恋心、想花の如く。   作:氷桜

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やっと見つけた手掛かりと。


<Chapter3-3-8>

 

<Chapter3-3-8>

 

結局四半刻(30分)位をそこで過ごし。

日が中程まで沈み、暗くなりすぎる前にと廉太郎と分かれた。

 

「……色々影響出過ぎだろ。」

 

そんな愚痴を零しながら、片手に吊るした紙袋が揺れる。

人影は何でもない平日ということもあり、殆どが消えていた。

……地元では全く考えられないよな、こういう光景も。

 

「ちょっと想像以上でしたね。」

「……今までもこうして隠してきたのかも。」

『有り得なくはないな。 何せ、時間は向こうの味方じゃったのだし。』

 

苦笑い、落ち込み、意見。

三者三様の言葉にだよなぁ、と呟く。

 

「でも、基本は朝武にだけ影響が出る筈だよな?」

「そうですが――――本腰を入れて調べる頭数も迂闊に増やせませんから。」

 

調べられる人数……真実を知る人数もそう多いわけではない。

そしてそれらはほぼ確実に朝武家の血筋に関わる人物。

影響を与えるのも容易だったと考えるのが自然か。

そうすると、やっぱり。

 

「……鞍馬家(おれたち)に影響が出始めたのは、やっぱり俺が起因だよな。」

「……ごめんなさい。」

「いや、謝られることじゃない。 俺が皆に謝らなきゃいけないことだから。」

 

今のように有地家……というよりは鞍馬家に波及している原因。

祖父ちゃんとは対照によるものかもしれないが、其処から血を伝いでもしたのか。

その内小春の様子も確認しないと怖い。

 

「……それで、将臣くん。 川辺に関してはどうしますか?」

「あー……次の休みとかのほうが良いかな。放課後すぐに行ってもいいと思うけど。」

 

どうする、と視線を向けて。

少し悩んだ様子で芳乃ちゃんは明後日にしましょう、と日時を指定した。

 

「休みじゃなくて大丈夫?」

「はい。 恐らく次の休みは忙しくなってしまうと思いますので。」

『巫女姫としては日常の祭祀も多いからのう。

 こうして芳乃がある程度自由に動けるのも安晴と芳乃の努力によるものじゃ。』

 

つまり、平日のほうがまだ動けるということか。

確かに休日でもなければ穂織の外、とかの外出も難しくなるしな。

長時間掛かる祭祀は休みしか取り掛かれない現状、芳乃ちゃんにとって休みは休みではない……と。

 

「手伝えることがあったら言ってくれ。 精々力仕事とかくらいになると思うけど。」

 

現状神職として何をすれば良いのか、とか全く分からない。

その内安晴さんに相談して勉強させて貰おうかな……。

雑用だとしても将来の役には絶対立つ筈だし。

 

「……そうですね。 お願いできることがあればそうすると思います。」

 

ふわりと笑ったその顔に見惚れて。

ああ、うん。

そんな曖昧な返事をしたのに茉子ちゃんが嫉妬したのか。

片手の……紙袋側の手を取って、少しだけ先に歩き出してしまい引っ張られる。

 

「え、ちょっ」

「ワタシも構ってくれないんですか?」

 

そんな悪戯っぽい笑みを浮かべて。

 

「ちょ、ちょっと茉子。」

「芳乃様だってそういうことしたんですよ?」

 

珍しく年相応な女の子同士の会話。

先に引っ張る茉子ちゃんに、慌ててもう片腕を掴もうとする芳乃ちゃん。

俺が間に挟まれているという部分を除けば心が跳ねる。

……いや、俺以外が間にいたらちょっとどころじゃなく嫉妬してた気がするが。

 

『何をやっとるんじゃ……。』

 

呆れた口調で見ているムラサメちゃんもいるわけだが……。

俺の頭から離れない時点で似たようなものではなかろうか。

口には出さない、絶対に何かしら言ってくる。

 

「あれ、お父さんから?」

 

そんな行動を遮ったのは。

芳乃ちゃんの携帯電話に届いた、聞き覚えのあるメロディー。

電話ではなくメールかメッセージか、それに類するモノ。

画面を見て、一瞬顰め面をしたような――――気の所為か?

 

「…………ごめんなさい、将臣くん。」

 

そして、ほんの少し溜息を吐いて謝罪を口にした。

……え?

 

「一体どうした?」

「芳乃様? ……まさか。」

 

疑問、何か思い当たること。

そして俺に対して?

 

「お父さんから。 ()()()()()()()から客が来てるから、まだ帰ってこないようにだって。」

 

深い深い、『もう嫌だ』という感情が滲み出た言葉。

帰るための家から距離を取らなければいけない、ということになってしまった時間帯。

 

「何度目ですか……。」

「さあ。 私が覚えてる限りで3回か4回……はっきり断れない間柄っていうのもあるみたいだけどね。」

 

二人が愚痴を言い合う中で。

何かに、微かに指が掛かった。

 

……昨日から今日に掛けて起きている事象。

昨日俺が倒れた後で実験したとかしないとか言っていた何か。

穢れの起こす悪意。

それらは全て巡り巡って土地を穢し、血を絶やすために動いているとするのなら。

それが今の――――芳乃ちゃんへの婚約騒動で疲労を蓄積させるという行為とするのなら。

 

「……まさか。」

 

ぽつり。

漏れた言葉を彼女達は逃さない。

 

「将臣さん?」

『ご主人?』

 

結界で全て消えたわけではない。

無理矢理に追い出され、散った瘴気が各人に――――影響を引き起こしたとするのなら。

俺達のような特に影響が強かった人物に対しての理由は不明としても。

 

「……芳乃ちゃん。 多分疲れてると思うけど、帰ったら俺達も一度お祓いしてくれる?」

「え?」

『いや、ご主人。 吾輩なら……。』

 

違う、多分()()()()()()()()()()()()()()()

 

「水垢離も、霊力でもある程度は引き剥がせるとしても……。」

 

俺の考えが正しいのなら。

 

()()()()()()()()()()()()こそが、必要なのかもしれない。」

 

呪っている相手が、朝武家の先祖であるからこそ。

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