仕事で慣れていないこともたくさんあり、更新速度は遅くなりますが、どうか温かい心で待っていてくれたら幸いです。
閃光が辺りを包み込む。
その衝撃は凄まじく、防御魔法の中にいる陸兎たちですら、肌で感じ取っていた。
やがて閃光が消えて、辺りが見えるようになると、駒王学園(新校舎)があった場所は消えており、代わりに深いクレーターが陸兎たちの目の前に広がっていた。
「が、学校が・・・はうっ!」
「会長!しっかり!」
「ソーナちゃん!」
跡形も無くなった駒王学園を前に、ソーナは倒れてしまい、椿姫とセラフォルーが慌てて彼女を支える。
三大勢力を始めとする者達が目の前の光景に呆然としてる一方、彼を知ってる者達は呆れた様子を見せていた。
「また派手にやったなー」
「あの人の頭には手加減という言葉はないのでしょうか?」
「やれやれ、こうなることは分かっていたけど・・・これは後処理が大変そうだよ」
「そんなことよりイッセーは!イッセーは無事なの!?」
駒王学園の修復に頭を抱える剣夜の横で、リアスは龍牙が放った破壊光線に巻き込まれた一誠を心配する。
クレーターの方を見ると、中心に一誠が倒れていた。先の龍牙の爪で頭の兜は砕けており、鎧もあちらこちらにひびが入っている。
「イッセー!」
「そんな・・・先輩が・・・!」
リアスとギャスパーが悲鳴のような声を上げながら倒れている一誠を見つめる。
彼の近くには、同じく鎧にひびがいくつも入り、虫の息に近い状態のヴァーリが立っていた。
「まさか、ここまでやるとはな。予想外だったよ」
そう言いながら、ヴァーリは漆黒の翼を広げながら自身を見下ろしている龍牙を見つめる。
既にボロボロの状態のヴァーリだが、その闘志は未だ消えていなかった。
「だが、俺はまだ戦える。アルビオン!力を一気に解放させるぞ!」
『
アルビオンの声と共に、光の翼からオーラが放たれる。
オーラはあっという間に周囲に広がり、木々や旧校舎などありとあらゆる物が半分になっていった。
「なんだこりゃ?」
この不可思議な現象に龍牙が疑問符を浮かべると、アザゼルが顎に手を当てながらこの現象について説明する。
「分かりやすいように説明すると、あの能力は周囲の物を半分にしている。放っておいたらあっという間に半分にされちまうぞ。力は勿論だが、身長や体重、女の胸さえもな」
その時、倒れていたはずの一誠がピクッと動き出した。
「今、なんて言った?胸が半分になるだと?」
そう言いながら、一誠はゆっくりと立ち上がった。
突然立ち上がった一誠に眷属は喜ぶが、当の本人は何やら不気味な様子で呟いていた。
「おっぱいが半分・・・部長のおっぱいが半分・・・あの素晴らしいおっぱいが・・・半、分?・・・ふざけんなぁぁぁぁぁぁ!!」
叫び声と共に、一誠の体から膨大なオーラが火山の噴火のように溢れ出した。
彼の周囲が弾け飛び、地面が大きく抉られていることから、今までで一番の力を出していると言っても過言ではない。
「なんつー面白れぇパワー出してんだお前は!」
ここへ来て謎のパワーアップを成し遂げた一誠を見て、陸兎のツッコミが響く。
「絶対に許さない!ヴァーリぃ!リアス・グレモリーに手を出してみろ!テメェ、二度と転生できないくらい徹底的に破壊してやらぁぁぁぁぁぁ!!!」
空にいるヴァーリに力強く宣言しながら、一誠は背中のブースターを加速させて、ヴァーリに向かってひたすら真っ直ぐに接近する。
「おいおい、今はテメェの出る幕じゃねぇだろ。引っ込んでろ」
そんな彼の進路に割り込むかのように、龍牙が一誠の前に出て立ちふさがる。
「邪魔すんじゃね!そこをどけぇぇぇぇぇぇ!!」
当然、今の一誠はそんな割り込みで止まるはずがなく、邪魔な障害物を排除しようと、最大限にまで強化された拳を龍牙に向けて振り下ろし・・・右腕の黒い籠手で拳を受け止められてしまったことで、その動きを止めた。
あっさりと拳を止められて、驚く一誠に向けて、龍牙は冷たい目で口を開いた。
「頭に乗るなよ。いくらご都合主義でパワーアップしようが、生暖かい天国でぬくぬくと生きたテメェと地獄で生きた俺とでは、そもそもの格が違うんだよ・・・!」
そう言いながら、呆けている一誠にパンチをお見舞いし、彼を再度地面に戻す。
「良いこと教えてやるよ赤ガエル。俺が嫌いな三つのことをなぁ!」
そのまま龍牙は一誠に接近し、彼の顎にアッパーを喰らわせる。
「一つ、俺に逆らう奴」
「ぐふっ!」
アッパーで打ち上げられた一誠に、龍牙が更に追い打ちをかける。
