スローライフしたかった黄金騎士   作:ユーザーU

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牙狼 ちょこっと紹介

ザルバ CV影山アキラの骸骨見たいな見た目の喋る指輪

時系列は2話と3話の間です。


契約

セルヴィ「……………………」

もはやいつもの事で、清々しい朝なんてどれぐらい味わってないだろうか。

一年……無意識にあれからどれだけ経ったのかのカウントをしてしまう度に気分が悪くなる。

セルヴィ「はぁ…」

確かに気分が悪い、それでもしょうがない…起きないと。

溜め息混じりにベッドから立ち上がり幼なじみの事を考える、今日も全く体は良くなっていないのだろうか?。

未だに退院の目処が立っていない、何故かいつまで経っても良い方向への進展がない。

酷い火傷のせいで意識を失ったまま、それは俺が簡単な事が出来なかったからだ…明日、何故それが俺には出来なかったのか…やっと聞ける。

重い足取りでドアを開け、近くの丘の上に有る病院に向かう。

丘を登る途中、俺はここから見える森を抜けた平原にある大きな建物を見つめた。

セルヴィ「…心配だ」

本当に心配だ…下手したらルナにも関わってくるかも知れない。

あれは、ここの領主の砦だ…つまりはルト村の管理をしている、そして問題は前とは違う、おかしい(・・・・)、前まではそれなりに村は潤っていた…が、流れてくる物資の余裕が段々と少なくなっている。

つまり、物資が少なくなればルナに使っている薬が枯渇する可能性が出てくる……最近は特にそうだ、領主からの配給の物資の質まで悪い時まである。

セルヴィ「はぁ…明日の配給は、何事も無いといいんだけどなぁ…」

不安だが取り敢えず、足を進めた。

丘の上へ着くともう慣れてしまった景色の良さを眺めた、この景色を早くもう一度ルナに見てほしい。

この馴染みの病院できっといつか良くなる。

その()()()()()()に目を移した

二階建てで全体的に白く横に伸び、周りには花壇が植えられ色とりどりだ、子供の頃ここの見た目が何故か好きだったな。

一年前に変えたばかりのドアを軽く叩き、シュイ先生の名を呼んだ。

もっとちゃんとした日課を持った方が良いんだろうか?と、何故かふと考えたが他にやることなんて無いからな……。

少し待つと、足音が聞こえてドアをシュイ先生が開けた。

シュイ「ああ、セルヴィ君か」

セルヴィ「お見舞いに来ました」

少しだけ、シュイ先生は笑顔になった。

シュイ「毎日お見舞いに来てくれるのは君だけだよ…後は何人かの友達達とコロが定期的に来てくれるかな、まあ取り敢えず入りなさい」

先生が奥へ行く。

セルヴィ「はい」

一歩進み、病院内に入ると無意識に立ち止まった。

左には窓際にカーテンで周りが閉じられたベッドがある、そこへ体を向けるとただ見つめた。

シュイ「えーっと…」

先生の方を向くと奥の薬等が置いてある棚の前で何かを探している、いつもお茶を出してくれるがそれを探しているのだろうか。

シュイ「二階だったかなぁ…?、ちょっと二階からお茶を持ってくるよ」

先生は階段で二階へ上がって行った。

もう一度、ベッドの方を向いた。

これはルナのベッドだ……それ程に火傷が酷いのか先生は誰にも様子を見させない。

セルヴィ「………………………」

急ぎ足でベッドの前へ立った、そこで俺は色々な不安が頭に浮かんだ。

 

「どれだけ酷い?」「どれぐらい治った?」

「いつになったら治る?」「まだなのか?」

 

沢山疑問を出したが、それはとても短い時間の間だと思う。

俺はいつの間にか右手でカーテンを強く握っていた。

後は、カーテンを開けるのかどうか…たったこれだけの事だけど、とても長く感じる程沢山考えた、でもきっとこれも短い時間で決めた事だ。

 

 

 

 

シュイ「セルヴィ君、お茶を持って来たよ」

セルヴィ「!?」

直ぐに手を離し後ろを向いた、そこには階段を降りてる途中のティーポットと二つのカップを両手に持ったシュイ先生がいた。

セルヴィ「ありがとうございます…」

シュイ「あまり高級な物じゃないけどね」

シュイ先生はそう言うと、いつも通り部屋の隅にある小さめの白いテーブルに配膳した。

向かい合うように椅子に座り、先生がカップへ注ぐと前世でよく飲んだ麦茶のようなお茶が出てきた。

シュイ「はい、どうぞ」

セルヴィ「ありがとうございます」

カップを手に取り飲む、味も麦茶っぽい、飲み慣れた物と味が似てるせいかこのお茶が一番飲みやすいし、家でもよく飲んでる。

やっぱりお茶がどうのこうので自分を誤魔化せないよな……、やっぱり今は…ルナの事を少しでもハッキリさせたい。

セルヴィ「ルナって……そんなに体、酷いですか?」

先生はカップを口へ運んでいた手を止めカップをテーブルに置いた。

シュイ「…ああ……いつ治るのか……それすらも分からない…」

今日も…いつもと替わらずにいつ治るのかすら分からないのか。

セルヴィ「そう…ですか……」

少しだけ、先生の言葉に間が空いた。

シュイ「君だけに言うよ」

セルヴィ「えっ?」

シュイ「…ルナちゃんは投薬をやめたら亡くなってしまうかもしれない……その上、薬に余裕が失くなって来て…配給で何とかやってる、実は今ルナちゃんはとても危険な状態なんだ」

今…なんて言った?

