恋心、想花の如く。   作:氷桜

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事前の根回しって大事だよねって話……の前振り。
*婆ちゃんの名前は特に決めてません。原作で出て無かったと思うので。


<Chapter3-2-4>

 

<Chapter3-2-4>

 

結論から言えば。

 

『きちんと話を通すのならば。』

 

と言った形だろうか。

始めは拒否するつもりで口調が強くなっていた芳乃ちゃん。

けれど理由付けとしての「カバーストーリー」と、恐らくの彼奴が抱いてる感情(すいろん)

後は学校・街中での彼奴の態度等々が合わさって恐らくは問題ないだろう、という結論。

 

「ただ、勿論。 連れて行く前に私達で一度見ておくのは必須ですよ?」

「それはまあ……ね。 ただ事情を知らない二人を連れて行った時も知りたいんだよね。」

 

生贄みたいで本当に申し訳ないが。

……ある程度感じるようになっている?廉太郎。

芳乃ちゃんと妙な反発を見せたレナさん。

あの二人には、何かしら関わる理由があるのもまた事実なので。

 

「……あまり気分が良いモノではありませんが。」

「まあ、それは……うん。 祖父ちゃんには話しておくし、後で直接謝るのは必要だとは思ってる。」

「鞍馬家にもお世話になっていますしね……。」

 

食事を終え、四人で少し休息を挟みつつの話し合いの継続中。

そういえば、と思った一つ。

 

「改めてふと思ったんだけど。」

「思ったこと?」

「鞍馬……いや、祖父ちゃんもある程度の事情は知ってたってことでいいんですよね?」

 

浮かぶのはあの刀をへし折った行事。

祖父ちゃん……というよりはあの場に少しばかりいた管理役員全員が知っているとまでは思わないが。

『責任者』程度は知っていないとあの動きは取れないと思った。

そう話を向けたのは安晴さんに対して。

 

「誰かが言ってるかもしれないけどね。 妻の先代を知ってる世代の……玄十郎さんに後何人かは、薄っすらとは。」

「先代、ですか?」

 

ああ、と彼は昔を懐かしむような様子で目線を上へと向けた。

歳を重ねた人特有の、そんな仕草。

浮かんだのは今朝方の、顔も見えなかった婆ちゃんの姿。

 

「ムラサメ様とは相性が悪かったのか、余り見ることは出来なかったらしいけど霊力は凄まじい方でね。」

「……凄まじいって表現も怖いですね。」

「特に浄化や物に力を込めるのが得意だったと伺ってる。 生憎、その姿は見せて貰えなかったけどね。」

 

…………?

見せて貰えない?

 

「え、お父さん初耳。」

「あれ?」

 

伝え忘れていることなのか?

意図して伝えていなかったことなのか?

その差もあると思うんだけど。

 

「……ああそうか。 恐らく秋穂の意向だろうね。」

「……お母さんの?」

 

少しだけ悩んだ後。

思い出した、或いは思いついた様子でそう呟く。

秋穂さん……この家からぽっかりと空いた、『母親』で『妻』で『先代の巫女姫』。

安晴さんからちょっとだけ聞いた覚えがある。

 

「そもそも、巫女姫と言えど得意分野が違う。 それは人である以上分かることだね?」

「まあ、はい。 当然です。」

「鎮魂の儀……普段から行っている儀式に、物品への加護。 結界の守護に特化した人間もいれば打ち祓う事に特化した記録もあったそうだ。」

 

そうだとすると、芳乃ちゃんは一体どうなるのか。

全部やってるし、全部に対して才能がある……のか。

或いは霊力に優れているから対応できるのか。

茉子ちゃんはその分忍びとしての技術含め、外敵に対する特化タイプかな。

 

「本来、こういった事に芳乃を関わらせたくないと言っていたからね……。 先祖代々の儀式に関しては伝えたと聞いてはいるが。」

「……実際、その……お婆ちゃん? とお母さんの関係ってどうだったの?」

()()、かな? 僕はそれなりに可愛がって貰っていたけれど、娘である以上に『次代』として見ていた気がしないでもない。」

 

つまりそれは、自分ではどうしようもなかったと宣言しているのと同じ。

現状維持が手一杯、完全に終わらせるなんて以ての外。

そういった代も――――当然、あっただろう。

 

「ワタシの家だと……そうですね、少しずつ繊麗化したり改良したりしていた、とは聞いてます。」

「やっぱり家次第で全然違うなぁ。」

「将臣さんの家……玄十郎さんからはどうだったんですか?」

「祖父ちゃんの趣味もあったと思うけど、基本的に剣道は叩き込まれてたよ。」

 

多分祖父ちゃんから()()()()()()()()だったら逃げ出していた気がする。

浮かぶのは走り回らされていた、今の半分趣味と化したランニングの始まり。

廉太郎と並んで技を叩き込まれていた光景。

逃げ出そうとしてとっ捕まり、更に酷い指導を受けていた記憶。

そういった部分を背負いつつも、続けられたのは多分。

 

「……婆ちゃんもいたからなぁ。」

 

そんな言葉がぽつりと言葉に漏れる。

 

「お祖母様、ですか?」

「そう。 まあ、細かい記憶が残ってないのは芳乃ちゃんと似たりよったりかな?」

 

いや、全く会ったことがないのと記憶が薄いのとでは全然違うか。

 

「……似てますかね?」

「うん、自分で言っておかしいと思った。」

「なんですか、全く。」

 

首を傾げ、素直に謝り。

それに対して少しだけ口を尖らせて文句を呟く。

そんな俺達を、見詰める生暖かい目が二つ。

 

「……なんですか。 お父さんに茉子も。」

 

そんな。

朝食終わりのゆっくりとした時間は、少しずつ流れていった。

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