スローライフしたかった黄金騎士   作:ユーザーU

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遅くなってすいませんでしたァアア‼️



轟天 中編

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「う…」

窓からの眩しい日の光に起こされて俺の真っ白な頭が段々と目覚めてきた。

ぼーっとした頭を無理矢理使って目覚めさせる。

「1+1は3……いや2だ!!」

頭がスッキリしてきたのを確認するとまず確かめたい事が有る。

俺は朝日を受けてピッカピカに輝くザルバに話かけた。

「ザルバ…昨日のって…「あぁ、夢じゃない」

ザルバは間髪入れずに答えた。

ザルバが覚えてるという事は昨日の鋼牙さんも本物という証明になる…。

「すっごい…!!」

興奮冷めやらぬまま、まず上半身を起こし背を伸ばした。

小さい頃…いや前世で死ぬまでテレビで見てた大好きなヒーローの本物、それに勝ったんだ。

「うぅ…あれは夢じゃない……よし!!」

俺は一気に、そして元気にベッドから飛び出すとザルバを左手の中指へ雑に嵌めた。

「おいおい…お前さん昨日あんだけやられて良く元気が有るもんだな」

驚きと呆れの混じった顔のザルバに俺は言った。

「うん…それは、俺があの牙狼を必死に倒しそうとしてたのって一週間後のルナの出発を元気に、完璧な状態でやりたかったから…だから!!」

「あの牙狼……まぁ正体は鋼牙さんだったけど、見送りの日にもしボコボコにされて元気がないままルナを見送るなんて事になったらどうだ?、そんなの嫌だ、駄目だと思って…だから俺はあんなに必死だったって事」

これを聞いた瞬間ザルバの顔は「その為だけに!?、あんな捨て身を?」とみるみる変わっていく、ザルバの心の声が漏れだした顔だ。

でも直ぐに元の顔に戻った。

「ふっそうか、必死にやった甲斐があったな」

ザルバは何が面白いのかニヤつきながら言った。

「あぁ…これで未練がましい物を大体は断ち切った」

まだ結構早い時間だが俺は扉を開けてまず最初にルナの所…ではなくて、ある場所へ向かった。

 

 

 

 

 

見覚えのある塔の上で俺は今、領主ラングースの部屋の前に居る。

俺は部屋の扉を慣れた手つきで開けてあいつを呼んだ。

「よぉ、ラン!!」

俺が()()と呼んだのは椅子に座り、覇気が無く長い青髪の中性的な青年だった。

こんなにも覇気が無いがこいつこそが正真正銘本物のラングースだ。

「見つかった?」

「うーん、やっぱり手がかりないです」

手にもった資料を机に置いて難しそうな顔でランは言った。

俺とランは協力関係に有る。

ランを助けた後、俺はもう一度ここへ来た。

領主という地位の人間の直接的な支援を手にいれる為に。

その支援…いや約束は二つ。

必ずルナの薬や村の支援を絶やさない事。

あの日の火傷の影響なのか…傷も随分治って元気になったとは言え、昔程体が丈夫じゃなくなったルナには定期的な薬が必要だ。

二つ目は…あの時逃したスラマの捜索、あいつから聞き出せばあの日、関係有るかどうかはわからないけど何故あの森に本来いる筈もない凶暴な魔物が居たのかが分かるかも知れない、それに、ルナに使った薬はなんなのか…色んな謎の唯一の手がかりであるあいつだけは全力で探さなきゃ行けない、だからこそこいつの権力に頼った。

それと、まだこの近くにあんなのが潜んでるなら村の人に危害が加わるかも知れない、その為にも定期的に情報を聞きに来ている。

「まぁ、しょうがない」

「すっすいません」

いつもの流れ、こいつは領主なんて物をやってるから案の定貴族だ、良くあるテンプレの影響で貴族は常識が無いだの悪い人が多いだの思っていたがこいつは違う…礼儀正しく優しい。