体が自分でも何か考える前に立ち上がっていた。

セルヴィ「!?、薬を止めたら死ぬなんて聞いてないですよ!!」

シュイ「ああ…誰にも言ってない、君だから言ったんだ」

セルヴィ「は…?」

シュイ「君だから…誰よりも、あの子を大切に思ってる筈の君だから言ったんだ」

セルヴィ「…………………」

先生は真っ直ぐこちらを見つめていた。

シュイ「大丈夫、あの子は死なない」

セルヴィ「はい…」

ゆっくりと椅子に座った。

シュイ「…前にさルナちゃんの背中に火傷の跡が有るって言ってたよね」

セルヴィ「…はい」

シュイ「あの傷…そのままだったらここでは処置出来なくてそのまま多分……亡くなる筈だったと思うんだよ、でもね、火傷で傷が閉じられてた…それで助かったんだよ」

セルヴィ「えっ?」

これも聞いた事がない話だった…そんなにアレは意味が有ったのか…良かった。

シュイ「それから…思ったんだよ、きっとあの火傷は人のせいなんだろうけど…ルナちゃんを苦しめる為の物であったのかな?ってね」

セルヴィ「…………………」

シュイ「勿論、違うかも知れないけどね…でもその考えが頭から離れないんだ」

笑顔でそう話した

沢山話を聞けた、今日はもう…帰ろうかな。

セルヴィ「それじゃ…今日は帰ります」

シュイ「今日()…ね……やっぱり君見たいにあの子を待っていてくれる人が居ると頑張れるよ」

セルヴィ「それじゃ…ありがとうございました」

扉へ向かい、外へ出た。

今日はゆっくり休もう…。

家へ歩き出し、先生の話を思いだして…歩きながら……一年前の事を思い出していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一年前、あの日

 

 

 

 

セルヴィ「なんでだよ…!!クソ…やるしかないのか?」

自分の鎧を纏った腕を見つめた、傷着けずに、それでいて速くルナを運ぶ方法…思い付く限り全てが出来なかった。

鎧の一部解除、鎧の中へルナを入れるのも鎧を解除してからルナを入れようとすると光の円が表れなかった。

すると…ルナを運ぶ方法、それは…ルナの体を焼く事になる…一体どれだけの影響がルナの一生に及ぶのか…。

でも、死んで欲しくなかった…だから……俺は…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

現在

 

セルヴィ「うぉっ!!」

あまり考え事に集中しすぎていたのか転びかけた、何とか体制を立て直したがボーっとしていた時に転んだせいでガチで寒気がした。

久しぶりに体験した「死ぬかと思った」ってやつだ。

セルヴィ「はぁ…」

早く帰ろう。

帰ったらもう寝ようかな…そうすれば、速く明日が来るように感じる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一年前、あの日

 

 

牙狼剣を地面に刺した。

倒れているルナの服の背中部分を手で破る、背中の傷は思ったよりも酷い物だった、傷がまず大きい…肩の近くから背中の下まで斜めに血を出しながら延びている、血のせいで見えにくいがなんとか骨まではギリギリ達していないように見えた。

そして、何か知識があるわけでもないし間違っているのかも知れない…でも、先ずは血を止めないといけない…そう思った。

これであっているのか分からない、しかしやるしかない。

手を上の方の傷に押し当てた。

肉が焼ける生々しい音と水分が蒸発しているのか煙が上がった、そこで泣きそうになったけど…一番不安だったのが意識を失っているからってこの痛みでも起きない事に対して俺は一番怖かった。

