ハイスクールD×D 銀ノ魂を宿し侍   作:イノウエ・ミウ

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先に言っておきますが、これが今年最後の投稿になります。


不審者に話しかけられたらいかのおすしに従え

「事情は分かったよ」

 

木場と合流した陸兎たちは、彼に一連の流れについて説明した。

説明を聞いた木場は、納得したかのように頷いたが、「でも」と言いながら、ゼノヴィアとイリナの方を睨んだ。

 

「正直に言うと、エクスカリバー使いに破壊を承認されるのは遺憾だね」

 

「随分な物言いだな。今の君はグレモリー眷属を抜け出したはぐれ悪魔だ。今ここで斬り捨ててもいいんだぞ?」

 

木場の物言いに腹を立て、『破壊の聖剣』に手を掛けるゼノヴィア。木場もいつでも魔剣を出せるように、手に魔法陣を展開させる。

しかし、一触即発の空気になりかけた二人の間に陸兎が入り込んだ。

 

「そこまでだ。テメェら戦いに来たのか?それなら俺も混ぜろよ。どうなるかまでは保証しねぇがなぁ」

 

「「っ!?」」

 

陸兎の殺気の籠った物凄い威圧に押され、木場とゼノヴィアは思わず一歩引き下がる。

殺気を当てられた事で冷静になったゼノヴィアは、気を取り直して教会側の情報について話し出す。

聖剣計画は教会の間でもかなり嫌悪されていて、計画の首謀者であるバルパー・ガリレイは異端の烙印を押され追放された。そのバルパーが今回の件に関わっているとのこと。

それを聞いた木場も情報交換として、先日木場と会い、エクスカリバーを持っていたはぐれ神父、フリード・セルゼンの存在を二人に明かした。

そして、エクスカリバーの破壊に木場も協力することを承諾し、共闘が無事成立したところで、ゼノヴィアとイリナは去っていった。

すると、木場は一誠の方を向いて、彼に話しかける。

 

「イッセー君、悪いんだけど、この件に君たちは――」

 

「悪ぃが、そもそも俺は上から受けた依頼を果たす為に、この共闘を提案したんだ。そいつが達成されるまで引くわけにはいかねぇな。つか、依頼を受けていなくても、俺はこの件に手を引くつもりはねぇよ。友達(ダチ)が一人危ねぇことしようとしてんのなら尚更な」

 

一誠の代わりに陸兎がそう答える。

一誠もまた、木場の両肩をガシッと掴みながら真剣な表情で言う。

 

「八神の言う通りだ。大事な仲間をはぐれになんかさせられるか!」

 

「心配しなくても、お前の復讐の邪魔をするつもりはねぇよ。露払いは俺らがして、止めはお前が刺す。これなら文句はねぇだろ?」

 

「二人共・・・でも・・・」

 

まだ迷っている木場だったが、そこに小猫が木場のズボンの裾を掴みながら寂しげな顔で言う。

 

「私は・・・裕斗先輩がいなくなるのは寂しいです」

 

「・・・参ったね。小猫ちゃんにまで言われたら、断り切れないよ」

 

小猫にまで説得されて、木場は等々観念したかのように言った。

 

「本当の敵も分かったことだし、皆の好意に甘えさせてもらうことにするよ」

 

木場の説得に成功し、一誠は大いに喜び、小猫と陸兎はフッと小さく微笑んだ。

すると、一人話に付いていけなかった匙がおずおずと手を上げる。

 

「あー、一つ聞いていいか?エクスカリバーを破壊するのは分かったけど、それと木場に何の関係が・・・」

 

「そうだね。それじゃあ、僕の過去を話そうか」

 

そう言って、木場は自身の過去を語り出した。

教会で行われた聖剣計画。木場を含む被験者たちは、毎日過酷な実験を行われても、いつか恵まれる日が来ると信じ、希望を持ちながら過ごしていた。

しかし、聖剣に適合した者は一人も現れず、木場たちは計画隠蔽のため毒ガス処分されることになる。

同志たちが次々と毒ガスにやられる中、木場は仲間たちのおかげで一人逃げ出すことに成功。そして、逃げた先でリアスと出会い、彼女の眷属悪魔となった。

 

「うおーーーーーー!!」

 

木場の過去を聞いた匙は、めちゃくちゃ号泣してた。

 

「木場ぁ!お前にそんな辛い過去があったなんて・・・!決めたぞ兵藤!俺はやるぞ!会長のお仕置きがなんだ!」

 

「よく言ったぜ匙!熱い男だよお前は!」

 

そんな匙の熱い思いに、心打たれたのか、一誠は彼の思いに大きく共感した。

その後、匙はソーナとできちゃった結婚をするという自身の夢を語り、それを聞いた一誠が感動。二人は号泣し、熱い友情を見せつけた。

だが、その空気に水を差すかのように陸兎が言う。

 

