ハイスクールD×D 銀ノ魂を宿し侍   作:イノウエ・ミウ

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ハイスクールの新任教師は苦労しがち

和平会談から数日が経った。

崩壊した駒王学園も元に戻り、会談に参加した者達は、それぞれの日常へ戻っていた。

そして今日は、冥界の病院に入院してた一誠が退院して、学園に復帰してきた。

 

「本日付で兵藤一誠、復活しました!」

 

旧校舎の部室で一誠は、ビシッと敬礼しながら元気良く挨拶する。

そんな一誠を部員たちは笑顔で出迎えた。

 

「イッセー君!もう怪我は大丈夫なのかい?」

 

「おう!腹の傷も潰れた右目も元通りだぜ!」

 

「良かった・・・!本当に良かったです!」

 

木場とギャスパーが安堵の表情を見せる。

女性陣も安心したような笑顔を一誠に向けると、リアスが一誠の状態について話す。

 

「病院に運ばれた頃は全身の骨が粉々になって酷い状態だったけど、フェニックス家がフェニックスの涙を提供してくれた事もあって、体の方は無事に治ったわ。目も元通りになって火傷も消えたけど、お腹の方は完全に治せなかったわ。今も傷跡が残っているの」

 

「気にしないでください部長。これは名誉の傷跡って奴ですよ」

 

暗い顔をするリアスを一誠が励ます。

 

「そうだぜ部長。ただでさえ、エロいこと以外取り柄のない平凡な野郎なんだ。傷跡の一つぐらいなけりゃ、主人公ポイントは稼げないだろ」

 

「いや、なんだよ主人公ポイントって、そんな訳分かんないポイントを得てまで体に傷跡を残したくねぇよ」

 

陸兎の言葉にツッコミを入れながらも、真剣な表情で一誠は語る。

 

「今回の戦いで、俺は自分の弱さを実感しました。白龍皇に始原の龍、世界にはこんな強ぇ奴らがいるんだって。でも、俺だって負けてばかりではいられない。もっと特訓して、ヴァーリに無六、あいつらよりも強い男になって、俺はハーレム王になる夢を叶えます!グレモリー眷属の『兵士』として!」

 

一誠の決意を聞いて、リアスや周りの部員たちは微笑むのであった。

 

 

 

 

「そんでさ・・・なんでアザゼル(あいつ)がここにいるんだよ?」

 

「よっ、赤龍帝。すっかり元気になったようだな」

 

一誠が視線を向けた先には、着崩したスーツ姿のアザゼルがデスクの椅子に座りながら手を軽く上げた。

何故アザゼルがここにいるのかというと、アザゼルはサーゼクス経由でソーナに頼んで(断れば代わりに姉を呼ぶと半ば脅して)、駒王学園の教師としてこの町に滞在することになったのだ。

先の戦闘で失った腕は義手となっていて、ドリルに変形したり、ロケットパンチを放ったりすることが可能となっていた。

 

「俺がこの学園に来たのはただ一つ。お前らの未熟な神器を正しく成長させることだ。俺の研究成果を叩き込んで、独自に進化を模索してやる!いいな!これから俺をアザゼル先生と呼べ!」

 

「えぇー、なんか任せたら神器がまるで駄目な神器になりそうだからやだ」

 

「そうだな。マダオに任せても、まるで駄目な神器・・・マダセに退化するだけだろ」

 

「なんだそのダセェ名前は!?無理矢理省略して、マダオに近づけてんじゃねぇよ!」

 

不満そうに語る一誠と陸兎に、アザゼルはツッコミを入れつつも言葉を続ける。

 

「心配しなくても弱くなるような事はしねぇよ。お前さんの誓約神器だって、まだまだ未知数だ。俺みたいな研究大好きの奴がいても迷惑にはならねぇだろ?」

 

「勘弁してくれや。オメェみたいなマッドサイエンティスト思考の奴に任せてら、どんなビックリ武器にされるか分かったモンじゃねぇ」

 

「そう言うなよ。そのビックリ武器だって、戦闘では役に立つ時があるかもしれないぜ。それに、赤龍帝との償いの約束もあるしな。お前さんらを裏切るような真似はできねぇよ」

 

「・・・アザゼル先生って、胡散臭くて体臭が凄い以外取り柄のない駄目な堕天使じゃなかったんだな」

 

「ハハハハハ!泣いていいか?」

 

一誠からのぞんざいな評価に、若干涙目になるアザゼル。

そんな彼らの様子を見て、リアスは仕方ないといった顔をしながらも、部長として部員たちに声を掛ける。

 

「まぁいいわ。一誠も揃ったし、そろそろ活動を始めましょう。もうすぐ夏休みも近いし、予定も立てないとね」

 

リアスがそう言うと、部員たちは集まりだし、夏に向けてのをミーティングを始めるのであった。

オカルト研究部のいつも通りの馬鹿騒ぎな日常。その様子をアザゼルは微笑ましく見守っていた。

 