そのまま手を下の傷まで動かした、それでも声すら出さない。

もう死んでいるかも知れない…その可能性が怖かった。

直ぐに抱き抱えた、また焼ける音に煙…こんな事しか出来ないのが辛い。

もう周りは暗くなって来た…速く村に戻らないと。

セルヴィ「ごめん…!!」

走った、とにかく……走った、今までで一番速かったと思う…そうじゃないと意味がない。

走り続けて、村が見えた。

48.3

鎧の制限時間は持つのだろうか…そんな事、計算する余裕なんてない。

村を通らず、外側から一気に丘の病院へと向かう…一番速いし鎧の事もばれない。

丘へ向かった、いつもとは逆方向からのせいで丘は昇る場所がない…でも今は鎧が有る。

セルヴィ「ルナ…もうすぐだから……!!」

少しだけ助走を付けて上へ跳んだ。

上へ着地するとやっと病院が見えた…後少しだ。

セルヴィ「!?」

体が倒れそうになった、やっと近くに来たせいか気が緩み、鎧の召喚にかなりの体力を使っていた事に今さら気づいた。

セルヴィ「ハァ…ハァ…まだ……倒れたら…駄目だっ!!…」

体の感覚がおかしくなってきた…。

5.8

後少しで着く。

セルヴィ「もうすぐだから…」

3.6

扉の前に立つとまた体が倒れそうになる。

セルヴィ「ハァ…ハァ……やばい…」

扉を開けようとするが開かない、鍵が掛かっていた。

1.7

セルヴィ「…!?、時間が無いのに!!、あぁああ!!」

もう体が倒れそうになる、まだそういう訳にはいかない、俺は叫びながら右手で扉を吹き飛ばした。

セルヴィ「遅くなって…ごめん」

0.14

吹き飛ばすと同時に「戻れ」と心の中で唱えた。

頭上に光の円が現れ、鎧が一週だけ輝くと円の中へ入っていった。

セルヴィ「ハァ…っ…足が……」

足を引きずりながら歩く。

ルナの体には血が沢山付いていた。

手に暖かい感覚がする、この感覚は多分…血だ、病院の中は暗く、うっすらとしか見えない。

暗闇の中で血が下に落ちる音がする。

やっとベッドに着き、ルナをゆっくり横たわらせた。

セルヴィ「…皆を……呼んで来るから…」

俺は村へ歩き始め、吹き飛ばした入口を通って外へ出た。

そこで視界がぼやけて…見えなくなって……意識が無くなった。

 

 

次に目が覚めたのは病院だった。

暗くなっていた筈の周りは朝日で明るくなっている。

もしかして気絶してたのか?…周りがカーテンで遮られた病院のベッドの上で少し遅れて状況を理解しはじめる。

ルナはどうなった?…この時やっと意識がハッキリした。

セルヴィ「誰か!!」

今すぐにどうなったのか、それを知りたかった。

すると、慌てたような足音がこちらに向かって来た。

直ぐにカーテンを開けられ、その人はシュイ先生だった。

シュイ「…良かった……意識を取り戻したんだね…」

ホッとしたような顔をしている。

セルヴィ「ルナは…?」

シュイ「…言えない」

セルヴィ「!?、…………」

何も言わなかった、それはシュイ先生の顔からルナの事は出来るだけ聞いてはいけない、そう感じたからだ。

ただ、これだけハッキリさせたい。

セルヴィ「生きてますよね…!!」

シュイ「ああ」

力強く、答えてくれた。

ただ、今…どういう状態(・・)なのか、それを答えてくれなかったのはそれだけ…酷いんだろう。

俺に言えるわけないよな…言う側だって辛い筈、俺自身…どれだけ酷いのか詳しく知るのが怖い。

 

嫌だな…大切な人を傷つけるのは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

現在 早朝

 

周りはまだ暗い、実質夜だ。

そんな時刻に起きてベッドの上に座っていた。

セルヴィ「…ザルバ」

とにかく、ハッキリさせたい。

ザルバ「どうした?、こんな早くから」

頭の中に声が聞こえた。

セルヴィ「さっさと聞くけど、俺がなんで牙狼の鎧の部分解除だとか他の人を鎧の中に入れたりする事が出来なかった…?」

ザルバ「は?…お前さん、その前に牙狼剣を持てたのか?」

セルヴィ「ああ…一応な」

ザルバ「一応?、どういう事だ?」

セルヴィ「スキルで持ったんだよ」

そう言うと不思議そうに言った。

ザルバ「なんだそれは?」

セルヴィ「は?」

ザルバ「だから、そのスキル(・・・)というのは何だ」

セルヴィ「その前に、そもそも…お前何なんだよ、俺がテレビで見てた世界から飛び出して来たのか?、それとも別の物なのか?」

ザルバ「別の物、らしいな」

セルヴィ「らしい?」

ザルバ「俺様に分かるのは俺様はテレビの物じゃない、別の物だし記憶なんて魔戒(まかい)騎士関連だけだ、しかも曖昧な…」

セルヴィ「記憶がない?……じゃあ何でテレビの中のやつじゃないって事分かるんだよ」

ザルバ「さぁな、俺様はそう感じるんだ、何故かは知らんがな」

セルヴィ「ふーん…」

ザルバ「なんだ、興味なさそうに、お前が聞いただろう…」

どうしようもないな。

セルヴィ「まぁいいや、それじゃスキルの事だな」

 

 

スキル、それは一部の人間に宿る物

それが何なのか、かなり諸説ある

神からの贈り物だとか…基本的には宗教的な解釈がほとんどで結局何かは分かってない。

スキルを持つ物には必ずスキルボードがある、少しお上品にスキルツリーと呼ぶやつもいる、まぁこれは好みだな、違いがわからん。

そしてスキルボードは何か…例えば戦闘だ、戦闘の場合、戦えばポイントが貯まる、そしてそのポイントで様々な能力や技が入手できる

それがスキル(・・・)だ。

まぁ別にスキルボードで手に入る技だとかは別に絶対にスキルボードからでしか手に入らない訳じゃない。

剣の技なら習えば、魔法なら勉強すれば、ちなみにプロなら自分で作ったりもいける、まぁ実はスキルボードで入手しても使いやすくなったりするぐらいだな。

ただスキルボードにはそういう物だけじゃない、そのボードでしか手に入らない物もある。

その手のやつは総じて強力なやつばかりだ。

 

ザルバ「ほう…」

ただし、基本的に貴族にしかスキルボードはない

ザルバ「?、何故だ?」

スキルボードは継承ができる、継承すると自分の今まで手にいれたスキルは消えないが増やす事は出来なくなる、そして継承した者はスキルボードが自分オリジナルの物に変化する。

