「何と言うことだ!聖と魔の融合など理論上不可能なはず!」
聖魔剣というイレギュラーな現象に困惑するバルパー。
そんなバルパーを気にともせず、木場は聖魔剣をバルパーに向けた。
「バルパー・ガリレイ。覚悟を決めてもらおう!」
そう言いながら、ゆっくりとバルパーに近づく木場。
だが、バルパーは突如思い至った顔をしながら喋り出した。
「そうか、分かったぞ!聖と魔、それらを司る存在のバランスが大きく崩れているのなら説明はつく!つまり、魔王だけでなく、神も――ふげぇ!?」
興奮気味に喋っていたバルパーだったが、突如顔面を蹴られ、数メートル飛ばされる。
その時、バルパーがいた場所に光の槍が刺さった。もし、あの場所にいたら、バルパーは光の槍に刺されていただろう。
光の槍を投げたコカビエルは、バルパーの顔面を蹴った・・・自身の槍からバルパーを助けた人物、陸兎に問う。
「何のつもりだ十天師?」
「勘違いすんな。俺はこいつを助けたわけじゃねぇ。テメェに木場の復讐の邪魔をさせないために動いたんだ」
そう言いながら、陸兎は呆然としている木場に目を向けた。
呆然としていた木場だったが、陸兎の意図を察した木場は、彼に「ありがとう」と礼を言うと、すっかり腰の引いたバルパーに向かって歩み寄った。
「ま、待て!誰が身寄りのない貴様らを育てたと思っている!そうだ!君の聖魔剣。私の力があれば、より強力な――」
ズバッ!
命乞いするバルパーの言葉に一切耳を傾けることなく、木場は聖魔剣でバルパーの首を斬った。
「終わったよ、皆・・・」
そう言いながら、木場は手に持っている聖魔剣を見た。聖魔剣を見つめている木場の目に、喜びの感情は無かった。あったのは虚しさだけだった。
その光景を上から見ていたコカビエルは、心底つまらなそうに言う。
「フンッ!とんだ茶番だったが・・・まぁいい。余興は終わりだ。赤龍帝の小僧、限界まで赤龍帝の力を上げて、誰かに譲渡しろ」
「なんだと!?」
「私たちにチャンスを与えるというの?ふざけないで!」
甞められていると思われ、リアスが強気で反論する。
だが、コカビエルは凄まじいオーラを放ちながら言い返す。
「ふざける?それは貴様らの方だろう。その程度で俺を倒せると思わないことだな!」
コカビエルが放つ圧に、押しつぶされそうになる一誠とリアスだったが、お互いの手を掴みながらゆっくりとコカビエルに近づいていく。
そして、最大限まで強化されたところで一誠が口を開いた。
「来ました、部長!」
『
『赤龍帝の籠手』から発せられた声と共に、最大限まで強化された力がリアスに譲渡された。
力を譲渡されたリアスは、凄まじいオーラを放ち、その両手には滅びの魔力を限界まで凝縮させていた。
「消し飛びなさい!」
リアスが凝縮させた滅びの魔力の塊は、龍のような形をしながら、コカビエルに向けて放たれた。
「フンッ!」
コカビエルはそれを真正面から受け止める。
「面白い!面白いぞ!サーゼクスの妹!」
「はぁーーーーーー!!」
『赤龍帝の籠手』によって最大限に強化された滅びの魔力をコカビエルは余裕そうに受け止めていく。
リアスは更に出力を上げて畳み掛けようとするが・・・
「うぅ・・・!あぁ!」
譲渡された力を全て使い果たし、リアスは魔力の消耗によって、背中から倒れた。
「雷よ!」
リアスの頑張りを無駄にしないと、朱乃が雷をコカビエルに向けて放つも、コカビエルはそれを翼で防ぐ。
「俺の邪魔をするか!?バラキエルの力を宿す者よ!」
「私をあの者と一緒にするな!」
コカビエルの言葉を聞いた途端、朱乃は目を見開きながら激情した。
一方で二人の会話を聞いてた陸兎が、一つ気になったことを隣にいたゼノヴィアに聞いた。
「なぁ、バラキエルって誰だ?」
「堕天使の幹部だ。『雷光』の二つ名を持つ雷の使い手だと聞いているが・・・」
