恋心、想花の如く。   作:氷桜

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やっとメインヒロインが出揃った……。
原作と変えてるシーンです。 見比べるのもいいんじゃないでしょうか。


<Chapter1-2-4>

 

<Chapter1-2-4>

 

 

「…………ん、ぁ?」

 

気付けば、床の上で横になっていた。

先程の衝撃の影響……は全く無い。

一体何をどうやったのかはわからないが、あの一撃で綺麗に意識を失わされたらしい。

 

「……あ、起きられましたか。 良かった。」

 

覗き込むような格好の、見知らぬ少女。

文字通りにホッとした感じで、顔色が明らかに良くなった。

後頭部に感じるのは座布団みたいな感じとは違い、人肌の温かさが確かにあった。

……この体勢って。

 

「後遺症は有りませんか?」

「それは……はい。」

 

頭を抑えながら起き上がり、彼女へ向き直れば。

申し訳無さそうな顔をしたまま、もう一度頭を下げた。

 

「申し訳有りませんでした! ワタシも焦ってしまって……!」

「ああ、いや。 もうそれは大丈夫、です。 寧ろ……有難うございます?」

「お礼を言われるのは……何か違う気もするのですが。」

 

苦笑を浮かべる。

先程の顔よりも、今の……半笑いに近い表情のほうが似合っているように思えて。

そして、銀髪の近くの黒髪の少女という符号を当て嵌めて。

ただの偶然だろう、と思いながらこの妙な雰囲気を吹き飛ばす。

 

「親からは『礼はきちんと出来る人間に育て』と言われたきたもので。」

「それも、何か違いませんか?」

「まあ実際……まあ、はい。」

「思い出さないで下さいね? ……その、流石に恥ずかしいので。」

 

それは難しいんじゃないかなぁ。

少なくとも暫くは忘れられない出来事だと思う。自分の中では。

 

「それで……朝食ですけど、食べられますか?」

「あ、はい。 それは勿論。」

「……良かったです。 当身を()に使うのは初めてでしたので。」

 

……手慣れているように見えたのだけど。

まあ、普段使いどころがあるわけもないか。

やった行動からしてどう見ても忍者だけど。

 

「改めまして。 ワタシは常陸茉子と申します。 芳乃様の付き人と言うか……ずっと昔からお仕えさせて頂いております。」

「有地将臣です。 詳しいことは……まあ、さっき説明したとおりですかね。」

「はい、宜しくお願いしますね? 有地様。」

「此方こそ。 その、ところで質問してもいいですか?」

「はい?」

 

時計を見れば、多分意識を失っていた時間は10分位。

世話全般をしているということは、だけど。

 

「その……朝食とかも常陸さんが?」

「はい、そうですね。 本来の役割としてはお世話というよりも、護衛が本業なのですが。」

「……護衛?」

「時代が違えば土地を治める家の姫君ですからね、芳乃様は。」

 

ボディーガード……みたいな感じだろうか。

ただフィクションで描かれる忍者と違って、実際の「草」は情報収集や撹乱とかに特化した感じだったはずなんだけど。

 

「ええと……直接聞いていいか迷うんですけど。」

「はい?」

「さっきの丸太といい、苦無といい……忍者、とかいうやつだったり?」

「あ、そうですね~。 変わり身の術、って言ったほうが良いでしょうか?」

 

マジかよ。

実在したのかよニンジャ。

 

「花蝶扇って知ってます?」

「あは。 隠し持てるサイズに見えます?」

 

にっこり、と。

……笑顔が怖いです。

 

「まあ、冗談とかだとは思ってませんけどね。」

 

あの行動といい、変わり身の術といい。

普通の娘じゃないのは目に見えて明らかだったから。

互いに小さく笑ってから、彼女……常陸さんも、時計を見た。

 

「さぁて、と。 準備始めますね。」

「楽しみにしてます。」

「ちょっと自信ありますから、楽しみにしてて下さい。」

 

笑顔を残し、立ち上がりキッチンへ。

その後姿を見送って。

結局行えていなかった、洗濯をしに洗面所へもう一度。

 

(なんと言うか、一日で大分ユーモラスな生活に変わったなぁ……。)

 

ただ――――。

何でだろう。 前のような生活よりは、少しだけ。

楽しみが増えたような、気がした。

 

「……………………。」

 

食事時の、異様な空気の重さを迎えるまでは。

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