体育館に入った陸兎たちの目に映ったのは、カメラを持った複数の男子達が、壇上に立っている誰かを撮影している光景だった。
「もう一枚お願いしまーす!」
「こ、こちらに目線くださーい!」
壇上で撮られていたのは、魔法少女のような格好をした黒髪ツインテールの少女がいた。
カメラの前で次々とポーズを取り、スティックを器用に振り回すその仕草は、本物の魔法少女と思えるくらい完璧だった。
そんなコスプレ少女を見て、最初に反応したのは一誠だった。
「あれは確か、『魔法少女ミルキースパイラル7オルタナティブ』のコスプレじゃないか!」
「うわぁ、お前この年で魔法少女ものにハマってるとか、童貞を拗らせたオタクかよ」
「違ぇよ!俺のお得意様がこのアニメが好きで、一緒に全話見たんだよ!」
あらん疑いが掛けられそうになり、必死に否定する一誠。
しばらくすると、生徒会の匙が壇上にやって来て、撮影してる男子達に怒鳴った。
「コラァ!学校で何やってんだ!ほら、解散解散!」
「横暴だぞ生徒会!」
「撮影会くらい良いだろう!」
『そうだそうだ!』
「公開授業の日にいらん騒ぎを作るな!早く解散しろ!」
匙がそう言うと、男子達は渋々と言った様子でその場から解散した。
それを見届けたら、今度は騒ぎの原因と思われるコスプレ少女に問う。
「あのー、ご家族の方でしょうか?」
「うん☆」
「そんな格好で学校に来られると困るんですが」
「えー、ミルミルミルミルスパイラル~☆」
匙が注意を促すも、コスプレ少女は可愛らしくウインクしながらポーズを決めたりと、聞く耳を持たずだった。
「だから真面目に――」
「よぉ、匙。ちゃんと仕事してるじゃないか!」
「からかうなよ兵藤。今は――」
「何事ですか?」
からかう一誠を軽くあしらいながら注意を続けようとした匙だが、直後体育館からソーナと彼女に付き従うように剣夜と麗奈が入ってきた。
「ソーナちゃん!見ぃつけた☆」
「え?」
厳格な雰囲気を漂わせていたソーナだったが、コスプレ少女に声を掛けられると、一転して恥ずかしそうにしながら顔を逸らした。
そんなソーナの様子を気にともせず、コスプレ少女は壇上を降りて、ソーナに近づいた。
「どうしたのソーナちゃん?お顔が真っ赤ですよ。せっかくの再会なんだから、もーーーっと喜んでくれてもいいと思うの!お姉様、ソーたんって抱き合いながら、百合百合の展開でね☆」
「お姉様?」
コスプレ少女が言ったお姉様の言葉に一誠が疑問符を浮かべた。
その疑問にリアスと匙が答える。
「セラフォルー・レヴィアタン様よ」
「現四大魔王の一人で会長のお姉様だ。俺もお会いするのは初めてだけどな」
「「え!?」」
「マジか・・・魔法少女改め魔王少女ってか」
コスプレ少女の正体が魔王であり、ソーナの姉でもあることに驚く一誠とアーシア。陸兎もまた、驚いた様子で呟いた。
視線の先では、ソーナの後ろにいた剣夜がセラフォルーに話しかけた。
「やれやれ、相変わらずのシスコンぶりですね」
「剣夜君!おひさー!元気にしてた?」
「はい、おかげさまで。セラフォルー様」
「もう!昔みたいにセラ
「はい、お元気そうで何よりです」
どうやら剣夜と麗奈はセラフォルーの事を知っていたようで、ごく普通に挨拶していた。
「セラフォルー様は昔と変わらないですね。そちらの衣装も似合ってますよ。本物の魔法少女みたいで可愛いらしいです」
「もうやだ!褒めたって何も出ないわよ☆あまりソーナちゃんを他の誰かに渡したくないけど、こんなにいい子なら、剣夜君がソーナちゃんの婿入りする展開もありかも☆」
「お姉様!?」
「すみません、セラフォルー様。僕はそのうち家を継がないといけないので、婿入りは無理です。ソーナが家に嫁入りするなら別ですけどね」
「ちょ、剣夜!?貴方まで何を――!?」
「んー、それもいいわね☆何なら、お姉ちゃんも混ぜて、三人でトライアングル展開するのもありかも☆」
親し気に話す剣夜とセラフォルー。いつの間にか幼馴染と結婚させられそうになり、顔を真っ赤にするソーナ。
その様子を後ろで眺める陸兎たち。
「仲がいいな。会長のお姉さんと十門寺」
