恋心、想花の如く。   作:氷桜

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その日の午後。(1)


<Chapter4-2-8>

 

<Chapter4-2-8>

 

その後、汗を流して朝食を取り。

言われるがままに倉庫での力仕事……場所移動などを済ませていく。

二人以上が必要だろう大型なもの。

或いは冬に使うのだろう火鉢などなど。

取り出しやすく、且つ普段は迷惑にならない位置に納めていけばすぐに昼。

簡単に済ませたそれらを終えて一段落し。

朝方に相談していた内容へと、漸く移ろうとしていた。

 

――――しゃん。

――――しゃん、しゃん。

 

「茉子、此処は鈴の音は一回。」

「は、はい。」

 

二人が巫女服姿で舞う中で。

端の方に二人で座りつつ、今時点で出来る話を進めている。

 

「……ってわけで、最低限の協力は要請してきた。」

『ふむ。 実働があの二人ということになるのかの。』

「どうだろうな……もう少し変化があれば俺達も動けなくは無さそうだが。」

 

ムラサメちゃんが何をしていたのか、と思えば芳乃ちゃんに付いていたと。

ちょこちょことした要件、案件。

()()()に奉納、記入しないといけないことまで。

学生という身分ではなく、巫女姫という身分で対応しなければならないこと。

その幾つかに助言をしていた……ううん、こういうのは悪いんだが。

 

()()()()()()()()()……って言ったら怒り狂うよなぁ。)

 

ちらり、と視線を横に向けた。

 

『おいご主人。 今何か奇妙なこと思わなかったか?』

「いや何も。」

『本当か……?』

 

そんなジトっとした目で見られても回答は同じだ。

絶対に口は割らないからな。

 

「話戻すぞ。 先ず何処から手を付けていくべきだと思う?」

 

多分俺達以外から見ればバレバレな話の変更。

ただ、それを否定するのは彼女自身からしても難しい。

ぐぬぬ、と表情を浮かべつつもそれに追従してくる。

 

『先ず……そうじゃなぁ。

 呪いにしろ約定にしろ、時間がかかることは確実じゃろう?』

「だな。 どっちも具体的にいつまでってのは言い切れないし。」

 

ただ、大まかな目安と言えなくもないリミットは存在している。

二人の何方かが倒れる程に、耐えきれなくなる程に蝕まれる兆候が見えればアウト。

多分安晴さんは家を遺すために全力で行動を始めるだろう。

或いは穂織が完全に見捨てられ、観光客が一定数を割ってもアウト。

徐々に減っていっているだけに、早めに対応しても結果が出るまでに時間が掛かる。

だから、『早めに』としか言えないわけだ。

 

『吾輩としては呪い7:約定3……或いは8:2か? それくらいで考える。』

「結局それくらいに落ち着くよな……とは思うが、一応理由聞いていいか?」

 

ほぼ同意。

ある程度道筋が見え始めている解呪と、始まりの一歩を踏み出し始めた穂織全体に対する活動。

特に後者はこれから話を通したり意見を集めたりと活動を活発化させる部分だ。

恐らくは俺達の親世代……つまりは経営者世代は会合を幾らか持っていると予想してるが。

俺達世代としては意識が何処まで有るのか。

廉太郎だけが危惧し続けているわけではないと思うけれど。

 

『はっきり言えば危険度の差と現状を見据えてじゃな。

 万が一の時のことと、もしそうなれば自分の我儘と家のこと。

 ()()()()()()()()()()()()()?』

「ああ……だよな。」

『じゃから優先度を上げるべきだと思うのだ。

 ……ああ、無論二人には告げるなよ?』

 

視線だけを向こう側へ向ける。

手首の傾け方、足の運び方。

幾らかは真似出来ていても、恐らくは儀式として重要な部位は言われなければ分からない。

俺も周囲の変化を身を以て味合わなければ全く分からない、そんな微細な事を指摘して。

舞をもう一人に叩き込む、家にその身を捧げた一族の末裔。

 

――――解決できなかったら、と思うと浮かぶこの瘴気にも似た黒い感情。

出来る限り考えないようにしながら、頷いて返す。

 

「当たり前だろ。 …………俺だって嫌だし、怒るに決まってる。」

『じゃよな。 ……悪いの、ご主人。』

「いや、認識は同じで助かった。」

 

俺が言い難い言葉を口にしてくれた、という意味合いで深い礼を。

元々代え難い相棒ではあったけれど、その気持ちは増す一方だ。

 

「廉太郎とレナがどう動いてくれるかにも依るけど……。

 基本同級生には彼奴等からのほうが良いだろ。」

『上から言うよりは下から、じゃな。 ……ん?』

 

今何か違和感があった気がする、という顔。

一度目は見逃されたが二度目は駄目だったか?

いや別に呼び方変えたくらいでなにかがあるわけでもないし。

有るとしても、彼女とは()()()()くらいで落ち着きそうなもんだけど。

 

『ご主人。 今あの外つ国の者を呼び捨てにせんかったか?』

「仲間だから呼び捨てにして欲しいって言われてな。

 特に否定するようなことでもなかったからそのまま受け入れた。」

『な、何じゃとぉ~~~!?』

 

……そんな大きな声出す事か?

ほら、向こうの二人も動きを止めて此方見てるし。

 

『なんで吾輩がちゃんで向こうが呼び捨てなんじゃ!?』

「あ、そこ?」

『他にあるか!』

 

って言ってもなぁ。

見た目からしてもそう呼ぶのが相応しいと思うんだが。

……まあ、口にするのも忍びないか。

 

「じゃあ……なんだ、()()()()?」

「ぐっ…………うぅ…………。」

 

おい、そこで顔を赤くするな。

対応に困るし……。

 

「「将臣さん(くん)?」」

 

ほら、向こうの二人が睨んできてるじゃねえか。

小さく、溜息を漏らした。

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