セルヴィ「こういう事が出来るからってのが貴族にしかスキル持ちがいない原因だな、だからスキルボードは権力、力、その他もろもろの象徴になってる」

そして挙げ句の果てに血が繋がっているものにスキルボード持ちが居ると発現する可能性が上がる。

まぁ、そこら辺の村人がある日スキルボードを発現させて冒険者としてまぁまぁそれなりに成り上がったというのも聞いた事があるなぁ…。

セルヴィ「取り敢えず、これがスキルについて知ってる事だな」

セルヴィ「そして、俺のスキルの一つが…魔戒剣、及び魔戒騎士の鎧の強制掌握(きょうせいしょうあく)…」

ザルバ「そうか…わかった、お前が何で鎧のちょっとした部分が使えなかったかもな」

セルヴィ「えっ?」

驚いたな…。

ザルバ「そのスキルとやらで無理矢理牙狼剣を扱ったのが問題だろうな…、本来はそんな軽々しく使える物じゃない」

いつの間にか深くため息が出た。

セルヴィ「…知ってるよ……心技体、本来なら全部揃ってやっと持てる」

ザルバ「スキルでも牙狼の全てを自分の物には出来なかったんだろう」

またため息が出た、やっとハッキリはしたが…。

セルヴィ「…昼からは領主の配給を皆で配らないといけないんだ……もう寝るよ」

ザルバ「まぁ…鎧を召喚したって事はそれだけ危険だったって事だな?……ならもういい」

俺は何も言わずにそのまま眠った。

 

 

 

 

自然と目が開く、眠った時とは違い明るい、それなりに時間がたったみたいだな。

ベッドから起き上がり外に出た、まだ本調子じゃない体に日光を浴びまくり無理矢理起こす。

周りを見渡すとロン爺が居た。

ロン爺「…いつもより遅いのう……」

何かあったのか?、そう思い話かけた。

セルヴィ「どうしたの?、ロン爺」

ロン爺「なんだかのう…いつもより配給が遅いんじゃよ」

いつもなら、大きな馬車に荷物が積み込まれた状態で兵士が二人程来る。

なんでだ?。

コロ「あっ!?、セルヴィ!!」

セルヴィ「ん?、コロか、どうした?」

コロが元気良く走って来た。

コロ「馬車が来たよ!!」

目を瞑り、耳を澄ますと確かに馬が地を蹴る音や車輪のゴロゴロと言った音が聞こえる。

目を開けるともうここから見える程近くに来ている事に気づいた。

でも、。

セルヴィ「あれ?」

おかしい…馬車はいつもはもっと大きい、この馬車は人しか入るスペースがない。

馬車を見ていると剣を腰の鞘に納めた二人の兵士が後ろから降りた。

いつの間にか人混みになり集まっていた周りの村人はざわつき始める。

降りた内の一人の兵士が喋り始めた。

兵士「今日から配給を無しとする!!、これは領主、ラングース様の命令である!!」

セルヴィ「は?」

周りのざわめきはさらに酷くなる。

配給と狩りと畑…これで何とかやってる村に配給をやめるだと…?。

 

俺はここでシュイ先生の言葉を思い出した

 

 

 

 

ルナちゃんは投薬をやめたら亡くなってしまうかもしれない……その上、薬に余裕が失くなって…配給で何とかやってる、実は今ルナちゃんはとても危険な状態なんだ

 

 

 

 

セルヴィ「ふざけんなよ…」

俺は怒りのまま、兵士の前に出て殴る所だった。

この怒りは結構理不尽かもしれない、上の命令を聞いて仕事をしてる人を殴りに行ってるんだ、でもやっぱり理不尽だろうが抑えきれない。

だが、そんな俺に気づいたのか人混みの中から肩に手を伸ばし止めた人が居た。

セルヴィ「!?………先生…!!」

シュイ「駄目だ…抑えてくれ……!!」

兵士「以上!!」

兵士は馬車に乗り、帰っていった。

セルヴィ「ハァ……ハァ…クソッ……」

怒りで呼吸は抑えきれず、体に勝手に力が入る。

シュイ「こっちに」

俺は先生に呼ばれてついっていった。

 

 

 

 

 

病院内で先生は俺に話した。

 

シュイ「すまない……今日の分が切れた」

セルヴィ「!?」

シュイ「明日の夜明けまでに薬を投与出来なければ…多分」

そんなのは、ただ嫌だ。

死んで欲しくない

この言葉で一体どれだけ行動しただろうか。

セルヴィ「俺…そんなの嫌ですよ……!!」

シュイ「…僕は……安楽死を考えてる」

肩に両手を置き、先生の目を見た。

セルヴィ「待っていてください……」

シュイ「何か…可能性があるのかい?」

セルヴィ「はい!!」

シュイ「分かったよ……安楽死なんてしない、大丈夫だ…最後まで君を待つよ」

セルヴィ「はい……!!」

その言葉を聞いた瞬間、外へ走り出した。

 