「会長と幼馴染なのは知ってたが、お姉様とも交流があるとはねー。しかも、お姉様は妹を剣夜の嫁に出す気満々ときた」
「な、なん、だと・・・!?」
陸兎の呟きに、匙が大きく反応した。ソーナとできちゃった結婚を夢見る彼にとって、その事実はあまりにも衝撃的なものだった。
そんな彼らをよそに、リアスが前に出てセラフォルーに挨拶する。
「セラフォルー様、お久しぶりです」
「あ!リアスちゃん!おひさー!」
「今日はソーナの公開授業に?」
「そうなの!ソーナちゃんったら酷いのよ。今日のこと黙ってたんだから!お姉ちゃんショックで天界に攻め込もうとしちゃったんだから☆」
「こえーよ、このお姉様!サラッと笑顔でとんでもないこと言ってるよ!」
笑顔で天界に戦争を仕掛けようとしてるセラフォルーに、ツッコミを入れながらドン引きする一誠。
一誠のツッコミを受けたセラフォルーは、彼と陸兎の方に視線を向ける。
「リアスちゃん、あの子たちが噂のドラゴンと問題児君?」
「はい。イッセー、陸兎、ご挨拶を」
リアスに従い、一誠と陸兎はセラフォルーに挨拶をした。
「は、初めまして!兵藤一誠です!リアス・グレモリー様の『兵士』です!」
「どーも、このチートイケメンの幼馴染してる八神陸兎でーす。十天師してまーす」
緊張気味の一誠に対して、だらけた態度で挨拶する陸兎。
しかし、セラフォルーは気にすることなく、二人に挨拶を返した。
「初めまして。魔王のセラフォルー・レヴィアタンです☆レヴィアたんって呼んでね☆」
「ほう、名前の後に敢えて'たん'を付けることで、自分があたかも魔法少女だと思い込んでいる痛い中二病であることを証明してるとはな」
「エッヘン☆伊達に2000年も魔法少女をやってるわけじゃないの☆」
「・・・セラフォルー様。今の、明らかに威張る場面じゃないですよね?おもくそ中二病って言われてますよね?」
「しかし、忘れてはいけない。最近の魔法少女は杖を使って魔法を打つだけではない。ある日突然、白い兎のような未確認生命体と契約して、魔法少女になったと思いきや、マミられたり、あたしってホント馬鹿・・・になったり、独りぼっちは寂しいモンな、になったりしてな。色々闇が深いんだよ」
「――っておい!まど○ギの話はやめろ!あれは特殊なだけで、魔法少女は基本、お○ャ魔女みたいな優しい世界なんだ!」
魔王の前だというのに、相も変わらず馬鹿騒ぎする陸兎と一誠。
そこにソーナが口を挟んだ。
「お姉様。私はこの学園の生徒会長を任されているのです。いくら身内だとしても、そのような行動や格好は――」
「あらあら、随分賑やかなこと。この場所で何か祝い事でも行われるのかしら?」
ソーナが喋っている最中、新たに女性の声が聞こえて、全員が振り向くと、着物を着た白い髪の女性と私服を着た薄いピンク色の髪の少女が体育館に入ってきた。
そのうちの白い髪の女性を見たセラフォルーと剣夜が大きく反応した。
「
「母上、何故ここに?授業が終わって、帰ったのではないのですか?」
「何故?可愛い息子が友人と楽しそうに話す姿を拝みに行かない母親がいますか。ここに来たのは単なる偶然。貴方の気配を辿ったら、たまたまここに着いただけですわ」
扇子を広げて、堂々としながら語る桜蘭と言われた剣夜の母親と思わしき女性。
今の会話を聞いてた一誠が陸兎に問う。
「もしかして、十門寺のお母さんか?」
「あぁ、
「へぇ・・・スッゲー美人だな」
一誠の言う通り、十門寺桜蘭は剣夜の母親と言われて納得の美人だった。雪のような白い髪、墨色の瞳を持ったその容姿は、まるで白樺の木の精のよう。お淑やかで気品に満ちた佇まい。桜の花のデザインが散りばめられた白い着物を身に纏い、扇子を煽る様子は、正に現代の大和撫子であった。
剣夜と一通り会話した桜蘭は、ソーナとセラフォルーに声を掛ける。
「ソーナちゃんにセラフォルーちゃんも久しぶりね。最後に会ったのは、中学校の卒業式以来かしら?」
「は、はい、お久しぶりです・・・」
「叔母様も元気してたかしら?昔みたいにレヴィアたんって呼んでいいのよ☆」
「ウフフ、そうね。レヴィアたんちゃんは魔法少女だものね」