「雷ね・・・」
そう呟きながら上を見ると、朱乃が魔力の消耗で息切れしていた。
朱乃がこれ以上雷を打つことができないと悟ったコカビエルは、地上へ降り立つ。
それを確認した木場とゼノヴィアは、お互いの顔を見て頷くと、コカビエルに向かって走りながら、後ろにいる一誠に指示した。
「兵藤一誠!私たちが時間を稼ぐ!」
「その間にイッセー君はパワーを溜めてくれ!」
「わ、分かった!」
一誠の返事を聞くと、木場とゼノヴィアは左右からコカビエルに斬りかかる。
「聖剣と聖魔剣の同時攻撃か。フッ、面白い!」
コカビエルは両手に光の剣を出現させて、二人の剣を受け止めた。
「そこ・・・!」
足が止まったコカビエルに、小猫が上から殴り掛かる。
だが、コカビエルは背中にある翼を猛スピードで動かし、三人を斬り刻んだ。
「随分と愉快な眷族を持っているなリアス・グレモリー!赤龍帝、聖剣計画の成れの果て・・・そしてバラキエルの娘!」
「なっ!朱乃さんが堕天使の幹部の娘!?」
「あれだけの威力の雷と『雷光』の二つ名を持つ堕天使の力を宿しているから、まさかとは思っていたが・・・」
コカビエルの言葉を聞いて、一誠と陸兎が驚いた。陸兎の方はさっきのゼノヴィアの説明を聞いて、ある程度察していたようだが、それでも真顔になりながら驚いていた。
コカビエルはリアスを興味深そうに見ながら言う。
「ククク、リアス・グレモリー。お前も兄同様ゲテモノ好きのようだな!」
そう言いながら、リアスを嘲笑うコカビエル。
当然、主を馬鹿にされて、一誠が黙っているはずがなかった。
「やい!このクソ堕天使!テメェ、これ以上部長や朱乃さんにふざけたことを言ってみろ!俺がテメェをぶちのめしてやるからな!」
「その通りだ。貴様は必ず断罪する。神の名のもとに!」
一誠に続くように、ゼノヴィアもデュランダルを構えながら叫ぶ。
だが、ゼノヴィアの言葉を聞いた途端、コカビエルは突如笑い出した。
「フハハハハハ!!」
「何がおかしい!?」
突然笑い出したコカビエルに突っかかるゼノヴィア。
そんなゼノヴィアをコカビエルは何処か憐れむような目で見た。
「いや、神もいないのに、よくもまぁ神のためになどと戯言を言うことができるなと思ってな」
『!?』
その言葉に、ゼノヴィアだけでなくこの場にいる全員が反応する。
コカビエルは心底楽しそうな様子で喋り続ける。
「本当はこの場で言うつもりはなかったが、戦争を起こすのだ。黙っている必要もない・・・よく聞け!先の戦争では、四大魔王と共に、神も死んだのだ!」
『!?』
コカビエルが告げた衝撃の事実に、この場にいる全員の目が見開いた。
「噓だ・・・噓だ・・・!」
「そんな・・・主が・・・!?」
その中でも特に大きく反応したのが、教会所属のゼノヴィアと元教会のシスターであるアーシアだった。今まで信じていた
「あの戦争の後、どの勢力も人間に頼らねば存続できない程に落ちぶれた。天使も堕天使も悪魔も、三大勢力のトップ共は神を信じる人間を存続させるために、この事実を封印したのさ。まぁ、そんなことはどうだっていい。俺が一番許せんことは、神と魔王が死んだ以上、戦争継続は無意味だと判断したことだ!耐え難い!耐え難いんだよ!一度振り上げた拳を収めるだと!?あのまま戦っていたら、
憤怒の表情で叫ぶコカビエルを見て、アーシアが震えながらコカビエルに問う。
「主はもういらっしゃらない?それでは、私たちに与えられる愛は・・・!?」
「ミカエルはよくやっているよ。神の代わりとして、天使と人間をまとめているのだからな」
今度はゼノヴィアが問いかける。
「大天使ミカエル様が神の代行を?では、我らは?」
「システムさえ機能していれば、神への祈りも祝福も悪魔祓いもある程度動作はするだろうしな」
「!?」