「でもよぉ、確か会長って剣夜の幼馴染だったよな。しかも、普段から仲良さそうに話してるよな」

 

「っ!!?」

 

陸兎の言葉を聞いた匙は、先程の号泣から一転して、この世の終わりみたいな顔をしながら崩れ落ちた。

 

「そうだ・・・会長の隣には、あの憎き十門寺剣夜がいるのだぁぁぁぁぁぁ!!」

 

そして、ゆっくりと立ち上がると、今度は憤怒の表情となって叫んだ。

 

「だいだいなんだよあいつ!テストの成績はいつも学年トップ!運動神経もめっちゃ良い!そして、イケメン!その上、会長と言う美人の幼馴染がいて、それに釣り合うかのようなイケメンだし!名家の次期当主だから大金持ちで!美少女侍女の麗奈ちゃんがいつも傍にいるし!イケメンだし!生徒会でもいつも皆に頼りにされて!更にあいつ自身いい奴過ぎて、なんだかんだ言って俺もあいつの事頼りにしてるし!イケメンだし!もう、完璧を通り越してチート過ぎんだよ!あのチートイケメンはぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

公園のど真ん中で、怒りの雄叫びを上げる匙。はっきり言って近所迷惑もいいところである。

すると、先程匙と意気投合してた一誠が、号泣しながら匙の両手を掴んだ。

 

「匙!俺はお前を応援してるぜ!イケメンなんかに負けんな!」

 

「応よ!兵藤、俺はやるぜ!必ずかのチートイケメンをぶっ潰し、会長の始めては俺がもらう!」

 

すっかり意気投合した二人は、夕日に向かって「「うぉーーーーーー!!」」と叫んだ。

 

「正直、ウザイです」

 

「アハハ・・・」

 

「まっ、応援してやらんこともないが、剣夜(あいつ)が会長に恋心を抱かない限り、負けることはねぇだろうな」

 

そんな二人を小猫は鬱陶しそうに、木場は苦笑い、陸兎は興味無さ気に見守るのであった。

 

 

 

 

そして夜、陸兎たちは駒王町の廃教会に集まっていた。

 

「悪魔が神父の恰好するなんてねぇ」

 

「抵抗はあると思うけど、我慢してね」

 

「目的のためなら、何でもするさ」

 

黒い神父の服を着ながら呟く匙にイリナが言う。その横で木場が一人呟いていた。

全員が神父の服を着たのを確認すると、ゼノヴィアが提案する。

 

「全員で動くのは非効率だ。二手に別れよう」

 

「じゃあ、俺たちは町の東の方を回る。八神も俺たちと一緒でいいよな?」

 

「オーケー」

 

「では、私たちは西の方を回ろう。何かあったら、イリナの携帯に連絡してくれ」

 

ゼノヴィアの提案の下、悪魔側(+陸兎)と教会側の二手に別れて捜索することになった。

別れる途中でゼノヴィアが一誠に何やら話していたが、陸兎は特に気にしなかった。

そして現在、陸兎たちはある場所に来ていた。

 

「ここって、前に八神が倒しちまったはぐれ悪魔がいた場所だよな?」

 

「懐かしいねー。そう言えば、退魔師として初めて部長らと出会ったのはここだったな」

 

かつて陰陽師局の依頼で、ここに潜んでいたはぐれ悪魔を倒し、その後にリアス達と遭遇した場所を懐かしむように見渡す陸兎。

奥に進んでいく陸兎たちだったが、しばらく進んだところで、異変に気づく一同。

 

「なんだ?この悪寒・・・?」

 

「・・・おい、上から不審者が降ってきてんだけど、心当たりある奴いるか?」

 

「「「「!?」」」」

 

陸兎がそう言うと、一行は一斉に上を見上げる。

すると、上空から神父の恰好をした白髪の男が、長剣を振り上げながら木場の下へ降ってきた。

 

「イヤッホー!「ヤクザキック!」ふげらっちょ!」

 

白髪の神父が木場に斬りかかる前に、陸兎の渾身のヤクザキックが顔面にヒットし、白髪の神父ことフリード・セルゼンは背中から地面に落ちた。

 

「って、うおい!何やってんだ八神!?」

 

「いやだってさぁ。夜道を歩いてたら、いきなり不審者が出てきたからつい。よく言うだろ。不審者に出くわしたら'いかのおすし'を守れって。生か('いか')して返すな、('の')天かち割れ、('お')声で叫び出したら黙らせろ、'す'ぐ止めを刺せ、('し')体は残すな」

 

「そんな墨まみれのブラックいかのおすしがあるわけねぇだろ!子供たちの未来、違う意味で真っ黒になるぞ!」

 

