ハイスクールD×D 銀ノ魂を宿し侍   作:イノウエ・ミウ

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明けましておめでとうございます。今回は新年特別編となっています。銀魂やハイスクールD×Dの他にも色んな作品のキャラがゲストとして登場しますので、そういうのが苦手な方はブラウザバックを推奨します。
駒王町の時期は正月ですが、時系列は第3章が終わった辺りとなっています。


幕間
年賀状をもらったら返事を出せ


「年賀状ってあるじゃん。あれってわざわざハガキに書いて送る必要ある?明けましておめでとうとか、結婚しましたとか。そんな短い内容のモン伝えるだけならL〇NEとかで十分だろ。わざわざ紙に書いて言う必要ねぇだろ。つまり何が言いたいのかって言うと・・・」

 

陸兎は両手でこたつをバンッ!と叩くと、大声で叫んだ。

 

「なんで年明け早々、こんなハードな作業しなきゃならねぇんだ!なんでどいつもこいつも一枚一枚全部手書きで送ってきてんだ!こんなの今日中に終わるわけねぇだろ!今年もよろしく書いてる内に来年になるだろうが!もう面倒だから、来年から手書きで年賀状送ってきた奴ら全員死刑でファイナルアンサー!」

 

「はいはい、とりあえず死刑は全てイッセー君が受けるとして、喋る暇があるのなら、早く年賀状を送ってくれた方々への返事を書いて、皆でおせちでも食べましょう」

 

ビシッと指を指しながら発した陸兎の愚痴を軽く流しながら、黒い着物を着た朱乃は年賀状を手に取る。彼女の正面には青い着物を着たゼノヴィアがおり、陸兎の正面には体のほとんどをこたつの中に入れて寝ている定春がいた。

そして、彼らが入っているこたつの上には、それはもう大量のハガキが置かれていた。

 

「美容室にしか来なかったって超言いてぇー!だいだい、今は第3章の真っ最中だろ。それをすっぽかして、なに新年特別編書いてんだあの作者。こんなもんに時間費やすくらいなら、さっさと本編進めろよ。皆、将軍かよォォォされるサーゼクス様を見るの楽しみにしてんだよ」

 

大量の年賀状を前にグダグダと文句を言う陸兎。

そんな陸兎に向けて、ゼノヴィアは笑みを浮かべながら言った。

 

「まぁいいじゃないか。こういう平和な時間の中、色々な人の年賀状を見ながら、二人と話して過ごす正月。私は好きだぞ・・・ん?この人物はいったい誰なんだ?私は知らんぞこんな名前の人」

 

「えーと、なになに・・・坂本辰馬・・・って、銀魂の坂本辰馬から来てんじゃねぇか!」

 

「まぁ!この小説が銀魂要素をいくつか入れた二次小説とは言え、まさか銀魂の方から年賀状が来るなんて」

 

「おいおい、まさか銀魂要素があまりにも低レベル過ぎて、それに対する苦情が来たんじゃ・・・」

 

銀魂キャラからの年賀状に、陸兎は不安そうな表情で年賀状を見る。

 

『この小説に定春君がいるってことは、当然ワシの出番もありますよね? by坂本辰馬』

 

「んなモンねーよ!定春はともかく、銀魂キャラはほとんど江戸時代の人間だから、現代社会が舞台のこの小説じゃ出しにくいんだよ!テメェは一生、銀魂アニメのopとedにだけ出てろ!」

 

メタい発言をしながら年賀状をビリビリと破く陸兎。

その横で、朱乃が一枚の年賀状を手に取る。

 

「あら?この方も確か銀魂のキャラでしたわよね。陸奥さんって方ですけど・・・」

 

『破ってもムダじゃき。後、ワシにも出番寄こせ by陸奥』

 

「お前も出番欲しいのかよ!」

 

「他にも快援隊の方々からいっぱい届いてますわ」

 

朱乃が見せた大量の年賀状には、どれも『ワシの出番もありますよね?』や『破ってもムダじゃき』など同じ内容の物ばかり書かれていた。

 

「どんだけ用意周到!?うぜぇよこいつら。どんだけ出番欲しいんだよ!」

 