この協力関係も俺が助けたお礼って事らしい。

まぁそれはそれとして、俺は用事がある。

「よし、帰るわ」

俺が来てから5分も経ってない、もう帰る事にさすがにランも驚いて表情その物がツッコミの代わりになってる程。

「えっもう帰るんですか?」

「用事がある、それと()()は予定の時間に頼むぞ?」

「えぇ…速…」

踵を返して扉を開けると俺は足早に村へ向かった。

階段を音を立てながら駆け抜け出口の木製扉をドンッと開く。

「あっお前!!」

「もうちょっと静かに扉を開けろ!!」

ケンエフ、ガンエフ。

ここを守ってる二人の騎士だ。

この前突撃した時はちょっとドンパチやった。

「あ~ごめんごめん」

と生返事。

意外と村とここは遠いんだ、馬鹿でかい平原を挟んでるからな。

そのまま走り抜けて森へ入った。

 

 

 

 

帰る途中の草原でザルバが急に口を開いた。

「そういえば最近アーロンの所でよく王都や色んな街の事を聞いているのは何でだ?」

その質問が来るとは思わなかった。

ハッキリ言って言いたくない。

だからちょっと誤魔化した。

「あー…えーと…おじさんは昔、冒険者だったろ?しかもプロクラスのB+!!…王都だとか、ここの外には詳しいから…ルナが行く場所を知っていたかったんだよ」

「そういう事か」

「そうそう、そういう事」

さすがに…ホントの理由は話せない。

 

 

 

 

 