コカビエルの言葉を聞いたアーシアは、その場に崩れ落ちた。
咄嗟に小猫が支えるが、アーシアはショックのあまり気を失っていた。
「とは言え、神を信じる者は格段に減ったがな。聖と魔のバランスを司るものがいなくなったため、その聖魔剣のような異質な現象も起こるわけだ。本来なら聖と魔が交じり合う事はあり得ないからな。お前たちの首を土産に、俺だけでも、あの時の続きをしてやる!」
「くっだらね」
不意にそう言ったのは、興味無さそうな顔でコカビエルを言葉を聞いていた陸兎だった。
突然言ってきた陸兎の発言に、コカビエルは眉をひそめながら問いかける。
「聞こえたぞ小僧。何がくだらないだと?」
「全部だよ。テメェの小せぇプライドもそうだが、戦争なんてモンを起こすためだけに、この町を・・・無関係の人間を巻き込んでんじゃねぇよ」
そう言った陸兎を、コカビエルは鼻で笑った。
「無関係の人間だと?フンッ!下等生物が何百人死んだところで、何か問題でもあるのか?」
「なんだと!?」
コカビエルの言葉に一誠が反応する。
「そうだろう!所詮人間は何も持っていない哀れな生物だからな!天使や堕天使の力は使えない。それどころか神器の力が無ければ、魔力すらも碌に扱えない。そんな下等生物が何百人死んだところで、この世界に何の影響は出ないんだよ!」
「何も持っていないね・・・」
叫ぶコカビエルを見つめながら、陸兎は木場に声を掛ける。
「木場、悪いが魔剣・・・できれば刀、最悪曲刀でもいいから作れるか?」
「え?・・・刀の形をした魔剣なら作れなくはないけど、魔剣は魔力を持ってないと扱うことができない。人間の陸兎君じゃ、持ったとしても魔剣の力は発揮されないと思うよ・・・」
「心配いらねぇよ。俺が欲しいのは'魔剣'じゃねぇ。侍にとって命とも言える物、'刀'だ」
陸兎がそう言うと、木場は慌てながら『魔剣創造』の力で一本の刀を作り出して、陸兎に渡した。
陸兎はその刀を片手で何回か素振りして、悪くないと言わんばかりの顔で笑うと、コカビエルの下へ歩み寄る。
「何をする気だ?」
「決まってんだろ。どの道、後15分・・・いや、今は23時50分だから10分か。後10分でオメェを倒さねぇと、この町がヤベーんだ」
二本の刀を両手に持ちながら、陸兎はコカビエルの前に立つと、目を鋭くさせながらコカビエルに向けて言った。
「ゲームのやりすぎで充血してやがるその真っ赤な目でよく見やがれ。オメェが散々下に見ていやがる人間という名の生き物を・・・!」
そう言いながら、陸兎は『洞爺刀』ともう一本の刀を地面に突き刺したその時だった。
「霊力展開、『
陸兎の足元に鬼のような顔を模した陣が、陸兎を中心に展開された。そして、その陣から莫大な霊力の柱が吹き荒れ、陸兎の姿を覆いつくした。
その霊力の柱から周囲に放たれている霊力に、一誠たちもコカビエルも肌が焼けるような感覚を感じて、顔をしかめる。唯一人間であるゼノヴィアは特に何も感じておらず、突然顔をしかめた一誠たちを見て疑問符を浮かべる。
やがて光の柱が収まり、陸兎の姿が露わになる。彼自身は特に変わった様子は無いが、彼の周りを白い靄のようなものが包んでいた。
一誠たちが緊迫した空気の中で見守る中、陸兎はコカビエルに向かって口を開く。
「お前はもう、俺に触れることすらできねぇよ」
「何?」
「今から数秒、俺はここを動かねぇから当ててみろよ。ご自慢の堕天使の力とやらでな」
「小僧・・・どうやら、余程死体を残したくないようだな」
陸兎の物言いに、コカビエルは額に青筋を浮かべると、手元にこれまでとは比べ物にならない程の巨大な光の槍を出現させた。
「自分の言った言葉の愚かさを思い知りながら・・・死ね!」
光の槍は猛スピードで陸兎に向かって投げられ、陸兎に刺さろうとした瞬間
ドカーン!!