大量に送られてきた出番要求の年賀状に、陸兎は怒鳴り散らす。

そんな陸兎に、朱乃が一枚の年賀状を渡す。

 

「陸兎君、桂小太郎さんからも年賀状が来てましたわよ」

 

「今度は桂かよ!あのヅラ、銀魂で結構出てんだから、こっちで出る必要ねぇだろうが!」

 

文句を言いながら渡された年賀状を見る陸兎。そこに書かれていたのは・・・

 

『教えてくれ。いつまでスタンバっていれば、俺は桂小五郎の生まれ変わりとして登場できるんだ!?エリザベスは何も言ってくれない。教えてくれ銀時! by桂小太郎』

 

「んなモン俺が知るか!桂小五郎さんの魂がテメェみたいな馬鹿の塊になるわけねぇだろ!後、俺銀さんじゃねぇし!髪はボサボサの天然パーマだし、声も杉田智和だけど、俺はニート侍じゃなくて、ぴちぴちの男子高校生だよバーカー!」

 

「陸兎君、銀魂のキャラではないけれど、馨さんからも年賀状が来てますわ」

 

「はぁ?あいつは定春同様、この小説を面白くするために、作者が登場させている他作品キャラで、既に本編にも出てんだろ。今更、出番が欲しいなんて年賀状出すはずが――」

 

『コカビエルとの決戦の回、結界の外でずっとスタンバってました by酒吞馨』

 

「知るかーーー!!」

 

パンッ!と年賀状を床に叩き付けながら、陸兎は大声で叫んだ。

 

「あの時の戦いは、とても激しいものだったし、木場や陸兎がかなり目立ってたから、出るタイミングが無かったのか。悪いことしたな」

 

申し訳なさそうに呟くゼノヴィアをよそに、陸兎は既に疲れている様子で言う。

 

「マジでうぜぇよこいつら。さっきから他作品キャラの出番要求の年賀状ばっか来るんだけど。こんなんばっかなら、キリトとアスナの結婚報告が来た方が何倍もマシだ」

 

「・・・陸兎君、キリトさんとアスナさんではございませんけど、結婚報告の年賀状なら一応来てますわよ」

 

「え?」

 

朱乃から渡された写真付きの年賀状を見る。

 

『結婚しました。ザマァ見ろ十門寺剣夜 by匙元士郎』

 

の文字が書かれた写真には、白いタキシードを着た匙と、白いウェディングドレスを着たソーナがお互いに抱き合っている様子が写っていた。

ただし、ソーナの方は、薄っすらとだが別の人間の顔の輪郭が見えていた。

 

「何やってんのこいつ?」

 

「これは何処からどう見ても合成写真ですわね。支取会長の胸が巨乳なはずないですもの」

 

「しかも、この年賀状色んな所に送ってるみたいだぞ。ほら、生徒会長ファンクラブの者達から血まみれの年賀状が・・・」

 

「いや、怖ぇよ。ファンクラブ怖ぇよ」

 

各々が偽結婚報告の年賀状にコメントしていると、ゼノヴィアが一つの年賀状に目をつける。

 

「お!結婚報告以外で言えば、新年の抱負が書かれた年賀状もあったぞ」

 

「新年の抱負?」

 

ゼノヴィアの言葉に疑問を抱きつつも、陸兎は渡された年賀状を見る。

 

『ガオー、今年はRAS年で決まりね!Roseliaなんて、もはや先の時代の敗北者だわ。友希那など敢えて言おうkass(カス)であるとね! byチュチュ』

 

「ふむ、これはまた変わった新年の抱負だな」

 

「え?これの何処が新年の抱負?どっからどう見ても、Roseliaの悪口にしか見えないんだけど?」

 

「このチュチュさんは恐らく、バンドリアニメ三期の時、所謂いきり時代の時のチュチュさんですわね」

 

「そう言えば、あの年賀状に書かれていたRoseliaの人達からも、年賀状が届いてたぞ」

 

ゼノヴィアが五枚の年賀状を順番に並べる。

 

明けましておめでとうございます。全然手を付けていませんが、バンドリ小説の方でもよろしくお願いします猫耳ぶっ殺す by氷川紗夜』

 

