきた。

そして、木場が剣を大きく振りかぶった瞬間、陸兎が動いた。

 

シュッ!

 

『神速』で木場の後ろに回り込み、その勢いのまま木刀を横に振った。

 

「!? 後ろ!」

 

「遅ぇ」

 

「ぐっ!」

 

木場は何とか反応したものの、防ぐまでには至らず、脇腹に木刀をくらい、地面に倒れた。

陸兎は木刀を下ろすと、立ち上がろうとしてる木場の下へ歩み寄る。

 

「悪ぃ、少し強く振り過ぎた」

 

「・・・いや、大丈夫だよ。もう一戦いいかい?」

 

立ち上がりながら再戦を求める木場に無言で頷く陸兎。

その後、復活した一誠も加わり、レッスン1はいつの間にか、陸兎との稽古に成り代わっていた。

 

 

 

 

レッスン2、魔力の操作

 

「魔力は体全体を覆うオーラから流れるように感じるのです。意識を集中させて、魔力の波動を感じるのですよ」

 

「できました!」

 

悪戦苦闘してる一誠の隣でアーシアの手のひらに緑色の魔力の塊が浮かんでいた。

 

「あらあら、やっぱりアーシアちゃんには魔力の才能があるのかもしれませんね」

 

アーシアの魔力の才能に感心していた朱乃は、机に置いてある水の入ったペットボトルに魔力を流し込むと、ペットボトルの水が氷のトゲになって、内側からペットボトルを突き破った。

 

「慣れれば、何もない所から火や水、雷などを操ることができますわ。アーシアちゃんは次にこれを練習してください。イッセー君は引き続き、魔力を集中させる練習から。大事なのはイメージ。頭に浮かんだことを具現化するのですよ」

 

「は、はい!集中、集中・・・」

 

朱乃に言われ、一誠は再び魔力を集中させる。

ふと朱乃の方を見ると、彼女の着ているジャージが段々と薄れていき、そこには立派な膨らみが・・・

 

「ぐへへへ・・・ふべぇ!?」

 

「集中乱れてっぞ。エロス一世」

 

見える前に、陸兎から手刀をくらい、頭を押さえながら悶絶する一誠。

 

「いててて・・・少しは加減しろよ・・・つか、八神は魔力の練習しないのかよ?」

 

「アホかテメェ。俺はそもそも人間だし、悪魔祓いでもねぇから魔力なんて使えねぇよ。代わりに、霊力なら使えるけどな」

 

そう言いながら、陸兎は指先に白い小さな霊力の塊を出現させた。

それを見ながら、一誠が陸兎に問い掛ける。

 

「前から気になってたけど、魔力と霊力ってどう違うんだ?」

 

「一番の違いは扱えることができる者がそれぞれ違うことです。人間は魔力が使えない代わりに霊力を、悪魔は霊力の代わりに魔力が使えますわ」

 

「へぇーそうなんですか。でも、どうして悪魔は霊力を使えないんですか?」

 

疑問に思う一誠を見た陸兎は小さい霊力の塊を一誠の額目掛けて投げた。

 

「!? いっでぇぇぇぇぇぇ!!」

 

「霊力は異を滅する力。異形である悪魔が使えないのも当然だろ」

 

「あらあら、痛そうですわね」

 

「これでも小豆程度の霊力しか出してなかったから、精々肌が焼ける程度の痛みしか感じねぇだろうよ」

 

「そ、それで精々かよ・・・」

 

少量の霊力であるにも関わらず焼けるような痛みを感じ、額を押さえながら戦慄する一誠。

その後、額に感じる焼けるような痛みに耐えながら、一誠は魔力操作を再開するのであった。

 

 

 

 

レッスン3、小猫と組み手

 

「えい」

 

「ぐはぁ!」

 

小猫の拳が一誠の腹に直撃し、一誠は後ろにある木に衝突した。

 

「「弱・・・」」

 

小猫と陸兎の呟きが重なる。

 

「打撃は体の中心線を狙って的確かつ抉り込むように打つんです。次は陸兎先輩ですね」

 

「おう、かかってこいよ」

 

小猫が構えるのに対して、陸兎が特に構える様子もなく、お互い見つめ合う。

しばらくの間お互い見つめ合っていたが、先に仕掛けたのは小猫だった。

 

「行きます」

 

「っ!?」

 

以前よりも接近するスピードが上がり、陸兎は思わず小猫のパンチを正面から受け止めた。

 

「前よりも速くなってねぇか?」

 

「毎日あれだけ追いかけ回してたら、嫌でも攻撃するスピードが上がります」

 

そう言いながら、小猫は次々とパンチを繰り出していく。

だが、先程と違って陸兎はパンチを全て『神速』で避けていく。

 

「さっきは突然のことで驚いたが、そんな正面しか見えてねぇパンチに当たる程俺は弱くねぇぞ」

 

「くっ・・・!まだまだです」

 