村の入り口に着くとそこら変に居たロン爺に挨拶をしてルナの家へ向った。

扉を三回叩くと中から足音が近づいて来て扉がゆっくりとあいた。

「セルヴィ?」

眠そうなルナが靴を履いたのを確認すると俺は手を引いてこっち側にルナを引っ張りだした。

「ほらっ遊ぶ約束したでしょ?」

「えっ?えっ?えっ?ちょっと待ってよー!!」

遊ぶ約束をしたのは嘘じゃない、ただ俺は遊ぶ場所は秘密にして、お楽しみとだけ言った。

後は村の入り口に行く、それだけだ。

あぁ…この日が楽しみだった。

「ふふふっ」

「…ん?」

俺が走りながらルナを引っ張っていると、ルナは急に笑った。

「そんなにニコニコしながら走ってるけど、そんなに楽しみだったの?」

俺は「あっ」と口に出して気づいた。

…笑顔だったんだ、俺。

「ふふっ」

今日はルナの為に色々と大掛かりな事をした筈なのに俺が元気を貰ってた、不思議だなぁ。

馬鹿見たいな感想をいつの間にか心の中で呟いていた。

「んー…疲れた」

「あれは?」

村の入り口に着くとそこには豪華な馬車が止まっていた。

所々に走る金のライン、それを引っ張る二匹の美しい白馬。

どれぐらい美しいかと言うと白馬の王子様の白馬って感じだった。

そう、これが俺のしたかったサプライズだ。

馬車から老紳士という感じの執事が現れ、馬車の方へ手を伸ばした。

「こちらへ」

ルナはさっきから驚いて唖然としている。

「私達に言ってるの…?」

「そうだよ、ほら、村の皆もこの事知ってる」

ロン爺、コロ、アーロンおじさん、シュイ先生、村の皆が俺を囲んでいた。

「楽しんで来なさい」

「なんかお土産持ってきてね!!」

「確か色々遊ぶ場所があるからゆっくり回ってこい」

「お土産は大丈夫だから楽しんで」

「皆…」

ルナは驚きっぱなし、そんなルナを見てるとこっちも楽しくなる。

「どこ行くと思う?」

「えっ……さぁ?、ていうかこれどうやって…」

()()に頼んだんだよ」

そう笑顔で返した。

多分ルナはこれが今度、王都へ行ってしまう自分へのお別れ会の一環という事に気づいてる、だからこそ楽しませる。

パンフレットも読み漁った、金もそれなりに貯めた。

鋼牙さんにも勝った。

よし、完璧だ!!。

そう、大きな自負をした。

と、準備万端になったその時。

大きな声が…いやホントにうるさい声が響いた。

「遅刻だぁあああぁあああああああああぁぁああ!!」

「うぉ!?」

雄叫びをあげながら走って来たかと思えば俺とルナの目の前で急ブレーキ、砂ぼこりが舞った。

「…ごほっ」

「ルナぁあ!!ごめん、遅刻しそうだった!!」

「だっ大丈夫だよ」

この元気一杯なポニーテールの女の子はラフィニ、数少ない…いや多分唯一のルナの女友達。

ルナの女友達何だけれども…幼なじみというレベルでの幼い頃からの付き合いはないから俺とはあまり親しみがない。

が…スラマ戦の時、親身になってルナの側にずっと居てくれた人だ。

だから俺はラフィニに対して一方的に信頼している。

「楽しんできなよ!?」

「うん!!」

でも…マジで付き合いがない、ほら俺にはなんの反応もない。

「あんたもリードしなよ!!」

あっ予想外。

「あっうん」

パン、パンと二回連続で気合い注入の意味合いで方を叩かれた。

流石は村でトップクラスで剣が上手い上に冒険者志望だ…元気だなぁ。

「よし!!、いってらっしゃい!!」

「うん!!」

ラフィニが軽快な足取りでアーロンおじさん達の所へ行ったのを確認すると隣のルナへ視線を移した。

「ルナ、どこ行くか教えてあげる」

「……どこ?」

まだ何も言わず手を引っ張り、馬車へ近づいて執事さんに言った。

「俺の財布、ランから預かってます?」

「ええ、どうぞ」

どこから出したのか執事さんは手に持っていた黒革の財布を俺に渡した。

何だか膨らんでるような気もするがとりあえず礼を言う。

「ありがとうございます」

後ろを向くとルナは馬車をじろじろと見ながら恐る恐るな感じで馬車から少し離れていた。

「ルナ、入っていいよ?」

「えっあっ…うん」

まず俺が最初に右の椅子に座り、ルナが恐る恐る俺の隣に座った。

執事さんが扉を優しく閉めると御者席へ座って馬車が動き始めた。

ルナが窓の外を見ているのに気づいて俺もそれにつられた、皆が手を振っている。

俺たちもいつの間にか手を振っていた。

馬車が揺れながら走りだして皆が見えなくなると静かに手を下ろし、ルナの方を見つめた。

「……王都だよ」

「えっ?」

「王都に行くんだよ」

「……ええぇええええええ!?」

「ふふふっ」

驚くルナとは対照的に俺は静かに、クール振りながら念のため財布の中身を確認した。

直ぐにお金が無くなったら困る、それなりに計画を立てて…ふぁ!?。

「あれぇえええええ!?」

俺の静かさは…すぐに消え去った、でもしょうがない。

俺の目の中に入って来たのは大量の金貨、円に換算すれば一枚10万円。

それを一枚一枚数える。

(ランだ、絶対ランだ、馬鹿みたいに金入れてやがった…)

入って居たのは10枚、それに+俺の金も入ってる…無理ぃ100万ゴールド以上も無理だってぇ…使いきれないってぇ…。

なんか妙に膨らんでると思ったらこういう事だったのか…。

「まぁしょうがないか…」

貴族の友達持ったらこういう事も普通なのか?

納得しきれないけどパンパンに膨らんだ俺の財布を静かに閉じた。

「ねぇ?」

「ん?」

「なんで私を王都に連れて行こうと思ったの?」

「それは…王都しか遊ぶ所ないし、王都の下見も兼ねてる」

「下見?」

「そう、今度行っちゃうのにどんな所か分かんないでしょ?、それに遊ぶのがメインの目的だしそんな固くならなくてもいいよ」

「うん…」

「………」

気まず!!、いやめっちゃ気まず!!…それにしてもごろごろと馬車が揺れて眠くなってくるなぁ…でもまだ寝る気分じゃな…。

「ぐぅ…zzzzzzz 」

「えっ?…ふふっ寝るの早いなぁ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いつの間にか寝ていたらしい。