「二つ、俺に命令する奴」
「ガハッ!」
空を飛んだ龍牙は、両手の拳でガトリングのように一誠の体を何度も殴り付ける。
「そして三つ・・・俺をイラつかせる奴だ!」
止めと言わんばかりに振り下ろされた拳は、一誠の顔面を正確に捉え、上から叩き付けるように殴られた一誠は、猛スピードで地面に落とされて、そのままズドーンと衝撃音を響かせながら激突した。
それを確認した龍牙は、彼の生死を気ともせず、視線をヴァーリに向ける。
「余計な邪魔が入ったが、続きと行こうぜ白龍皇。お前の奥の手を見せてもらったんだ。こっちも見せてやるよ。竜葬拳を極めた奴だけが使える最強の体技を!」
そう言いながら、龍牙の体から黒いオーラが溢れ出す。
「いいだろう!受けて立つぞ!」
ヴァーリが龍牙に向かって飛び出していき、龍牙はそれを迎え撃つ。
閃光の速さで互いに拳をぶつけ合いながら火花を散らしていく。
戦いは拮抗していたが、ヴァーリが龍牙から距離を取って、膨大な魔力を放つ。
龍牙は『異能殺し』の力でそれを防ぐが、その間にヴァーリは龍牙の後ろに回り込む。
「もらったぞ!」
後ろの方には霊力の壁が無く、ヴァーリの拳が龍牙の顔を捉えようとした瞬間、龍牙の姿が消えた。
「消えた!?いったいどこに――っ!?」
困惑するヴァーリだが、ふと後ろに気配を感じ、慌てて振り向くと、そこには笑みを浮かべる龍牙がいた。
「残念、お前が殴ったのは『神速』で作った俺の残像だ」
そう言いながら、龍牙は拳を作った両腕をヴァーリの前に突き出した。
「竜葬拳奥義・・・『
次の瞬間、龍牙の拳から大量の闘気が放たれて、ヴァーリの体に凄まじい衝撃が鳴り響いた。
「グハッ!」
その衝撃に耐えきれず全身を纏う鎧が粉々になり、口から血を吐き出しながらヴァーリは落ちていった。
「お前の強さ、中々悪くなかったぜ。白龍皇」
落ちていくヴァーリを見下しながら、彼に称賛を送る龍牙。
やがてヴァーリはドスンっと音を立てながら地面に衝突し、そのまま動かなくなった。
それを見た龍牙も、ドラゴンの羽を器用に使いながら、地面に降り立った。
「どうやら、これで終わりだね」
立っている者がいなく、このドラゴン同士の三つ巴の戦いは龍牙の勝ちだと思いながら剣夜が呟いたその時だった。
「いや、終幕はまだ早ぇみたいだぜ」
ふと道玄三武郎が笑みを浮かべながら、ある方向に視線を向ける。
周りも釣られて視線を向けると、その先には龍牙に倒されたはずの一誠が立っていた。その右手にはヴァーリが腕に付けていた宝玉が握られている。
先の龍牙の一撃で砕けた鎧だが、その際にこの宝玉が飛び出したのだ。
既に鎧は砕け、この宝玉も時間が経てば塵と化する物だが、宝玉から僅かに白龍皇の力を感じた一誠がドライグに聞き出す。
「・・・ドライグ、神器は想いに応えて進化するんだよな?」
『・・・なるほどな。面白いが相棒、死ぬ覚悟はあるのか?』
「死ぬのは勘弁だ。まだ部長の処女を貰ってないからな。でも、目の前にいるクソ野郎を超えられるのなら、痛ぇのは我慢してやる!」
『フハハハハハ!良い覚悟だ!なら、俺も覚悟を決めよう!我は力の塊と称された赤き龍の帝王!始原の龍
「応!」
ドライグの言葉に応えながら、一誠は手に持った宝玉を握り潰した。
次の瞬間、宝玉を握り潰した右手が光りだした。それと同時に一誠の身に激痛が襲い掛かった。
「ガァァァァァァ!!痛ぇ!痛ぇ!!」
「おいおい、とち狂って自虐プレイでもし出したのか?」
突然苦しみだした一誠を見て、龍牙は疑問符を浮かべる。
「木場は不可能と言われた聖と魔の融合を果たした!なら、俺は赤龍帝と相対する白龍皇の力を取り込んでやる!」
襲い掛かる痛みを我慢しながら高らかに宣言する一誠。
「俺は馬鹿だから戦いの才能はねぇ!なら、ひたすらに馬鹿を貫き通してやるさ!俺の想いに応えろ!『赤龍帝の籠手』!」
『
ドライグの声と共に、一誠の右手を眩い光が包み込み、左手の赤い籠手とは違う白い籠手が出現した。
「へへへ、『
そう言って、新しく生まれた白い籠手を龍牙に見せつけながら満足そうに笑う一誠。
対する龍牙は小馬鹿にするかのように鼻で笑った。
「ハッ、ご都合主義の次は盗人の真似事かよ。だが、他人の力を奪った所で、俺には届か――」
「盗人で結構!お前を超えれるのなら、泥棒だってしてやらぁ!行くぞドライグ!」
『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!!』
