教会の外れの森、リアス達三人はその奥にある廃教会を目指して進んでいた。
「たく、何処見渡しても木ばっかじゃねぇか。食いモンの一つや二つは無いのかねぇこの森は?俺の中にあるスッゲー森ランキングじゃ底辺に入るぞこりゃ」
「陸兎、油断しないの。何も無いからこそ、何時堕天使が襲ってくるのか分からないんだから」
「そうですわよ。気づいた頃には・・・ほら」
三人揃ってピタッと足を止め、朱乃が上を見上げると、空から三人の堕天使が現れた。
女の堕天使二人に男の堕天使一人。その内の一人、ドーナシークが陸兎を見て反応する。
「貴様!あの時の人間!?」
「ウイース、久しぶりだな」
「・・・やっぱり、あの時公園でイッセーを助けたのは貴方だったのね」
ドーナシークが公園で自身に手傷を負わせた陸兎に驚く中、公園の時の疑問が晴れたリアスは目の前にいる三人の堕天使に挨拶する。
「初めまして、私はリアス・グレモリー。早速だけど、貴方たちには消えてもらうわ。朱乃」
「はい、部長」
リアスに指示された朱乃は巫女服に纏うと辺り一面に魔法陣を張った。
「これは結界か!?」
「うふふ、逃がしませんわよ」
頬を赤らませながら言う朱乃を見て、陸兎はこっそりとリアスに問う。
「部長、朱乃ってドS?」
「ドS、ドS」
ひそひそと会話する陸兎とリアスをよそに、青髪の方の堕天使が喋り出す。
「どうやら、狙いは初めから我ら三人という訳か。流石はグレモリーの眷属だ。特にそこの人間、見た感じただの人間ではなさそうだな。纏っている気からして・・・悪魔祓いか?」
「違ぇよ。俺は退魔師だ。簡単に言やぁ、現場に出て人様に迷惑をかけてる悪霊や妖怪などを除霊する陰陽師の人、分かったか?」
「なるほど・・・極東の悪魔祓いという訳か」
「うーん、ちょっと違う気がするが・・・まぁ、いいか」
悪魔祓いは教会の加護を得て戦うのに対し、退魔師は教会の加護が一切無く、己の身体能力や技、妖術などを使って戦うのだが、これ以上説明するのが面倒だった陸兎は、極東の悪魔祓いという認識で一応納得してもらうことにした。
「さて、お喋りはこのくらいにして、そろそろ消えてもらうわ」
「フン、精々余裕ぶっているがいい。儀式が終われば、あのお方は貴様らですら敵わぬ存在になっているのだからな」
ドーナシークがそう言うと、堕天使三人は翼を広げ、一斉に空に飛び立った。
地上にいるリアス達を見上げていると、ドーナシークが二人に言った。
「この人間は俺が殺る。以前、斬られた借りがあるからな」
「ふ~ん。まぁ、好きにすれば。それじゃあ、私たちはグレモリーの方を・・・」
そう言いながら、金髪の堕天使とはリアスの方を向いた。
「どうやら、対戦相手が決まったみてぇだな」
「えぇ、私と朱乃で向こうの二人をやるわ。男の方は貴方に任せてもいいかしら?」
「応とも、グレモリーの名は伊達じゃないってとこ、見せてくれよ」
「貴方こそ、十天師の名が飾りじゃないってところを見せてちょうだい」
お互い健闘を称えると陸兎とリアス達はそれぞれの相手の前に立つ。
自身を見上げる陸兎にドーナシークは油断せずに光の槍を構える。
「前回は油断したが、貴様が退魔師となると、話は別だ。最初から本気で行かせてもらおう」
「うわぁ~出たよ、すぐやられてしまいそうなモブキャラのセリフ。よく、くっ!油断した!とか、今のは本気じゃなかったから次から本気出すわぁ(キリッ)、って言う奴いるけどよ、そういう奴程出番って少ない訳よ。つーまーりー、お前これで出番終わり~ガハハハハハwww」