ザルバ「何処に行くつもりだ?」

セルヴィ「別に…ハァ…ハァ…」

俺は走っていた、森の中を、領主の砦を目指す為に。

ザルバ「領主の所か?」

セルヴィ「ああ…!!」

ザルバ「それでどうする?」

セルヴィ「俺は…さぁな、知らん」

森を抜け、平原に入る前に俺は止まった。

セルヴィ「ただな…取り敢えず領主に会う、そうじゃないと話は進まない…その為に、戦う」

左手に牙狼剣を出現させ、強く握った。

ザルバ「そうか…」

もう一度、俺は走り出した。

広い広い、草しかない草原を走り風を体に受けた。

 

 

 

やっと砦が見えた。

近くで見るとデカイ、入る為の門は開いている、後の問題はその門を守っている二人の兵士だ。

槍を持ってる…当たり方が悪ければ死ぬよな、でも……多分正面突破しかない。

セルヴィ「……………」

堂々と門を通ろうとするが勿論兵士に止められる。

しかも、言葉で止める前に槍を向けて来やがった。

兵士1「誰だ!!」

左右からの槍で身動きが取れなくなくなる、しかしこれで終わるくらいなら正面突破なんてしない。

牙狼剣ではね除け、門へ走った。

兵士2「待て!!」

後ろを振り向くと槍を付き出して来た、驚いたな…問答無用かよ。

剣で槍の軌道をずらし、近付いて腹に膝蹴りをした。

セルヴィ「ごめん、兵士さんに用は無いんだ!!」

少しやり過ぎたのか苦しそうに倒れている。

だが、時間がないさっさと領主の所へ行かないと。

門を通り抜ける、すると広場に出た。

もう一人の兵士に追い付かれる前に周りを直ぐに見回し一番最初に目に入った石造りの塔に走った。

木製の扉を乱暴に開けると直ぐ左に円を描くように伸びた階段が有った今度はその階段を登り始める。

この階段を登りながら思った。

領主はどういうつもりだ?、配給は国からの命令の筈…あの村に来た兵士は配給をやめる事を国から(・・)の命令とは言ってない。

意味が分からない、疑問を考える暇なんてないと俺はもっと足を速めた。

やっと階段が途切れると大きめの木製の扉が有った。

扉を押して開けようとした時「なんで兵士は追ってこない?」と気になった。

気にはするが関係ない、扉を開けた。

中は以外と明るく、広かった…そして中央には豪華な椅子に座ったままこちらを見つめる茶色の長髪に青い豪華な服を着た姿の領主らしき男が居た。

生気がない、そう感じた、そういう人間に今まで会った事なんてない…だから表現が合っているのか分からないが……ただ何かおかしい、そう感じる。

ラングース「ん~……配給の文句?」

腹の立つ声で口を開いた

セルヴィ「…当たり前だろ」

こいつ…かなり余裕だ……でもなんでだ…?こっちは剣を持ってるのに…。

ラングース「ふん…………」

今度は急に黙った。

ラングース「…ハァ、殺しておくか、どうせバレん」

セルヴィ「!?」

こいつ…今とんでもない独り言言いやがったよな…、殺す?、バレない?……なんだこいつ…どういうつもりだ、本気で言ってんのか?。

領主は椅子から立ち、こちらに走り出して来た。

セルヴィ「は!?」

突然の事に驚いたが、領主が殴ろうとしてきているのに気づき反射的に避けた。

セルヴィ「こいつ…」

後ろの扉は吹き飛んでいた…嫌ちょっと待て、まさかこいつ……。

セルヴィ「お前…人間じゃないな?」

何も言わずに殴って来た。

これも横へ飛んで避けた。

セルヴィ「!?、なんなんだよ!!…クソ」

ラングース「こっちは人間じゃないんだぞ、その剣は飾りか?、本気で抵抗すれば数秒は長生きできるかも知れんな?」

こいつ…さっきから上から目線で腹立つな。

セルヴィ「てめぇ!!」

牙狼剣を抜いた。

右斜めに剣を振るが後ろに避けられ左足からの蹴りを食らった、咄嗟に左腕のガードが間に合うがそれでも体が倒れてしまった。

ガードはなんとか間に合った、こいつはヤバい…倒れたまま一瞬意識が無くなりそうだった、とにかく腕が痛い…俺の反射神経が咄嗟に反応しかなかったら……それよりも腕の骨逝ったか…?。

