恋心、想花の如く。   作:氷桜

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仮対応。
そして副作用。
やっぱり長い話になってる……。


<Chapter3-2-12>

 

<Chapter3-2-12>

 

『取り敢えず、じゃ。』

 

数分程が経っただろうか。

最初に口火を切ったのはムラサメちゃん。

 

『吾輩達だけではなく、幾人かに共有はするのじゃよな?』

「まあうん。 最低でも全てを知ってる人たちには。」

 

具体的にはみづはさんと安晴さんには確実に。

他は彼等から情報を出す量を絞ってもらえば良い。

……しかし、此処まで穢れが酷いとなると山に入る許可はやっぱり難しいか。

 

『だとするなら、二人に話してから決めればよかろう。』

 

あー……起こった事を話して呼んで来る?

と、するとだ。

見張りいるよなこれ。

 

「誰が呼びに行く? 正直目を離したくないぞこれ。」

 

迂闊に置いたままにすれば此処から祟り神が湧く恐れすらある。

今出てこないのは多分叢雨丸で行った糸の切断と、二人が近くにいるからだろうし。

 

「でしたらワタシが。 足の速さには少しだけ自信もありますし。」

 

ぱん、と太腿の辺りを叩く。

まあ自称忍者だし、普段から動き回ってるしその辺りは任せられるかな。

ただ、私服のタイツとスカート辺りに目線が向きすぎていたのか。

或いは、()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「将臣くん?」

「あはは……。」

『ご主人……。』

 

三人の異性から冷たい視線が二つ、恥ずかしがる視線が一つ。

無言で頭を下げて咳をした。

 

「こほん。 えー……となると、麓というか入って来た辺りまでは戻る形でいい?」

『それで誤魔化そうというのはどうかと思うぞ。』

「まあ……何にしてもこの場所で待ち続けるよりは建設的だと思いますよ?」

 

呆れられて、ジトっとした目で見られて。

流石にそれに強く反応するほど()というわけではないのでごめんなさいともう一度。

生暖かい目が一つ。

見られていた当人(まこちゃん)から向けられているのには気付かないフリをしたままで。

 

『……ま、瘴気だらけのこの場所に居続けるよりは良かろう。』

 

呆れたような口調は変わらない。

そのまま二人で元来た方向へと進み始める。

 

「……えっち。」

 

そう言い残して茉子ちゃんも走っていってしまい。

慌てて最後尾……芳乃ちゃんに並ぶように小走りで追いつく。

 

「いや、置いていかないで欲しいんですけど……。」

「罰です、罰。」

 

……いや、その。

自分でもアレだとは思うが、目に入ってしまったモノは仕方ないって形にならないだろうか。

と、そんな自分の思考を俯瞰して思う。

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「むむむ。」

「今度はなんです?」

 

芳乃ちゃんも冷たい口調は変わらない。

まあ今日一日でやらかしたことを考えればそうもなる。

 

(……でもなぁ。)

 

自分自身が此処まで露骨な行動を取っていただろうか?

少なくとも、穂織に来る前と後では色々と変わってはいると思う。

此処最近()()できていない、というのもまた間違いないとしても。

 

(そうなると……祓いきれてない、或いはその後でまた瘴気が纏い付いてきた?)

 

思い当たる節はあの石しかない。

二人はあの小石に対して殆ど触れていないし、川で水垢離も済ませている。

それに対し俺は叢雨丸+ムラサメちゃんで瘴気を祓う行動を起こした。

元々あの周辺の量は異常な程だったのだ。

可能性はある。

ただ、それを説明することは出来ない。

 

(目で見える状態だったらムラサメちゃんが指摘するだろうし……。)

 

言われないということはそういう状態なんだろう。

……以前のように落ち込むというか、考え続けてしまうあの状態ともまた違う。

ふと目で追いかけてしまう。

向かう思考の先が余り良くない部分に向いてしまう。

無意識下で、気付けばそんな行動を繰り返してしまう。

 

(やっぱり俺がおかしくなってるだけだろこれ。)

 

()()()()()()()()()()()()()()、という感じが近い。

意識すれば何とか対応出来る、というだけで。

常に周囲からの物音に集中していればどうしても意識が少しブレる。

そしてそのタイミングで毎度毎度目線が向かう――――前へと無理に向き直る。

 

横を向きたい。

前の二人に追いつきたい。

抱き着きたい。

■■■■■■。

歩く度に段々と加速する欲望を、地面を踏み締めることで耐える。

脳裏が、段々と支配されていく。

数度、数十度。

そんなことを続けていれば。

 

「……あの、将臣くん。」

 

そんな声が隣から聞こえて。

声に反応するのが、数瞬遅かった。

 

「まさお……みく……!?」

「ん?」

 

声を出すことが手一杯。

直視すれば踏み出してしまいそうな悪寒。

気付けば視線自体を地面に向け、足元だけを見て歩いていた。

だから、彼女が此方を向いたことにも。

明らかに焦ったような声を出したことにも気付くのが遅くなっていた。

 

「動かないで下さい。 ……ムラサメ様!」

 

幾度目かの柏手。 次いで、前の方を歩いていたムラサメちゃんを呼び寄せる声。

それを何処か遠くで聞くような俺がいて、その音/声で少しだけ正気に戻れた気がする。

 

『なんじゃ……っておああ!?』

「見て分かられますよね!?」

『当然じゃ! ご主人、少し()()()()()()()()

 

一体何を。

そう思ったのが最後で――――。

少しばかり、白い景色を見ているような。

ふわりと浮くような感覚の中で、意識を手放した。

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