思いっ切り煽る陸兎にドーナシークは顔を歪ませながら両手の槍を投げつけた。
おちゃらけていた様子の陸兎だったが次の瞬間、木刀を出現させて、二本の光の槍を木刀で弾いた。
攻撃を弾かれたにも関わらず、ドーナシークは驚いた様子もなく陸兎を見下ろす。
「やはり、ただの退魔師ではなさそうだな。特にその神器、名はなんという?」
「こいつか?こいつは『
この時、堕天使二人と戦っている最中に陸兎の会話が聞こえてきたリアスはこう思った。
「(漢字の意味と読み方、合わなすぎじゃないかしら・・・?)」
どうしたら、洞爺刀と書いてエムブラスクと読むのだろう。そんな疑問がよぎったリアスだったが、今は目の前の敵を倒すことを優先し、すぐさま戦闘に集中する。
そんなリアスをよそに、ドーナシークは特にこれといったツッコミをすることもなく、何故か笑い出した。
「ククク・・・少なくとも、そこいらの悪魔祓いや退魔師とは違うようだな。なら、これでどうだ!?」
そう言うと、今までのやつよりも少し大きめの槍を両手に持ち、陸兎目掛けて投げつけた。
「さっきとほとんど変わんねぇだろ。少しは脳みそ使え、カラス野郎」
めんどくさそうな顔をしながら、陸兎は『洞爺刀』を振った。
その瞬間、『洞爺刀』から斬撃のようなものが放たれた。それは巨大な光の槍を真っ二つに斬り、そのままドーナシークに向かった。
「何!?ぐぉ!」
予期してなかった攻撃にドーナシークは反応できず、斬撃を腹に食らってしまう。
前回同様、腹から血が流れ、ドーナシークは斬られた箇所を押さえながら陸兎に向かって問いかける。
「な、何なんだ!?貴様のその神器は!?」
「だから神器じゃねぇつってんだろ。こいつは
「作られた神器だと!?そんな物、聞いたことがないぞ!?」
「だろうな。何せこいつは、日本で二十にも満たない数しか無いって言われている代物だ。まぁ、どうせ斬られるお前に言っても、仕方のないことだけどな」
斬られる。その言葉を聞いたドーナシークは怒り狂ったような形相をした。
「ふざけるな!俺は誇り高き堕天使だぞ!貴様のような下等生物に負けるはずがない!」
堕天使のプライドが傷つけられたのか、陸兎目掛けて無我夢中に大量の槍を投げるドーナシーク。
しばらくして槍を投げるのを止め、「ぜぇ・・・ぜぇ・・・」と息を吐きながら下を見下ろす。しかし、そこに陸兎の姿は無かった。
「き、消えた!?何処にいった!?」
辺りを見渡すドーナシークだが、いくら下を見ても陸兎の姿は見当たらない。
「誇り高きねぇ・・・随分と高い所から見下ろしやがって・・・そんなんだからテメェは何も見えねぇんだよ」
ふと上から聞こえた声に反応し、上を見上げると、『洞爺刀』を両手に構えて持ち、こちらに向かって上から落ちてきている陸兎がいた。
ドーナシークは咄嗟に槍を出現させるも既に遅し。陸兎は両手に持った『洞爺刀』をドーナシーク目掛けて振り下ろし・・・
「見下ろしてばっかじゃ、俺の足しか見えねぇだろ。下ばっかり見てるから、テメェは本当に見えるモンを見落としちまったんだよ。来世では、人の腹くらいは見えるようになりやがれ」
その言葉と共に陸兎はドーナシークの体を真っ二つに斬った。
ドーナシークは信じられないと言わんばかりの表情で消滅し、無数の黒い羽が宙を舞った。
地面に着地した陸兎は一仕事終えた顔をしていると、こちらに近づいているリアスと朱乃の姿が見えた。
「そっちも終わったみてぇだな」
「えぇ、陸兎は・・・無事みたいね」