セルヴィ「っ…!!、お前何なんだよ!?」

領主の方を向いて言うとこいつは倒れた俺にまた黙って殴って来た。

セルヴィ「!?」

ヤバい、こいつの攻撃を生身で思い切り受ければ死ぬ……クソ!!、ほんと何なんだよ!!、さっきから煽るだけ煽って大事な事は何も言わないで!!。

セルヴィ「フッ!!」

こいつの拳が体に来る前に顔面へ剣を降った、物凄い速さで横に跳んだが微かに…ほんの少しだけ手応えを感じた。

直ぐに体を立ち上がらせ剣を構えた。

ラングース?「クソ…てめぇ……この…ふざけんな…!!」

切れた頬から緑色のスライムのような物を流しながら文句を言っている。

セルヴィ「少しは黙ってろ!!」

全力で走り出し剣を腹に突き刺した。

ラングース?「ガァ!!」

さらに深く押し込む、苦しそうな声を出しながら領主の姿をしたこいつは震えていた。

ラングース?「貴様ァ!!」

セルヴィ「!?」

腕を捕まれた、しかも下手したら骨が折れる程の力で。

やっとまともに与えたダメージを与えるチャンス、逃したくはなかったが腕を捕まれ剣を段々と抜かれる、余りの力に押し返す事は少しも出来ない。

ラングース?「許さんぞ!!」

勢い良く引き抜かれ後ろへ後退りするが直ぐに構える。

ラングース?「ハァ…ハァ…」

ここで退くわけにはいかない!!。

ラングース?「ガァアァアアアアアァアァアアアア!!」

セルヴィ「!?」

ヤツが急に上げた雄叫びをあげ、何故かヤバいと感じた。

ヤバい、そう感じた瞬間、こいつは急に倒れて動かなくなった。

セルヴィ「…?」

少しだけ指がピクッと動いた。

まだ生きている、ならなんで動かなくなった?…。

剣を握りしめる。

ラングースの体が震え始めた、すると今度は体が縦に破れて中から大量のスライムのような物が溢れ出た。

セルヴィ「は!?」

そのスライムはこの大きな部屋の半分以上を埋めつくした。

セルヴィ「こいつ…まさか、ホラー(・・・)!?」

ラングース?「はは…ハハハハ!!、お前終わりだぞ!!、終わりだからな!!」

スライムの上付近に大きなパーツどうしの位置がズレた顔が現れ、そこから楽しそうに、そして狂気…という物なのかは分からないがそう感じる笑い声が響く。

セルヴィ「マジかよ……」

こいつの巨大さに驚き一瞬動けなくなった。

しかし、直ぐに斬りかかる。

セルヴィ「嘘だろ…!?」

少し経つと直ぐに傷口が閉じてしまう、それはどれだけ切っても同じだった。

セルヴィ「クソっ!!」

ラングース?「フン…バカが……」

攻撃を察知し後ろに跳んだが避けきれずスライムは触手のように体の一部を伸ばし俺の首を締めた。

セルヴィ「ガッ!!」

息が出来ない…しかもこいつ……!!。

ラングース「ふっ…ふふ……ククククっ!!…ふっ」

少しずつキツくして苦しんでるのを楽しんでやがる!!…クソ…力は入らないし身動きも取れない。

剣を振っても力が出ない。

このままじゃ…最終的には首の骨がバラバラになって死ぬ……!!。

ああ…駄目だ、俺が死んだらルナも死ぬ、何処かに貯蔵がまだあるかも知れないんだ。

息を吸え…。

セルヴィ「…………」

駄目だ…完全に閉じてる……少しも吸えない……。

意識が…無くなりそう………。

 

ザルバ「おいっ!!まだ死ぬな!!」

さっきまで黙っていたザルバの声が頭に響いた。

でも…この状況じゃ……。

ザルバ「俺様と契約しろ!!」

?…。

ザルバ「俺様と契約すれば、あいつの弱点や戦い方を教えられる!!、契約しないとそういうのは口が動かなくなるからな……さっさと決めろ!!、お前さんは死ぬ訳にはいかないんだろ!!」

