ーー私が、そのトレーナーを選んだ理由?
ーーふーぅむ。三女神の導き……かもな?
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入学式の日だ。どこか古い感じを思わせるが、内装は流行を取り入れたピカピカの校舎。
あらゆる所に木々や芝生が植えてあり、緑があふるる学校。トレセン学園。
それは、全てのウマ娘が憧れる場所。優秀な者のみが入学を許されるエリート専門校だ。
時刻はまもなく正午を指す頃。ゾロゾロと校舎から人が出てくる。
その中でも一際大きな欠伸をする者。
誰に話すわけでもなく、呟いた。
「つっまんねぇなぁ、入学式。暇すぎて白目剥いたまま気絶しちまうとこだったぜ……」
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さて。校舎から出ると熱烈な歓迎のお出ましだ。看板を持ってるウマ娘に、大量のビラを腕に抱えるウマ娘。沢山のウマ娘達がこっちに振り返る。
朝来る時は、静かで自然が美しかった大通り。喧騒に包まれて、朝とは全く違う様相を呈している。大体が自分の所属してるチームへの勧誘文句だ。
さっきの説明で聞いたが、大きなチーム……。要するに新聞やニュースなどに乗るような実績を残すチームは、こういうビラ配りなどはしない。
そういう大御所は基本的に、何種かの試験を通して新入生をふるいに掛け、選ばれた者だけが入部出来る仕組みになっている。
だからだろう。熱心に話しかける者達とは対照的に、冷え切った態度で、話しかけるなと言わんばかりの対応をするウマ娘の多いこと、多いこと。それでもめげずに勧誘を続けるウマ娘達。
どうやら次のターゲットは私らしい。
「私達のチームに入部しませんか?今ならもれなく人参1箱も付いてきますよ!」 と格安通販サイトみたいな謳い文句で、満面の笑みで話しかけてくる。
ま、選択肢は多い方が良いだろう。ビラだけ貰って寮で見るか。
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色んなチームのビラを集めてたら、校門が見えてきた。朝と比べて、5倍以上の距離を歩いたような感覚を覚えつつ、出口へと向かう。
と、そこで目に付く者が居た。スーツ姿の背の高い人。人が勧誘活動してる?
その辺の奴に聞いてみる。
「なぁ?なんで人間が勧誘なんかやってんだ?」
肩を叩かれた見知らぬウマ娘は、訝しむ顔をしたのち。
「あぁ。あれはな、新人トレーナーだ」
「新人トレーナー?」
「そうさ、今年から新しくトレーナーになる人間だ。ま、基本的に新人トレーナーのチームに入るのは止めた方が良い」
と応えてスタスタ歩き出していった。ありがとう!と言いつつ、興味本位でそいつに近づいていく。
第1印象はThe一般人。冴えない顔に冴えない髪型。なーんにも特徴が無いのが逆に特徴になってる。
今は他の新入生と話してるみたいだ。
「うちのチームに入ってくれないか!」
「いや、私他のチームに入るので…。」
「お願いだ!人参5箱……いや、欲しいだけ付けるから!」
「私、あなたのチームには入りませんから!」とスタスタと門から出ていく新入生。
一瞬肩を落として、スっと背筋を伸ばしたトレーナー。辺りを見渡して次の新入生を探している。
ーー目が合って。その瞳を見た。
ーー瞬間。惹き込まれたんだ。
入学式の時に見せられた、どんな有名なトレーナーよりも、一際違う光を灯していた。
夜空に光る星々に手を伸ばすような憧れと、雲1つない空に、虹を掛けるような好奇心。
そういうのをギュッと閉じ込めて、キラキラ光ってたんだ。
私はこの瞳を知ってる。レースを見たくてみたくて、そこに有るドラマが見たくてみたくて堪らない目。
希望と夢で輝く瞳だ。
ーー直感が全身が血が、私に教えてくれる。
『コイツと一緒に走ったら絶対面白くなる!』と。
……どれくらいの間見つめ合っていたのか、分からなかった。
そいつの言葉が私を現実に引き戻した。
「ウチのチームに入ってくれないか!」と大きな声で必死に呼び掛けて来る。
合理的な判断は捨てた。直感と感情がこのチームに入るべきだと教えてくれる。だから大声で応え返した。
「おうよ!お前のチームに入るわ!」
「えっ?」と鳩が豆鉄砲くらった顔をするトレーナー。
「ほんとに入ってくれるのか?」目に涙を溜めて、直ぐにでも溢れそうなのを我慢する顔が、苦労を物語ってる気がした。
だから、冗談めかして答える。
「ああ!お前は紅しょうがで生卵だからな!」
「は?」
「なんだよオマエ、牛丼に紅しょうが入れない派か?」
「いや、入れるけども……」
「じゃあ、すき焼きに生卵は?」
「付けるけども……」と歯切れ悪く答えられる。
どうやら何か、納得いかない様子だ。さっきの泣きそうな顔から、一変して困惑した顔へと変わるのが何だか面白かった。
「ま、とにかくオマエのチームに入るからな!」とビラを1枚腕から引き抜いて、その場を後にした。
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門から出ていき、寮へ向かう。今日の晩飯の事を考えながら、木々が生い茂る道を歩く途中。後ろから、さっきのトレーナーが追いかけて来た。
「なんていうか、その……ありがとう!」と息も絶えだえに叫んでくる。
「おうよ!……宇宙を覆い隠す程の人参を用意しとけよな!」と返しておく。
財布の中を覗いて困惑するトレーナー。こちらに何か話しかけて来る前に、全力疾走でその場を後に駆け出していく。
からかい甲斐のあるトレーナーとの出会い。これからの学園生活に退屈しなさそうだと確信した。楽しくなる未来へと胸を馳せる。
木漏れ日が明るく照らす道の中。風を切って駆け抜けて行った。
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地産地消ループその2
拙い文ですが、楽しんで頂けると幸いでゴルシ。
初めて書いた小説です。
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