無傷の陸兎と地面に落ちた無数の黒い羽を見て言うリアス。
「誓約神器・・・人間が作った神器ねぇ・・・にわかには信じられないけど、その木刀から神器に似た力を感じるわね。誓約神器っていったいなんなのか、教えてくれるかしら?」
「悪いが、そいつに関しては事が終わってからにしようぜ。まだ一誠たちが教会の中にいるからな」
「・・・そうね。それじゃあ、早く中に入りましょう。と行きたいところだけど、その前に・・・」
リアスはドーナシークの物と思われる黒い羽を回収した。
すると、陸兎が驚愕の表情でリアスを見つめた。それに対して、リアスが「どうしたの?」と問いかける。
「部長・・・いくらなんでもカラスの羽集めが趣味って女子としてどうかと思うぞ・・・」
「違うわよ!これは堕天使を滅した証拠を回収してるだけよ!」
「あらあら、部長、趣味が悪いですわよ」
「朱乃!貴方は知ってるわよね!?」
二人でリアスをからかいながら、三人は魔法陣で廃教会へ向かった。
「はぁ・・・はぁ・・・」
「悪魔にとって光は猛毒。激痛でしょう?その激痛は悪魔にとって最も耐え難いものなのよ」
一誠は現在、一度自分を殺した堕天使レイナーレと対峙してた。しかし、その表情はよろしく無く、両足には光の槍が突き刺さっている。
二人が対峙している聖杯堂の椅子にはアーシアが仰向けに倒れていた。レイナーレによって神器を抜かれた彼女は既に意識は無く、心臓も止まっている。
「ぐっ!・・・うぉーーーーーー!!」
一誠は肌を焦がすような痛みに耐えながら、両足に刺さっていた光の槍を引き抜いた。
その様子を見て、レイナーレは感心したように呟く。
「大したものね。下級悪魔の分際で」
「こんなもの、アーシアの苦しみに比べたらどうってことねぇよ」
口では威勢を張っていた一誠だったが、途端にバランスを崩し、床に尻餅を付いた。
「それが貴方の限界かしら?まっ、下級悪魔にしては中々頑張った方ね」
レイナーレは見下すような笑みを浮かべながら、一誠を見ていた。
すると、一誠は尻餅を付いたまま何やら呟き出した。
「神様・・・じゃダメだな・・・俺は悪魔だから・・・魔王様か・・・」
「何言ってるの?あまりの痛さに壊れちゃった?」
一誠が訳の分からないことを言い出し、疑問に思っていたレイナーレだったが、次の瞬間、その表情は驚きに変わった。
「!?・・・そんな、噓よ!?」
「頼みます。後は何もいりませんから・・・こいつを・・・一発殴らせてください!」
倒したと思っていた男が立ち上がったからだ。
体には悪魔を象徴する黒い翼を生やし、怒りと闘気が混ざった目でレイナーレを睨む一誠。
「体中を光が内側から焦がしているはずよ!下級悪魔如きが立ち上がるはずが――!」
「あぁ痛ぇよ。今でも意識が飛んじまうくらいなぁ。でも・・・そんなのどうでもいいくれぇテメェがムカつくんだよ!」
『
一誠の言葉と共に、彼の神器と思われる赤い籠手が声と共に光り輝いた。
次々と想定外のことが起き、戸惑うレイナーレ。そんなレイナーレをよそに、一誠はゆっくりとレイナーレに近づいていく。
「ひっ!?」
恐怖を感じたレイナーレは咄嗟に光の槍を作り、一誠目掛けて投げる。
しかし、一誠はその槍を赤い籠手で弾くと、猛スピードでレイナーレに迫った。
「い、いや!」
レイナーレは慌てて逃げようとしたが、飛び立とうとした瞬間、腕を一誠に掴まれた。
「逃がすか馬鹿!」
「私は、私は至高の――!」
「吹っ飛べクソ天使!!」
ガンッ!!