そうだ…もう答えは決まってる……後は声に出すだけだ。

剣を握りしめろ。

力を入れろ。

剣を振り下ろし、切り裂け!!。

ラングース「!?、ガァアァ!!、クソ!!、お前意識が無くなりかけていた筈だろうがぁ!?」

振り下ろした牙狼剣によって触手は切れ、首に残ったのを外す。

セルヴィ「ゴホっゴホっ…ハァ……」

ため息をつくと少しだけ体の力を抜いた。

ラングース?「さっきからしぶとくて邪魔なんだよ!!」

セルヴィ「うっさい」

ラングース「あぁ!?」

セルヴィ「お前は俺が断ち切る」

この化物を睨み付け、静かにそう言った。

セルヴィ「ザルバ、契約だ」

ザルバ「ああ、分かった」

左手を顔の前に持っていき手を見つめた。

緑色の鮮やかな炎が中指の根本に現れ、その炎が収まるとそこに有ったのは銀色で、骸骨の顔を模したような指輪だった。

セルヴィ「これが…ザルバかぁ……」

ザルバを見つめている間、スライムはまるで殴る様に体の一部を高速で伸ばして来た。

確実に人を殺せるスピードだ。

しかし、そのまま牙狼剣をパンチの軌道上に置いて切り裂いた。

ラングース?「ガァアァア!!」

セルヴィ「落ち着いて対処すれば以外と楽な相手何だな…」

この独り言が随分こいつの気に触ったらしい。

ラングース「なんだと!?、ふざけるな!!…最初に言ったよな!?、お前は終わりだと!!、お前は終わりなんだよ!!人間ごときが!!」

今度は十本程また殴る様に体を伸ばした。

セルヴィ「………………!!」

牙狼剣を天に(かざ)し、光の円を描いた。

剣を振り下ろし、円からの光が俺を照らす。

さらに一瞬光が強くなりスライムのパンチはその光に遮られ弾けとんだ。

ラングース?「なっなんだ!?」

円から現れた金色(こんじき)の鎧を体に纏う。

ラングース?「っ!?、クソ……眩しい…!!」

光が収まり、現れた俺の姿は青い瞳の黄金の鎧に身を包んでいた。

左手の甲にはザルバの頭が有る。

そして左手には鎖の付いた金色の鞘に入っている長剣になった牙狼剣を握っていた。

ラングース?「なんだ…その姿は……?」

流石に驚いているようで動きが止まっていた。

牙狼「ザルバ、そもそもこいつは何なの?」

最初から気になっていた事を尋ねる。

ザルバ「さっきセルヴィ、お前さんはホラーと言ったが別にこいつはホラーじゃない、ただの魔物だ」

ザルバ「魔獣スラマ、人に化ける能力を持つ上に戦闘能力もそれなりに高い、高い知性を持ち、基本的には目立つ事はしない魔物の筈だ」

牙狼「へぇ…それで、倒し方は?」

ザルバ「切りまくれ」

牙狼「は?」

ザルバ「ただ切ればいい、攻撃し続ければその内回復出来なくなる」

牙狼「…単純だな、分かった」

スラマ「フン!!」

また、今度は足を狙って殴って来ようとしたが。

スラマ「ガァア!!」

その触手を牙狼剣の鞘で地面ごと刺し、身動きを取れなくした。

鞘から牙狼剣を右手で引き抜き、身動きの取れない触手の上に飛び乗った。

スラマ「っ!?、あっ熱いぃい!!」

焼ける音と煙が俺の足元から出てきた。

この触手は本体と繋がってる、しかもここを走ればダメージも与えられる筈。

俺は剣を構え、触手の上を走り始めた。

スラマ「くっ来るなぁ!!」

スラマは今度は体の三分の二を集めて巨大なスライムの玉をこっちに向かって飛ばした。

スラマ「死ねぇ!!」

牙狼「うぉおおおおおおこ!!」

エコーがかった雄叫びをあげながらそのスライムの塊のような物を下から蹴りあげ、軌道を上の方に変えた。

すると上、つまり天井付近に行ったスライムの塊は見事に壁すらも巻き添えに天井を吹き飛ばし、この部屋を月の光が照らした。

その間も俺は足を止めない。

スラマ「クソ!!」

左からなぎ払うように体を伸ばして来たが手首に付いている銀の刃で切り裂く。

牙狼「ハァアアアッ!!」

スラマ「!?」

もう目の前だ、まず最初の一振りで大きく斜めに切り裂いた。

スラマ「なっ何故だ!?、こんな強さを持った人間が何でこんな所に居るんだ!!」

牙狼「運が悪かっただけだろ…」

そう呟いた。

剣を握りしめ、何度も切り付けた。

月の光が俺を照らし、鎧は金色(こんじき)、剣(つるぎ)は銀色に輝いていた。

その光は、目の前の魔物を切り裂く力として俺の元にある。

それだけで勇気が出る。

もうスラマの原型は崩れ、ほぼバラバラの状態で本体と思われる顔の部分が有った場所は最早人間サイズまで追い込まれていた。

スラマ「なんで…クソォオオ!!」

牙狼「ハァ!!」

スラマを横に切り裂いた。

この言葉がこの魔物のとって最後の断末魔になったらしい。

 

27.3

 

