ハイスクールD×D 銀ノ魂を宿し侍   作:イノウエ・ミウ

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決闘した次の日に決闘相手と再会するとなんか気まずい

不審者という言葉を知っているだろうか?

一言で言えば、不審な行動をしている者。即ち、犯罪を犯す可能性のある怪しい人物である。

今、陸兎の目の前にいる二人は、正しくその言葉に該当するであろう。

 

「えー、迷える子羊にお恵みを~」

 

「天の父に代わって、哀れな私たちにお慈悲を~」

 

こんな町の路頭で物乞いをする白いローブを纏った二人組。怪しい以外の何者でもない。

現に街歩く人々は、謎の二人組を奇怪な視線で見ている。向こうにいる親子は「ママぁ、あれ何ぃ?」「見ちゃいけません!」と定番のやり取りを繰り広げている。

 

「困ったわ。このままじゃ先の食事すらも取れないわ。なんでこんなことに・・・」

 

「・・・元はと言えばイリナ。お前がそんな詐欺紛いの絵を購入したから、私たちの支給金が無くなったじゃないか」

 

「仕方ないでしょ!この絵には聖なるお方が描かれているんだから!こうなったら、異教徒脅してお金貰う?主も異教徒相手なら許してくれそうなの」

 

「それとも寺を襲撃して、賽銭箱とやらを奪うか・・・」

 

「・・・・・・」

 

不審者二名のやり取りを死んだ魚のような目で見ていると、なんか物騒な会話をしだすゼノヴィアとイリナ。

極力、というか一切関わりたくなかった陸兎だったが、目の前で堂々と犯行予告してる不審者を見逃すわけにはいかないと、ズボンのポケットから『縛』の札を取り出し、ゼノヴィアとイリナの目の前に来るように投げた。

 

「な、何!?」

 

「くっ!か、体が!?」

 

突然目の前に札が見えたと思ったら、札から大量の縄が迫り、あっという間に白いローブに隠れている二人の体を縛り上げた。

二人は驚きながらも縄を解こうと体を揺らすも、両腕と胸周りに巻かれた縄は解ける気配が無く、二人の体に食い込んでいた。

周りが突如妙な動きをし出した(周りから見れば、二人の体は白いローブで隠れているため、二人がどんな状態なのか見えない)二人組に疑問を抱いている中、陸兎は二人の下に近づくと、スマホをトランシーバーのように口元に当てながら喋った。

 

「あー、あー、駒王町の町中で犯行予告をしている不審者二名発見。直ちに本部に連行する」

 

「え!ちょ、ちょっと待ちなさい!私たちは別に怪しい者じゃ――」

 

「町のど真ん中で堂々と犯行予告してる奴らが怪しくないわけねぇだろ!おら!連行だ!」

 

「何をする!?放せ!」

 

後ろで騒いでる不審者二名(ゼノヴィアとイリナ)を無視しつつ、陸兎は片手で彼女たちを縛っている縄の先端を引っ張り、もう片方の手で近くに置いてあった謎の絵と『破壊の聖剣』を持ちながら裏路地へ入っていく。

そして、人通りが全く見えなくなった箇所で、陸兎は『神速』を応用した強靭なジャンプで宙に跳び、近くにあった建物の屋上に着地した。

 

「え!?い、今何が起きたの!?」

 

「急に浮かんだと思ったら、いつのまにかこんな場所まで飛ばされるとはね・・・」

 

慌てふためくイリナに対して、ゼノヴィアは比較的冷静だった。

慌てていたイリナだが、自身とゼノヴィアをこんな恰好にした元凶と目が合うと、憤怒の表情となって叫ぶ。

 

「ちょっと貴方!いきなり出てきたと思ったら、女の子をこんな嫌らしい縛り方で縛り上げるなんてサイテー!」

 

「いやだってさぁ、あのままゴメーン待ったー!の勢いで話しかけたら、こっちまで不審者扱いされるかもしれないだろ。それだったら、不審者を連行しに来た警察って設定で話しかけた方がマシだろ。まぁ、俺は警察じゃなくて退魔師だけど・・・」

