恋心、想花の如く。   作:氷桜

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移動中、そんな一時?

*二人称+敬称でミスが続いてたので幾つかの話を修正しています。
*それぞれ「くん」「さん」がベースだったというね……。


<Chapter3-3-4>

 

<Chapter3-3-4>

 

「芳乃様と接した時に起きた静電気みたいな件ですね?」

「そんなところ。」

 

学校から出て町並みに入るまでのほんの少しの山道。

帰宅する生徒も時間帯をズラしたためか殆どおらず。

だからこそ、周囲に気をつけながらではあるが話をする余裕がある。

 

「昨日の山での出来事と全く関係ないとは思えないんだよな。」

 

昨日思い当たればよかった、と愚痴れば。

そういうものですから、とフォローが入る。

 

「……ただ、確かに私も疑問に思っていたことはあります。」

 

そんな中で。

押し黙っていた芳乃ちゃんが口を開いた。

 

「と言うと?」

「将臣くんや茉子にだけ見える、という糸のことです。」

 

糸。

石と石を結んでいるように見えた、或いは何かを介していたような繋がりが二つ。

吸い上げ、そして他の部分へと繋がる。

神社へと――――正確に言えば清められた結界の中に持ち込まれたことで霧散した()()

其処から考えるとすれば。

 

「俺としては呪詛を執り行った呪物の破片……或いはそれに類するものだと思ってるけど。」

「はい。 それ自体には賛成しますが……何方かと言えば()()()()()()()ですね。」

「と、言いますと?」

 

どう説明すればいいか迷っているようで。

常陸家よりもそういった資料に詳しい朝武家の一人娘として、説明するように口にする。

 

「茉子は分かってると思うけど……霊力と瘴気、呪詛は基本的に相反します。」

「ですね。 それがあるからこそワタシや芳乃様でないと祟り神に対抗できなかったのですし。」

「茉子の霊力は少ないとは言っても私と比較しての話。 普通に動けるだけはあるわけです。」

 

ああ、来た当初に少し聞いたな。

安晴さんが動けない理由の少し前だったような気がする。

 

()()()()()()()()()()()()()()わけですが……。」

 

……待てよ。

同じことを昨日俺も思ったし、二人にも告げた件。

それを彼女なりに深掘りした、ということか?

 

「それは……将臣さんが昨日言っていた?」

「そうね。 ムラサメ様や私に見えないことの異常……もそうだけど。」

 

視線が、俺へと向いた。

 

「将臣くんは以前にも似たような……穢れが体内に蓄積したことが有りましたよね?」

 

思い返す――――と言う程前の話ではない。*1

あの酷く落ち込んだ時の事だろう。

 

「ああうん、ある。」

「そこからの想像だけどね。

 元々霊力を持ち合わせない……或いは気付いていなかった将臣くんだからこその特徴。」

 

一息。

 

「酷く症状が出てるのは、()()()()()()()()()()()()()()()()()()、って。」

「……容量?」

 

どういう意味でだろうか。

そろそろ街中に差し掛かり始め、所々に住人の影が見え。

三人での声も自然と小さくなる。

 

「ムラサメ様は言ってしまえば全てが霊力の存在……っていうのは分かりますよね?」

「ああ、うん。 見える見えないがあるのもそういう事が理由だよね?」

「はい。 主に合体するのは叢雨丸に対してですが……将臣くんにもそれを行えないわけではないのです。」

 

覚えありますよね、と目線を向けられて。

頷いて返事にする。

昨日の薄ぼんやりとした最後の光景だけではなく。

時折やった方がいい、と彼女自身が言ってたまに行うあの行動だな。

 

「それで……何と言えば良いのか。

 感覚的な話なのですが、霊力にも()()()()()()()()()()()()()()()()()()みたいな感じの二種類がありまして。」

「容量が少なければ、必然的に穢れの影響も少なくなる――――と?」

 

恐らく。

そんなつもりで小さく頷く芳乃ちゃん。

 

……何となく、ゲームみたいだなと思った。

マジックポイントとして例えれば。

宿で眠って回復する量が基準。

それ以外のアイテムとかで一時的に増加できるのが容量。

但し、それは正負何方も受け入れてしまう欠点も併せ持つ。

 

「……そうなると、ムラサメちゃんの心配は正しかったってことか。」

「はい。 そしてその上で……となるんですが。」

 

それぞれに指を向ける。

俺、茉子ちゃん、そして志那都荘の方向。

今向かっている、祖父ちゃんのいる……レナさんと廉太郎が働く場所。

 

「恐らくですが、四人は何らかの理由で容量が多いのだと思います。」

「……何らか?」

「突然変異、と考えるよりは理由が付きやすいと思いませんか?」

 

それは……うん、そうだな。

間違いない。

 

誰か一人だけなら例外としても。

俺達二人が同じものを見ることが出来たのなら、恐らく廉太郎も同じものを認識できる。

それなら、昨日の体調不良や同じような静電気を引き起こした当人も似たような形と整理するほうが理由になる。

逆に二人が見えないのなら、それは山特有か――――或いは、俺と茉子ちゃんだけに何らかの原因があるわけだ。

 

「分かりました。 思い当たる節がありましたら報告します。」

「うん、お願い。」

 

堅苦しい話――――或いは余り表に出せない話はそこで途切れた。

周囲の人影が更に増えてきたのもあるし、二人を注視する視線が増えたのもある。

粘り気のあるような嫌な視線が一つだけ、誰かの背後から届いたような気がしてすぐに消え。

……背中に背負う、竹刀袋を一度担ぎ直す。

 

恐らくそれは茉子ちゃんも気付いたのだろう、同じように荷物を持ち直し。

渡したままの御守が風に揺れ。

護衛のような立場を以て、二人に付き従うように歩いて行く。

――――今は、まだ。

*1
<Chapter2-3-6>

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