一誠の放った渾身の一撃はレイナーレの顔面を見事捉え、レイナーレは教会の窓を壊して外まで吹き飛んだ。
「ざまぁみろ・・・」
レイナーレが吹き飛んだ様子を見て、満足気に微笑んだ一誠はその場に倒れ込みそうになったが、その前に木場が一誠を支えた。
「まさか一人で堕天使を倒すなんてね」
「遅ぇよ、イケメン王子」
「ごめんごめん、君の邪魔をするなって部長と陸兎君に言われてさ」
「部長?それに八神も・・・?」
教会に行くことを反対してた二人が何故ここにいるのか。疑問に思っているとリアスが一誠の下へやって来た。
「お疲れ様、イッセー。貴方なら倒せるって信じてたわ」
「部長・・・本当ですか?部長と八神が一緒に来てたって?」
「えぇ、朱乃も含めた三人で一緒に用事を済ませたから、教会の地下に転移したの。そうしたら、裕斗と小猫が大勢の神父と戦っているじゃない」
「部長と陸兎君がいてくれたおかげで助かりました」
「八神・・・たく、あんなこと言っといて結局来るなら、一緒に付いてきても良かっただろ・・・」
なんだかんだ言いつつも、結局来てくれた
すると、教会の扉から小猫と陸兎が入ってきて、小猫が倒れているレイナーレを引きずっていた。
「部長、持ってきました」
「小猫、それは持ってきたって言わねぇ。引きずってきたって言うんだ」
「そうですね。部長、引きずってきました」
「いや、言い直さなくていいから・・・」
陸兎に指摘され、律儀に言い直した小猫にリアスが呆れていると、陸兎が真剣な表情でリアスと一誠の方を向いて言った。
「部長、イッセー。こいつを起こす前に一つ頼みを聞いてくんねぇか?」
「頼み?何かしら?」
「依頼では、今回の事件の首謀者は可能な限り捕獲しろって命じられているんだ。お前らがこいつを殺したくても、俺がokを出すまで手を出さないでくれるか?」
「そうね・・・下手に断って、十天師と戦争になるなんてことは絶対に避けたいし・・・分かったわ。イッセーはどうかしら?」
「・・・正直言って、こいつは殺したいくらい憎いけど・・・どうするかは、部長と八神に任せます」
一誠に非殺生の許可を貰ったリアスは倒れているレイナーレに話しかけた。
「初めまして、レイナーレ。私はリアス・グレモリー」
「うぅ・・・グレモリー一族の娘か」
リアスに声を掛けられ目覚めたレイナーレは憎らし気にリアスを睨み付ける。
「どうぞお見知りおきを、短い間だけどね。それと、貴方のお友達なんだけど・・・私と彼で滅しておいたわ」
「!?」
レイナーレの前で三枚の羽を舞い散らせたリアスに、レイナーレは信じられないと言わんばかりの顔をする。
「馬鹿な!?グレモリーの一族ならまだしも、ただの人間が堕天使を倒せるはずが――!」
「そりゃただの人間だったらやられてたでしょうね。でも、彼はただの人間じゃない。彼は十天師の一人よ」
異形にとって驚異となり得る存在なだけあって、流石に十天師の名前を知っていたのか、レイナーレは驚愕の表情でリアスと陸兎を見る。
「グレモリーの娘に十天師だと・・・!?何故、貴様らが手を組んでいる!?」
「目的が一致してたからよ。この町に潜んでいる貴方たちの良からぬ計画を阻止するためにね。まぁ、私個人としては、私の可愛い下僕に手を出されたって理由もあったけど・・・」
そう言いながら、一誠を見つめるリアスに、一誠は「部長・・・」と嬉しそうに声を漏らした。
「レイナーレ。この子の神器はただの神器ではないわ。持ち主の力を十秒ごとに倍化させ、神や魔王の力すらも超えることができる・・・十三種の
「っ!?(神をも滅ぼすことができると言われている神滅具の一つがこんな子供に・・・!?)」
下に俯きながらレイナーレは有り得ないと言った顔をする。