槍による大爆発が起き、辺りを爆風が包み込んだ。
「陸兎君!」
「八神!」
朱乃と一誠が悲鳴のような声を上げる。さっきの攻撃が明らかに直撃だったからだ。
「フンッ!所詮は下等生物。最強の種である堕天使に挑んだのが貴様の運の尽き――っ!?」
つまらなそうに呟くコカビエルだったが、爆風が晴れた瞬間、その目が見開かれた。
「どした?俺が跡形も無く吹き飛んだ幻覚でも見たか?」
爆風から現れた陸兎は、特に傷も負った様子はなく、平然とその場に立っていた。更に、周りの地面は爆発によって巨大なクレーターができているが、陸兎が立っている場所だけは無傷であった。
「くっ!これならどうだ!?」
コカビエルは焦りながらも、手元に魔法陣を展開させ、小さい光の槍を大量に放った。
無数の光の槍が突っ立ったままの陸兎に当たろうとした瞬間、光の槍が陸兎の目の前で急停止し、同時に陸兎の正面には霊力で作られた壁のような物が存在していた。それはまるで、陸兎を守っているバリアのようだった。
その直後、そのバリアに防がれていた光の槍は、霊力に包まれて消えた。それは一つだけに限らず、無数に降り注ぐ光の槍を全て相殺させていた。
「攻撃を防いだ!?いや、槍そのものが消えた!?」
木場は目の前に映っている異常な光景に驚愕の表情となる。
やがて全ての槍を防ぎ、全く無傷の陸兎が堂々と立っている姿に、リアス達は安堵よりも驚きで目を見開いていた。
それはコカビエルも同様だった。
「な、なんだ!何なんだその
何千年も生きてる自分が、今まで一度も見たことのない力に動揺するコカビエル。
そんなコカビエルに向けて、陸兎は説明する。
「『異能殺し』は人間が持つ霊力を己の意思で物理的に具現化させる力だ。俺が正面にあらゆる攻撃を防ぐ壁を作りたければ、霊力は俺の意思に答えてくれる。そして、霊力は異を滅する力。お前が異の攻撃・・・つまり、魔力や光を使った攻撃をし続ける限り、お前の攻撃は全て『異能殺し』で作り出した霊力の壁によって相殺される!」
陸兎の説明を聞いたコカビエルは、信じられないと言わんばかりの顔をする。見下していた下等生物が、自分の知らない未知の力を持っている事実に、焦りを感じずにはいられなかった。
「馬鹿な!?何も持たない人間如きに、そのような
「オメェの言う通り、人間は何もねぇ生き物だ。頑張っても1000年以上はぜってぇ生きれねぇし、包丁で刺されるだけで死ぬ。魔力もねぇ、翼もねぇから空も飛べねぇ。霊力がめっちゃあっても、見えないモンが見えるようになるだけで使えねぇ。何もかもがねぇ哀れな生き物だ・・・けどな、何もねぇからこそ、そこから何かを見つけるんだよ。始めっから持っている奴が最強?違ぇよ。自分にねぇモンを見つけて、育てて、他のモンと合わせたりすることで、初めて、持っている奴より先へ進めるんだよ。誓約神器を作った奴も、『異能殺し』を生み出した奴もそうだ。始めから持っていたモンに満足せず、自分に無かったモンを見つけて、育てて、他のモンと合わせたりしたからこそ、生まれることができたんだ。そうやって、人間はオメェらよりも圧倒的に短い
威風堂々と陸兎は『洞爺刀』をコカビエルに突き付けた。
そんな陸兎を見て、コカビエルの心に一つの感情が生まれた。今まで、魔王や神などと言った圧倒的な存在と対峙しても感じる事がなかった'恐怖'という感情だ。
有り得ない。こんな魔王でも神でもないただの人間に、至高の存在である自分が恐怖を感じるはずがない。必死に否定しようとしても、目の前にいる男から感じる魔王や神とは違うオーラが、コカビエルの心を支配していた。
「さてと、種明かしも済んだことだし、そろそろケリを付けようぜ」
「ふざけるな!俺は至高の種族!貴様如きに負けるはずがないのだぁぁぁぁぁぁ!!」
内なる恐怖を押し殺しながら、激情したコカビエルは巨大な光の槍を陸兎に向けて投げる。