「ふわぁ…」

窓からの光で起きた。

まだ眠気が残ってるせいでなにもする気は起きない、ぼーっと窓を眺めていたらある物が視界に写った。

「………あれ?…おお!?」

「ルナぁ!?ルナぁ!?起きて起きて!!壁!!壁!!」

「んっ…なに?」

いつの間にやら寝ていたルナの肩を揺さぶって起こした。

「城壁ぃ!!デカイ!!」

巨大で堅牢な町を囲む城壁、俺は生まれて初めて見た。

窓から必死で外を見ると大きな門の前で止まって兵士に挨拶していた。

多分検問だ。

「あれ、()()()()()じゃないですか!?こんにちは」

「こんにちは、いい天気ですねえ」

外から聞こえたけど執事さんは()()()って名前らしい、いやそんな事より城ぉ!!デカイぃ!!街ぃ!!賑やかぁ!!。

「興奮してるね!!」

「うんうんうん!!」

笑顔のルナに俺は思いっきり頭を連続でふった。

もう一度窓に顔を張り付けて外を見る。

「城!!でっかぃ!!」

今度は街の高い所から見下ろすように立っているでっかい城が見えた。

やばいデカイすごい。

俺が城に釘付けになっていると執事さんの声が聞こえた。

「まず一旦城へ行きますので」

さすがに執事さんの言葉に驚いた、もちろんルナも。

「えっ城ぉ!?」

「こっ興奮してるね…」

「うんうんうん!!」

もう一度俺のテンションについていけてないルナに連続で頭をふった。

城へ続く門を通り緩やかな登り坂を通ると城の納屋についたのか馬車が止まったのを確認して俺は扉を開けて外へ飛んだ。

「城!!デカイ!!庭!!デカイ!!」

「つっ着いた?」

ルナがゆっくりと降りてきた。

「!?、うわぁ…すごい」

ここからの城下町の壮大な景色にルナは見とれていた。

あの城下町を笑顔のままじっと見つめているのからして興奮してるのがハッキリ分かる。

必死に興奮を抑えるルナを見つめていると、俺も嬉しくなるし、落ち着く。

(嬉しそうだな……ん?)

違和感が俺を襲った。

視線を感じる。

上か?。

見られている事が気になり、その方向へ俺は目を移した。

城の窓から帽子を被った俺と同じぐらいの歳の男がこっちを見ている。

…多分、ルナを見てる。

これは…俺が恐れていた事だ、ルナの全身の火傷は普通の人から見ればそりゃ奇異の目で見られるのは分かってる…だからこそ、それを知っていて貰うためにも俺はルナを連れて来た。

が、やっぱりイラつく。

「ジロジロと見るな…」

そう呟き、男を睨んだ。

男は俺に気づくと恐怖を一瞬顔に浮かべ後ずさって見えなくなった。

ルナは気づいてない。

(俺ってああいうのも出来るんだ)

別にこういう技がいつの間にか使える様になってる事は興味が無い。

それよりも、今日は出来るだけ色んな所を回らないと。

「それでは、門の前までお送りさせて頂きます」

「あぁ…はい、ルナ行くよ」

「あっうん!!」

下にある門まで俺たちは歩きだした、歩いてる途中ルナは街を見ている…周りが見えないのかいつの間にか案内約の執事さんより先に進んでいる、そしてそのルナの姿を俺は見ていた。

