スローライフしたかった黄金騎士   作:ユーザーU

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後悔

???「おい、朝だぞ坊主、起きろ」

セルヴィ「……………………」

???「おい」

セルヴィ「はあ……」

???「なんだ、その返事は?」

さっきから起きようとしない俺に対してザルバが嫌みたらしく言った

セルヴィ「何?」

ザルバ「さっきから言っているだろう?、起きろ」

セルヴィ「………………」

この骸骨の胴体見たいな台座にぶっ刺さってる骸骨見たいな顔をした指輪がザルバだ、指輪が喋っている、文字にすると随分とファンタジーな物だがザルバの見た目は実際に見てみればかわいらしいファンタジーの欠片もない

セルヴィ「わかった、起きる」

嫌々ベッドから出た…なんだか、だるい

セルヴィ「……つーか今日休みじゃん」

ザルバ「そうだな」

またベッドに戻った

セルヴィ「…寝る」

ザルバ「おい、さっきから起きろと言ってるだろう!!、何回言わせる気だ?」

セルヴィ「はぁ…俺の寿命、お前に1ヶ月につき1日分やってんだろ…文句言うなよ」

ザルバ「ふん、まぁいい…それはそうと、あの女の所に行かないのか?」

セルヴィ「は?」

ザルバ「なんだ?、もう五年経ったのにまだ引きずってるのか…」

セルヴィ「……………………」

何も……言えなくなった

ザルバ「こりゃ重症だな」

セルヴィ「チッ……」

ザルバ「いいか?、お前が引きずっててもあの女はお前と話たりしてずとぶんと楽になってるようだぞ?」

セルヴィ「…その子を傷つけて……人生に酷い影響を与えたのは何処の誰かは分かってるだろ…」

ザルバ「お前だろ?」

セルヴィ「もう一度言う、お前に俺の寿命を与えてやってるんだ、二度とルナの事は喋るな」

俺はそれだけ言うともう一度大きく布団を被った

それなのに、ドアからはノック音がした

セルヴィ「………………」

ザルバ「大体、もう何年も話してない見たいな言い方してるがほぼ毎日会ってるだろうが」

頭に手を乗せると愚痴が口からこぼれた。

セルヴィ「はぁ…まったくもう……お前黙ってろよ?」

ザルバ「そんな無粋な真似はしない」

セルヴィ「はぁ…」

ドアへ向かい、ゆっくり開けた

 

あぁ…、やっぱり直視出来ない…出来るわけがない

ルナ「おはよ!!」

セルヴィ「おはよう」

 

 

この怪我は俺のせいだ

火傷が体中にある…基本的に殆どの場所が感覚を失ってるらしい

もう五年、村の皆も慣れて普通に接している

でも……俺だけは罪悪感を受け止めきれずにいる

ルナ「?」

さらに辛いのが…ザルバの言った通り俺と接する事で楽になっているらしい

ルナ「おーい」

セルヴィ「あっ…」

いつの間にかルナが不思議そうにしている事に気づかなかった

ルナ「とうしたの?」

セルヴィ「あっいや……そういえば何?」

ルナ「ちょっとさ……ご飯分けてくれない?」

セルヴィ「えっ?」

ルナ「夜の分の食材が…無くて…」

そんな事か…まぁ良く食べる子では有るがここまでか

セルヴィ「作ろっか?」

ルナ「えっ?」

 

 

 

 

 

 

 

セルヴィ「…なぜこうなったんだろ」

ザルバ「自分で言っただろう?、俺様はあの後止めたからな」

セルヴィ「…朝からルナの所に行けって言ったり…行くなって言ったり…」

ザルバ「流石にお前、直接家にまで行ってしかも長時間一緒に居たらお前がヤバいだろ」

セルヴィ「…大丈夫だよ」

俺は今、約束通りルナの家で料理を作っていた…右中指の指輪と喋りながら…。

それにしても魔道具ポジションで蛇口捻ったら水出るのなんかすげぇな

 

 

 

 

 

 

 

セルヴィ「ふぅ…出来た」

ザルバ「ほう…やるじゃないか」

これは旨い…絶対に……

ザルバ「随分凝ってるじゃないか」

セルヴィ「そりゃあな」

ザルバ「?」

不思議そうな反応のザルバを他所に配膳を始めた

セルヴィ「明日はルナの誕生日なんだよ」

ザルバ「…だったら明日作ってやればよかっただろ」

セルヴィ「なんで二日間もご飯作らなきゃ行けないんだよ…ルナの事は独り暮らしだからって心配しなくていいよ、あれで自分でご飯ぐらい作れてるらしいし」

ザルバ「…お前なぁ……そんな邪険に扱うなよ」

セルヴィ「………………………」

ザルバ「おい、聞いてるか?」

ザルバを無視していると二階から足跡が聞こえて来た

ルナ「出来た?」

セルヴィ「うん、出来たよ」

丁度配膳が終わった所だった

セルヴィ「…どう?」

ルナ「凄いじゃん!!」

それを聞いて少しだけ、俺は笑った

 

 

 

 

 

 

 

