初めましての人は初めまして、お久しぶりの人はお久しぶりです。約2年空けていましたが、今回から第4章に入ります。
opとedは第3章と変わりません。小説を見る前と見た後に一曲聞いてみてはいかがでしょうか?どちらも良い曲です。
子作りする時はラブホか用具室の中で
「冗談じゃないわ!」
放課後のオカルト研究部の部室。
一誠から報告を受けたリアスが声を上げながら怒りを露わにする。
それを聞いた陸兎は、朱乃との会話を中断して、リアスに怒りの理由を問う。
「どした部長?言っとくが、俺は久しぶりに再開したハイ魂の最初のセリフがあんたであることが冗談じゃねぇ」
「リアス、私は貴方が私の『王』だということが冗談じゃありませんわ」
「私は貴方たちの今の発言が冗談であって欲しいわね」
自身をおちょくる陸兎と朱乃に青筋を浮かべながらも、リアスはため息を吐きながら、先程一誠が言ったことを思い返した。
昨日の夜、彼の依頼者である人物が、堕天使の総督アザゼルと名乗り、コカビエルの企みを察知して、駒王町に潜入していたことを明かした。ついでに、一誠の『赤龍帝の籠手』や誓約神器にも興味があると言い、最後に近いうちに天使、堕天使、悪魔のトップ同士で首脳会談が行われると告げられた。
そのことに対して、リアスは営業妨害やら可愛いイッセーに手を出そうとしてるやらで怒りを露わにしていたが、それを聞いてた陸兎は、普通に依頼して、きちんと料金(対価)払ってるんだから別に営業妨害じゃなくね?や興味があるだけで、誰も手を出すなんて言ってねぇよとツッコミたかったが、ツッコんだらツッコんだで、火に油を注ぐことになりそうだったので、心の中にとどめておいた。
代わりに小猫が、それとは全く違うことをリアスに問いかけた。
「部長、近いうちにトップ同士の首脳会談が行われるって本当ですか?」
「えぇ。さっき、私の所にも連絡があったわ。一度トップ同士が集まり、今後の関係について話し合うことになったの」
「俺も剣夜から聞いたぜ。しかも、参加するのは三種族のトップだけじゃねぇ。日本神話、更には人間の代表も会談に参加するってよ」
「なんですって!?そんなの聞いてないわよ!」
聞き覚えのない情報を耳にしたリアスは、驚愕の表情で陸兎に詰め寄った。
「何でも、会談が行われる場所が日本のどっからしくてな。自分とこの国で異国の代表同士で会談が行われるんだ。見届け人は必要だろ?それに、この間のえっと・・・名前分かんねぇからでかカラスで。でかカラスが起こした騒動に関する詳しい情報を聞いて、今後の方針を決めるためらしいぜ」
「コカビエルが起こした騒動が天使、堕天使、悪魔の三竦みだけでなく、日本の国そのものにまで影響を及ぼすとは・・・」
ゼノヴィアがポツリと呟いた。コカビエルが起こした騒動はかなりの影響を及んでいるようだ。
「その日本神話と人間の代表は、いったい誰なのかしら?」
「日本神話は分かんねぇが、人間代表は既に決まってるぜ。十師族の中で最も力のある家系、俺たち十天師を部下に持つ十門寺家現当主、
十師族最強の家系、十門寺家の現当主の名を告げる陸兎。
その重厚感溢れる名前に、その場の空気は一気に重くなった。
「言っとくが、ただの人間だと思うなよ。御当主の持つオーラはお前らの持ってる魔力や闘気を遥かに上回ってる。何よりもその強さは、もはや人の領域ってモンを超えてやがる。俺や剣夜ですら、全力で戦っても、あの人に一度も勝ったことがねぇ」
「お前や十門寺が一度も!?」
「それだけ規格外なんだよあの人は。本気で戦えば、魔王や神ですらも撃ち滅ぼせるとも言われている。人類最強、地球上にいる人間の中で、その言葉に一番相応しいと言える人間だ」
人類最強、その言葉の重みは計り知れない。少なくとも、この場にいるオカルト研究部の面々にとっては、想像付かないだろう。
「この会談で、お前らは人類最強の男をその目で見ることになるんだ。せいぜい度肝抜かさないよう気をつけるんだな」