「セルヴィ様」

「えっはい?」

俺の隣に居た執事さんが急に俺に喋りかけて来て驚いた。

「あまり…ああいう()()のような物は出来るだけ抑えてください」

「あっえっと…」

バレてた…普通にバレてた。

「気づいてたんですね…」

「ええ、気分を悪くなされたのは分かりますが…別にあの方は悪い人ではありませんよ」

「まぁ…はい」

生返事で返した。

「…ここだけの話、あの方…()()()様は王女の護衛なのです」

「えっ!?」

「まぁ、あまり気になさらずに」

いや気になる、えっ?なら俺…王女の護衛にガンとばして後退りさせたって事?、マジかよ、それ大丈夫なのか?。

「なんか罰とかないよな…」

驚きで軽く放心状態のまま歩いているといつの間にか門の前に着いていた。

「後はご自由に遊んで来てください、お帰りの際はここへ」

そう言うとガリーさんは城の方へ戻って行った。

俺はまだ街の方を見つめるルナを引っ張った。

「確かこっちに商店街見たいなの有るから行こ?」

「うん!!」

青空の下、とても賑やかで美しい街だが路地裏には近づかない方がいい。

「……………」

アーロンおじさんも言ってたが治安の良い表側とは違って路地裏だとかには危ないやつがゴロゴロと居る。

現に路地裏の所から壁に背中をもたれながら痩せた男と頭にバンダナを巻いて曲剣を左腰に下げていて太った大柄の男がじろじろとこっちを見ている。

そいつらは何かが壊れきった人間の目…それが第一印象だ。

とにかく、危ないやつ。

しかもそれだけじゃない、そいつらの顔はまるで悪巧みするかのような表情に感じた。

そんな奴らがルナをジロジロと見てる。

お城の時見たいに殺気…のような物を放って見ようかと思ったがあの時は咄嗟の物だったからやろうと思ってやるとやり方がよく分からない。

とにかくもう目の前の屋台のような物がある広場を抜ければ商店街に着く。

(何なんだあいつら…!?)

少し早めに歩いて通りすぎようとしてもあいつらの視線だけはずっとこっちを追ってくる。

「うわぁ…すごいね!!」

ルナは気づいていない、まぁそっちの方が良いけど。

それにしてもあの屋台がそんな凄い…のかな?

しかもたったの三つ四つぐらい。

焼き鳥と…りんご飴と…。

まぁそんな事よりあれだけの事で面白くて目をキラキラさせるルナは一緒に居て面白い。

「凄いね…」

ルナに合わせて一言だけそう言うとルナの手を引いて広場を足早に抜けた。

あいつらの視線が……どうしようも無くイライラしたから。

 

 

 

 

 

商店街に着くとまた一層ルナは目をキラキラさせた。

大きな白いレンガの道を挟むようにずっとお店が奥まで続いている。

そこで俺は有ることに気づいた。

さっきの奴らの怪しい視線以外は俺が恐れていた様なルナに対する奇異の目がない。

それだけここにはいい人が居るって事なのか?…いや、それが当たり前か。

そうであって欲しい、じゃないとルナがたった一人でここに住むなんて心配で眠れなくなる。

もしかしたら、俺が敏感になっていただけかも…さっきの王女の護衛らしい人もあれは奇異の目じゃなくて心配だった様な気もする。

(まったく、俺は…)

「じゃあ…どこ行こっか」

そうルナに聞くと商店街の奥の奥までまでじっくりとじっくりと見て言った。

「さぁ?」

拍子抜けた返事に少し笑いそうになるのを堪えながら返事した。

「じっじゃあ色々見てみよっか」

そして歩き始めた、野菜や魚の食材の店、アクセサリー店や怪しい骨董品の店、子どもが入り浸る駄菓子屋だとか至って普通のこの国の人達の生活が垣間見える。

「…ねぇねぇ」

「私、色々自分で見てみたい」

あぁ…あれだけ興奮してれば好き勝手歩き周りたいって思うのも当然だよね。

まぁ大丈夫だろ、単純な道だ、迷子にはならない筈。

そう思って「いいよ」と言った。

「!!」

その瞬間嬉しそうな顔をしてルナは走りだした。

「おー速い速い」

「お前さんなら数秒も掛からず追い付けるだろ」

「あっやっと喋った」

「ようやくあの女が離れたんでな」

多分ずっと喋るの我慢してたんだな…なんか申し訳ない。

「今なら喋っても周りの音に溶け込むからな、やっと堂々と喋れる」

「あぁ…ごめんごめん」

「それよりも…お前さん、ルナを追いかけなくてもいいのか?」

そのザルバの顔はかなり心配そうだったがここで迷う筈はないと思ってる俺からしたら不思議だった。

「?…いや単純な一本道だし、見失うって事は無いと思うけど…」

ザルバの顔につられて不安になってルナの走って行った方を見た。

「居ない…!?」

道が大きいのが幸いで人の密度はそこまで大きくないから人が壁になって見えないという事はない筈…なら何処に要るんだよ!?。

「……っ!?」

ルナが行った方へ軽く走って行って当たりを見回した。

何度見回してもどこにも見つからない。

それを繰り返している内、俺は嫌な予感と共に一つの場所に釘付けになった。

「路地裏……!?」

商店街の賑やかさに隠れるように路地裏への道がポツンと有る。

思い出した、確か聞いた事がある。

ここの路地裏は迷路のようにありとあらゆる所へ繋がっていて、そのせいから危ない奴らの溜まり場の様になっているらしい。

この前まではそれを利用して吸血鬼が路地裏へ人間を連れ込み、食べながら長期間潜伏していたせいで危ない奴らもしょうがなく路地裏から出てきて居たが最近その吸血鬼が捕まえられてまたそう言う輩が戻って来たらしい。