「うん☆魔法少女レヴィアたん☆悪い天使、堕天使は皆、この魔法の杖でカチンコチンにしちゃうよ☆」
緊張気味のソーナと違って、陽気に会話するセラフォルーと桜蘭。
「まぁ、見た目と違って、かなり陽気なとこもあるがな」
「ノリがいい人ね。魔王であるセラフォルー様とも対等に話してるし、肝が据わっているお母さんね」
桜蘭という人物の器量の大きさに感心するリアス。
すると、一誠が桜蘭の隣にいる少女について問う。
「ところで、お母さんの隣にいる可愛い子は誰だ?」
「可愛い子?いったい誰が・・・ゲッ」
一誠に言われて、桜蘭の隣にいるピンク色の髪の少女を視界に入れた瞬間、陸兎はあからさまに嫌な顔をした。
そんな彼をよそに、麗奈がその少女に話しかける。
「聖良、貴女も来てたのね」
「久しぶり麗奈。相変わらず賑やかだね。麗奈の周りは」
「私としては、もう少し自重して欲しいけどね」
お互い笑顔で話す麗奈と聖良と言われた少女。
知り合いなのかと思いながら見てる一誠たちに、剣夜が少女を紹介する。
「皆さんにも紹介します。彼女は
「初めまして、四宮聖良です。この間はリュウ君がお世話になりました」
「十天師・・・」
礼儀正しく一誠たちに頭を下げて挨拶する聖良。
一方、目の前にいる少女が十天師だと言われて、真剣な表情になるリアス達悪魔組。そんな中、一誠は先の聖良の言葉で気になった事を問いかけた。
「リュウ君?誰ですかそいつ?それにこの間って・・・」
見知らぬ人物について問う一誠に、聖良は微笑みながら答える。
「無六龍牙君、私と同じ東北と北海道の十天師。強くて、カッコイイ私の彼氏だよ!」
笑顔で語られたその人物を一誠は徐々に思い出してきた。
「無六龍牙って・・・コカビエルをぶっ倒したあの赤メッシュ野郎か!」
「そうだ。あの怪人赤メッシュと付き合っている変人だ。しかも、毎晩合体してるって噂だぜ」
「マジで!?あんなガサツそうな奴がこんな可愛い子と毎日・・・許せん!羨ましすぎるだろ!」
「今だけはお前の気持ちに同意してやるよ」
脳内で龍牙と聖良がベットでイチャつく姿を想像しながら嫉妬する一誠に、陸兎は珍しく共感した。自分の嫌いな人物が彼女とイチャついているのは、彼も気に入らなかったのだろう。
騒ぐ一誠を無視して、今度は麗奈が聖良に問いかけた。
「聖良、あなたがここにいるのは、ひょっとして数日後に行われる和平会談が関係してるのかしら?」
「そうだよ。ほら、会談には人間代表として当主様が出席するでしょ。その護衛に麗奈たち関東組の十天師の他に、私とリュウ君の東北・北海道組が選ばれたの。一応、会談が終わるまでの数日は、この町に滞在するつもりだよ。今日は朝早くからこの町に来て、公開授業を見に行く桜蘭様の護衛の任務があったけど、明日からは任務も無いし、リュウ君と一緒に観光しようと思うんだ」
自身の予定を楽しそうに語る麗奈。
しかし、今の聖良の言葉に聞き捨てならない事があった陸兎は恐る恐る問う。
「おい、ちょっと待て。まさか、あの野郎もこの町に来てんのか?」
「うん、来てるよ」
「ふざけんな!あんな歩く天災も来たら、街が大変なことになるぞ!頭の中がピンクと茶色だけでできてるミスターカレー馬鹿――っ!」
怒鳴っていた陸兎だったが、突如彼の周囲を'目を凝らさなければ見えないくらいの細い糸'が囲んでいた。
恐る恐る正面を見ると、黒いオーラを纏いながら、ハイライトが消えている目で微笑む聖良の姿があった。
「陸兎君?毎回言ってるけど・・・もし、私の前でリュウ君を悪く言うのなら・・・バラバラにするよ?」
「ア、ハイ、すみません」
顔を真っ青にしながら謝罪する陸兎を見て、聖良はよろしいと言わんばかりの笑顔で陸兎を囲んでいた糸を引っ込めた。
「こ、怖いです・・・」
「恐るべし、女子の怒りのパワー・・・」
そばで見てたアーシアと一誠も顔を真っ青にしながら震えていた。
一方、剣夜たち十天師にとっては、見慣れた光景なので、気にすることなく彼女に話しかける。
「聖良、君は母上の護衛で来てるみたいだけど、龍牙はどうしたんだい?今日は二人で護衛するはずじゃなかったのかい?」
