とある日の休日、陸兎は兵藤家へお邪魔していたが、ある深刻な悩みに悩まされていた。
「ハクション!たく、どうなってんだよ。この花粉の量」
「ハクション!外はかなり酷いらしいぜ。今は花粉のシーズンじゃないのに、もう町中が花粉だらけで、皆ぐちょぐちょのべろんべろんになってるってよ」
現在、駒王町では大量の花粉が発生しており、町歩く人々は次々と花粉症に掛かってしまい、くしゃみを連発していた。
それは、兵藤家の中も同じだった。一向に止まらないくしゃみに、陸兎と一誠は頭を悩ませていた。
「噂じゃ、この花粉はただの花粉じゃないらしい。なんでも、この花粉は未知の宇宙人が地球侵略の為に用意したもので、人々を花粉で弱らせようとしてるとか」
「そんな馬鹿な」
「有り得なくはないだろ。なんたって、この作品はフィっクション!です。実際の人物、団体、事件など一切関係ありません」
「そんな注意事項、今更必要ねぇだろ」
「それもそっか。銀魂で歴史上の人物をモチーフとしたキャラが登場するように、ハイスクールD×Dでも既に色んな所の神話の神やら異形やらが登場してるしよ。ノンフィっクション!のノンもありゃしねぇ」
部屋にあるティッシュを使用しながら、会話をする陸兎と一誠。
すると、アーシアが一誠の部屋に入って来た。
「イッセーさん、回覧板が届きました」
そう言って、アーシアは一誠に回覧板を渡した。
「あぁ、回覧板か。確か、次は鈴木さんの所だったよな。外は花粉でいっぱいだし、なるべく家から出たくないけど・・・仕方ないか。ちょっと届けに行ってくるよ」
「あ、私もご一緒します」
「せっかくだし、俺も行ってやるよ。その鈴木さんとこからティッシュをぬす・・・ちょっくら借りてくる」
「おいコラ、さりげなく窃盗しようとすんな」
隣人の家で窃盗を犯そうとする陸兎にツッコミながら、一誠は家を出た。
そして、隣の鈴木さん宅へやって来た陸兎たちだったが・・・
「・・・なぁ、お隣の鈴木さん、随分と変わった家に住んでんな。一本の巨大な木に住むって、あやかしでもそんなにいねぇぞ。つか、なんだよヘドロの森って?森を愛しすぎて、自分ちを迷いの森にリフォームしたの?」
「あれー?おっかしいなー?確か、鈴木さんの家って普通の一軒家だった気がするんだけど・・・」
「入口から見て、お花屋さんでしょうか?」
そこに建っていたのは、家と言うよりも、高層ビル並みの高さを持つ巨大な大樹であった。
大樹を見上げながら呆然とする陸兎と一誠をよそに、アーシアが大樹の中へ入り、慌てて二人も中に入る。
大樹の中には花が咲いている植木鉢があちこちに置かれており、内装から花屋だと予想するアーシア。しかし、肝心の店員はどこにも見当たらない。
「すみませーん、誰かいませんかー?」
アーシアは声を大きくしながら、誰かいないか呼びかけた。
その時、店の奥からドスン、ドスンと何やら大きな足音が聞こえてきた。突然の大きな足音に陸兎たちは驚きながら、足音がした方を見つめると、店の奥から人影が姿を現した。
その人影は徐々にこちらに近づいており、近づくにつれて大きくなっていく足音に、陸兎たちは少し警戒する。
そして、その人影が三人の目の前に現れた途端、三人は一斉に固まった。
「どうも初めまして。本日、この町に引っ越してきました
そこにいたのは、2メートルは超えているだろう巨体に、頭には2本の角と長い黒髪と髭が生えており、2本の角の間には一輪の花が咲いている。口には2本の鋭い牙、瞳の色は赤く、何よりも肌の色は人肌とかけ離れている緑色であり、どっからどう見ても鬼にしか見えない生物がいた。その生物は服を着ておらず、代わりにエプロンを掛けており、この花屋の店長だと言った。
本来の悪魔よりも悪魔している店主の登場に、陸兎たちは顔を青くしながら呆然と突っ立っているのであった。