「戻れ」、そう心で念じると鎧は一瞬輝き、現れた光の円の中へ帰って行った。

セルヴィ「ハァ…ハァ…」

体がだるい…。

周りのスラマの体の一部達はゆっくりと溶け始めた。

後ろを振り向く。

途中からこの部屋を照らしていた月はとても細い三日月だ。

鞘を回収し剣を納めた。

ザルバを月に(かざ)し、月の光に照らされ光る銀色のボディを見つめた。

ザルバ「俺様と契約する代償は知っているな?」

勿論知っている。

セルヴィ「ああ…」

ザルバ「月に一度、新月の日に一日分の命を貰う」

セルヴィ「ぐっ!!」

一瞬体の力が抜け倒れそうになるが直ぐに収まった。

セルヴィ「それより…探さないと」

俺はこの部屋を探し始めた。

先ずは最初に目に入った棚を開けた。

セルヴィ「これは…?」

高そうな金の装飾がされた四角い小さな箱だった、それを開けると中に入っていたのは粉が入った丸いガラスのケースだった。

セルヴィ「なんだこれ?」

スラマ「そ…その()はぁ……!!」

セルヴィ「!?」

後ろから聞こえた声に振り向くとそこには口が付いた小さなスライムの塊が壊れた壁の近くにいた。

セルヴィ「薬…だと?」

スラマ「クソ…!!……だがここで死ぬよりはマシだ…俺はまだ死なない!!」

セルヴィ「!?」

周りの残り少ないスラマの体の一部達がスラマに高速で集まり壁から飛び降りた。

セルヴィ「は!?」

直ぐに壁際まで行き、下を見るがもう既にその姿は無い。

セルヴィ「あーもう!!…クソ……」

この薬?が何なのか…聞けずに叫んだ。

右手のあいつがと呼んだ物を見て焦った。

これが何の薬なのか分からなければルナに使えるのかどうか賭けるしかない。

セルヴィ「これしかないのか…?」

疑問、また疑問…気になる事が多すぎてハッキリしない。

セルヴィ「そろそろ行かないと…」

下に降りる為に階段を通った。

体がキツイ…何でだ?、なんでここまで…。

ザルバ「キツそうだな」

セルヴィ「あ…ああ、何でだ?」

ザルバ「無理やり使った影響かもな…まっ、俺様には分からん」

セルヴィ「そっか…」

ちょっとした疑問が一つ解けてくれた。

セルヴィ「……あれ?」

やっと下に着くと床に少しだけ穴が空いていた。

なんだこれ…。

…もしかして下になんか有るのか?。

セルヴィ「ハッ!!」

鞘に入った牙狼剣の先で思い切り床を突いた。

穴の空いていた場所を起点に周りも下へ落ちていく。

下を覗くと石造りの小さな部屋が有った、しかも中の四方には果物や野菜類の食糧も積み上げられていた。

セルヴィ「これは…」

でも、それどころじゃない…人がいる……しかも痩せて死にかけてる。

なんでこんな所に…しかし、良く見れば何故こんな所に居たのか分かる。

ザルバ「なっ!?、人か!!」

セルヴィ「あの人…多分、本物のラングースだ」

さっき倒したスラマと同じ見た目だった。

服は着せてあるが猿ぐつわで何も食べれない、こんな状態のまま中央の地面に伏している。

しかも、一番不安に感じたのは…動いてない。

勿論…今は夜だし寝ているのかも知れない。

いや…そもそも長時間ここに閉じ込められて居るとしたら?。

もしそうならまともな時間の感覚なんてある訳ない。

ザルバ「おい、あいつかなりヤバイぞ」

セルヴィ「ああ…でも、はしごがない」

以外と数メートル深い所にあり、入れば戻れない。

ザルバ「はしご?……ああ、そうかお前は魔戒騎士(まかいきし)じゃなかったな」

セルヴィ「俺が魔戒騎士ならこんなの普通に跳んで戻って来られるよ」

ザルバ「…お前さん、入ってみろ」

セルヴィ「は?」

ザルバ「大丈夫だ、入ってみろ」

セルヴィ「……本当に大丈夫なのか?」

どう考えても降りたら終わり…。

でも、この人を放ってたら…。

セルヴィ「…ハァ……」

覚悟を決めて中に飛び込んだ。

まるで、ほんの一瞬だったけどジェットコースターの感覚を思い出してしまった、つまりはマジで怖い。

セルヴィ「うぉぉお!?」

着地に成功すると冷や汗をかきながら放心した。

ザルバ「おいおい…これぐらいで何を叫んでいる」

セルヴィ「しょうがないだろ…早くするぞ」

猿ぐつわを外しラングースさんを肩に担ぐと上を向いた。

セルヴィ「ザルバ、どうすればいい?」

ザルバ「跳べ」

セルヴィ「……は?」

何言ってんだこいつ。

ザルバ「跳んでみろ」

セルヴィ「お前バカか!?、だからあの高さは無理って言っただろ!?」

ザルバ「いいから跳べ!!」

セルヴィ「…………………」

もう一度上を向き足に力入れた。

セルヴィ「ハッ!!」

ジャンプしたんだから当たり前だが上に動いた、ただ。

セルヴィ「えっ?……は!?」

上まで一瞬で付いた…なんで?……どういうことなんだ…?…。

ザルバ「やっぱりな、」

セルヴィ「は?」

ザルバ「さっきの戦い…スラマにあれだけ戦えたのがおかしいと思ってな」

セルヴィ「でも…なんで?、俺は別に…訓練も何も……」

ザルバ「さぁな」

セルヴィ「…………」

ザルバにも分からないんならしょうがないか…はぁ……これどういうことだよ。

ラングース「うぅ…」

セルヴィ「起きたかな…」

一旦地面に降ろす。

セルヴィ「ラングースさん」

ラングース「えっ?…君は……私は確か魔物に…」

なんだか意識もあまりはっきりしてない見たいだし…やっぱりかなり衰弱してるのか?…早く話をつけよう。

セルヴィ「助けました」

ラングース「えっ?…本当かい?あっ…ありがとう」

ちょっと困惑してるな…。

セルヴィ「外の兵士さんへの説明お願いします」

ラングース「えっ?、どういう…」

また困惑させたけど、直ぐに分かる。

ラングースさんがゆっくり立つとそれと同時に扉を開けた。

兵士1・2「「ラングース様ぁああ!!」」

ずっとスタンバってたのか二人の兵士達が突撃してきた。

セルヴィ「後はよろしくお願いします!!」

俺は急がないといけない、相手はラングースさんに任せよう。

兵士達には目もくれずに走り出す。

兵士1「なっ!?、待て!!」

兵士2「ラングース様の塔には入るなという命令を守っておりましたがやつが外に出たからにはこちらの物!!」

兵士が追いかけて来るが全く追い付けていない。

あとどれくらい時間は有るのかな…。

轟天(ごうてん)が使えればもっと速く…でも俺には無理だ。

この速さが俺の限界…頼むから……間に合ってくれ。

 

 

 

 

 

 




ザルバ「お前さんはどれだけゆっくりでも進む事は出来る、これからも、もっと速く…次回、涙、どれだけ強く、そして速くなるのか…それはまだ誰にも分からない」
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