リアスはレイナーレを見つめながら言葉を続ける。
「さて、本来なら、ここで消えてもらうんだけど・・・」
そう言うと、リアスは陸兎の方を見た。
目線の意味を理解した陸兎はレイナーレの前に出て喋る。
「日本陰陽師協会からは今回の件の首謀者はブタ箱にぶち込んで、その目的を洗い出せって言われてんだ。大人しくしてたら、お前は殺さずに日本陰陽師協会まで連行してやるよ。まぁ、流石に死刑にはしねぇだろうが、しばらく自由な生活は送れないと思っておけ」
「ふざけるな!誰が下等な人間の下に――っ!?」
陸兎の言葉に反論しようとしたレイナーレだったが、言い終わる前に自身の首元に『洞爺刀』の刃先が当てられ、驚きながら陸兎を見る。
「図に乗るなよ、カラス野郎。テメェらの目的が分かった今、テメェはもう用無しなんだよ。今の俺には、この場でテメェの首を斬る権限があることを忘れんな」
陸兎の放った殺気を浴び、「ひっ!」と悲鳴を上げながら怯えた表情になるレイナーレ。
すると、その様子を遠くで見てた一誠を見つけると、レイナーレは魔法で天野夕麻の姿になった。
「一誠君、助けて!あんなこと言ったけど、私は貴方を愛してるの!その証拠にほら!このブレスレット、貴方に貰って以来、ずっと付けてたの!」
レイナーレは一誠に助けを求めようと、目元に涙を溜めながら懇願した。
「・・・・・・」
しかし、一誠はその助けをレイナーレから目線を逸らすことで拒絶した。
その反応を見て、レイナーレは更に必死になって助けを求めようとした。
「い、イッセー君!?お願い助けて!私は利用されてただけなの!」
「・・・部長、こいつは捕まえねぇ。殺っていいぞ」
「分かったわ。私の可愛い下僕に手を出すな!」
「あぁーーーーーー!!」
醜い言い逃れに嫌気がさした陸兎がリアスに言うと、リアスは滅びの魔力でレイナーレを消し飛ばした。残ったのは、宙に舞う無数の羽とアーシアの神器だった。
リアスはその神器を手に取り、一誠に渡した。
「これを
「・・・はい」
アーシアの神器を受け取った一誠はアーシアの下へ行き、眠っている彼女の上に神器を置いた。
「・・・すみません部長、偉そうなこと言って。ごめん八神。お前に納得のいく選択をしろって言われたのに、俺はアーシアを助けることが・・・!」
「泣くなイッセー、まだ完全に死んだわけじゃねぇ」
陸兎の言葉に、一誠は涙を流しながら驚いた顔で陸兎を見た。
すると、リアスがポケットから一つのチェスの駒を取り出した。
「イッセー、彼女を私の『
そう言って微笑むと、リアスはアーシアの前に立ち、詠唱を始めた。
「我、リアス・グレモリーの名において命ずる。汝、アーシア・アルジェントよ。今再びこの地に魂を帰還せしめ、我が下僕悪魔となれ」
アーシアの周りに魔法陣が展開され、彼女の胸に置かれた駒が赤く輝きながら彼女の胸へと入っていった。
魔法陣が消え、「フゥー」と息を吐くリアスに一誠が問いかける。
「部長、アーシアは・・・?」
「黙って」
リアスがそう言った途端、アーシアが目を覚ました。
「あれ・・・?」
「アーシア・・・!」
目を覚ましたアーシアに一誠は近づき、彼女の体を抱きしめた。
「イッセーさん、私・・・」
「・・・帰ろう、アーシア」
怪訝そうな顔をしながら呟くアーシアに涙を流しながら静かに言う一誠。
その様子を眺めてたリアスは後ろに振り向き、陸兎の隣に立った。
「これにて一件落着だな」
「えぇ、シスターを悪魔にしたことに関しては、後で色んな所から色々と言われそうだけどね」
「そん時は俺らも加勢してやるよ。口だけ達者なペーペーの戯言なんざ、シスターの髪の毛一本くらいの重さしかねぇよ。それに・・・この結果は、イッセー自身がテメェの信念を貫き通して得たモンだ。こんくれぇの奇跡があったって、バチは当たらねぇだろ」