明けましておめでとう!今年はよりかっこいいドラマーになるぞー!猫耳ぶっ殺す by宇田川あこ』

 

明けましておめでとうございます。作者さん、いつも応援ありがとうございます。これからも、私やRoseliaの皆の事を応援してください猫耳のお供もぶっ殺す by白金燐子』

 

明けましておめでとう。八神さん、あなたはポピパ派みたいだけど、今年はあなたをRoselia派にしてみせるわ他の三人もぶっ殺す by湊友希那』

 

RAISE A SUILENぶっ殺す!! by今井リサ』

 

「おいぃぃぃぃぃぃ!!リサ姉!殺意丸出し過ぎだろ!RASのメンバー全員ぶっ殺すつもりなんだけどこの子!」

 

「恐らく、幼馴染で親友である友希那さんを馬鹿にされて、怒りの炎を灯してしまわれたのでしょう。弟さんをいなかったことにされたり・・・可哀想な方ですわ・・・ぐすっ」

 

「なんで泣いてんの!?」

 

何故か泣き出した朱乃にツッコむ陸兎。

その横で、ゼノヴィアが一枚の年賀状を手に取る。

 

「陸兎、銀魂でも浅草鬼嫁日記でもバンドリでもない作品のキャラから年賀状が来てるぞ」

 

『アリブレにイーディスってヒロインいるけど、あいつの取り柄って百合だけで、運営の依怙贔屓だけで生きてる贔屓ヒロインだよね byコハル』

 

「今度はSAOかよ!」

 

「言われてみれば、イーディスってSAOゲームのキャラの中でかなり優遇されてる気がするな。本人の人気が高いというのもある気がするが・・・」

 

「銀髪騎士、姉属性、百合、巨乳・・・うん、こりゃ人気出るな」

 

「二つ目の姉属性の時点で既に人気が出ますわね。どの作品でも姉属性を持つキャラというものは、殿方のハートを鷲掴みにしてしまいますから」

 

「そのイーディスからも年賀状が届いてるんだが・・・」

 

『SAOIFにコハルってヒロインいるけど、あいつ何の取り柄も無い普通系ヒロイン過ぎてマジ泣けるわ。やっぱ時代は百合でしょ百合 byイーディス』

 

「お前も似たような年賀状かい!つか、こいつら口調が若干チンピラぽくなってない!?こんなキャラだったっけこいつら!?」

 

明らかにキャラ崩壊してる二名の年賀状にツッコんでいると、ゼノヴィアが複数の年賀状を見て、「ん?」と声を漏らした。

 

「陸兎、さっきの二人からたくさんの年賀状が届いてるぞ」

 

『おいコラ待て。誰が何の取り柄もない普通系ヒロインだゴラァ! byコハル』

 

『お前だよオ・マ・エ!どこにでもいるような普通の一般人みたいな見た目した冴えないヒロイン(笑)のことだよwww byイーディス』

 

「なんで年賀状内で会話してんだこいつら!?」

 

『冴えない(カッチーン)・・・よーし、分かった。表出ろ百合野郎!恋愛のれの字も知らない百合好きに、正統派ヒロインの力を見せてやる! byコハル』

 

『上等だゴラッ!普通系ヒロインに真のヒロインってモンを教えてやるよ! byイーディス』

 

『まあまあ、二人共落ち着いて。同じSAOのキャラなんだし、少しは仲良く―― byミト』

 

『しゃしゃり出てくんな!映画限定のモブキャラ!! by普通の一般人』

 

『名前が茨城県の県庁所在地と同じだからって調子に乗ってんじゃねぇぞ水〇アナ!! by百合野郎』

 

『・・・言ったな。言ってはいけないこと言ったな!!絶対に許さない!テメェら二人まとめて私の鎌で切り刻んでやらぁ!! by水〇アナ』

 

『『『うおーーーーーー!!! by狂乙女(バーサーカー)三名』』』

 

「うるせぇぇぇ!!!」

 

狂乙女(バーサーカー)と化してしまった三人の年賀状をビリビリと破く陸兎。

 