奴隷の売買、他にもヤバい薬の流通も路地裏がメインの取引場所らしい。

「待て…奴隷?」

嫌な予感がした、変わった趣味のやつなら全身火傷跡の有る女を側に置きたいと考えるかもしれない、そしてマニアックな分高い金を払う…そういう魂胆でルナをジロジロと…?。

「っ!!」

直ぐに路地裏に入った。

とにかく目の前の道を全力で走る。

だが、進む内に目の前には3つの別れ道が洗われた、右か左か真ん中か、俺は立ち止まった。

「…右か?」

直感で選んだ道へ走る、だが先には高い壁がそり立つだけだった。

「クソっ!!」

「おい!!、セルヴィお前道分かってるのか!?」

「いや…ここは迷路見たいになってるらしいな」

イラつきが募るまま道を戻った。

もう一度別れ道を睨み付ける。

「馬鹿正直にやっても追い付けないか…」

「お前さんどうするつもりだ?」

「こうするんだよ!!」

俺は後退りして助走をつけ、勢いよく目の前の壁へ向かって走りるとその勢いのまま壁を走って登った。

屋根の上に着地するとそのままがむしゃらに走り出して周りを見る。

「何処だ!!ルナァ!!」

叫び続けても聞こえてくるのは周りのうるさい生活音だけ。

「っ!!…ザルバ!、気配を辿れないか!?」

「少し待て!!」

そう聞こえた瞬間俺は体を急ストップさせた。

屋根の瓦がかなり剥がれ落ちたがそんな事はどうでもいい。

ただザルバを見つめて直ぐにでもルナを追う準備をする。

「…………」

ザルバは黙ったまま、ほんの数秒だけで速くルナの元へ走りだしたいという体の疼きが大きくなっていく。

「まだか…!?」

「……!?…右だ!!」

すぐに走り出した。

俺の足が瓦を割りながら向かい側の屋根へ飛び移った。

下側の道を見ながら走り続ける。

「そこだ!!」

「わかった!!」

走り続けて下側にまた新しく道が見えた瞬間、ザルバが叫び。

俺は跳んだ。

空中で下を見た。

あの痩せた男がナイフをルナに向けて壁に抑えつけている。

太った男は隣でニヤニヤと…。

腹が立つ。

ルナと一瞬目が合って俺は微笑んだ。

大丈夫だよ、と。

「おい!!」

「は?」

痩せた男がこっちを振り向く頃にはもう遅い。

やつの頭を横に蹴り跳ばすと。

やつの体がふっ飛び、倒れた。

「なっなんだよ!?おめぇ!!」

着地の体制からゆっくりと立ち上がり、口を抑えて唖然としたルナを横目にヤツへ叫んだ。

「黙ってろ!!」

倒れた相棒を見て驚きながら後退りするのとは反対に俺がジワジワ近寄っていく。

「クソッオラ!!」

観念するとやつは曲剣を引き抜き俺を右上から切ろうとした。

「危ない!!、セルヴィ!!」

「クソったれ」

あぁ、使ってやる。

お前ごときに…だ。

 