そう言いながら、陸兎は教会を照らしている月を見上げた。
夜を照らす月は相も変わらずに光り輝いていた。
次の日、陸兎のクラスに転校生がやって来た。
「初めまして、アーシア・アルジェントと申します。慣れないことが多いですけど、どうかよろしくお願いします」
「転校生だ!しかも、金髪美少女!」
「バストサイズ!ウエスト!その他諸々全てグゥー!」
『うぉーーーーーー!!!』
金髪美少女という転校生に歓喜する男子たち。
しかし、直後にアーシアは爆弾を落とした。
「私は今、兵藤一誠さんのお自宅にホームステイしています」
『何ぃーーーーーー!!??』
「どういうことだ!?イッセー!」
「なんで、ここ最近お前のところにばっかフラグが立っているんだ!?」
「知らねぇよ!」
言われた一誠は元浜と松田に言い寄られ、周りの男子たちも一誠に言い寄った。
そんな男子たちに対し、女子たちは親し気にアーシアと接していた。すると、陸兎がアーシアに近づいてきた。
「あ~どうも。俺は八神陸兎。イッセーのダチだ」
「アーシア・アルジェントです。陸兎さん、よろしくお願いします」
「こちらこそよろしく。それと、もしイッセーににゃんにゃんされたら、すぐ俺に知らせてくれ。何、痛いことはしねぇ。ちょっくら、『洞爺刀』のサンド・・・バックになってもらうからよ」
「おい!サンドバッグって言い直そうとして言い切るな!それだと結局、俺がボコボコにされるだけじゃねぇか!」
サンドバッグにする気満々の陸兎と一誠の鋭いツッコミにアーシアは小さく微笑んだ。
こうして、少し変わった彼らの新しい日常が始まるのであった。
そして放課後、陸兎は剣夜と屋上にいた。
「教会に居座った堕天使及び悪魔祓いは君とグレモリー眷属によって全て除霊。事件に関わったシスターが悪魔に転生か・・・まっ、完璧とは言い難いけど、依頼としては良しとしようか。それにしても、転生してまだ間もない悪魔が堕天使を、しかも一番強そうだった相手を倒すなんてね・・・」
「それほどまでにイッセーはあのシスター・・・アーシアを助けてぇと思ったんだよ。それこそ、本来なら勝てるはずのねぇ相手に一発食らわせるくらいにな」
「兵藤一誠君・・・面白いね彼。力は無いはずなのに格上の相手に挑もうとする無鉄砲さ。まるで、君みたいだ」
「冗談でも、あのエロス一世と一緒にすんじゃねぇ。次言ったら、北極に放り投げて、氷の塊にした後、『北極のイケメン』って名前で美術館に売りつけるぞ」
「ごめんごめん・・・でも、これからが本番だよ」
そう言って、剣夜は真剣な表情で陸兎を見た。
「赤龍帝を宿している以上、これから先、兵藤一誠は必ず大きな勢力に狙われるだろうね。もし、その強大な渦に君や君の周りの人達が巻き込まれた時、君はどうするんだい?」
「そん時は・・・ぶった切るだけだ。相手が例え、悪魔だろうと神だろうとな」
剣夜に一言返した陸兎は体を駒王町の方に向けた。
「ホント・・・退屈しねぇな。この町は・・・」
小さい声で呟きながら、夕焼けに照らされる駒王町を眺めていた。
・
大昔に起きた人間と妖怪との大戦の後、当時の十師族が強力な力を持つ
黒歌と八坂、九重親子をハーレム要因(ヒロイン)に追加します。
なお、イッセーのハーレム要因は今のところリアス、アーシア、イリナ、レイヴェルとなっております。
まだ未定なのはロスヴァイセです。正直かなり悩んでいます。もし、陸兎とイッセーどちらの方がいいという意見がありましたら、感想やメッセージでご意見の方をよろしくお願い致します。
次回からは少し番外編を挟んでから第2章、戦闘校舎のフェニックスに入りたいと思います。