ハイスクールD×D 銀ノ魂を宿し侍   作:イノウエ・ミウ

35 / 53
今回は陸兎とあのキャラが遂に出会います。


息子と食うラーメンの味は格別に美味いけど、見知らぬ幼女と食うラーメンの味は未知数

屁怒絽の一件から一週間後の休日。

この日陸兎は、自宅で一人のんびりと過ごしていた。

 

「え!?ワンピース、また休載するの?おいおい、尾田先生大丈夫か?今年は劇場版もあるし、無理してないといいんだけど・・・」

 

ベットの上でうつ伏せになりながらジャンプを読む陸兎。その頭を定春がかじりついているが、陸兎は特に気にしていない。

すると、陸兎の腹からグゥーと腹の虫の音が鳴り響いた。ふと時計を見ると、針は12時前を差していた。

しかし、冷蔵庫には材料が無く、朱乃は町の神社の手伝いをしており、ゼノヴィアはアーシアに駒王町を案内してもらい、家にはいない。

要するに、食材が無いので自分で作ることができず、同居人二人も家にいないため、買い出しさせることもできないのだ。

 

「そうだ。ラーメン食いに行こう」

 

何がそうだなのか知らないが、行きつけのラーメン屋で食事を取ることにした陸兎は、嚙みつく定春を頭から退かし、出かける準備をする。

準備が完了し、玄関の扉を開けたところで・・・彼の足はピタッと止まった。

 

「・・・・・・」

 

扉を開けた先には、長い黒髪に露出の高いゴスロリ衣装を着ている無表情な幼女が立っていた。

陸兎は瞬時に思った。あ、これ絶対面倒なこと起きるパターンだ、と。

そんな彼の心境を知りもしない幼女は、ジーと彼を見つめたままだ。

このまま呆けていても何も進展しないため、陸兎はとりあえず幼女に話しかける。

 

「えっと・・・どちら様?」

 

「我、オーフィス」

 

「うわぁ、スッゲー普通に答えたよ」

 

簡潔に名前を述べた謎の幼女ことオーフィス。

オーフィスは陸兎を興味深そうに見つめながら問う。

 

「お前、何?」

 

「俺か?俺は八神陸兎だ」

 

「違う、お前の力。我、知らない、我、見たことない」

 

「見たことないって天然パーマの事か?それなら、銀魂の漫画やアニメDVDを買えば、いくらでも見れるぞ」

 

「お前、不思議」

 

「俺からみりゃ、お前の方が不思議だわ」

 

突然現れた謎の幼女と会話する陸兎だったが、外出することを思い出して、陸兎に用があると言っていたオーフィスに断りを入れようとする。

 

「悪いけど、俺はこれからラーメンを食いに行かなきゃならねぇんだ。だから、これ以上お前に構ってる暇はねぇんだ」

 

「食事?それなら我、必要ない」

 

「お前が良くても、俺がダメなんだよ。それに、ラーメンはなぁ。最近、ゼノヴィア(食いしん坊)が居候したせいで、物凄く上がってしまった我が家の食費をワンコイン(500円)で抑えてくれる至高の食い物なんだよ。それを今食べないで、いつ食べろと言う!」

 

「そのラーメンを食べること。我の用事より大事?」

 

「あぁ、大事だ。何なら、お前も食ってみるか?」

 

「我も?」

 

陸兎の誘いに、オーフィスは少し考える素振りを見せたが、ラーメンと言う自分の知らない未知の存在に興味を持った彼女は、その誘いに乗ることにした。

 

「分かった。ラーメン、我も食べる」

 

「決まりだな」

 

そう言いながら、陸兎はオーフィスの体を持ち上げ、自身の肩に乗せてやると、今度こそ外に出るのであった。

こうして、陸兎と謎の幼女オーフィスの奇妙な一日が始まった。

 

 

 

 

外に出た陸兎たちだったが、町歩く人々から注目を浴びていた。

 

「ねぇ、あの男の人に肩車してる女の子。あの子の着てる衣装、少し破廉恥すぎない?」

 

「あれって、所謂ゴスロリ衣装よね?妹にあんな露出の高い衣装を着せて、肩車させるって・・・最低なお兄さんね」

 

