恋心、想花の如く。   作:氷桜

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新チャプター。
原作だと共通ルート最後らへんですがさて。


<Chapter3-3>
<Chapter3-3-1>


 

<Chapter3-3-1>

 

()()()話し合った翌日。

結局謎は謎のままで、更に広がる一方。

ただ、収穫が全く無かったわけではない。

 

一つは山で発見した破片の事。

現在一つを除いて本殿にて安置し、毎日の奉納などに依って浄化を試みる実験中。

一つは山での瘴気の発生と吸収。

俺にだけ集まった、と言うよりは集まる要因があったのだろうということで相談中。

そして最後は、三人……いや、()()の結束が深まったということか。

元々敬意を兎も角としてムラサメちゃんが見える/見えないという部分で結束があった俺達だけど。

それとはまた別の形で、解決する理由(モチベーション)が大きくなった。

 

此処までが体を張って得た情報や利点、ではあるのだが。

細かい問題は未だに多い。

 

例えば破片が一体何なのか。

どの程度の量が存在するのかの推測。

瘴気の伝染・増幅に関係する対策。

俺や茉子ちゃん、レナさんの三人が持つ特異性の理由。

それらに加えて観光客対応。

芳乃ちゃん目当てに関しては……()()()()()()()()()という公の立場があるからまだ問題はない(はず)。

それら全てを同時に解決できるわけもなく、一つ一つを潰すしか無いのだが。

 

(……とは言え、この状態を毎日受け入れてたら多分死ぬな。)

 

一昨日……いや、昨日とは真逆の体勢。

二人に抱き着かれるようにして布団の真ん中で眠りから覚めつつも。

幸福な感覚と同時に精神的な摩耗を酷く感じていた。

 

男とはまた違う柔らかさと一人二つ、合わせて四つの母性の象徴。

神社にやってきてからは余りそういった物に意識が向かなかった、という事もあり。

未だ残っているのかもしれない昨日の汚染……欲望の意識を向けてしまった二人という事もあり。

久々に()()()()()()を色々と感じているからこそ大分辛い。

 

外へと意識を向ければ、鳥が鳴く声と少しだけ暗闇に明るさが差し込んでいる。

この時期だと、多分五時近辺くらいか。

普段から起きる時間帯として体に染み付いている――――というのはあるのだろう。

 

(ただ、()()()()()()()()()()からなぁ……。)

 

昨日寝込んだ(閉じ込められていた)影響を確認する意味もあってか。

念の為今日一日は激しい運動は控えるように命じられてしまった為に逃げ道がない。

……やっぱり、そういう意味だと気分転換とかにもなってたんだよなランニング。

 

(とするとどうするか……。)

 

左右へと目線をやれば、幸福そうに。

或いは満足気に眠り続ける二人。

疲れもあってだとは思うが、起こすには忍びない位に熟睡中。

忍者がこれで良いのかと思わなくはないが……まあ、うん。

 

と、そんな折。

スウッと障子を擦り抜けてくる手先とともに見覚えのある髪色が視界に映る。

 

『お?』

 

俺が起きているとは思わなかったのか。

どういう理由かは分からないが、普段の通りに顔を見せたのはムラサメちゃん。

ただ、下手にこの距離で話せば声で起こしてしまいそうなので左右に顔を振って理解を求める。

 

『ああ……成程の。』

 

抱き着かれている現状を認めて、普段の話し方からも少しだけ声色を落とす。

実際声がどう聞こえているのかは分からないが、それで問題ないらしい。

そのまま少しだけ移動して、頭の辺りに座って話の姿勢を取る。

……いや別にいいけど。 寧ろ助かるくらいだけど。

 

『体調は?』

「全然平気。 ただ今はこうして動けないけど。」

 

囁く様な大きさでの会話。

内緒話としてするのに相応しいような様子で、少しだけ面白くすらある。

 

『まあ……二人の顔を見れば動けないのも分かるがの。』

「理解してくれて助かるけど俺としては何も言えねえ。」

男子(おのこ)じゃろうが、それくらいなんとかせい。』

 

そんな事言われてもどうしろってんだ。

二人を抱える覚悟はしても、物理的に身動きできないこの状態だぞ?

 

「……どうにかっていうか、起こすつもりはないんだけど。」

 

眠っている(と思う)二人が自分から目覚めるならともかく。

 

『まあ茉子はそろそろ目覚める時間じゃけどな。』

「余計なこと言わないでくれる?」

『ついでに言うならば最近は芳乃もこのくらいの時間には起きる努力をしておるぞ。』

 

……絶対面白がってるだろ。

余計なことを聞かされたせいで二人のことが気になって仕方なくなってきた。

 

『果報者じゃなぁ。』

「余計なこと言わなくて良い……それで、来た理由はそれだけか?」

 

ちょっとばかり苛立ちを込めて言えば、悪い悪いと口だけ誤り。

 

『今朝方、本殿の方に収めた欠片を確認してきたのじゃがな。

 念の為ご主人が持つ方と見比べておきたくての。』

「ああ……分かった。 ただ今はこれだし、学校に行く前でいいか?」

『無論。 ……しかし、茉子は平気か?』

 

……あー、そういや教科書とかどうするんだろうか。

2日連続で泊まっていたから確かに準備とか出来てないよな。

 

「……起こしたくないけど。」

『じゃが、茉子の為だぞ?』

「……仕方ないか。」

 

軽く揺するくらいで起きてくれれば良いのだが。

腕を動かし、彼女の身体を左右に振らせれば。

 

「…………ん。」

 

()()()()()()()()()()

腕を両手で抱き締めるように、胸の間へと巻き込まれて。

更に朝特有の生理現象が悪化した。

生唾を飲み込んで、そのまま大きく深呼吸。

 

「ごめん、これじゃ無理だ。」

『……何しとるんじゃ。』

 

俺じゃなく二人に言ってくれるか?

そんなふうに思いつつ、二人が目覚めるまで動けずに。

暫し、このまま。

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