あまりにもブラック過ぎるいかのおすしにツッコむ一誠。

すると、陸兎に蹴られたフリードが勢い良く立ち上がり、鼻血を出しながら陸兎に向かって叫ぶ。

 

「おいコラクソ人間!人がクソ悪魔をぶっ殺してる途中で攻撃しちゃいけないって小学校で習わなかったのかテメェ!」

 

「うるせぇぞ。新川君(シュピーゲル時)みてぇな顔をした松岡禎丞(汚いキリト)。テメェは一生、島崎信長(汚いユージオ)と仲良くしてろ」

 

「朝田さん!アサダサン!って、やかましいわ!」

 

「・・・何だろう。フリードの奴がまともに見えてきたんだけど」

 

「狂人キャラから出落ちキャラにランクダウンしましたね・・・可哀想」

 

上からかっこよく登場しようとした瞬間に顔面を蹴られ、更には蹴られた相手におちょくられているフリードに、一誠と小猫は憐れみの視線を向けた。

陸兎に弄ばれてたフリードは、気を取り直して手に持ってる聖剣を構えた。

 

「俺の華麗な登場シーンを台無しにしやがって!このクソ銀髪!テメェは俺様がぶっ殺してやるよ!この『天閃の聖剣(エクスカリバー・ラビットリィ)』でな!」

 

「悪いけど、君の相手は僕だ!」

 

木場が我先にとフリードに突っ込んでいく。

木場の魔剣をフリードは上に跳んで躱し、反撃に『天閃の聖剣』を振り下ろすが、それを魔剣で防ぐ木場。

そこから先は両者激しい攻防を繰り広げていった。木場は持ち前の『騎士』のスピードで次々と攻撃を仕掛けていく。しかし、フリードもまた『天閃の聖剣』の力によって、木場と同じくらいのスピードで戦っていた。

そんな激しい高速戦闘に、見ている一誠は圧倒されていた。

 

「なんてスピードだ。『騎士』のスピードと互角に渡り合ってるなんて」

 

「そうか?『神速』の速度に比べりゃ普通だろ?」

 

「陸兎先輩の普通は、普通じゃないので参考になりませんね」

 

「おいコラ、サラッと人に向かって毒を吐くんじゃない・・・って、聞いてねぇし」

 

陸兎のツッコミを聞き流しながら、小猫は携帯を取り出し、イリナ達に連絡し始めた。

一方、高速戦闘を繰り広げている木場とフリードを見ながら、一誠が顔をしかめる。

 

「クソ!木場に力を譲渡させたいけど、速すぎて近づけねぇ。何とか奴の足を止めることができれば・・・」

 

「足を止める?なら、俺に任せろ!」

 

一誠の言葉を聞いた匙は自信満々に言うと、彼の手の甲からデフォルメされたトカゲの顔のような物が現れた。

 

「伸びよライン!」

 

匙の声と共に、そのトカゲ顔から触手のような物が伸び、空中を飛んでいたフリードの片足に巻き付いた。

すると、先程まで素早い動きで動いていたフリードの動きが急激に遅くなった。

 

「これが俺の神器、『黒い龍脈(アプソープション・ライン)』だ!」

 

黒い龍脈(アプソープション・ライン)』はラインを相手に繋ぎ、繋いだ相手の力を吸い取る神器。更に言うなら、五大龍王の一角、黒邪の龍王(プリズン・ドラゴン)ヴリトラの力を宿している。

自身の神器を誇らしげに解説する匙に、陸兎は感心しながら彼に向かって喋る。

 

「やるじゃねぇか。地味なキャラに見合った地味な攻撃だ!」

 

「言うな!俺も地味だなって思ってんだよ!どうせ俺は山崎ポジのモブキャラだよコノヤロー!」

 

涙目になりながらも、匙は腕を引っ張ると、片足を引かれたフリードはバランスを崩して床に尻を付く。

フリードはすぐさま片足に巻き付いているラインを斬ろうとするが、いくら『天閃の聖剣』を振るっても、ラインが斬れる様子はない。

 

「ナイスだ匙!後は木場の下まで飛んで、力を譲渡すれば・・・」

 

「ならば、イッセー!合体技だ!」

 

「おう!合体技・・・って、まさかまた俺を盾にする気か!?」

 

陸兎の言葉に勢い良く反応した一誠だが、すぐさまドッチボールでの出来事を思い出し、顔を青ざめる。

その直後、陸兎は両手を後ろに組み、軍隊の隊長の如く大声で叫んだ。

 

「気をつけぇ!!」

 

「は、はい!」

 

急に大声で叫ばれて、一誠は思わず気をつけの姿勢になる。

 

「右腕上げーーー上げ!!」

 

「右腕上げ!?こ、こうか!?」

 