不敵な笑みを浮かべながら喋る陸兎を、一誠たちは冷や汗をかきながら見るしかなかった。
数日後、リアス達オカルト研究部の部員は学園のプールサイドに集まっていた。
「うわぁ、スッゲーな」
「ウフフ、去年使ったきりですもの」
「何故私たちがプールの掃除をするんだ?」
「本来なら生徒会の仕事なのだけど、コカビエルの一件のお礼に、今年は私たちが担当することになったの」
「いや、それお礼じゃなくね?どう見ても仕事押し付けられてるだろ」
「その代わりに、掃除が終わったら一足先にオカルト研究部だけのプール開きよ」
陸兎の質問に答えながら笑みを浮かべるリアス。
それを聞いてやる気を出したのは、リアス達の水着姿を想像してテンションが上がった一誠だった。
「オッシャー!ビバ、プール掃除!プール掃除万々歳だぜぇ!」
「イッセー先輩、顔が嫌らしいです」
嫌らしい顔で叫ぶ一誠に、小猫がツッコむのであった。
その後、プール掃除が終わり、水着に着替えた陸兎はプールサイドで他の面々が来るのを待っていた。
着換えの途中、一誠と木場がホモホモしい空気を出していたので、一足先に更衣室から出たのだ。
しばらくすると、水着に着替えた一誠が疲れた様子でやって来た。
「つ、疲れた・・・」
「よう、木場とのにゃんにゃんは終わったか?」
「やってねぇよそんなの!冗談でも、そんな恐ろしいこと言うんじゃねぇ!」
恐ろしい事を言う陸兎に向かって叫ぶ一誠。
するとそこに、着替えを終えた女性陣がやって来た。
「ほら、イッセー。私の水着どうかしら?」
「ブハッ!さ、最高です・・・!」
リアスの水着姿を見て、鼻血を出しながら褒める一誠。
その隣で、朱乃は陸兎に話しかける。
「あらあら、部長ったら張り切ってますわね・・・陸兎くん、私の水着はどうかしら?」
「お、おう・・・ヤングジャンプの表紙に載ってるグラビアアイドルみてぇだな。思春期の男子には刺激が強すぎるぜ・・・」
そう言って、顔を赤らめながら視線をずらす陸兎。思春期の男子らしい反応に、朱乃も満足そうに微笑んだ。
そこにスクール水着を着たアーシアと小猫もやって来る。
「イッセーさん、私も着替えて来ました」
「おぉ!可愛いぞアーシア。お兄さん、ご機嫌だぜ!」
「そう言われると嬉しいです」
アーシアの水着姿を素直に褒める一誠に対して、陸兎はスク水を着てる小猫を無言でまじまじと見つめる。
小猫は恥ずかしそうにしてたが、陸兎が小猫とリアス達の方に目線をチラチラと交互に動かしているのを見て、疑問符を浮かべる。
やがて、陸兎が小猫の肩にポンと手を置き、憐れむように言った。
「・・・小猫」
「・・・なんですか?」
「気にすることねぇよ」
そう言いながら、グッと親指を立てる陸兎。
当然、小猫の次の行動は一つしかなかった。
「えい」
「ぐえぇ!」
小猫のアッパーを顎に食らい、陸兎は上に飛んで、ドバンッとプールに落ちた。
プールに沈んだ陸兎を睨みながら、小猫は一言。
「最低です」
「何やってるんだか・・・イッセー、それと陸兎、あなた達二人にお願いがあるの」
呆れながら事の一端を見てたリアスは、一誠と陸兎に声を掛けた。
「まさか、お前が泳げないとはねぇ」
「ぷはー、陸兎先輩、付き合わせてしまってすみません」
「気にすんな。野郎と泳ぐのはともかく、後輩の女子と泳ぎの練習なんざ、宝くじで1等当たるのと同じ価値があるってモンよ」
バタ足で泳ぐ小猫の手を持ちながら、後ろにゆっくりと下がる陸兎。
何故、陸兎がこんなことをしているのかと言うと、小猫は泳げないようで、泳ぎの練習をしてもらいたいとリアスから頼まれたのだ。ちなみに、アーシアも泳げないらしく、今は一誠が教えている最中だ。
「っと、端に付いたか」
そう言って、止まった陸兎だったが、急に止まったことで、バタ足してた小猫が勢い良く陸兎にぶつかり、彼に抱きつくような体勢になった。