牙狼剣を左手に召喚し、抜刀。

甲高い金属音が響いて曲剣の刃が宙を舞った。

「は……?」

納刀(のうとう)、持ち手の先をやつの腹へ思い切りぶちこんだ。

「がはぁッ!!」

グチュッ。

少し生々しい音が聞こえたがそんなん知らん。

「……………」

牙狼剣を消して、ゆっくりと体制を直した。

「ハァッ!!」

そして最後に顔面へと俺の真っ直ぐな蹴りが炸裂して、やつはドスンと倒れた。

「終わったよ」

俺は振り替えると後ろのルナに近づいた。

ルナが俺に不安そうに近づいて言った。

「大丈夫…なの?」

「ん…大丈夫大丈夫、怪我はないから」

「そう…」

元気がない、そりゃ…まだ怖いよね。

周りをキョロキョロと見るルナの仕草からそう思った。

「行こう?」

とにかく、ここから出ないと。

ルナの手を優しく取って歩き出した。

薄暗い路地、淡々と進む俺とは違ってルナは恐怖で周りを見回している。

「ばっ場所分かってるの!?」

「分かんないけど…まぁ大丈夫でしょ」

「それに…さっき見たいな人達がまだ居たら…」

「あぁ…なら」

上を見上げた俺に続いてルナも見上げた。

少しの間不思議そうにしていたルナだがすぐに意味が分かったらしい。

「あっ」と声を漏らし俺の方を見た。

「屋根!!でも…あれどうやって登れば…」

「ちょっとこっち来て…よいしょ!!」

ルナを抱き寄せ、肩に抱えた。

「えっ?えっ!?えっ!?」

足をジタバタと動かしてるけど無視する。

「ちよっと、暴れないで」

「ほっ」

軽々とルナを抱えたまま屋根の上へと跳んだ。

「!?!?!?」

驚きすぎたのかもう声も出せずにルナの動きは止まった。

「おろすよ?」

「あっうん…」

ゆっくりと屋根の上へルナを下ろして周りを見渡した。

「商店街はあっち…か、結構遠いなぁ」

「ねっねぇ?」

「ん?」

()()って…まさか」

()()?」

「ス…スキル…だよね?」

「!?、あ~…えーとねぇ…それはねぇ…」

ヤバイ、ヤバイ、言い訳なんて考えてない…。

何て言えばいい?。

何て言えば?。

何て…言えば…。

何て言えばルナを傷つけたのが俺だとバレない?。

「俺様が説明してやる」

「えっ…」

「ザルバッ!?」

満を持して口を開いたのは俺じゃあない。

ザルバだ。

今まで俺がスキル持ちだとバレないようにただのアクセサリーのフリをしてたのに何で今になって喋りやがった!?。

「なっ何?、誰の声!?」

「お前…ッ!?」

「ハァ…セルヴィ、俺様に任せろ流石に見てられない」

ここまでザルバが呆れるとは思ってなかった。

いや確かにね?。

後先考えずにあんな雑魚風情によ?。

ビビらせる為に牙狼剣使ったけど流石にその態度は酷くない?。

テレビと性格違くない?。

「おい、ルナ…だったか?」

「ハァ…降参」

ため息をついてザルバをルナの方に見せた。

「どっどこ!?、誰!?」

「ここだ」

「…え?」

ザルバを見たルナの顔は驚きに溢れてた。

ギョロギョロとした目でザルバを凝視して固まる。

その反応にザルバが文句ありげに喋った。

「なんだ」

「これなの?喋ってたのは」

「そう、俺様だ」

「これ…どうなって…」

ヤバイ、これ以上は…。

「あー…えーとね?ルナ?とりあえず戻ろ?」

「おい」

とにかく誤魔化そうとするのをザルバが遮った。

「任せろと言っただろ、少し黙ってろ」

「はいはい…」

俺の下手くそな弁解には任せてられないらしい…酷くない?。

「一体どうなって…「こいつはスキル持ち、それだけだ」

「え…?」

「少し特別だがな」

「特…別?」

「そう、だから秘密なんだよ」

「ちょっと待ってよ!!特別とかそんなんじゃ秘密にする理由にならないよ!!」

俺は何も言わずに歩き出した。

「?」

不思議そうな顔を浮かべてルナもついてくる。

「俺には…()()()()()()がない」

「えっ!?」

スキルを持つ者はスキルボードも一緒に持ってる…常識でしょ?」

「そして…セルヴィはスキルボードを持ってない」

それに俺がちょっと口を挟んだ。

「そう、特別…てより異常の方が合ってるかな?」