セルヴィ「ふう…お腹いっぱい、もうそろそろ寝よっかな」

食べ終わった後ルナはもう二階に上がった

ザルバ「ならもう帰るか?」

セルヴィ「ああ…じゃあルナに挨拶してくる」

椅子から腰を上げ、二階に上がると少しだけ不思議に思った

セルヴィ「あれ?、ベッドが二つある…」

そう言ったと同時に窓際の方のベッドで恐らく寝ていたルナが起きた

ルナ「ん?、どうしたの?」

セルヴィ「ああ…もう帰ろうかと思って」

ルナ「泊まってけば?」

セルヴィ「え?」

ルナ「この前女友達が来た時にアーロンおじさんに作って貰ってお古のベッドが丁度あるし」

使われていない方を確かに良く見れば結構…ボロボロというか…何て言うか……多分寝心地が………

セルヴィ「ん~……どうしよ」

考えながら片手で頭をかきむしる。

ルナ「せっかく来たんだから別いいじゃん」

セルヴィ「え~と……分かった…」

押しが強すぎる…

 

 

 

 

 

 

 

ルナからの押しに負けて俺はいつもとは違う寝心地の悪いベッドの上で布団から両手を出してお腹に乗せる体制で横たわっていた

俺は静かな空間の中、ただぼーっと天井を見ていると急にルナが喋った

ルナ「そう言えばさ、その指輪何?」

セルヴィ「え?(やべぇザルバの事聞いてくるとは思わなかった)」

何を言ったら良いんだろう…と考えていると急にルナが右手を触ってきた

そしてそのまま掴んで自分の方へ持っていった

ルナ「何これ?、なんか高そうだな~…これ骸骨?」

セルヴィ「え~と…」

反応に困っていると急にルナが不思議そうな顔をして固まった

セルヴィ「ん?、どうした?」

ルナ「なんか……この指輪にめんどくさそうな顔されたような…」

セルヴィ「へっへぇ……(ザルバ…動きやがったな…)」

一瞬、痛い所を突かれた事で焦ったが直ぐにルナは手を離した

ルナ「私ってさ…ほら、こんな体じゃん?」

セルヴィ「うん……」

急に五年前の事を話し始めて動揺した

ルナ「それでさ、五年ぐらい前に火傷しちゃって…その時の友達とか大体の人からは避けられちゃったんだよね……他の同世代からの態度も酷くなっちゃって…まぁ何人かの友達は居るけどね」

なんでそうなったか、それは俺のせいだと言う事は自分でよく知ってる

 

視線が自然に下へと向かおうとするがその前に驚き、ルナを見つめた

どこか、悲しい笑顔で言った

ルナ「私、自分を女の子だと思っちゃ駄目かな?」

それに対し、俺は…一つため息をつくと正直に、そしていつも通りの感じで言った

セルヴィ「ふう……駄目なんなじゃないよ、そもそもルナは正真正銘女の子でしょうが?、あんま自暴自棄やってると怒るからね?」

 

 

すると、今度は急に黙りこんで天井を見つめ始めた

ルナ「私さ……1ヶ月後に…」

そこで一旦、苦しそうに止まった…ずっと、一緒に居たから…いや、誰でも分かる…かなり苦しい思いをしてる。

セルヴィ「どうした?」

ルナ「1ヶ月後にね……村、出ていく事になったの」

震えた声で伝えられた事実は…俺の頭を真っ白にさせた、まず頭に出てきたのは「なんで?」じゃない、「嫌だ」だ。

セルヴィ「えっ?……ねぇ…それって………え?…どういう事?」

俺もルナと一緒で震えてしまう。

ルナ「あのね……王都に特別な学校があるでしょ?、あそこに行く事になったの」

セルヴィ「えっ?、でもあそこは貴族とかの…」

ルナ「私にスキルボードが…有ったんだって」

セルヴィ「えっ!?」

ルナ「だから…ね?」

セルヴィ「それで俺を家に誘ったりしたんだ…それ、言うために」

ルナ「うん…」

セルヴィ「……………………」

何も言えなくなる

 

 

 

そこからは何も話せず、一晩が経ち…俺は家に帰った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ザルバ「なんだ?、いつの間に契約したのかだと?…そうか、ならば教えてやろう、何があったのかをな…次回契約、あいつには命を減らしてまで助けたかった奴が居る」



スキルボードがどうのこうのの設定は次回で話す予定でしたが読者さんがもやもやするのでここでざっくり説明します

スキルボード
経験を得る事で手にいれられるポイントを使って能力等のスキルを増やす事が出来る物理的な存在ではなく頭の中でイメージしたりする事で使える、場合によってはかなり稀だが特殊なシステムの物もある、基本的には貴族の一族で継承される為に平民等の一般人に発現するのは稀、スキルボードを継承させても手にいれたスキルは基本消えない、血縁者にスキルボードを持つ物が居ると発現する可能性が上がる人によってスキルボードで入手できるスキルは違う

スキル
基本的には自力で練習で魔法や特殊な剣技を習得する事は可能だがスキルとして入手すれば使いやすくなる本来ならばスキルを持つ者はスキルボードを持っているがネガ・セルヴィはスキルボードを持っていない




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