その後、陸兎たちは屁怒絽宅へ招待されて、昼食をご馳走させてもらうことになった。
畳が敷かれた和式の部屋に並んで正座する陸兎、一誠、アーシアの三人。その前では、屁怒絽がキッチンで包丁を研いでいた。
「おい、あれが隣の鈴木さんか?なんか、めちゃくちゃ怖くね?どっからどう見ても、地球を征服しに来た宇宙人にしか見えねぇんだけど・・・ひょっとして、整形手術に失敗して、顔面崩壊したってやつ?」
「んなわけねぇだろ!俺だってよく分かんねぇよ!昨日までニッコリスマイルを向けてた鈴木さんが、今日になったら、あんな凶悪スマイルを向けてきて、もう何がどうなってんだよ!」
屁怒絽に聞かれないよう小声で会話する陸兎と一誠だが、一誠は昨日まで普通の人間だったはずの隣人が、化物になっていることに混乱していた。
すると、包丁を研いでいた屁怒絽が嬉しそうに口を開いた。
「イヤー、回覧板を届けるために、わざわざ三人で来ていただいてすみませんね。おもてなしに、今軽くつまめる物を用意しますからね」
「「「(つ、つままれる!このままでは確実につままれる!)」」」
包丁を光らせながら淡々と言う屁怒絽に、三人は食われるのではないかと恐怖する。
恐怖を抑えながらも、何とかここから脱出すべく、陸兎は丁寧な言葉で屁怒絽に話しかける。
「あ、あのー、屁怒絽様。いや、屁怒絽伯爵」
「屁怒絽で結構です」
「あのー、おもてなししてくれるのは嬉しいんですが、さっき父が危篤との連絡が入ってですね。すぐに帰らないと――」
「なんですと!?どうして早く言ってくれないんですか!あのー、心配なので、僕も付いてきていいですか?」
「「「(付いてくるつもりだ!地獄の果てまで付いてきて、俺(私)たちを危篤にするつもりだ!)」」」
噓を付いてこの場から離れようとしたが、どこまでも付いて来ようとする屁怒絽を見て、陸兎は諦めた。
「やっぱりいいです。結構どうでもいい親父だったんで」
「え?そうなんですか?」
「はい、ホントもう、どうでもいいです。早くお葬式を挙げたいなって思ってたくらいですし」
「そうですか。お葬式の際は、是非うちの花を使ってください。精魂込めて育て上げた花ですから、きっとお父様を極楽浄土に導いてくれるでしょう」
「「「(導かれる!お父様だけじゃなく、人類全員が極楽浄土に導かれる!)」」」
本人は(架空の)父親の事を想って言っているのだが、あまりの恐怖に人類滅亡の未来を想像してしまう三人。
「あ、あのー、屁怒絽さん。どうして花屋になろうと?」
少しでも屁怒絽を刺激しないよう注意しながら、一誠が花屋になった経緯を聞いた。
すると、屁怒絽は苦笑いをしながら、花屋になった経緯を話し出す。
「ハハハ、似合わないでしょう?こんな見てくれじゃねぇ・・・僕は花になりたいんです。この外見のせいで、昔から皆に怖がられてたものでね・・・せめて、心だけでも花のように綺麗になりたいと・・・少しでも、花と近くにいられる仕事がしたいと思ったんです。でも、やっぱり向いてないみたいだ。今までお客様が寄ってくれたことなんて一度もない。兵藤さん達だけですよ。怖がらずに僕と接してくれたのは・・・」
「「「(すみません、めちゃくちゃ怖いです)」」」
嬉しそうに語る屁怒絽だったが、三人は内心めちゃくちゃ怖がっていた。
しかし、見た目とは裏腹に、穏やかに接してくれている屁怒絽を見て、アーシアは悪い人ではないと疑問を持ち出した。
「あのー、お二人共。もしかしたら屁怒絽さん、本当はいい人なんじゃないでしょうか・・・」
アーシアは二人に己の考えを言ったが、陸兎はそれを否定した。
「違うな。あれはギャップルールだ」
「ギャップルールですか?」