「リュウ君なら、町に着いた途端に面倒だって言って、どこか行っちゃった。流石に二人揃って任務をほったらかしにするわけにはいかないから、私一人で護衛することになったけど・・・今頃は町のゲームセンターとかで遊んでいるんじゃないかな?」
「うん、予想通りだね」
「全く・・・まぁ、あの人がこういう任務を真面目にこなすとは思いませんが・・・いいの聖良?彼氏が彼女をほったらかして、一人勝手に遊んでいるのよ」
心配する麗奈に、聖良は笑顔で答える。
「大丈夫。夜にきちんと防音付きのホテルを予約してるから。そこで、私はリュウ君と一つになって、あんなことやこんなことや・・・!今日はどんなプレイで行こうかな。私から攻めて、リュウ君が優しく受け止める正統派プレイ!それとも、縄で縛った私を野獣になったリュウ君がそのまま食べちゃう逆転プレイ!私はなんの抵抗もできず、その身をリュウ君に捧げるの!あー!どっちがいいかなー!迷っちゃうなー!」
頬を赤らませながらウフフフフフっと楽しそうに笑う聖良。
完全に自分の世界にトリップしてしまった彼女を陸兎たちは引き気味に見守るのであった。
場所は変わって、駒王町にある建物の屋上。
その場所で一人の少年が駒王町の町並みを見渡していた。
何も語ることなく町歩く人々を眺めていると、後ろから力強い気配を感じた。
「強力なドラゴンの気配を感じてここに来てみれば・・・君もこの町にいたとはな。無六龍牙」
現れたのはヴァーリ。彼は町を眺めている龍牙の後ろから語りかけた。
龍牙は驚く素振りを見せず、背中越しのヴァーリに言葉を返した。
「別に来たくて来たわけじゃねぇ。うちのボス直々の任務でこの町に来ることになったんだ。護衛という名のただ黙って異形共のお喋りを聞くだけの退屈な任務のな」
「俺も似たようなものだ。ちなみに、君の言うボスとはいったい誰のことだ?十天師の頭目である十門寺剣夜か?それとも、君たち十天師を部下に持つ十門寺家の当主か?」
「当主の方だ。じゃなきゃ、誰があんなスカシ野郎の命令なんか聞くか」
剣夜のにやけた面を思い出しながら、不快そうに語る龍牙。どうやら、頭目である剣夜の方は、かなり嫌われているようだ。それでも、この凶暴な龍を従えているとなると、剣夜もまた、かなりの強者であることは間違いないだろう。
そう思いながら、ヴァーリは龍牙の隣まで歩くと、彼と同じように駒王町の町並みに視線を向けた。
「三大勢力のトップに、赤龍帝の兵藤一誠と白龍皇の俺、始原の龍バハムートの力を宿す君を含む十天師数名と彼らを支配してる十門寺家。これだけの強大な存在が、後数日で同じ場所に集まる。面白いと思わないか?」
「・・・あぁ、確かに面白れぇな」
龍牙は手を顔に当て、口元を歪ませながら喋る。
「この町も中々に愉快だぜ。さっきから、人間の中に異形共が何十匹も混ざってやがる。しかも、人間も異形もそれが当たり前かのように普通に暮らしているときた。ホント愉快すぎるぜ・・・
今すぐぶち壊したくなるくらいになぁ・・・!」
そう言いながら、龍牙は殺意の籠った目を町全体に向けた。口元は笑っているが、指の間から見えるその目から、ただならぬ嫌悪と憎しみをヴァーリは感じた。
「異形という存在は嫌いか?」
「あぁ嫌いだ。反吐が出るくらいにな」
「そうか。まぁ、俺にはどうでもいいことだ。俺は強い奴と戦えたらそれでいい」
「何なら、今ここであの時の続きをするか?」
「それはいい提案だ・・・と行きたい所だが、残念なことに俺も今は命令に従っている身でな。勝手な真似はできないんだ」
「つれねぇな。まぁ、機会ならいくらでもあるだろうよ」
「そうだな。近いうちにな・・・」
意味ありげな笑みを浮かべるヴァーリ。
何か企んでいると感じた龍牙だったが、興味がないのでスルーした。
「ところで、一つ気になったんだが・・・」
ヴァーリが龍牙の方を。正確には龍牙の左手に視線を向けながら問いかけた。
「君の手に持っているその・・・茶色い液体が詰まったそれはなんだ?さっきから変な匂いがするから気になってたんだ」
龍牙の左手に持つそれは、マヨネーズの容器であるが、中に入っているのは、白いマヨネーズとは程遠い茶色い液体のようなものだった。しかも、容器からはスパイスの独特な香りがする。