 

「だからって、ここまできつく縛ることないでしょう!この変態!」

 

「うるせぇ!俺だって、このR-18ギリギリの札を作った奴に物申したいことがいっぱいあんだよ!テメェがこんなもん作ったせいで、この小説がR-18になりかけてんだよ!」

 

「(この小説というか、ハイスクールD×D自体が既にR-18の作品の気がするが・・・これは言わない方が良さそうだな)」

 

陸兎とイリナがギャーギャー騒ぐ中、一人メタい考えをするゼノヴィアであった。

しばらく騒いでいたイリナだったが、ある程度経ったところで落ち着いた。

それを確認した陸兎は、ゼノヴィア達に聞きたいことがあり、二人を探していた事を語り出す。

 

「俺はお前らを探してたんだ。少し聞きたいことがあってな」

 

「その前に聞かせて欲しい。君はいったい何者なんだ?さっき、退魔師と言っていたが、もしかして・・・」

 

「お前の予想は正解だ。俺は退魔師だが、ただの退魔師じゃねぇ。十天師って言えば分かるか?」

 

「!? なるほど。昨日のあの強さを見れば納得できるよ」

 

「ゼノヴィア、十天師って何?」

 

「・・・イリナ、情報が疎いにも程があるぞ・・・」

 

ゼノヴィアはため息をつきながら、十天師の説明をした。

ゼノヴィアの説明を聞いたイリナは、驚愕の表情で陸兎を見るが、そんな彼女を無視して、ゼノヴィアは陸兎に問いかける。

 

「それで、その最強の退魔師の一人が私たちに何の用だ?」

 

「・・・俺は今、日本陰陽師協会から一つの依頼を受けている。日本に潜入した堕天使を滅し、そいつが奪ったとされている聖剣を回収、或いは破壊することだ」

 

「「!?」」

 

陸兎の言葉を聞いた二人は、驚愕の表情となる。

 

「どういうことだ?陰陽師は今回の件に一切の関与をしないはずだったのではないのか?」

 

「そんなもん、上の連中は守りゃしねぇよ。つーか、聖剣を奪った堕天使組織の幹部を二人だけで倒したいから、俺らは一切手を出すな。ジブンとこの国が危機に晒されてるってのに、そんな馬鹿げた事を言われて、素直に従えって方が無理だろ」

 

「それは・・・まぁ、否定はできないな」

 

教会が下した命に思うところがあるのか、ゼノヴィアはそれほど否定的では無かった。隣にいるイリナも同様だ。

 

「話を戻すが、俺がお前らに接触した理由は一つ。こうして同じ目的を持つ者同士、共闘を申し出ようと思ってな」

 

「・・・君はいったい何を企んでいる?あくまで私の憶測にすぎないが、君がエクスカリバーを回収する依頼を、私たちに知られるのはマズいのではないのか?」

 

「お前の考えは半分当たりだ。この依頼で俺らが先にエクスカリバーを回収できたら、上はお前らに渡すまでの間、内緒でエクスカリバーの研究をするみたいでな。もし、そのことを知ってたら、お前らは本部に殴り込んでもエクスカリバーを取り返すつもりだろ?」

 

「当然だ」

 

陸兎の言葉に、きっぱりと返すゼノヴィア。

 

「はっきり言って、俺は上層部の連中が嫌いだ。あいつら一切戦わない癖に口だけは偉そうにしててよ。いやホント、思い出しただけでマジムカつく。だから、今頃エクスカリバーを研究することができて、ホクホク気分でいやがる連中に、エクスカリバーは回収できませんでした!って報告を聞かせて一気に沈んだところを、裏で上層部ザマァって笑ってやること。これが俺の真の狙いだ(まぁ、一番はあいつが来る前にさっさと終わらせたいからなんだけど・・・これ以上説明すんの面倒だし、別に言わなくてもいいな)」