「(白は'力'を、赤は'女'を、どちらも驚くほど純粋で単純なモンだ。加えて、今の時代に生まれた黒い龍に白い鬼。神がいなくなっても、世界ってのはちっとも退屈しねぇな。こいつらの存在は、この現世にどんな影響を及ぼすのやら・・・)楽しみだ」

 

来たる未来を思い浮かべながら、アザゼルは楽しそうに微笑んだ。

 

 

 

 

一方、場所は変わって東京にあるとある住宅街のアパート。そこの一室に見慣れぬ服装をした集団が集まっていた。

全身を黒衣の服装で身に纏い、目元以外は隠れている如何にも怪しげな人物たちは、部屋やその周辺を調べ回っている。

そんな集団の一人がこちらに近づいてくる二人の人物を見つけると、彼らに声を掛けながら一礼した。

 

「お待ちしておりました『神童(しんどう)』様、『氷姫(ひょうき)』様」

 

そう声を掛けられた『神童』こと十門寺剣夜と『氷姫』こと七星麗奈は、十門寺家に属している捜査班の一人に労いの言葉を掛ける。

現在、この二人は学校を休んでおり、とある事件とその現場を調査をしている十門寺家所属の特殊捜査班の下を訪れていた。

 

「ご苦労様。それで、事件があった現場は?」

 

「はい、こちらの部屋になります」

 

その人物に案内されて、剣夜たちは部屋の中に入ると、捜査班が部屋中を調べ回っていた。

部屋そのものは何の変哲もない普通の一室だったが、中央には頭の無い人の形をした白い線が敷かれていた。

剣夜は頭の無いその白い線を眺めていると、案内した捜査班の一人が事のあらましを説明する。

 

「被害者は都内に住むフリーターの男性です。先月から音信不通になっていて、部屋の付近から腐臭がしたので気になった大家が鍵を開けたら、首を斬られながら倒れているのを発見。当然即死でした。解剖の結果、遺体は死亡してからそれほど経っておらず、凶器は切断面からして長刀と考えられます。殺害された動機は今のところ不明です。被害者の交友関係に関しては、仕事と生活共にトラブルなどはなく、周囲の人間とそれなりに良好な関係を築いていたみたいです」

 

「どこにでもいる普通の人間。誰かから恨みを買われる人でもない、ということか・・・」

 

剣夜の呟きに「えぇ」と共感しながらも報告を続ける。

 

「ただ一つ、被害者には他の人間と違う点がありました・・・この町を裏で治めていた悪魔(・・・・・・・・・)と契約していたことです」

 

「それは・・・何とも言えないね。偶然の可能性も捨てきれないけど・・・」

 

剣夜が難しい顔をしながら呟くと、麗奈が意見を述べる。

 

「剣夜様。この事件の少し前に、この町を治めている『王』を始めとした眷属悪魔の失踪事件がありましたよね?もしかしたら、今回の殺人事件と関係があるのでは?」

 

「ふむ、そこら辺はどうだい?」

 

「今のところはまだ・・・その件も含めて現在調査中です」

 

捜査班が質問に答えた瞬間、別の人物が慌てた様子で剣夜に声を掛けてきた。

 

「『神童』様!こちらの方に怪しげなメッセージのようなものが書かれていました!」

 

「メッセージ?」

 

疑問符を浮かべながらも剣夜は言われた場所へ向かうと、そこには赤い血のような文字でこう書かれていた。

 

忘れるな、神鳥は何度でも蘇る

 

「これは・・・!剣夜様!」

 

「・・・間違いない。この殺人事件は決してあの失踪事件と無関係なんかじゃない。そして、失踪した悪魔たちも残念だけど滅ぼされたか性欲に塗れた裏社会の人間に売られたと考えるべきだ」

 

その文字を見た剣夜と麗奈は深刻な顔をする。

十天師二人の滅多に見せない険しい表情に、周りの者達は何も言えず、汗をかきながら黙って見守る。

 

「・・・どうやら、彼らが再び動き出したようだね。三大勢力を嫌い、それに関係する者達を一切の容赦なく滅ぼす事を目的とした過激派の退魔師集団。二年前、僕たち十門寺家が滅ぼしたはずの神鳥の名を持ちし組織・・・!」

 

そう言いながら、剣夜は力強くその組織の名を言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『死を運びし黒死鳥(こくしちょう)』・・・ガルーダ




<駒王町コソコソ噂話>
原作ではこの後眷属のスキンシップは赤龍帝の力に必要不可欠であるため(という訳の分からない理由で)、女性陣が一誠の家に住むことになるが、この小説では当初は原作通り一誠の家に女性陣全員住むことになっていたが、十天師である陸兎を近くで監視するという名目と陸兎の家に住んで生活している朱乃やゼノヴィアの姿を見て、彼らを引き離すのは些か良くないというサーゼクスの判断で、この話は無しになったのである。尚、一誠の家は原作通り魔改造する予定。


第四章ようやくの完結です!長かったぁー!
この後は幕間とキャラ紹介を挟んで、一旦の区切りとなります。最後までお楽しみください。
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