出された指示に困惑しながらも、一誠は言われた通り右腕を上げた。

すると、陸兎は一誠の体を持ち上げ、彼は某子供人気アニメのあんぱんがウイルスに止めを刺す為に使う必殺パンチのような姿になった。

 

「行くぜ!俺とイッセーの合体技第二弾!必殺!イッセーミサイル!!」

 

「結局、こういう役割かぁぁぁぁぁぁ!!」

 

陸兎に投げ飛ばされた一誠は、絶叫を上げながら木場の下へ飛んだ。

 

「木場ぁー!受け取れ!」

 

「イッセー君!?」

 

一誠はこちらを見ながら驚いている木場の肩に触れ、力を譲渡させた。

 

「受け取った以上は仕方ない。有難く使わせてもらうよ。『魔剣創造』!」

 

「うおっ!?」

 

フリードは驚きながらも、地面から次々と迫ってくる魔剣を打ち払う。

しかし、魔剣は一向に止まる気配がなく、フリードの顔に焦りが見え始めてきた。

 

「『魔剣創造』か・・・使い手の技量次第では無敵の力を発揮する神器だな」

 

その時、建物の奥から声が聞こえ、全員が声がした方に振り向くと、建物の中から白い神父服を身に纏った眼鏡を掛けた老人が現れた。

 

「おー、バルパーの爺さん!」

 

「何!?」

 

フリードが発した男の名に、木場が大きく反応する。何せ、ゼノヴィアが話した聖剣計画の首謀者の名と同じだからだ。

バルパーはフリードに向かって言う。

 

「フリード、まだ聖剣の使い方が十分でないようだな」

 

「そうは言ってもねぇ爺さん。このクソトカゲのベロベロが邪魔でねぇ」

 

「体に流れる因子を刀身に込めろ」

 

「どれどれ、体に流れる因子を刀身に込めて・・・テイっ!」

 

「オワッ!」

 

フリードはバルパーの言われた通りに『天閃の聖剣』を振るうと、足に巻き付いていたラインが斬れ、匙はラインを引いていた力が急に途切れた勢いで後ろに転び尻餅を付く。

 

「なるほど・・・聖なる因子を有効活用すれば、更にパワーアップするってわけか。それじゃあ、俺様の剣の餌食になってもらいましょうか!」

 

聖剣のオーラによって光り輝いている『天閃の聖剣』を構えながら、フリードは先程よりも素早いスピードで木場に斬りかかった。

 

「させん!」

 

キンッ!

 

だが、『天閃の聖剣』が木場に届く前に、ゼノヴィアが木場の前に出て、『天閃の聖剣』を受け止めた。

 

「ヤッホー!連絡貰ったから駆けつけて来たわよ」

 

「そういう手筈でしたから」

 

更にイリナもやって来て、困惑してた一誠と匙に、フリードと戦っている間携帯でイリナに連絡してたことを小猫が説明した。

聖剣同士の鍔迫り合いの中、ゼノヴィアがフリードに向かって叫ぶ。

 

「フリード・セルゼン!バルパー・ガリレイ!神の名の下に断罪してくれる!」

 

「俺の前で、その憎たらしい名前を出すんじゃねぇ!このビッチが!」

 

ゼノヴィアの言葉に激昂するフリードだが、直後木場が魔剣を振り下ろし、回避するため後ろに飛んだフリードはバルパーの横に立った。

すると、バルパーがフリードに声を掛ける。

 

「お前の任務は教会の者を消すことだ。聖剣を持つ者が二人もいるのはマズい。ここは引くぞフリード」

 

「合点承知の助!それでは皆さん、サラダバー!」

 

フリードが閃光弾を地面に叩き付けるように投げると、辺りは白い光に覆われた。

そして、光が止んだ頃にはフリードとバルパーの姿は無かった。

 

「追うぞイリナ!」

 

ゼノヴィアが真っ先に走り出し、イリナも後に続く。更に木場も彼女たちの後を追うように走り出した。

 

「おい!待ってくれよ!たく、どいつもこいつも勝手だな」

 

「全くね」

 

我先にフリード達を追いかけていった木場たちに、一誠は困り顔をしていると、彼の耳に聞き覚えのある声が聞こえた。

一誠は恐る恐る振り向くと、そこにはソーナと椿姫、リアスと朱乃がいた。

 

「やれやれ、勝手な部下を持つと、上司も大変だねぇ」

 

一誠と匙がそれぞれの主の顔を見て「ヒィ!」と怯える後ろで、陸兎はやれやれと言わんばかりの顔で呟くのであった。




最後の陸兎の言葉を剣夜が聞いてたら彼はこう言います。
剣夜「お前が言うな」

<予告>
元日に正月特別編を投稿します。お楽しみに。
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