 

一部情報を省きながらも、己の野望を明かし、ドヤ顔する陸兎。

そんな陸兎に、ゼノヴィアは呆れた顔で言う。

 

「何というか・・・君は性格が悪いな」

 

「失敬な。男はなぁ、中学になってから二十歳(はたち)になるまでヤンチャなんだよ。それでどうする?手を組むのか組まないのかどっちなんだ?」

 

改めて共闘するのかしないのか聞き出す陸兎。

しばらくの間、無言で見つめ合う陸兎とゼノヴィアだったが、やがてゼノヴィアは首を縦に振った。

 

「・・・分かった。その申し出を受けよう」

 

「いいのゼノヴィア?そりゃ、悪魔の手を借りるよりマシだと思うけど・・・」

 

「悪魔の手を借りるのは難しいが、同じ人間なら問題無い。上には十天師の力を借りたと報告すればいいだろう。それに・・・私だって命は惜しい」

 

ゼノヴィアの言葉を聞いて、陸兎は少し感心した。

 

「意外だな。てっきり、死ねと言われたら素直に従う狂信者だと思っていたが・・・どうやら、まともな判断もできるみてぇだな」

 

「私は信徒であるが、その前に一人の人間だ。主の為に命は懸けるが、主以外に死ねと言われても、素直に従ってやるつもりはないさ」

 

そう言って、ゼノヴィアは小さく微笑んだ。

そんな彼女の決意を聞いて、イリナも渋々だが納得した。

 

「共闘成立だな。んじゃ、早速だけどお前らに聞きたい事があるんだが・・・」

 

「ちょっと待ってくれ!その前に一つだけ・・・誠に遺憾だが、一つだけ君に頼みたいことがある・・・」

 

無事共闘が成立し、早速彼女たちから聖剣の事を聞き出そうとした陸兎をゼノヴィアが呼び止める。

まだ何かあるのかと思いながら陸兎はゼノヴィアの方を見ると、彼女はイリナと顔を見合わせると二人同時に正座をして、床に付く勢いで頭を下げた。

 

「私たちに・・・何か食べる物を恵んでください」

 

両手は後ろ手に縛られているため床に付いていないが、その体勢は正真正銘の土下座だった。

 

 

 

 

それから場所は代わって、駒王町のとあるファミレス。

陸兎は彼女たちに話しかけたことを後悔してた。

 

「美味い!この国の食事は格別に美味い!」

 

「これよこれ!ファミレスのメニューこそ私のソウルフード!」

 

「・・・・・・」

 

共闘が成立した後、ゼノヴィアの望みを叶えるために、陸兎は二人(縛っていた縄はファミレスに向かう前に解いた)を連れて近くのファミレスに向かった。

だが、席に座った途端、この二人はあらん限りの勢いで注文し、出されてくる料理を次々と腹に収めていった。

最初はスゲー食ってんなぁと思いながら見ていた陸兎も、次々と死んでいく財布の中身を目にし、今では半ば放心状態となっている。

 

「なんてことだ。信仰の為とは言え、異端者に救われるとは世も末だ」

 

「あぁ、主よ!この心優しき異端者にご慈悲を!」

 

「ご慈悲なんていらねぇから、これ以上頼まないでくんない?俺の財布がスペランカーもびっくりな勢いで死んでくんだけど――「「おかわり!!」」お前らホント容赦ねぇな!」

 

もし、任務を無事に終えたら、教会にメシ代を請求してやろうと、ジャンボパフェ(二つ目)を食べながら決心する陸兎であった。

 

「何やってんだ八神?」

 

「ん?」

 

そんなことを考えていると、不意に声を掛けられ、声がした方に振り向くと、そこにいたのは見知っている男女三人。

 

「イッセー、小猫・・・誰だ?」

 

「匙だ!匙元士郎!前に会っただろ八神陸兎!」

 