「何このチンピラ狂乙女(バーサーカー)共!?しかも、途中で一人増えてんだけど!?もう全員キャラ崩壊もいいところだよ!こんな狂乙女(バーサーカー)な姿、ファンが見たら泣いちゃうぞ!つか、俺が既に泣きそうだよチキショーがぁぁぁぁぁぁ!!」

 

散々叫んだ陸兎は、疲れ切った様子でコタツの上に顔を乗せぐったりとした。

その横で、ゼノヴィアがまたもや一枚の年賀状に目をつけた。

 

「む?陸兎、またSAOのキャラから年賀状が来たぞ」

 

「えー、もう勘弁してくれよー。ただでさえ、さっきまで狂乙女(バーサーカー)共の喧嘩に巻き込まれたばっかだってのによ・・・」

 

「それなんだが、このキャラどうやら名前が無いみたいなんだ」

 

「おいおい、SAOのノーネームドキャラって言ったら、そんなのアンダーワールドで戦いは数だよ兄貴!を証明した米中韓のプレイヤー共みたいなモブキャラしかいない――」

 

『4周年、ずっとスタンバってました bySAOIF主人公』

 

渡された年賀状に写っていたのは、SAOIF4周年のキービジュアルを撮っているスタジオの隅に一人悲し気な顔で体育座りしているSAOIF主人公がいた。

 

「・・・全然モブキャラじゃなかったな。バリバリの主人公だったな」

 

「この方は確か、公式サイトにデフォルトの容姿が書かれているにもかからわず、4年も使われてないから、4年間公式サイトでずっと同じポーズをされ続けている可哀想な主人公ですわね」

 

「主人公なのに4年も出番が無いとは不憫な奴だ。他にも、彼から複数の年賀状が届いてるんだが・・・」

 

『僕って主人公だよね?なのに、4年もガチャの実装や一枚絵が無いっておかしくない?』

 

『デフォルト容姿が無い主人公なら分かるよ。でも、僕公式サイトにデフォルト容姿が載ってるのに、初期のキービジュアル以降使われないまま、4年もずっと公式サイトで同じポーズされ続けているんだけど』

 

『4周年生放送の時にSAOIF主人公は君自身だって竹内P(SAOIFのプロデューサー)が言ってたんだけど、そんなら初めっからデフォルト容姿なんて書くなよ。新規の人が公式サイトの僕を見たらオマ誰!?状態になるだろうが』

 

「知らねぇよ!オメェの主人公事情なんて!文句なら竹内Pに直接言え!」

 

愚痴ばっかの年賀状にツッコむ陸兎。

そんな中、朱乃が複数の年賀状を手に取り、「あら?」と声を上げた。

 

「こちらの年賀状は、SAOIF主人公さんを励ましていらっしゃる明るい内容となっておりますわ」

 

そう言いながら、複数の年賀状をテーブルに置いた。

 

『SAOIF主人公(笑)は所詮ソシャゲ主人公の敗北者じゃけ byグランブルーファンタジー主人公グラン』

 

『安心してください。俺も名前の無い主人公ですから、SAOIF主人公(笑)さんと同じですね。あ!ごめん。俺、名前は無いけど、中の人がいるし、俺自身ガチャで何個か実装されてるし、何ならアニメにも出てるんだった。プフッ(笑)! by白猫プロジェクト主人公』

 

『大丈夫ですよ。僕も3周年で中の人とガチャデビューを果たせましたし、SAOIF主人公(笑)さんにもまだチャンスはあるはずです。あ!でも、SAOIF主人公(笑)さんは4周年でもガチャや中の人どころかキービジュアルにも載せてもらえませんでしたねwww byテイルズオブリンク主人公アレン』

 

『ガンバ(笑) byプリンセスコネクト!Re:Dive主人公ユウキ』

 

「どこが励ましの年賀状だ!全員SAOIF主人公を貶してんじゃねぇか!」

 

「お!SAO原作主人公のキリトからも来たぞ」

 