龍牙は真剣な表情でヴァーリの質問に答える。
「決まってんだろ。俺特製、マイカレーだよ」
「・・・は?」
予想外の回答に、思わず呆けた声を出してしまうヴァーリ。
「ほら、人間ふとした時にカレーを摂取したくなる時があるだろ。そのためのいつでも飲めるマイカレーだ。カレーラーなら絶対に欠かせない必需品だろうが」
そう言って、注入口に口を付けてカレーを直飲みする龍牙を見ながら、ヴァーリは「そうか・・・」と若干引き気味に返した。心なしか、目線を龍牙の方に合わせないようにしている。
「「・・・・・・」」
両者の間に無言の時間が続く。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・飲むか?」
「いや、いい・・・」
場所は駒王学園に戻り、体育館では馬鹿騒ぎが続いていた。
「それでね☆次に私は、魔法少女ミルキー!壁の外にいる巨人は一匹残らず駆逐よ☆って言いながら、魔法で巨人を凍らせた後、兵士さん達の前で華麗に登場するの☆」
「いいわね~。なーんか、どこかで聞いたことがある世界観だけど、気のせいね」
「おや?陸兎が持ってるそれ(前回作った作品)、ネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲じゃないか。再現度たけぇなオイ」
「おいおい剣夜。お前、前回そのセリフ言えなかったからって、今ここで言ってんじゃねぇよ。言っとくけど、この後のセリフ、作者が思いつかなかったから、お前の分はもうねぇぞ」
「あぁ!リュウ君リュウ君リュウ君リュウくんリュウクン!!」
「なんだこのカオスな状況・・・」
最早撮影会を通り越して、各々がやりたい放題やっているこの状況に、一誠は戦慄した。
「もう耐えられません!」
すると、この状況に耐え切れなくなったソーナが、涙目になりながら逃げるように体育館を出ていった。
「待ってソーナちゃん!」
「それじゃあ、僕はソーナのフォローをしてくるよ」
「いってらっしゃい。私は先に帰ってるわ」
セラフォルーはソーナを追って体育館から走り去り、剣夜も桜蘭に一言告げると二人の後を追い、桜蘭はそんな息子を見送った。
「なんか、嵐のような時間だったわね」
「同感です」
あれほど騒がしかったのが噓のように静かになり、疲れた様子で話すリアスと一誠。
一方、匙は膝を付きながら一人涙を流していた。
「うぅ・・・会長ぉ・・・俺のできちゃった結婚の夢がぁ・・・!」
「匙、お前は今泣いていい・・・」
「まぁ、あんぱんでも食え・・・悲しい話だ。この公開授業の真の被害者は鯵なのかもしれないな」
「おい、名前間違えてるぞ。美味そうな名前だな」
自身の夢であるソーナとのできちゃった結婚の夢が更に遠ざかってしまった現実に絶望する匙。
そんな彼を一誠と陸兎が匙の肩に手を置きながら慰めていた。しかし、陸兎は匙の名前を覚えておらず、一誠に指摘された。
そして、その光景を見てた聖良が独り言を呟く。
「あの人、眼鏡の会長さんとくっつきたいんだよね?どうして、できちゃった結婚に拘るんだろう?」
「・・・これに関してはツッコまないであげましょう。私もずっと疑問に思っていることだけど・・・」
聖良の呟きに、呆れた様子で答える麗奈だった。
・十門寺桜蘭(じゅうもんじ おうらん)
見た目は「鬼滅の刃」の産屋敷あまね。
十門寺家現当主の妻であり、剣夜の母。妖麗な見た目に反して、お茶目で陽気な性格。(見た目は若いが)圧倒的年上のセラフォルーをちゃん付けで呼んだりするなど器量が大きい。
・四宮聖良(しみや せら)
見た目は「五等分の花嫁」の中野三久だが、髪の色は一花のような薄いピンク。
東北・北海道を担当するもう一人の十天師。同じく東北・北海道を担当する無六龍牙の彼女であり、彼と同棲している。合体も経験済み。
※本編でドMが垣間見えたが、さっちゃんポジションのキャラにするつもりはないです。
本作のセラフォルー様は変わらずシスコンですが、剣夜のことも認めており、妹と三人でトライアングル展開するのもありだと思っています。
龍牙はマヨラーではなく、カレーラーでした。