訂正、一人覚えていなかった。

怒鳴りながら名乗る人物を見て、陸兎は思い出したかのように言った。

 

「あー、お前か。沙慈・クロスロード」

 

「だから、匙元士郎だ!名前違ぇし、苗字も漢字が間違ってるぞ!」

 

「何言ってんだ?沙慈・クロスロードは沙慈が名前でクロスロードが苗字だから、何もかも違うだろ」

 

「どうでもいいわ!」

 

「おい、食事中だぞ。静かにしないかモブ士郎」

 

「所詮あなたは銀魂で言う山崎ポジなんだから、あまり喋らないでくれるモブ崎君」

 

「うおーーー!!こいつらうぜーーー!二人初対面だけどマジでうぜーーー!」

 

自身に対してのあんまりな対応に、匙は怒りの咆哮を上げる。

そんな匙を無視して、陸兎は一誠に問いかける。

 

「んで、お前らは何の用で俺らに話しかけて来たんだ?」

 

「あぁ、実は・・・」

 

陸兎に問われ、一誠はこれまでの経緯を説明する。

一誠もまた、エクスカリバーの破壊を目的として行動しており、その道中で匙に協力を頼み、更に一誠の行動を察し、彼を尾行してた小猫も現れた。

二人の協力を得られた(匙は嫌々だったが)一誠は、ゼノヴィアとイリナを探していると、ふとファミレスの窓を見た小猫が、店の中でファミレスの料理を食べてる三人を発見。

何故陸兎が彼女たちと一緒にいるのか疑問に思いつつも、一誠たちは店の中に入り、陸兎に声を掛けて今に至る。

その後、一誠は自分たちもエクスカリバーの破壊に協力させて欲しいとゼノヴィア達に申し出た。

 

「事情は分かった。いいだろう。一本なら協力しても構わない」

 

「ちょっとゼノヴィア!そこの八神君は人間だからまだいいけど、イッセー君たちは悪魔なのよ!」

 

あっさりと受け入れたゼノヴィアに対して、イリナは流石に悪魔の手を借りるのはマズいと、陸兎の時以上に否定的な様子だ。

 

「心配すんな。こいつらは俺の手下って事にしておけば問題ねぇよ」

 

「なるほど。それなら問題無いな」

 

「問題・・・ないのかしら?」

 

「大ありだろ!いつから八神の手下になったんだよ俺ら!」

 

陸兎の提案を聞き、三者それぞれ違う反応をしたが、最終的に十天師に仕えている悪魔たちの手を借りたで落ち着いた。

その後の話し合いでは、ファミレスを出た後に木場と合流し、互いの情報を交換し合うことになった。

 

「そんじゃ、飯も食ったことだし、早速行動開始といきますか」

 

そう言うと、陸兎は席を立ち、店から出ようとする。

すると、会計せずに店を出ようとしている陸兎を見て、店員が慌てて彼らに声を掛ける。

 

「あのー、お客様。お会計・・・」

 

「あぁそうだな。んじゃ、そこのエロ茶髪とモブ顔に」

 

「かしこまりました。お会計11640円になります」

 

「うわっ、高っけー。金足りるかな・・・って、おい!なんで俺らがお前らのメシ代払うことになってんだ!」

 

「そうだぞコノヤロー!って、いねぇし!」

 

いきなりメシ代を払わされる事になり、一誠と匙は陸兎に物申そうとしたが、いつの間にか陸兎(ゼノヴィア、イリナ、小猫の三人も)は店を出ており、その場にいなかった。

結局、一誠と匙はメシ代を払うことになり、店を出た後、血眼になって陸兎たちを探した。そして、陸兎たちを見つけると、二人はすぐさま陸兎に殴りかかったが、見事返り討ちにされ、木場と合流するまでの間、二人は犬〇家の状態で放置されるのであった。

ちなみに、二人が律儀に払うとは思っていなかった陸兎は、小猫に諫められたこともあって、二人が支払った分の金額を二人のズボンのポケットにこっそり入れた。

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