説明パートはレッツパーリィーの後で
「それじゃあ、皆。グラスは持ったかしら?」
リアスの問いに部室にいたオカルト研究部の面々はうんと頷いた。
「では、陸兎とアーシアの入部を記念して皆、乾杯!」
『乾杯!』
グラスを上に上げて、部員全員が声を挙げた。
陸兎はグラスに注いであるジュースを一口で飲み干すと「ぷはっ!」と声を挙げる。
「うふふ、おかわりはいくらでもありますから、好きなだけ飲んでください」
「お、ありがとよ」
朱乃からジュースを注いでもらい、一口飲むと陸兎は辺りを見渡す。
「しっかしまぁ、歓迎会の癖に派手にやるもんだ」
「十天師同士では、こういった歓迎会はしないのですか?」
「新しい十天師の歓迎会なんて、挨拶と担当地域を決めるだけで終わるから、最早歓迎会じゃくて、ただの業務連絡なんだよ。たく、大金持ちだってのに、ケーキの一つも用意しねぇんだから、ケチもいいところだ」
そう言って、テーブルからショートケーキが置かれた皿を取り出し、右手にフォークを持って食べようとしたが
「!? それは私のケーキです・・・!」
陸兎が手に持っているのが自分のケーキだと気づいた小猫が慌てて陸兎に迫る。
しかし、陸兎は入部時の時同様、『
自分の分のケーキを全て食べた陸兎をジト目で睨む小猫。
「そう睨むなよ。ほら、お詫びのクッキーだ。それと、俺の分のケーキをやるよ」
「・・・いただきます」
鞄から取り出したクッキーが入った袋を小猫にあげると、小猫は上機嫌にクッキーを食べた。
その様子を見て、朱乃が微笑む。
「あらあら、小猫ちゃんはすっかり陸兎君になついちゃったわね」
「なるほど、お菓子か・・・俺もこの方法で小猫ちゃんを餌付け・・・好感度アップしよっかな~」
「やめとけ。お前がやったら、上がるのは小猫に対する好感度じゃなくてエロ度だろ」
「確かにそうですわね。イッセー君だと、渡す時顔にエロいことを考えて渡しそうですし」
餌付け作戦で小猫の好感度アップを企んでいた一誠だが、直後の陸兎と朱乃の言葉によって、その場で床に両手を付きながら項垂れた。
「ところで気になったんだけどさ」
部員皆で賑やかに会話してた時に突如一誠が口を開いた。
全員が何事かと一誠の方を見る中、一誠は陸兎の方を見て喋る。
「八神の神器っていったいどんなやつなんだ?部長からは木刀みたいな形をしてるって言われたけど」
一誠の問いに全員が陸兎の方を見る。
「そう言えば、陸兎はあの木刀のことを
「私も気になっていましたわ。普通の神器と違って、人によって作られた神器だとおっしゃっておりましたわ」
リアスと朱乃の言葉に他の面々は目を見開きながら陸兎を見る。
一方、全員の目線が自分の方に向けられた陸兎はため息をついた。
「はぁ~・・・まぁ、説明するって言ってたし、仕方ねぇか」
そう言うと、陸兎は手元に『洞爺刀』を出現させた。
「誓約神器ってのは、普通の神器と違って人間の体に宿らず、日本の各地に眠っているから、持ち主が現れるまでは神器の効果は発動しねぇけど、眠っている誓約神器を見つけた人間がその体に誓約神器を宿すことで初めて神器の効果が発動される。簡単に言えば、主と契約をすることで力を発揮する神器だ」
「主と契約?いったいどんな契約をするのかしら?」
「そいつは従来の神器と同じ・・・命だ」
陸兎の言葉に部室が暗い雰囲気に包まれる中、木場が口を開く。
「つまり、この神器は初めから人の中にあるんじゃなくて、元々はただの道具で、その人と契約をすることで神器になるってことでいいかな?」
「あぁ、誓約神器は日本で二十にも満たない数しかないって言われている代物だ。そして、誓約神器の一番の特徴は持ち主が死んでも、神器は消滅することなく、また別の場所へ飛んでいき、次の主が現れるまで眠りにつくことだ。そうやって、今に至るまで誓約神器は受け継がれてきたんだよ」
「受け継がれるね・・・そういうところは神器と似ているのね」
「そうですわね。人から人へと受け継がれていきながら長い時を過ごして、今に至るんですもの」
「なんだかロマンチックですね」
リアス、朱乃、アーシアが陸兎の説明を聞いて呟く。
その横で一誠が陸兎に問いかける。
「なぁ八神。その誓約神器って日本であちこちに眠っているんだよな?ひょっとしたら、まだ誰にも渡っていない誓約神器も・・・?」
「無くはないな。十天師は全員、誓約神器を持っているが、それを抜きにしても、誓約神器ってのは貴重だし、探し出すのは困難だと言われている」
