恋心、想花の如く。   作:氷桜

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新規Chapter。
原作から突っ走り始めてる話。
多分主題になるのはムラサメ√とか混じり?


<Chapter3-4>
<Chapter3-4-1>


 

<Chapter3-4-1>

 

翌々日。

 

茉子ちゃんが風呂場に突撃してくるトラブルから2日が経ち。

漸く落ち着きを取り戻し始められた日であり。

時間を作ってくれた芳乃ちゃんたちと川辺へ向かうことになっていた日。

 

「ん~……?」

『今度は何に悩んでおるのじゃ。』

 

外は生憎の雨模様。

太陽も若干の曇り空に消えている。

大丈夫か心配ではあったが、ランニングの途中で降り始めたために慌てて帰ってきた形。

元々降る予定は無かったはずなので午後には止んでいる事を祈るしかない。

 

「ああいや、前にムラサメちゃんには説明したろ? 写真のこと。」

『写真……ああ、その前の箱で管理するとか言っておったやつか?』

 

箱って。

まあそういう風に捉えたくなる気持ちも分かるけど。

風呂上がりだからか、未だに残る若干の湯気が消えない。

一日に何度も入る贅沢に慣れ切ってしまわないように気をつけないと。

 

「パソコンな。 隙間を見つけて撮るようにはしてるんだがこれで良いのか迷うんだよ。」

『おお、そうじゃそれそれ。』

 

普段よりも早い帰宅だからか、朝食まではそれなりの時間がある。

キッチンの方からは茉子ちゃんの口遊む歌が。

本殿の方からは何も聞こえないが芳乃ちゃんがいるはずだ。

眠気に弱いはずなのに(実際何度か寝過ごしてもいるけれど)朝に目覚める努力を続けている。

だからこそ、俺も朝一から休んでいるだけと言うのはどうにも肌に合わなかった。

 

「ひょっとすると、俺の目線と観光客の視点って違うかもしれないしな。」

『視点の違いのう。 まあ確かに住まうモノとは別口じゃろうとは思うが。』

 

ふわりと少しだけ浮きながら移動してくる彼女を横目で追いかける。

肩口に手を載せ、顎をその上に乗せて。

後ろから覗き込むように、そして俺へ触れるように画面を覗き込む。

 

……昨日くらいからか。

少し前に比べて、接触する頻度が増えてきているように感じていた。

だからといって何かが変わるわけでもないのだけど。

 

「ほら、今まで俺が撮ってきた写真。」

 

無論携帯で撮ったものだし、それに俺は素人だ。

手ブレやらそもそもの構図が余り良くないという指摘される場所は幾つもある。

ただ穂織に住んでいる人間なら何処なのか、と言うのは分かる最低限度の写真でもあり。

 

『ああ……これは街中から四方を写したのか?』

「流石に見える範囲でだけどな。」

 

街並みの家々の間から。

或いは高所から山々を、その逆に街並みを。

幾枚も撮ってきて改めて思うことがある。

 

「で……やっぱり休日含めて徐々に観光客が減ってる気がする。」

『ああ……連休?と言うんじゃったか? 続けた休みでも、じゃよな。』

「ああ。 いや春祭りの際の人手がおかしかったって可能性もあるけど。」

 

そういうわけでもない、と口にする。

……確かに数百年近くは穂織を見守ってきているらしい少女だ。

人の増減に関しては比べることも容易だろう。

 

『確かに言われてみれば、此処最近は余り外つ国の者は見なくなってきておるからの。』

「芦花姉の店も一足減ってたし、廉太郎も色々言ってたけど。」

『うむ。 当初からその問題点に気付けている分有能じゃとは思うぞ。』

 

まあ極短期間だけ、とかそういう流れの際に動いてしまう危険もあるが。

俺が穂織に来てから早数ヶ月、それで気付くのだからペースとしては相当早い。

危機感を持つのもまあ当然――――それは、無論俺もだが。

 

「やっぱり問題は春祭り……か?」

『……というより、言ってしまうのなら叢雨丸の儀式じゃろうな。』

「ああ……。」

 

英国とかなら似た伝説だってある。

それが失われたのならその分客足は当然減る。

似た伝説の部分を強く前に出すのなら、という考えはあるけれど。

それを認める知り合いがどれだけいるのか。

 

「なあ、ムラサメちゃん。」

『うむ?』

「叢雨丸を再度イベント……祭りに使うのってどう思う?」

 

そうじゃなぁ、と重みを増した。

肘が背筋に当たって地味に痛い。

 

『その利用方法にも依るが、元々が神刀……信仰心を糧に変える刀じゃ。

 余りにおかしい事でもなければ構わんとは思う……が。』

「が?」

『先ずは呪いの完全な排除が優先じゃ。

 それに加え、()()()()()()()()()()()()()()という問題にもなる。』

 

へ?

刀自体が認めるかどうか?

 

「悪い、どういうことだ?」

『前にも言っておるが、吾輩は叢雨丸を護る立ち位置にある。

 元は人であるからこそ、こうして主とは接していられるとは思うのだが。』

 

付喪神という存在は知っておるよな?

そんな言葉を口にする。

 

「長年大事にされたものが意思を持つ……ってアレだよな?」

『うむ。 叢雨丸もそれに近い。』

 

正確に言えばその意思を感じられるのはムラサメちゃんだけらしい。

……それもそうか、言ってしまえばムラサメちゃんも芳乃ちゃんに近い。

()()()()()()()()()()()()()()()()、と言い換えることだって出来る立場なんだ。

 

『実際、ご主人のことは認めておるよ。 無論吾輩もそうだが。』

「お、おう。」

 

こうやってたまに感情をストレートに伝えてくるからやりにくい。

相棒、ではなく女の子、として見たらどう思うか。

出来るだけ考えないようにしていた。

 

『だが、全ては呪いを祓ってから――――先祖代々の呪詛を断ち切ってからじゃ。』

「考えるにしてもそれから、ってか。」

『吾輩も少し考えてはみるがの。』

 

……ま、もう少し考えを熟成させてみるか。

 

そこで話は打ち切られ。

朝食のために声が掛けられるまで。

パソコンの画面を、二人で眺め続けていた。

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