「(ヤベっ、また殴られるか?)」
警戒する陸兎だったが、小猫は頬を赤らめて、恥ずかしそうに言った。
「陸兎先輩は優しいですね。たまに意地悪な時もありますけど」
「そ、そうか?まぁ、先輩は後輩から飯を奢って貰えるくらい尊敬されろって言われてるからな。これくらいどうってことねぇよ」
予想外の反応に、しどろもどろになりながらも、陸兎は言葉を返しながら小猫の頭を撫でた。
その後も一通り練習をし、終えた頃には、小猫はビニールシートの上で横になって休んでいた。
「やれやれ、後輩のお守りも楽じゃねぇな・・・」
疲れた様子で呟く陸兎は、ふと視線を移すと、一誠とリアスが何やら話していた。
「ねぇ、イッセー、背中にオイル塗ってくれないかしら?」
「オイル!?はい!喜んで!」
スタイル抜群の女子、それも憧れの人の背中にオイルを塗れるというイベントに、一誠は興奮しているようだ。
「青春してんねー・・・ん?」
「陸兎くん、私にオイル塗ってくれませんか?」
二人の様子を眺めていると、朱乃が後ろから抱きついてきた。しかも、ノーブラで。
陸兎の背中に豊満な胸がムニュと当たり、その感触に思わず顔を赤らめる陸兎。
「(何ぃーーー!?おいおい、こんなラッキーイベント予想してねぇぞ!まさか、高校生活二年目にして、遂に俺にもお熱い春がやって来るとは!落ち着け、八神陸兎!戻ってこい平常心!忘れるな普通の心!)」
内心焦りと興奮でいっぱいになりながらも、極力冷静さを保ちながら言った。
「仕方ねぇな。俺の華麗なるオイル捌きで、オメェの体の隅々までオイルまみれにしてやるよ」
「ウフフ、期待してますわ」
微笑みながら、朱乃はシートの上でうつ伏せになり、その隣に陸兎は座った。
横を見ると、一誠がリアスの背中にオイルを塗っていた。
「手際がいいわねイッセー。背中が終わったら、胸にも塗ってくれるかしら?」
「む、胸にもーーー!!?」
リアスの発言に、興奮する一誠。
「たく、情けねぇな・・・」
それを呆れた様子で見ながら、陸兎は朱乃の背中にオイルを塗る。
「これだから発情期のエロス一世は・・・侍たるもの、如何なる場合でも常に平常心を保つもんだ。ましてや、女子の背中にオイルを塗るだけで発情しちまうなんて、情けないったらありゃしねぇ、いやホント、マジで」
「陸兎先輩、鼻血出てますよ」
淡々とオイルを塗る陸兎だったが、鼻からはドクドクと鼻血が出ており、休んでいた小猫に指摘された。
そんな感じにくつろいでいると、陸兎はゼノヴィアがいないことに気づいた。
「そういや、ゼノヴィアはどうしたんだ?」
「確かに、全然姿を見せないな・・・」
一誠も辺りを見渡すが、ゼノヴィアの姿はない。
すると、二人の会話を聞いたアーシアが口を開いた。
「ゼノヴィアさんなら、慣れない水着に着るのが手間取って、少し遅れるって言ってましたよ」
「それにしては、遅すぎるだろ。ちょっくら見てくるわ」
少し心配になった陸兎は、彼女を探すべく、プールから出た。
ゼノヴィアはプールの用具室にいた。
「お!見つけたぜ。何やってんだお前?」
「ん?あぁ、陸兎か。初めての水着に、着るのに時間が掛かってな」
「おいおい、いくらなんでも掛かりすぎだろ。アニメ銀魂一話分は見れるぞ」
「教会にいた頃は大した娯楽が無かったから、こういうのはどうにも慣れなくて・・・それで、着替えている最中に、考え事をしてたんだ。陸兎、君に頼みたいことがある」
「頼みごと?まぁ、俺にできる範囲でなら手伝ってもいいが・・・」
陸兎がそう言うと、ゼノヴィアは真剣な表情で口を開いた。
「陸兎・・・私と子作りしないか?」
「・・・ん?」
ゼノヴィアから放たれた爆弾発言に、陸兎の思考は停止した。
何故と考える暇もなく、陸兎はゼノヴィアに押し倒された。
「あのー、ゼノヴィアさん。なんで、俺は性に飢えた獣に食われる3秒前の体勢になってんだ?」