一誠の想いに応えるかのように、彼の体から赤と白が混ざったオーラが溢れ出し、その闘気が龍牙の全身を震わせた。
「!? 今までで一番の闘気だ・・・!面白れぇ!受けてやるよ!」
龍牙はこれ以上ない笑みを浮かべながら腰を引くすると、彼の体から黒と白のオーラが溢れ出し、柱のように伸び上がる。
白き龍の力を手に入れた赤き龍と異能を殺す力を持つ黒き龍。力を放出させながら睨み合っていた二人は、己の敵に向かって全力の一撃を放とうとしていた。
「これで最後だ!竜葬拳『
「うおおおおおお!!」
赤と黒。二つの閃光が光の速さでお互いにぶつかり合う。
凄まじい衝撃と土煙が上がり、周りは腕を前に出しながら目を細める。
やがて煙が晴れていき、そこで彼らが見たものは・・・龍牙の右腕が一誠の腹部を貫いている光景だった。
「あ」
リアスが喉から必死に絞り出したかのような声を出した。他のグレモリー眷属も絶句していて言葉が出ない。
静寂と化した時間の中で龍牙が一誠に向かって言う。
「所詮、お前は強ぇ武器を手に入れてイキがってるだけの井の中の蛙だ。気合いや根性で何とかなるほど、世の中は上手く回ってねぇんだよ。お前じゃ、誰も護ることはできやしねぇ」
そんな言葉を吐いた瞬間、ふと違和感を感じた。
「あ?」
腹を貫いている右腕が抜けないのだ。何度も引き抜こうとしているが、腕は時間を止められているかのようにビクともしない。
不思議に思いながらも、今度は少し力を入れて抜こうとしたその時だった。
「!?」
力尽きたと思われたはずの一誠の拳が、龍牙の顔に向けて振り下ろされた。
龍牙は驚きながらも咄嗟に霊力の壁で防ぐ。
「(こいつ!まだ死んでなかったのか!?)」
「(まだだ!例え死んでも、せめてこいつの顔だけはぶん殴ってやる!)」
『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!!!!』
一誠の想いに応えたドライグの声が何度も響き渡り、彼の力を強化していく。
虚を突かれた龍牙だったが、拳が自身の顔に届いていないのを見て、再び笑みを浮かべる。
「はっ、馬鹿が。何度も殴って分かっただろ。お前じゃ、この壁は崩せ――」
どすんっ!
「なっ!」
一誠の拳が霊力の壁を僅かに超えて、龍牙は驚愕の表情となる。
「(噓だろ!強い霊力を持った退魔師ならともかく、異形がこの壁を超えるなんてありえねぇ!)」
この戦いで龍牙は初めて焦りを見せる。
同じ霊力を扱う退魔師なら、『異能殺し』が使える者同士の戦いなら、霊力の多い者が相手の『異能殺し』の力を破ることができる。
しかし、魔力や妖術などに関しては別だ。異の力であるそれらは、どれだけ多かろうが霊力で相殺される。にもかかわらず、今目の前にいる存在は、霊力でも相殺できないほどのパワーで、自身に迫ろうとしている。
焦りながらも龍牙は思考を回転させて対処する。
相手の拳が迫るのなら、こちらから引きはがせばいいと、龍牙は拳を一誠の顔面にぶつける。
「チッ!離れやがれ!」
グチャ!
顔の骨が砕ける音が響き、右目が潰されてしまう。加えて、霊力を纏っているため、一誠の顔が焼かれて、火傷が広がっていた。
「逃げてイッセー!このままじゃ死んじゃうわ!」
リアスが涙を流しながら叫ぶが、それでも一誠は背を向けることなく、足を踏ん張って踏みとどまった。
「(耐えやがった!?死にぞこないの赤ガエルのどこにそんな力が・・・!)」
一誠の底知れぬ力に驚く龍牙。
そんな彼の隙をついて、一誠は自身の顔面を殴った龍牙の腕を掴んだ。
「(こ、こいつ・・・!)」
「(絶対に逃がさねぇ!テメェの顔に一発入れるまでは!)」
龍牙を押さえつけたまま、一誠は霊力の壁を少しずつ超えて拳を龍牙の顔に近付けていく。
龍牙もまた、一誠を振りほどこうと必死で藻掻く。
「「オオオオオオォォォォォォ!!!」」
大地を揺れ動かすような二つの咆哮が響き渡る。
拮抗した状況が続いていたが、一誠の拳がまた一段階霊力の壁を超えていき、そして・・・
「届けぇぇぇぇぇぇ!!」
渾身の叫びと共に、振り下ろした拳が遂に龍牙の顔を捉えた。
・竜葬拳奥義『
両手の握り拳に込めた闘気を相手に当て、ダイヤモンドすらも砕く程の衝撃を相手の体内に送り込む竜葬拳の奥義。
・竜葬拳『
霊力と『始原龍の星砂』で最大限にまで強化された籠手付きの右腕で相手を全力で殴る技。作中で描写された通り、禁手化で纏った一誠の鎧ごと彼の腹を貫くことができるほどの威力を持っている。