「んじゃさ、もし俺が誓約神器の一つを見つけて、そいつと契約すれば、俺は二つの神器持ちに――」
「そいつは無理だな」
神器が二つ持てるようになるという一誠の考えを否定する陸兎。
「言っただろ?誓約神器は一応は神器だ。神器が人間の体に一つしか眠っていないように、誓約神器も一つしか契約できねぇよ。それに、全ての人間が誓約神器を使えるわけじゃねぇんだ」
陸兎の言葉に首を傾げるリアス達。
「誓約神器には適正ってモンがあるんだ。その誓約神器と適正がいい奴程、誓約神器は従来の力より何倍もの力を発揮することができるし、逆に適正が悪けりゃ誓約神器を触っても何の効果も発揮しないし、最悪の場合、触った瞬間に誓約神器そのものに殺されることもある」
「マジで・・・?」
「マジだ。過去にそうなった奴を俺は知っている」
神器に殺されたという事実にゾッとするリアス達。
少し部屋の雰囲気が悪くなったのを感じたリアスが慌てて話題を変えた。
「それで、その『洞爺刀』はいったいどんな力を持っているのかしら?」
「こいつは持ち主の感情に応じて、霊力を上げる神器だ。あ、霊力ってのは人間の中に眠っている異形を滅する力だ。まぁ、悪魔で言ったところの魔力みたいなモンだ」
「感情に応じて霊力を上げる?具体的にはどんなことができるの?」
「例えば、目の前に斬りたい相手がいた時に、そいつを斬りたいって感情が強い程、『洞爺刀』に纏う霊力が強くなるんだ。工夫すりゃ『洞爺刀』に溜めてある霊力を斬撃として飛ばしたりすることもできるぜ」
「なるほど・・・霊力は異形を滅する力だし、それなら確かに、この間廃教会であの堕天使を斬ることができたのも納得だわ」
堕天使もまた、異形の一つ。異形を滅ぼす力である霊力には弱い。
陸兎がドーナシークを真っ二つに斬ることができたのも、斬る瞬間『洞爺刀』に霊力を纏っていたからなのだろう。
一通り説明を聞いてリアス達が納得する中、一誠がおずおずと手を挙げながら聞いてきた。
「なぁ・・・一つ気になってたんだけどよ・・・なんで、洞爺刀と書いてエムブラスクって呼ぶんだ?」
「・・・普通だろ?」
「全然普通じゃねぇよ!なんだよエムブラスクって!?どっからどう読めば洞爺刀がエムブラスクになるんだよ!?」
一誠の言葉にリアス達はうんうんと頷いた。皆、気持ちは同じなのだろう。
それに対して、陸兎は「あ!」と何か思い当たった顔で喋り出した。
「そう言えば、こいつを作った当時の十天師の一人が周りが引く程のドМでな。妖怪に追い詰められて、くっ殺状態になった時に上がるドМ霊力で除霊してたらしくてよ」
「ドМ霊力って何!?なんつうトンデモパワー出してんだその十天師!」
「それで、そのドМ十天師がある日、ドМ霊力をもっと有効に使えないかと考え、生み出したのがこの木刀だ。ドМをぶるわぁぁ!させるラスク。略して『
「おいー!途中で若本さん要素あったぞ!?ぶるわぁぁ!が出てきたぞ!?後、最後のラスク関係なくね!?」
まさかの誕生秘話に一誠は次々とツッコミを入れる。
ちなみに、『洞爺刀』を開発した当時の十天師は、筋肉モリモリのドМ大男だったと伝えられている。
「けど、戦国時代の頃に何故かドSの侍が『洞爺湖』の契約者に選ばれてよ。それ以来、М専用誓約神器からS専用誓約神器になったんだよ」
「なんだよ!S専用誓約神器って!?シャア専用みたく言おうとしても、Sの意味がドSなせいで全然かっこよくねぇんだよ!」
「・・・ドМからドS専用誓約神器になったんだしさ、名前も
「どうでもいいわ!」
ちなみに一誠以外の面々は、既に話に付いてこれないと悟り、ツッコミを一誠に任せて、各自料理に舌鼓を打ったり、会話をしたりでパーティーを楽しんでいた。
「おい!人がこんだけツッコミをしてる横で、お前ら何食わぬ顔でケーキ食ってんじゃねぇよ!」
「アム・・・このケーキ、めちゃくちゃ美味いから、何個でも食えるな」
「それ、俺のケーキ!」
誓約神器の説明を終えた陸兎もまた、再び美味しいケーキを堪能しながらパーティーを楽しむのであった。
パーティーが終わった次の日、一誠はツッコミ疲れで一日休むこととなった。
次回はアニメに沿って生徒会との顔合わせとドッチボールです。
※陸兎の使い魔についてアンケートを取ります。
陸兎の使い魔どっちがいい?
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定春
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オリジナル使い魔