「ていうか、あの子たち兄妹なの?髪の色が全然違うし、とても兄妹には見えないわ・・・もしかして、誘拐!?」

 

「絶対そうよ。あの男、見た目は死んだ魚のような目をしてるけど、夜中になったら寝ている女性にあれやこれやしそうな雰囲気してるし」

 

「幼女と野獣・・・ありだわ!」

 

それもそのはず。陸兎に肩車されているオーフィスは、極めて露出の高いゴスロリ衣装を着ており、とても外には出せない恰好をしている。そんな状態の彼女を肩車しながら歩く陸兎を町の人々は、ひそひそと話しながら訝しげな目で見ていた。一部頬を赤らめている変人もいるが・・・

 

「? 周りから視線を感じる。我、見られてる?」

 

「あんまり気にしねぇ方がいいぞ。この町の連中、90%は頭のおかしい奴らだから」

 

きょろきょろと周りを見渡すオーフィスに向かって忠告する陸兎。当然、陸兎もその頭のおかしい奴らに入ってるのは、言うまでもないだろう。

そんな感じで歩いていると、目的地であるラーメン屋に辿り着き、陸兎は入口の扉を開けて中に入った。

 

「おや、陸兎じゃないか。いらっしゃい」

 

「ウイース、笠松さん」

 

こちらに向かって微笑んできたラーメン屋の店主こと笠松に、陸兎は手を軽く上げて返事した。

すると、笠松は肩車しているオーフィスに気づき、目線を陸兎の方に戻すと、訝しげな目で彼を見た。

 

「なんだい陸兎。あんた、いつの間に誘拐犯に成り下がっちまったんだい?」

 

「なわけあるか。高校生から誘拐犯に転職なんざ、人生5回あってもしたくねぇよ。こいつはちょっくら知り合いから預かってるガキでな。腹ごしらえに、あんたとこのラーメンを食わせてやろうと思って連れて来たんだよ」

 

「そうかい。まっ、それだけうちの店を気に入ってくれたんなら嬉しいね。それで、注文はいつも通りでいいのかい?」

 

「あぁ。いつも通り、醬油チャーシューをこいつの分も含めて頼む」

 

「そんな小さい子にも?大丈夫なの?」

 

「心配すんな。こいつが残したら、俺が食えばいい話だからな」

 

「それが狙いかい・・・」

 

やれやれと言わんばかりの顔で注文を受け取った笠松は、厨房でラーメンを作る準備をし始める。その間に、カウンター席へと座る陸兎とオーフィス。

麵を茹でている間、笠松は陸兎に話しかけた。

 

「最近、調子はどうだい?」

 

「良いとは言えねぇな。この間なんか、コカビエル(でっけぇカラス)を退治したと思ったら、空から無六龍牙(怪人赤メッシュ)白龍皇(コードギアスに出てきそうな奴)が降ってきてよぉ。色々大変だったぜ」

 

「そうかい。まっ、元気そうで良かったよ」

 

他愛のない会話をしていると、笠松は湯切りした麵をスープの入った丼に入れ、そこにチャーシューを始めとした様々な具材を乗せていく。

 

「はい、醬油チャーシューお待ち」

 

ラーメンが出来上がり、カウンターにチャーシューがたっぷり乗ったラーメンが二人分置かれた。

陸兎は出されたラーメンを見つめながら頬を緩ませると、パンッと両手を合わせる。

 

「いただきます!」

 

そう言うと、陸兎は一心不乱にラーメンへと食らいついた。

それを見たオーフィスは、陸兎がやったように両手を合わせると

 

「いただきます・・・」

 

と言い、手に箸を持ちながら麵を掴むと、ちゅるりと音を立てながら啜った。

 

「・・・やはり、'ちゅるり'我に食事は不要'ズズッ'。でも'ズズズッ'、ラーメン、少しだけ'ズズズズズッ!'興味深い'ズズズズズズズズッ!!'」

 

「いや、少しどころかめちゃくちゃハマってるよな。さっきからスッゲー勢いで食ってるぞ」

 

オーフィスの視線はラーメンに集中しており、だんだんと麵を啜るスピードが早くなっている彼女に、陸兎はツッコんだ。

そうしてる間にも、オーフィスは丼にあった麺やチャーシューを全て食べ切り、残ったスープを丼を両手に持ってぐいっと飲み干した。

そして、空になった丼を見つめていたオーフィスだったが・・・

 

