*気付けば32万字、130話超えても読んでくれる方々に感謝。
評価とか増えると嬉しいけどまあまだ中盤くらいなのでのんびり続けていきます。
<Chapter3-4-6>
実際に自分で見て分かった事が一つある。
集中する、或いはそれを見るだけで明らかに疲弊している。
肉体というよりは精神……神経だろうか。
頭が重く、目の奥に鈍い痛みがある。
耳の奥できぃんと高音がする。
つまり、穢れに憑かれやすい状態へと陥ってしまうと言うことだ。
(多分これ、山で変な状態になったのは疲弊もあったんだな……?)
そんな当たり前のような事実を今更に認識した。
だから、というわけではないが複数個の回収を一日で行う事は辞める事にした。
そして、今。
「……大丈夫ですか?」
「疲れてるだけだから……どっちかと言うなら凄い恥ずかしい。」
前と同じように膝枕をされている現状がつらい。
正直顔を覆いたいくらいだが、額に芳乃ちゃんの手が置かれていてそれをするのも出来ず。
自分以外の体温と合わせ、何かが染み渡るような感覚から拒否することも出来ない。
何だこの辱めは。
「それくらい受けて当然なんですよ~。」
『全くじゃ。 いつもいつも勝手に動きおって。』
中に仕舞われた二つの欠片を太陽に透かして見ている茉子ちゃんとムラサメちゃんの言葉。
いや悪かったとはほんのちょっと思ってるけどこの刑罰はまた何か違わないか?
「実際俺が動く以外選択肢無いだろ……?」
正直な話、副作用(という言い方が正しいかは別として今はそう呼ぶ)の事を考えるとだ。
どんな影響が出るか分からない以上、直接芳乃ちゃんに触れさせる訳にもいかない。
狙っている対象に直接影響を与える
それを逃す程甘いとは到底思えない。
「ワタシでも良いんですよ?」
「いやぁ、それもな……。」
そしてもうひとりの候補である茉子ちゃん。
芳乃ちゃんに比べれば呪詛の効能は薄いとはいえ、霊力を持ち呪いを引き継ぐ身。
結局影響が出る可能性は否定できない。
まあ何より、俺が触ってほしくないという思いが強いのは否定しようがないんだが。
『まあ、それは良い。 どうせご主人の妙な拘りのせいじゃろ。』
「妙とは言ってくれるな……。」
『しかし茉子よ。 何か見えるか?』
おい、無視するな。
彼女に触れる為に動こうとしても。
「将臣くん。 今は動かないでくださいね。」
「あの……。」
「
額上の手が圧を掛けてくる。
言葉も強く、笑っているのに笑っていない。
……逆らえずに小さく返事をするだけに留まる。
くすり、と笑う声が二つ。
「そうですね~……。」
からんからんと何度か揺らす。
そもそもあれは何が砕けた破片なのか、それさえも分かっていない。
分かっていることと言えば。
刺さりそうな程鋭利で、小さく、数十個近くに分かれていること。
そして恐らくは祟り神の発現要因に関わっていることだけだ。
「瓶の外側から入ろうとするのは防げてるみたいです。」
儀式を以て呪物を祓う。
普段から行っている鎮魂の儀式の際に破片と共に置かれた小さな瓶。
実際に効果があるのかどうなのかは半々くらいのつもりだった。
……そもそも学校に持ち込むのはどうなんだ、というのはあったが。
幸いなことに影響を及ぼしたりするわけではなかったらしい。
近々連休に入ったら学校も囲って浄化したい、とは芳乃ちゃん談。
まああの瘴気は未だに漂っているわけだから、気持ち悪さを感じるのは俺もだし。
『内側からはどうじゃ?』
「今は見えませんね……多分
『ふぅむ……ご主人はやはり何方にも影響されやすいのじゃなぁ。』
そんな言葉が聞こえる。
茉子ちゃんが普通の状態で見えていない、と言うのは一つの基準になると思う。
集中することが必要になるのなら、単独での調査は危険すぎて絶対にできない。
仮に俺以外が調べる必要性があったとして、そのサポート要因も必要になるわけで。
最低でペア……時間調整も更に必要になる。
が、今はそんな事はどうでもいい。
「影響されるのが悪いのかー?」
バカにされているような気がしないでもないので言い返すほうが大事だ。
子供っぽいとは言え、彼女に対してはこれくらいで丁度いい。うん。
『誰もそんな事は言っておらぬよ。 ただ再確認と言った所じゃ。』
「将臣くん、大声も出さないでくださいね。」
ムラサメちゃんからの否定。
そして芳乃ちゃんからの指摘。
声まで咎められてどうしろというのだ。
「あの……話さえも出来なくないか……?」
「出来ますよ? 私となら。」
「いや欠片見てるの向こうの二人だよな!?」
「将臣くんは今疲弊してるんですから。 余り考えすぎても仕方ないですよ。」
いや、そう言われても二人の事なんだから出来得る限り早く解決の道筋が欲しい。
一分一秒でも早く解決すれば、その分新しいことへと動き出せる。
それ自体が焦りだと言われれば、否定できる要因はないけれど。
「…………なんていうかさ。」
「はい?」
何を言っても返されると思って、一言だけ言わせてもらうことにした。
「妙に
「将臣くんのこと、大事にしたいのは間違いないですから。」
…………。
結局何も言えずに、腕で目を覆った。
くすくすと聞こえる笑い声と。
額の上の手の温もりが離れるまでの間。