「異常…?、ううん、そんなんじゃないよ!!」

「そんな事より、スキルは持ってるんだから…私と一緒に王立学校へ行けるんだよね!?」

「いや、無理」

「!?」

その言葉を理解できなかったルナは驚いた顔を俺に見せた。

「なん…で…?」

絞り出すような声に俺は答えた。

悲しそうな顔は…意外とキツイ。

「スキルっていうのは謎、そう謎だらけ…」

「だからこそ、こんな異端(イレギュラー)があそこへ行けばすぐに上へバレて調べられまくる」

「え…?」

「つまり…普通の生活が出来なくなっちゃう」

「国に特別扱いされ、晴れて貴重な観察対象だよ」

「そんな感じにお世話されるような重苦しい生活…俺やだ」

「本当にそんな事になるの?」

「多分…前例、見たいな物は無いけど…近い物なら有るね」

「どういう事…?」

俺は足を止めてルナに振り返った。

瞳を真剣に見つめて、ルナへ指を指した。

「ルナ見たいな色んな所からスキルボード持ちを血眼になって集めてる、その為のスキルボード鑑定人なんて職業作るぐらいに」

ルナはハッとした表情のまま凍りついた。

「…!!………」

「どうしたの?、黙り込んで」

「ううん…なんでもない」

「…」

また俺は歩みを進めた。

歩き続けてルナの表情はさらに凍りついていって何も話さない。

俺も話さない。

そんな事が続いていると呟きが聞こえた。

「私…心配」

「えっ?」

「心配…なの、だってセルヴィがそんな事ばっかり言ってるから」

「あぁ…」

俺はかなり面食らった、だって今まで俺がルナの事を心配ばかりしていた筈なのに今度はルナの方が心配してるんだ。

あぁ…情けない。

「…大丈夫だよ」

「なんで?、もしバレたら…」

俺はその言葉を遮るようにルナの2つのほっぺたをムニュっと握った。

「だってこれは二人だけの秘密でしょ?」

「え…?」

「ほらね?、そうでしょ?」

「!……そうだね!!」

ルナの顔に一気に笑顔が灯る。

俺もいつもの様につられて笑みが溢れた。

(俺様は何で数に入ってないんだ)

「ンフフフ」

ルナは満足そうに声をだしながらニヤケていた。

顔から手を離してまた歩く。

もうそろそろ商店街付近に着く。

それからほんの少しの時間が経って俺は呟いた。

ルナに絶対他の人間に俺のスキルを喋らせない為の言い訳を。

「俺は…平和がいいんだ」

「え…?」

唐突に何を言い出すんだろう?と多分ルナも思った筈、自分でもよく分かってない。

「スローライフ…そう!!、スローライフがいいんだよ!!」

「えっ?えっ?」

困惑気味なルナをおいてけぼりに俺のボルテージは上がり続けた。

「ほ…ほら!!、ルナがスキルの事を話さないでいてくれるなら俺は平和な平和なスローライフを送る事が出来る!!」

「ね?、さっきも言ったけど…二人だけの秘密にしてくれる?」

「!!…うん!!」

よし、念を押した、大丈夫。

ルナは約束を守ってくれる。

はっきり言って殆ど中身の無い言葉だけど、実験台見たいな生活も息苦しそうな特別扱いも嫌。

だから平和で平和なスローライフがいいって言うのは念を押すための方便にしては意外と本心。

(俺のスキルは戦う力なのに…スローライフを望む、ね…)

それだと俺の力の存在意義は?。

そんな疑問が頭によぎる。

でも、世界を救うとかそんな事に巻き込まれる訳じゃない。

目の前の物を守るには不完全でも充分な力だ。

「まぁとりあえず遊ぶよ!!、今日は!!」

「うん!!」

俺はルナの手を取って商店街の元の道に二人で降り立った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




「大地を駆ける金色、闇を切り裂く大剣、金色の光が新たなる道へ進む為に因果を断ち切る!!、次回轟天!、こいつはかなりのじゃじゃ馬だぞ?」







ほんとは今回轟天が出る筈だったんですが余りにもデート回が長引き過ぎて轟天の戦闘シーンが無くなりました、ですが次回は確定で出ます。
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