「・・・(ショボーン)」

 

「「(めちゃくちゃ物足りないって顔してる・・・)」」

 

寂しそうな顔で丼を見つめるオーフィスを見て、陸兎と笠松は心の中で彼女の心情を察した。

 

「あー、おかわりが欲しければ、いくらでも作ってあげるよ」

 

笠松がそう言うと、オーフィスは無表情であるが、何処か嬉しそうな様子で空の丼を持ちながら「おかわり」と言った。

笠松はすぐさま二杯目のラーメンを作り始める。その間にカウンターからひょっこり顔を出して、厨房をガン見するオーフィス。

そして、二杯目のラーメンが出来上がり、オーフィスの前に置かれると、彼女はすぐさま麵に食らいついた。

飲み物を飲むような速度で麵を啜るオーフィス。その様子を隣で見てた陸兎は、頭に一つの不安がよぎった。

 

「(おいおい、このままの勢いだと十杯、二十杯は行くんじゃね?そうなったら、俺の財布が死ぬぞ・・・!)」

 

そう思いながら、陸兎はオーフィスに、これ以上おかわりを頼まないでくれ、と心の中で願う。

そんな彼の願いも虚しく、オーフィスはあっという間に二杯目を食べ終わると、再び丼を笠松の方に向けて言った。

 

「おかわり」

 

「(あ、死んだわ。俺の財布)」

 

そして、陸兎の財布が死んだ。

 

 

 

 

「我、満足」

 

「トホホ・・・」

 

店を出てから満足そうな様子のオーフィスに対して、空となった財布を見つめながら涙する陸兎。

空となった財布を悲しげに見つめる陸兎を見て、オーフィスはきょとんと首を傾げた。

 

「お前、満足そうに見えない。どうして?」

 

「吞気だなお前。羨ましいぜ・・・まぁ、いいか。そんで、ラーメンの味はどうだった?」

 

「ラーメン、興味深い。我、ラーメン、また食べたい」

 

「そうかい。まっ、次は自分で金を払ってくれよ」

 

金は失ったが、満足そうに語るオーフィスを見て、陸兎は小さく微笑んだ。

すると、オーフィスは一瞬だけ顔を別の方向に向けたが、すぐさま陸兎の方に戻して言った。

 

「我、帰る」

 

「急だなおい。何か用事でもあんのか?」

 

陸兎の言葉に頷くオーフィス。

 

「我、また会いに来る。その時に聞かせて、お前の力」

 

オーフィスの言葉に、陸兎は少し顔をしかめた。まだ会って間もないが、見知らぬ幼女にお前呼ばわりされ続けられるのは、気分が良くない。

 

「さっきも言ったが、俺はお前って名前じゃねぇ。俺の名前は八神陸兎だ。覚えとけ、オーフィス」

 

「陸兎・・・分かった。陸兎、また会いに来る」

 

そう言い残すと、オーフィスは一瞬で消え去っていった。

 

「・・・うん。やっぱり、そっち側の奴だったかあいつ」

 

人間離れした速度で消え去ったオーフィスを見て、彼女がただの幼女ではないということを実感しながら、陸兎は帰路に着くのであった。

後に陸兎は、一緒にラーメンを食べたこの幼女が、実はとんでもない生物であったことを知るのだが、それはまた別の話である。




・笠松
「銀魂」に登場する幾松をモチーフにしたオリキャラ。未亡人なのは幾松と同じ。


というわけで、陸兎とオーフィスの出会いを書いたところで、今回の幕間は終了になります。
次回から第4章に入りますが、リアルの都合&SAOの方の執筆に専念するので、またしばらくの間、更新の方を休止とさせていただきます。
元々SAOの方の執筆が上手く行かず、リハビリを兼ねての第3章だったので、リアルの都合を含めて、戻ってくるのに少し時間が掛かるかもしれません。
ですが、必ず戻ってくるので、気長に待っていただけたら幸いです(お気に入り登録や高評価してくれる人が増えたらもっと嬉しい)。
それでは皆さん、第4章でまたお会いしましょう。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。