『さっき、SAOIF主人公(あいつ)に複数の年賀状が届いて、嬉しそうに涙を流したと思ったら、年賀状を見終えた瞬間、血反吐を吐くような勢いで倒れたんだ。当然、仮想世界だから血は出ないけど、あの顔はマジで血が出ててもおかしくない顔だった。何か心当たりは無いですか? byキリト』

 

「あぁ、やっぱりショックだったんだな・・・」

 

「4年経っても、一向に出番はもらえず、他作品主人公には馬鹿にされ・・・」

 

「サ終までには出番あるといいな・・・」

 

本編には登場せず、未だ公式サイトに載ってるだけ主人公と化しているSAOIF主人公を憐れむ陸兎とゼノヴィアであった。

そんな中、朱乃が一枚の年賀状に目をつけた。

 

「二人共、副会長から年賀状が来てましたわよ」

 

『匙がここ一週間、行方が分からないの。何か知らないかしら? by真羅椿姫』

 

「・・・知ってます?」

 

「知らない知らない。皆目見当もつかねぇよ」

 

変な汗をかきながら否定する陸兎を尻目に、朱乃は新たに二枚の年賀状に目をつける。

 

「あら?七星さんとセラフォルー様からも年賀状が来てますわ」

 

「ちょ、麗奈はともかく、あんたは第4章に登場する予定だろうが。いくら新年特別編だからって、サプライズにも程があるだろうが――」

 

『新年明けましておめでとー☆今年の目標は蛇退治を頑張るぞ☆ついさっきも、イキのいい黒い蛇を一匹退治しちゃったぞ☆ byセラフォルー』

 

『喪中につき新年のご挨拶をご遠慮申し上げます。12月にペットのカメレオンが凍死致しました事をここに記します by七星麗奈』

 

「・・・犯人確定ですわ」

 

「ザマァ見ろ十門寺剣夜って言葉が気に食わなかったんだな・・・」

 

犯人の年賀状を見ながら呟く二人の横で、ゼノヴィアが一枚の年賀状を手に取る。

 

「陸兎、マスキングって人から年賀状が届いてるんだが・・・」

 

「マスキング・・・あぁ、RASのドラムか。あいつ、ヤンキーみたいな見た目してるけど、めちゃくちゃ良い姉御キャラだから、結構好感持てるんだよな。えーと、どれどれ・・・」

 

『チュチュの奴、ここ数日マンションにいねぇんだ。連絡もつかねぇし、心配だな・・・ byマスキング』

 

「・・・・・・」

 

「・・・これって、絶対どっかのリサ姉の仕業――」

 

「いやいやいやいや、リサ姉なんてあだ名、世界中探せば500人に一人はいるはずだよぉ。いくらあんな年賀状が送られて後とは言え、なんの根拠も無しに決めつけるのは――」

 

「あら?この方もバンドリのキャラでしょうか?」

 

『最近、リサ先輩が赤い何かが塗っていた猫耳のヘッドホンを手に持ちながら、物凄く上機嫌に街を歩いてたんだ。それと、RASのチュチュが少し前から行方不明になってんだ。そのせいで、ポピパの皆もチュチュのこと心配してて練習にあまり集中できてねぇんだ。もし見かけたら知らせてくれよ by市ヶ谷有咲』

 

決定的な証拠を前に、何も言えなくなる陸兎。

そんな彼に追い打ちをかけるように、朱乃が新たに一枚の年賀状を手に取る。

 

「あら?キリトさんに続いてアスナさんからも年賀状が来てますわ」

 

『明けましておめでとうございます。私が出ている『ソードアート・オンライン IF』では、現在SAOアインクラッド編の話に沿った原作ルートが進められておりますので、そちらの方もよろしくお願いします。さて、宣伝はここまでにして、そろそろ本題に移ります。こうして皆さんに年賀状を送ったのは、皆さんにお聞きしたいことがあったからです。先程、名前の無い主人公みたいな顔をした茶髪の男の子がアインクラッドの外へ続いている柵の上に儚げな表情で立っていました。そして、そのまま両手を広げて涙を流しながら、アインクラッドの外へ身を投げ出しました。キリト君に聞いたら、顔を真っ青にしながら修行と答えたのですが、あれはいったい何の修行なのか私には分かりません。どんな修行なのか、教えていただけないでしょうか? byアスナ』

