「ウォォォォォォ!!」
龍牙の気迫に押されながらも、一誠は背中の魔力噴出口からオーラを吹き出しながら勇敢に飛び出す。
対する龍牙は、一誠の拳を軽やかに避けるが、一誠は続けて籠手からアスカロンを伸ばして、龍牙に向けて振り下ろす。
しかし、木場や陸兎と違い、剣の技術はおろか碌に振り回したことすらない彼の剣捌きは、龍牙にとって赤子同然だった。
「随分肌にピリピリくる剣だ。噂に聞く龍殺しって奴か。これはまともに受けたらひとたまりもねぇな・・・もっとも、使い手はカスみてぇだがな!」
「グハッ!」
隙を付いた龍牙の拳は、一誠の腹に当たり、彼を地面まで吹き飛ばす。
ドンッ!と激しい音が鳴り響き、一誠は地面に背中を付いて倒れる。
「イッセー!」
リアスが悲鳴を上げる中、龍牙は吐き捨てるように言う。
「テメェの剣なんざ、あの銀髪モジャモジャに比べりゃ屁でもねぇんだよ!」
そう言った龍牙は殺気を感じて、こちらに攻撃してくるヴァーリの魔力弾を『異能殺し』で作った霊力の壁で防ぐ。
「ほう、勘がいいな」
「あめぇよ。殺気が駄々洩れだ。こちとら伊達に殺し合いをしてねぇんだよ」
そのまま二人は空高く飛び上がり、激しい攻防を繰り広げる。
手や足をぶつけ合い、その度に周囲に衝撃波が飛ぶ。
「フハハハハハ!とんでもないな!禁手化もしてないのにこのパワーか!」
「出して欲しければもっと本気で来いよ。テメェの命が続けばなぁ!」
二人が激闘を繰り広げる一方で、周りは衝突を繰り返す白い閃光と黒い閃光に圧倒されていた。
「とんでもねぇなこれは」
「天を支配し二天龍と創世神にして始まりの龍の戦。あまりにも異次元過ぎる戦いだ」
「放してお兄様!このままだとイッセーが・・・!」
「ダメだ。彼らのオーラは既に限界を超えている。迂闊に近づいたら、焼かれて死ぬぞ」
アザゼルと大旦那が呟く横で、一誠を助けようとするリアスを止めるサーゼクス。
その間にも、二人の戦いは続いており、龍牙がパンチを繰り出した瞬間、ヴァーリはその拳を手で受け止めた。
「掴んだぞ」
『
ヴァーリの鎧に埋め込まれている宝玉から白い龍、アルビオンの声が響き渡る。
すると、龍牙の体を纏っていた黒いオーラが薄くなっていき、龍牙自身も自分の力が弱まっているのを感じた。
異変を感じた龍牙は、一度ヴァーリから離れて地面に降り立つ。
突然力が失われて顔を顰める龍牙に、同じく地面に降りたヴァーリが説明する。
「これが俺の神器の力だ。俺は触れた相手の力を半減させることができる」
「なるほどな。確かに力が出ねぇ・・・だがな!」
龍牙の体に白いオーラが纏われると、薄くなっていた黒いオーラが瞬く間に濃くなった。
「何!?」
「どれだけ凄かろうと所詮は異の力だ。異を殺す力の前では無意味なんだよ!」
神器の力を霊力を使って無効化し、本来の力を取り戻した龍牙は、空高く飛び上がると、右手で握り拳を作り、そのままヴァーリに向けて拳を放った。
「竜葬拳、『
『来るぞヴァーリ!』
アルビオンに言われて、攻撃が来ると感じたヴァーリは、前方に魔力のバリアを何重も敷き、更には両腕を前にクロスさせて防御の姿勢を取る。
次の瞬間、ヴァーリの体に凄まじい衝撃が襲い掛かった。
「グッ!」
衝撃に押されて、ヴァーリは後ろに下がりながらうめき声を上げる。見ると、自身の腕が煙を上げていた。
「この焼けるような痛み・・・霊力を纏った虚空を拳で打っているのか。一瞬にも満たない速度だ」
『防御は無理のようだ。躱すことに集中しろ。次が来るぞ』
アルビオンがヴァーリに警告する中、龍牙は再び拳を構える。今度は左右それぞれに握り拳を作る。
「まだまだ行くぞ!『
拳を連続で乱れ打ち、霊力を纏った空気の弾丸が流星群のようにヴァーリに襲い掛かる。
ヴァーリは光の翼を広げて、神速の速さで躱していくが、彼の後ろにあった駒王学園の新校舎が大砲で砲撃されたかのような音を出しながら破壊されていき、瓦礫となって崩れ落ちた。
「学校が!」
ソーナが瓦礫と化した駒王学園を前に、顔を青くした。
破壊された駒王学園やソーナの様子を気ともしない龍牙は、ひたすらに拳を連打していく。
「どうした!もう終わりか!?もっと楽しませろ!」
逃げ回るヴァーリを笑顔で追撃していく龍牙。その目線はヴァーリの方にしか向いていない。
故に、いつの間にか立ち上がった一誠の存在に気づいていなかった。
「よくも俺たちの学校を壊してくれたなクソ野郎!ドライグ!アスカロンに力を譲渡させろ!」
『Transfer!』
自分たちの学校を破壊されて激情した一誠は、勢いのままアスカロンの力を自身の腕に取り込むと、神速の速さで二人の戦いに介入する。
狙うは龍牙。ヴァーリも厄介だが、学校を破壊されたことや先程の一撃もあって、一誠は龍牙に狙いを定めて、彼に掴みかかった。
ヴァーリを相手してたこともあって、龍牙は一誠の接近に反応が遅れて、そのまま彼に体を掴まれた。
「テメェ・・・!」
「捕まえたぜ!これなら、あの壁は作れねぇ!」
ここまで近づけば攻撃を防ぐ霊力の壁は作れない。
そう考えた一誠は、アスカロンの力が譲渡されてる腕を振り上げる。
「
振り下ろした一誠の拳が龍牙の顔面に当たろうとした瞬間、龍牙は右手を人差し指と中指、薬指と小指を密着させて、竜の爪のような形にすると、そのまま一誠の拳を迎え撃った。
拳と指がぶつかり合い、拮抗しているかのように見えるが、龍牙の指は一誠の拳に触れておらず、指の周りには霊力が纏われていた。
「・・・やるじゃねぇか。俺がバハムートの力を持っただけの退魔師なら、ダメージを与えれたかもな」
龍牙は笑いながら籠手を掴む指の力を強める。
すると、一誠の拳を纏う籠手から徐々に亀裂が起きた。
「だが、俺は十天師だぜ。こんな風に『異能殺し』の力を使えば、その程度の龍殺しなんざ・・・簡単にぶち破れるんだよ!」
バリンッ!