「あぁ。普段はリーゼントの奴が、たまに良いことをすれば、物凄く好感度が上がる。逆に普段はいい子ちゃんが、ちょっと悪いことをすると、無茶苦茶悪い奴に見える。それがギャップルールだ」
「でも、それだったら屁怒絽さんも同じじゃないですか?普段は怖い見た目ですけど、教会に捨てられた赤ちゃんを拾ったり・・・」
「馬鹿野郎!どっからどう見ても、赤ん坊を食う絵にしか見えねぇよ!食事する二秒前だよ!」
ギャップルールの説明を聞いたアーシアは、大雨の中で教会前に捨てられた赤ちゃんを拾う屁怒絽の姿を想像したが、陸兎に言われて、赤ちゃんを食べようとする鬼の姿に変わった。
「だいたいお前らは、外見とちょっと落差ができたからって絆されすぎなんだよ。人は見かけによらないなんて言葉は、世間知らずの妄言だ。大事だよ第一印象は。信じるんだインスピレーション、感じるんだイマジネーション」
そう言いながら、陸兎はキッチンに置いてある鍋を指差した。
「いいか、アーシア。あの鍋の中、数時間後にはどうなっていると思う?」
「えっと・・・美味しいお料理ができてます!」
「違う!これだから世間知らずのシスターは。今から正解見せてやっから、よく見てろ」
数時間後、火を通していた鍋がぐつぐつと音を立て始めた。
『お!そろそろ煮えたかな?』
そう言いながら、屁怒絽は煮えた鍋の蓋を開けて中身を見た。
その中にあったのは・・・骨のみとなった陸兎と一誠とアーシアが煮込まれている姿だった。
「「ヒイイイイイ!!」」
最悪な結末を聞かされた一誠とアーシアは、顔を青くしながら悲鳴を上げた。
「な、見えただろ?俺たちの未来」
陸兎の言葉にうんうんと頷く一誠とアーシア。
それを見た陸兎は、手に『洞爺刀』を持ちながら、腰を引くした。
「もはや一刻の猶予も無い。奴が地球を征服する前に、何としてでも除霊する。それに・・・あれを見ろ」
「あれは・・・ジャンプを下に敷いて、冷蔵庫の高さを調整しているのか?」
陸兎が指を指した先には、冷蔵庫の高さ調整に使われている少年ジャンプが置いてあった。
「ジャンプはなぁ、男たちが夢と冒険に心震わせた本だ。それをあんな使い方する奴が・・・いい奴なわけねぇーーー!」
「そんな理由!?」
一誠のツッコミを受けながら、陸兎は怒りと共に飛びかかった。
次の瞬間、陸兎に気づいた屁怒絽が、何処から取り出しのか分からない大きな石を手に持ち、陸兎に向けて投げた。
ドーン!
石は猛スピードで陸兎の真横を通り過ぎ、そのまま天井を貫いた。
一瞬の出来事に反応できず、大の字で倒れている陸兎の下に屁怒絽が近づくと、彼はしゃがみ込んで、あるものを指に乗せた。
「イヤー、危なかった。危うくてんとう虫を踏むところでしたよ。殺生はいけない」
指にてんとう虫を乗せながら注意する屁怒絽。彼はてんとう虫を踏み潰しそうになった陸兎を止めたのだ。
しかし、陸兎たちにとって、先程の出来事は恐怖でしかなく、危険を感じた一誠は、隣で啞然としてるアーシアに逃げるよう叫んだ。
「逃げろアーシア!」
「は、はいぃぃぃ!!」
一誠の叫びでハッと我に返ったアーシアは、すぐさま逃げようとした。
だが、逃げようとしたアーシアの目の前に包丁が飛んできて、壁に突き刺さった。
壁に刺さった包丁を凝視しながら止まっているアーシアの下に屁怒絽が近づき、アーシアの前に置いてあった植木鉢を手に持ちながら喋った。
「ダメだよ君も。あうやく植木鉢を倒すところでしたよ。殺生はいけない」
「ヒィ!」
屁怒絽の力強い目力に、腰が抜けてしまうアーシア。
一方、大の字で倒れていた陸兎は、心の中で自分の愛する神(推しバンドのボーカル)に祈っていた。
「(神様・・・はもう死んでるからダメだ。なら、香澄様だ。香澄様、どうか・・・どうか俺に力を・・・!)屁怒絽ぉー!お前に地球は渡さねぇーーー!!」
再び『洞爺刀』を握りしめ、叫び声と共に突進しながら、陸兎は屁怒絽に斬りかかった。