 

「・・・名前の無い主人公みたいな顔をした茶髪の男の子・・・完全にSAOIF主人公だろうな。それにアインクラッドの外に身を投げ出す・・・これって、もしかしなくてもじ――」

 

「よし!もう止めよう!これ以上、年賀状見るの止めよう!とりあえず、出してくれた連中には『ハイスクールD×D5期待ってます』って返事しようぜ!」

 

ゼノヴィアが言い切る前に、これ以上年賀状を見るのは危険だと感じ取った陸兎が制止にかかった。

 

「ふむ、陸兎がそう言うのなら、後はこの一枚だけにしよう・・・む?なんだこの年賀状は?ナロウゴンド島という場所から来たみたいだが・・・」

 

「どこだよそこ!?そんな島に知り合いや他作品キャラいたっけ!?」

 

「なんか・・・マミューダパオという名前なんだが・・・」

 

「誰だよそいつは!?」

 

色んな疑問を抱きつつも、陸兎たちは年賀状に書かれている内容を読み始める。

 

『私の名は、長谷川マミューダパオ』

 

「いや、これ銀魂のマダオこと長谷川泰三さんじゃねぇか!何やってんだあの人!」

 

思わぬ人物からの年賀状にツッコミを入れる陸兎。

 

『私はこの島に飛ばされる前の記憶がありません。私が最後に覚えていたのは、江戸の町を歩いていたら、突如頭上に巨大な雷が落ちて・・・気づいたら、果てしない空の上にある畳の上に座っていました。そして、私の目の前には眼鏡を掛けたご老人がいました』

 

『とーいうわけで、お前さんは死んでしまった』

 

「んー、イセスマ!」

 

聞き覚えのある展開に、思わず反応してしまった陸兎。

 

『私はそのご老人によって、この島に飛ばされました。見知らぬ土地に飛ばされ、どこに進めばいいのか分からなかった私を、目が覚めた場所から少し歩いた所にあったMADAO村の人々が歓迎してくれて、彼らは私に、この村で一番'まるでダメなおっさん'臭がする者に与えられる名前。マミューダパオ、略してマダオという名前を与えてくれた』

 

「結局マダオって呼ばれるんかい!」

 

『MADAO村の人々は心優しい。その証拠に、彼らは毎日私の顔面に木の実を投げ与えてくれます』

 

「どう見ても嫌われてんだろ!」

 

『私は記憶を無くしていたが、ここの暮らしに満足感と気持ち良さを感じています』

 

「この人ただのMだった!」

 

『記憶を無くす前、私には何らかの使命があったはず。しかし、それが何なのか思い出せない。この島・・・いや、この世界に飛ばされた時に持っていた謎の記号が記された紙切れ。もしかしたら、これが私の記憶を呼び戻すヒントになるのかもしれない・・・』

 

※ここから先は回想に入ります

 

 

 

 

この世界に飛ばされてから数日後、マミューダパオことマダオは、紙切れを村長に見せた。

 

「マダオよ。この島では我らMADAO村の他に三つの村が存在する。我らはその三つの村と長きに渡って縄張り争いを繰り広げている。そして、それらの村を統治している者達は皆、お前と同じ紙切れを持っていた」

 

「!? 本当ですか!?」

 

村長から語られた事実に、驚愕の表情となるマダオ。

 

「奴らもマダオ、お前と同じ異界の者かもしれん。奴らは恐るべき強さで村のリーダーとなり、我らの聖地を蹂躙し始めた。もはや我らでは奴らに太刀打ちできん。だが、マダオ。同じく異界より現れたお前なら・・・」

 

村長の言葉にマダオは何も答えることができなかった。

村のリーダーとなった三人に比べて、自分は何の変哲もないマダオ。下手したら死ぬかもしれない。

それでも・・・

 

 

 

 

場所は変わり、島の中央にある平地。

そこでは今この瞬間、ZIMI村とBANDO村とDEBAN村による三つ巴の戦いが繰り広げられようとしていた。

先頭にそれぞれの村のリーダーと思わしき人物たちが立ち、その後ろに大勢の部下を率いている。

三者お互い睨み合っていたが、戦いの時は突然訪れた。

 