顔に焦りが見えながらも小猫は強力なジャンピングキックを繰り出すも、陸兎はそれを難なく躱す。

しかし、陸兎の後ろは高さ十数メートルはあるであろう崖になっていた。キックの勢いで止まれなかった小猫は重力に従って下へ落下した。

 

「!? しまっ――!」

 

思いもよらない出来事に小猫は背中に翼を出すことも忘れ、崖の下に落ちていく。

その時、上から陸兎がやってきて、落ちていく小猫の体をお姫様抱っこのように受け止めた。

 

「フゥー、危ねぇ危ねぇ」

 

「にゃ!?」

 

空中でお姫様抱っこをされて、思わず猫の鳴き声のような声を上げる小猫。

そんな小猫をよそに、陸兎は宙に浮かび・・・いや、宙を蹴って空を飛び(・・・・・・・・・)、そのまま崖の近くの地面に着地した。

 

「おうおう、随分と猫みたいな声したな。いつの間に発情期の猫に転職したんだお前は」

 

「お、降ろしてください・・・」

 

「ハイハイ」

 

小猫は顔を赤らめながら陸兎に降ろされた。

すると、一部始終を見ていた一誠が羨望の表情で陸兎を睨んだ。

 

「お、おのれ八神!なんて羨ましいことを!」

 

「イッセー先輩、休憩はもう済んだみたいですね。それじゃあ、再開しましょうか」

 

「え?ちょ、どっちかっていうと、もうちょっと休憩したいなぁていうか・・・「えい」ぎゃぁぁぁぁぁぁ!!」

 

お姫様抱っこされた差恥感のせいなのか、小猫の拳は心なしか先程よりもかなり強くなっていた。

その後、一誠の悲鳴が山に響き渡るのであった。

 

 

 

 

そして夜、一日の修行を終えたリアス達は夕飯を食べることになったのだが・・・

 

「なんで、飯のほとんどがジャガイモばっかなんだよ?」

 

出された料理が小吹芋やポテトサラダなど、ほとんどがジャガイモ料理であり、テーブル一面に埋め尽くされているジャガイモ料理の数々に陸兎はドン引きしていた。

 

「いや~部長に魔力を操作しながら料理を作れって言われたんだけど、思いのほか上手くいって、調子に乗ってたら、皮を剥きすぎちゃって・・・」

 

「どうせ、部長たちの裸体を想像して、皮を剝きながら発情してたんだろ?」

 

「変態ですね」

 

「ぐっ!?クソ、ほとんど間違ってないから、何も言い返せねぇ・・・」

 

陸兎と小猫の言葉に言い返せず、たじろぐ一誠。

そんな一誠にリアスが話しかける。

 

「イッセー、今日一日修行して、どうだったかしら?」

 

「俺が一番弱かったです。後、八神がめちゃくちゃやばかったです」

 

「そうね。陸兎に関しては私も同感だわ」

 

今日一日、陸兎の底知れぬ強さを間近で見て、顔を引きつらせながら共感するリアス。尚、当の本人はジャガイモ料理に舌鼓を打っており、こちらの話は聞いてなかった。

 

「イッセー、それとアーシア。強さはどうであれ、貴方たちの『赤龍帝の籠手』と回復力は貴重な戦力よ。相手もそれを理解してるだろうし、今回の修行で最低でも逃げる力だけはつけてほしいの。いいかしら?」

 

「「はい」」

 

二人の力強い返事に安心したリアスは、安心したかのように微笑むと、席を立ちながら喋った。

 

「さて、食事も終えたことだし、お風呂に入りましょうか」

 

「お風呂!?」

 

お風呂と言われて、興奮気味に反応する一誠。

 

「あら、イッセー。私たちの入浴してる所を覗きたいの?何なら一緒に入る?私は構わないわ」

 

いたずらっ子のような顔で一誠に話しながら、リアスは朱乃の方を見る。

 

「朱乃はどう?」

 

「うふふ、毎日陸兎君の背中を洗っていますし、たまにはイッセー君の背中を洗うのもいいですわね」

 

「・・・ちょっと、待ってください」

 

朱乃が放ったトンデモ爆弾に一誠が陸兎の方に目線を向ける。

目線を向けられた陸兎は「フッ」と軽く笑うと、一誠に向けて喋る。

 

「なぁ、イッセー。朱乃のおっぱいって・・・最高にイカしてるぜ(グッ)」

 

「チキショーーー!!」

 

親指を立てながら自慢してきた陸兎に、一誠は憤怒の叫び声を上げた。

嘆いている一誠をよそに、リアスはアーシアと小猫に問い掛ける。

 

「アーシアも愛しのイッセーと一緒なら大丈夫よね。小猫はどう?」

 

「嫌です」

 

「ですよね~」

 

即答だった。予想通りと言わんばかりに陸兎が口を開いた。

結局、混浴は無しで男女別に入ることとなった。

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