その隙に、一誠は腰が抜けてしまったアーシアを抱えて、薄暗い通路をひたすらに走っていた。
「イッセーさん!陸兎さんが!陸兎さんが・・・!」
「諦めろアーシア!俺たちは必ずここから脱出して、この世界の危機を部長たちに伝えないといけないんだ!あいつが残してくれたモンを無駄にすんじゃねぇ!」
ひたすらに走る一誠とアーシアは、陸兎が既に死んでいると思い込んでいた。
その時、背後から猛スピードで何かが近づいてき、それはあっという間に一誠たちを追い越した。
「いぃぃぃやぁぁぁぁぁぁ!!」
そう、それは悲鳴を上げながら猛スピードで逃げている陸兎の姿だった。
「ちょ、八神!お前、地球を守るんじゃなかったのか!?」
「地球より自分じゃー!」
「ごもっともぉー!」
そんなやり取りを繰り広げながらも、陸兎たちは薄暗い通路を走り回った。
しかし、あちこち走り回っても、出口が見つかる気配がなく、それどころか同じ通路ばかりが続いている。
走り続けた末に、陸斗たちは一つの部屋を見つけ、そこに向かって、頭から滑り込んだ。
「!?・・・お、おい、あれ・・・!」
一誠が顔を上げながら絶句しており、他の二人も一誠に釣られて顔を上げると、目を見開いた。
そこにあったのは、巨大な台座のような物であった。それはまるで、何かを捧げる為に置かれており、部屋の薄暗い雰囲気から察するに、この部屋は・・・
「祭壇!?」
「やっぱりか!あれって、生贄捧げるんだよな!絶対俺らを捧げるつもりだよな!」
「イヤー!主よ!お助けください!」
この部屋が生贄の祭壇だと思い込み、陸兎たちは体を震わせる。
だが、彼らは気づいてなかった。三人が入った部屋の入口に『寝室』と刻まれた石板があったことに。
「兵藤さん!どこですか!?」
「「「!?」」」
屁怒絽の声が聞こえた三人は、咄嗟に近くにあった草花の中に隠れた。
ちょうどそこに、屁怒絽が部屋の中に入って来た。
「あれー?おかしいなー?確か、こっちから物音が聞こえたんだけど・・・聞き間違いかな?早く見つけないと・・・」
そう言いながら、部屋から出ようとする屁怒絽を見て、安堵する陸兎たちだったが・・・
「クチョン」
「「!?」」
草花から漂う花粉に耐えきれず、アーシアは可愛らしいくしゃみをしてしまった。
陸兎と一誠が咄嗟にアーシアの口元を塞いだが、屁怒絽はその可愛らしいくしゃみの音すらも聞こえてたようで、その場で足を止めると、顔を三人が隠れている草花の方に向けた。
「見つけましたよ」
「「「っ!!!」」」
屁怒絽に見つかった三人は、すぐさま草花から飛び出し、再び薄暗い通路を走り出した。
「嫌だぁー!童貞のまま死ぬなんて嫌だぁー!」
「一誠!お前が犠牲になれば、全て丸く治まる!」
「治まるか!完全に俺を生贄する気だろ!つか、いつの間にか階段上ってんだけど!俺たち外に出なきゃいけないのに、これ上っていっていいのかよおい!?」
走り続けていた三人は、いつの間にか螺旋階段を上っていた。
そのことに一誠が気づいたが、陸兎とアーシアは走るのに必死でそれどころではない。
「だったら、お前一人で降りろ!」
「ふざけんな!アーシアもなんか言ってやってくれ!」
「イッセーさん!貴方の事は一生忘れません!」
「お前ら鬼か!?」
「鬼はあれだ!」
顔を後ろに向けながら叫ぶ陸兎に釣られて、二人も顔を後ろに向ける。
「待ってくださーい!」
そこにいたのは、鬼のような形相(本人は至って普通の顔をしてる)で三人を追いかける屁怒絽の姿だった。
「「鬼だぁーーー!!」」
迫り来る
三人は無我夢中で走り続けて、果てしない螺旋階段を上り続けた。
「あれ見ろ!ひょっとして出口じゃねぇか!?」
一誠が螺旋階段を上り切った先にある出口らしき扉を発見した。