それに対して、陸兎は霊力が込められた『洞爺刀』を振り、霊力の斬撃を放った。
『異能殺し』によって普段の斬撃よりも一段と強力になっている斬撃は、光の槍を真っ二つに斬り裂き、そのままコカビエルの体をも斬り裂いた。
「グハッ!」
斬撃を浴びた箇所から赤い血と煙が出ているが、コカビエルは痛みに耐えながら、再び陸兎を見下ろす。しかし、
どこにいった!?と必死に探していると、自分が浮かんでいる場所より更に上に忌々しい人間の呟きが聞こえた。
「夜叉神流二刀・・・」
二本の刀を後ろに持ちながら、コカビエルに近づく陸兎。
コカビエルは咄嗟に光の槍を両手に出現させ、攻撃を防ごうと槍をクロスさせて構えるが、そんなのを気にともせず、陸兎は凄まじい速さでコカビエルに接近し・・・その牙を剝いた。
「『
「ガハッ!?」
コカビエルは体に虎の縞模様のような傷を受け、堕天使の象徴とも言える黒い翼を斬り落とされながら、地面に落下した。
「馬鹿な・・・この俺が、下等な人間如きに・・・!」
僅かな呟きと受け入れぬ現実を残し、コカビエルは地面へと落下する。かつて三つ巴の戦争を生き残った堕天使は、白虎の牙によって遂に倒れるのであった。
コカビエルが浮かんでいた場所には、無数の黒い羽根が舞い散った。
「剣夜様、あの光・・・」
「どうやら『異能殺し』を発動させたみたいだね」
霊力の柱を結界越しに見つめながら呟く剣夜。
陸兎が『異能殺し』を発動させたということは、それだけコカビエルという堕天使が強敵であると言える。そう思いつつも、今は自分たちのすべきことが優先だと、剣夜は瞬時に気持ちを切り替え、結界の維持に集中するよう麗奈に言う。
「どちらにせよ、僕らがやることは変わらない。陸兎がコカビエルを倒してくれるまで、この結界を維持し続けるんだ」
「はい、承知しました――!?」
突如上からただならぬ気配を感じ、麗奈は夜空を見上げる。剣夜も同様に夜空を見上げながら、空から感じる身に覚えのある気配に顔をしかめた。
「剣夜様、この気配・・・」
「まさか、こうも早く来るなんてね。彼らしいって言えばらしいけど・・・」
困った様子で剣夜は結界の一部を解除させて中に入ると、眷属たちと一緒に一つ先の結界を維持し続けているソーナに話しかけた。
「ソーナ、このままでもいいから聞いてくれるかい?」
「剣夜・・・!?どうしたの?悪いけど、結界を維持し続けることで手一杯だから、そう長くは――」
「ソーナ、今から結界が破壊されると思うから、すぐに再構築の準備をしてくれ」
「なんですって?それはどういう――」
言葉の意図が理解できず、ソーナが問いかけたその時だった。
パリン!!
突如空から
・『
人間が持つ霊力を己の意思で物理的に具現化させる力。簡潔に言えば、己の考えていることを霊力で実現させる力である。敵の攻撃を防ぐバリアを作ったり、防御不能の波動弾を放ったり(使い手次第では持っている物から打つことができる)など、使用用途は様々。
強力な力故に、発動させる条件は非常に厳しい。具体的には大量の霊力を持っている、普通の人間よりも一段と優れている身体能力を持っている、強い集中力とイメージを持っている。これからの条件から、一般退魔師でもほとんどの者が『異能殺し』を発動させることができない。
また、霊力を半ば強制的に解放させているため、使用してる間、体力をかなり消耗する。そのため、『異能殺し』が使える一般退魔師でも、発動してから一時間くらいが限界。陸兎は半日くらい使用し続けることができるらしいが、使用した後の疲れが半端ないのと、霊力を刀に纏えば、大抵の異形は除霊できるから、今回の時みたく余程の事がない限り使うことは無い。
・夜叉神流二刀『
両手で持った刀を後ろに背負うように構え、間合いに入った相手に向けて両手の刀を振り下ろす。