「順を追って話そう。以前までの私は、神に仕えて奉仕するという夢や生きがいがあった。だが、今は悪魔だ。私には夢や目標が無くなったと言える。いや、君のことをこの目で見たいという目標はできたが、具体的にどうすればいいのかはまだ見つかってない状況だ。そこで、リアス部長に相談したら、悪魔は欲を持ち、欲を叶え、欲を与え、欲を望む者、好きに生きてみなさいと言われてな。だから、私は君の事を少しでも知れるよう、君と子作りすることにしたんだ」
「うん、悪いんだけど、今俺が知ったのは、お前がイッセーとは別方向の変態だってことだけだよ」
「君とコカビエルとの戦いを見て分かった。君の潜在能力は堕天使幹部や上級悪魔。いや、それ以上の存在と並んでいると言っていい。その上、君の練り上げられた闘気は、ドラゴンのオーラすらも食らう鬼そのもの。そんな君と子供を作るんだ。きっと、強い子供が産まれるに違いない。これもまた、神の導き――痛ぁ!」
「どんな神の導きだよ。神という名の自己中だろそれ」
途中神に祈り、ダメージを受けたが、反論する陸兎を無視して、ゼノヴィアは水着を外した。
「私には男性経験がない。だから、そこら辺は君に合わせよう。さぁ、陸兎。私を抱いてくれ!」
ゼノヴィアは陸兎に抱きつき、自身の唇をゆっくりと彼の唇に向けて近づけてきた。
だんだん近づいてくる唇を目の前に、陸兎は悟りを開く。
「(拝啓、お母様。俺は今、人生の新たなステージに立つようです。え?展開が早すぎないかって?知るか!なんか、いつのまにかこうなってんだし、このままゴーイングした方が流れ的にいいだろ!獲物はもうすぐそこまで迫ってんだし、覚悟を決めろ俺!見てろよ、全国五万人のポピパファンの皆さん!これが、童貞を卒業する侍の瞬間じゃぁぁぁぁぁぁ!)――ってなるわけねぇだろうがぁぁぁぁぁぁ!!!」
一瞬雰囲気に飲まれそうになった陸兎だったが、すぐさま正気を取り戻し、ゼノヴィアを突き放した。
ゼノヴィアはショックを受けた顔で喋る。
「な、何故だ陸兎!私とは子作りしたくないと言うのか!?」
「いやまぁ、ぶっちゃけこのままゴーイングすんのも悪くないけど、いくらなんでも過程を飛ばしすぎだろ!性欲に飢えて、無差別に女から童貞を奪う怪盗レイプ侍かお前は!?」
「失礼な!そんな下劣な輩と一緒にするな!私は性欲を満たしたいんじゃない!強い子供が欲しいだけだ!」
「そんな真面目な顔で言っても、相手の許可なく、無理矢理襲ってる時点で一緒だよバーカ!」
ごもっともな正論を言いながら、陸兎はビシッとゼノヴィアに指を突き付けた。
「そもそも、お前は子作りする以前に、子作りをするために必要なことをしてねぇんだよ!」
「必要なことだと!?それはなんだ!?教えてくれ!」
「いいだろう、教えてやる。それは・・・保健体育を習うことだ!」
「ほ、保健体育だとぉ!?」
ゼノヴィアは雷に打たれたかのような衝撃を受けた。
「日本にはこういう言葉がある。保健体育習わざる者、子作りすべからず!習うべきことを習わず、安易な気持ちで子供を産むなど愚の骨頂!」
「そ、そうだったのか・・・」
ガクッと肩が下がり、頭を俯かせるゼノヴィアだったが、しばらくすると、意を決した顔で宣言した。
「どうやら、私にはまだまだ足りないものがたくさんあるようだ。その保健体育とやら、必ずこの手に収めてみせるぞ!」
「ハハハハハ!精進するがいい!」
ゼノヴィアの決意に、陸兎は高笑いを上げながら健闘を讃えた。
「何やっているのかしらあの子たち?」
「あらあら、ウフフ」
「馬鹿ばっか・・・」
その様子を陰から様々な表情で見守るリアス、朱乃、小猫であった。
陸兎の事を理解するために陸兎と子作りするという、原作とは違う理由で原作と変わらず子作り志望の女と化したゼノヴィアでした。
今回、名前だけ登場した十門寺家の現当主ですが、本格的な登場は会談が始まる頃になります。