三人はその扉まで走り、その勢いのまま扉を開けた。
だが、そこにあったのは出口ではなく、駒王町の街並みが広がる展望台のような場所だった。
「兵藤さん!やっと追いつきましたよ・・・」
駒王町の街並みに呆然としていると、屁怒絽が三人に追いついた。
既に逃げ場は無く、完全に追い詰められた三人だが、陸兎が意を決した顔で一歩前に出た。
「一誠、アーシア、短い付き合いだったな」
「八神・・・」
「陸兎さん・・・」
威風堂々と立つ陸兎の後ろ姿を見て、二人は思った。彼はこれから、己の命を懸けて自分たちを逃がすつもりなのだと。
そうは問屋が卸さんと、一誠が『赤龍帝の籠手』を出現させて、陸兎の隣に立つ。
「一人でかっこつけんなよ。この町を・・・いや、この世界を守りたいのは、お前だけじゃねぇんだ。俺たちの住む世界を、あいつの好きにさせてたまるかよ」
「フッ、馬鹿だな。お前は・・・」
「八神もな・・・」
お互いに笑みを浮かべ合うと、二人は屁怒絽の前に立った。その姿は、これから死地へ向かう特攻隊のようだった。
「アーシアはここから飛んで、この事を部長たちに伝えてくれ。その間の時間は俺たちが稼ぐ」
「待ってください!陸兎さん!イッセーさん!」
「心配するな。部長たちが来るまでの間、何がなんでも生き残ってみせるからさ」
「イッセーさん・・・」
覚悟を決めた一誠の姿に、アーシアは涙を流した。
二人は屁怒絽の前に立ち、こちらを見下ろしている屁怒絽を睨み付けると
「行くぜ!」
「応!」
「「うぉーーーーーー!!」
勢い良く跳んで、そこから屁怒絽の顔面へ向けて、ジャンピングキックをお見舞いした。
「あ、こんなところにてんとう虫」
「「え?」」
しかし、屁怒絽が突然しゃがんだことで、二人の蹴りは屁怒絽の顔面に当たらず、真っ直ぐ通り過ぎていく。
その先にあったのは、駒王町の街並みであり、その下は当然地面が無い。
一瞬だけ停止してた二人の体は、徐々に落下していった。
「「あああぁぁぁぁぁぁ!!」」
「陸兎さん!イッセーさん!」
重力に従って落ちていく二人に、アーシアは悲鳴のような声を上げた。
その時、下に落ちようとしてた二人の体がピタッと動きを止めた。
宙に止まった陸兎と一誠が上を見上げると、陸兎の足を一誠が掴み、一誠の服の襟を掴んでいる屁怒絽がこちらに安堵の表情を向けていた。
「良かった。大丈夫ですか?皆さん」
「「「あ、ありがとうございます・・・」」」
心の底からホッとしている屁怒絽を見た三人は、毒気が抜かれたようなお礼を言うのであった。
その後、屁怒絽は特に地球征服をする様子もなく、この町の花屋として生活していた。最初は怖がっていたアーシアも、今ではすっかり仲良くなっており、今度、一誠の父と母を屁怒絽宅へ招待するつもりらしい。一誠はめちゃくちゃ不安がっていた。
ちなみに、駒王町の領主であるリアスは、屁怒絽の事は知ってたようで、彼女曰く
「彼は鬼の妖怪らしくて、今まで色んな人達から避けられてたらしいの。それを聞いて、ほっとけないって思っちゃって・・・この町で暮らすことを許可したのよ。まぁ、町の花粉が凄いことになってるから、定期的に花粉の除去をしないといけないのが難点だけど・・・」
と少し困った様子で語るのであった。
余談だが、屁怒絽と初顔合わせした時は、流石のリアスもめちゃくちゃ怖がっており、今でも少し怖いらしい。
・屁怒絽
「銀魂」に登場するキャラ。怖い外見とは裏腹に礼儀正しく穏やかな性格の持ち主。原作では
定春に続く銀魂キャラ二人目の登場は屁怒絽でした。
それと、ちゃーんの件はカットしました。一話に収めたかったというのもありますが、一誠は草履じゃなくて普通の靴を履いてるから、鼻緒が切れて転ぶことができないですし、そもそも悪魔として鍛えられている一誠がうっかり転ぶ姿なんて想像つきませんので。