「!? アスカロンが!」
「そんな馬鹿な!」
龍殺しの力を持つアスカロンごと右腕の籠手が砕かれて、驚愕の表情となる一誠とミカエル。
その隙を逃さず、龍牙は先程籠手を破壊した手で一誠の頭を掴む。
「知ってるか?竜の爪は何でも握り潰しちまうらしいぜ・・・テメェの単細胞な頭とかなぁ」
そう言いながら、龍牙は指の力を強めていき、頭を掴まれた一誠は「うぅ!」と苦しそうに声を上げた。
己の直感が危険を感じたのか、一誠は必死になって手足を動かして、龍牙を殴ったり蹴ったりするが、龍牙の体は霊力で覆われており、ダメージが入ってる様子はない。
そうしている間にも、龍牙の指の力が強くなっていき、頭の兜にピキッとひびが入った瞬間
「竜葬拳『竜の
ドーン!
大気にひびが入るほどの強い衝撃が起こり、頭からもろに受けた一誠は、兜がバリンっと割れて、頭から大量の血を流しながら気を失い、そのまま地面へ落ちていった。
「そんな!イッセー先輩が・・・!」
「イッセー・・・!」
一誠が倒されてしまい、悲鳴のような声を上げるギャスパーとリアス。
「次はお前だ白龍皇!」
「くっ!」
続けて龍牙はヴァーリに向かって突進すると、両腕でヴァーリを殴りつけて、彼を地面まで吹き飛ばした。
龍牙は二人を追撃することなく、倒れている二人を見下ろす。
「遊びは終わりだ」
そう言うと、龍牙の体から今までとは桁違いの黒いオーラが放出され、同時に彼の闘気が上昇していった。
龍牙の闘気は徐々に膨れ上がっていき、あまりにも膨大な闘気により、結界内であるにもかかわらず空間が震え、地面が大きく揺れだす。
この異常事態を前に、この後の展開を察した剣夜が大声で三大勢力のトップ達に叫んだ。
「いけない!すぐに防御魔法を展開してください!彼の攻撃に巻き込まれます!」
「こりゃヤバそうだな・・・!ミカエル!サーゼクス!」
「分かってる!リアス!こっちに来るんだ!」
「だけど、イッセーが!」
この場にいる全員がトップ達が作った防御魔法の中に入る。リアスが倒れている一誠を心配するが、グレイフィアに腕を引かれて防御魔法の中に無理矢理入れられる。
その間にも、龍牙の闘気がどんどん膨れ上がり、闘気が最高点まで溜まったその時、溜まった闘気が全て龍牙の口に吸い寄せられた。
「『
次の瞬間、龍牙の口から膨大な質量を持った光線が放たれた。
光線は一誠とヴァーリを飲み込み、激しい爆発が校庭を包み込んだ。
・
龍牙が扱うオリジナル武術。長年鍛えられた殺しの技術と経験、薬物や『始原龍の星砂』で最大限にまで高められた肉体からは、驚異的な力が発揮される。
・竜葬拳『
拳を虚空に打ち込み、空気を弾丸のように飛ばす。その破壊力は凄まじく、鉄の壁を容易く破壊する。また、打ち込む空気に霊力を纏うこともできるため、実質防御不可能な技となる。
・竜葬拳『
『銅鑼撥』を連続で打ち込む。作中でも描写された通り、学校の校舎を一瞬で瓦礫に変えてしまう程の力がある。
・竜葬拳『竜の
手の人差し指と中指、薬指と小指を密着させて、竜の爪のような形にして、相手を指の力で握り潰す。人間の頭蓋骨を簡単に砕くことができ、握る力は大気にひびが入るほど力強い。
・『
『始原龍の星砂』の力によって最大限にまで引き出した闘気を破壊光線のように口から噴出させる。その名前の通り、周囲一帯を全て破壊してしまう程の威力を持つ。
お気づきだろうか・・・今回主人公が一言も喋ってないです(笑)
陸兎「ふざけんな!」