『うぉーーーーーー!!!』

 

雄叫びと共に、三つの村の人々は、村のリーダーを先頭に、一斉に敵に向かって走り出した。

その時、戦場のど真ん中に突如マダオが現れ、彼はその場で堂々と仁王立ちした。

先頭に立っていた三人は、マダオの姿に気づき、一斉に足を止める。

 

「何者だ!?」

 

「邪魔よ!退きなさい!」

 

「聖なる戦の邪魔をしてまで出番が欲しいか貴様!」

 

それぞれの村のリーダー達がマダオに向けて武器を突き付けるも、マダオは腕を組んだまま臆することなく口を開く。

 

「くだらねぇ争いは止めろ。我らは皆、大地の子。家族のはずだ」

 

shut up(シャラップ)!あんた達と一緒にしないで!この村でいっちばんstrong(ストロング)な村は私たちBANDO村よ!」

 

「何を言う!我らZIMI村こそが、この聖なる島を統べる村だ!」

 

「それは違う。この島で一番に出番を求めているのは僕たちDEBAN村だ!」

 

マダオの制止の言葉を聞いても、止まる気配のない三人。

すると、マダオは一枚の紙切れを上に掲げ、三人に見せながら言った。

 

「いや、俺たちは同じ目的を持った同志のはずだ」

 

「「「っ!?」」」

 

マダオが紙切れを見せた瞬間、三人は一斉に驚き、持っていた武器を地面に置くと、ゆっくりとマダオの方まで歩いて行く。

 

「自分が誰なのか・・・」

 

「自分のすべきことが何なのか・・・」

 

「ずっと探していた・・・」

 

「記憶に残っているのは、黒と金色のクワガタから放たれた青白い輝き・・・」

 

「大量の拳が飛んできた後、簀巻きにされて、海に沈められ・・・」

 

「この島に来た時から・・・」

 

「「「ずっと一人だと思っていた」」」

 

気がつけば、四人は抱き合い、涙を流していた。

そして、彼らはお互いの紙切れを取り出し、上に掲げた。紙切れはどれもバラバラで、合わさるような物ではなかったが、彼らの心は既に一枚に合わさっていた。

 

「じ、ジミー様!戦は!?」

 

「そんなくだらねぇことをしてる暇はない」

 

動揺する部下の質問に答えながら、仮面を外す匙元士郎。

 

「では、どうすると言うのですか?」

 

「決まってるでしょ」

 

同じく部下の質問に答えながら、仮面を外すチュチュ。

 

「僕らがやるべきことはただ一つ」

 

SAOIF主人公も己の仮面を外し、意を決した表情で言う。

そんな彼らを見て、マダオは笑みを浮かべながら言った。

 

「皆で年賀状書こう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『というわけで、この素晴らしい出会いを少しでも大勢の人達に伝えたくて、私はこの出来事をモチーフにした小説を書く事にしました。タイトルは・・・』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

異世界転生したら家族になりました

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

の文字が書かれた写真には、長谷川と匙とチュチュとSAOIF主人公がお互いの肩を組みながら笑顔を向けていた。

 

「・・・・・・」

 

陸兎は無言でライターを手に取りながら窓を開け、写真付きの年賀状を燃やした。

 

「陸兎、こっちの年賀状はどうする?」

 

ゼノヴィアから渡された一枚の年賀状を無言で見る。

 

『出番が欲しかったので、グレートレッドに乗って、ナロウゴンド島へとスタンバってたら、グラブルの世界に着いてました byグレモリー眷属一同』

 

「カァー、ぺっ!」

 

朱乃、ゼノヴィアを除くグレモリー眷属からの年賀状に、陸兎は唾を吐き付け、そのままくしゃくしゃに丸めると、窓の外に捨てた。

 

「陸兎、オチはどうする?」

 

「朱乃、頼む」

 

「かしこまりました。読者の皆さん、明けましておめでとうございます。今年もこの小説並びに作者様のことをよろしくお願いします」




「異世界転生したら家族になりました」は3022年に公開予定です
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