<Chapter4-2-9>
笑顔で睨んでくる二人に平謝り。
ついでに何故そんな状態になったか、についてまで話をすれば。
笑顔の圧が更に増し、怒る側が三人に増えた。
……いや、それは理不尽じゃないか?
「……この人本当に分かってます?」
『分かっておらんと思うがなぁ。』
「妙なところで勘は良いんですけどね~……。」
あの。
勝手に三人で話をしているが、言わせて欲しい。
「其処まで言われるような内容でもないだろ!?
ムラサメちゃんだけならまあ分かるけど!?」
『戻ったな。』
「戻りましたね。」
……惚れた方の負け、とは言うけれど。
どっちもどっちな以上、俺は彼女達に勝てないってだけなのだろうか。
はぁぁ、と深い深い溜息を漏らす。
「……まあ、このくらいにしておきましょうか。
将臣くんも多分分かっていないわけではないでしょうし。」
「あの、芳乃ちゃん?」
「なんですか? 因みに私も言いたいことはありますけど。」
……何故だ。
口を閉じ、目線を下げれば。
小さく息を吐き、練習は此処までだと改めて全員に伝える。
「……気が抜けてしまいましたもんね。」
「ワタシももうちょっと細かく練習したいです。」
「通しで学んだほうが茉子は覚えられると思うけど。」
わいわい、がやがや。
女三人が寄れば姦しいとは言うが、既に聞き慣れた。
穂織に来てからというもの、女性が多いこの状況には慣れてしまったので。
『さて、二人共。』
そんな愚痴と雑談と。
休憩のような時間を挟んで数分後。
ムラサメちゃんは改めて二人に声を掛けた。
『改めて連絡しておくが……暫くは今までと変わらずに動くぞ。』
「そうですね……道程がやっと見え始めたところですし。」
『ただ、呪いからの解放……にも当然幾つか問題が有る。』
気付いておるよな、と俺に視線を向けられる。
いや二人に聞いてるんじゃないのか?
なんとなく思いつくことはあるから、その通りにするけど。
「アレだろ。 欠片っていう切掛は見つかったが
今の時点で何個か。
脳内でたまに考えていたことでは有るけれど、そもそもの大枠が分からない。
実際組み立てて確認するにしろ、三次元的な……立体パズル。
それも何処が張り付くのかの情報も足りてない状況。
だからこそ、終わりが全く見えていない――――それ自体が問題。
『勿論それもそうだ。 だが、もう少し問題が有る。』
「問題……?」
ああ、と口にして。
此処暫く対応できているからこその問題だと言い放つ。
『現状仕方のないことでは有るのだが、向こうの好きに振り回されている。』
堂々と。
今までの基本となっているその事を言葉にする。
「……ムラサメ様。 それは。」
『分かっておる。 現状……いや、今までそれでしか対応できていなかったというのはな。』
当然のように言葉を挟む芳乃ちゃん。
ただ、その返答を見通していたかのように話を続ける。
『ただ、それに
――――浮かぶのはついこの間。
儀式をする前日に現れ、そのまま疲労を引き摺る事になった。
あのときも確かに思った。
そして、若干無理を押してでも何とかした。
これがずっと続けば、恐らく根本的な部分で何かが折れる。
彼女は大きく手を振りながら、そんな言葉を熱弁する。
『故に、吾輩としては一つ
「……実験?」
『うむ。 駄目で元々じゃし、負担も出来る限り削減しての。』
隣の茉子ちゃんと顔を見合わせた。
そんな手段が元からあるなら実行しても良かったのでは、と。
思う気持ちが当然に浮かぶが。
「ムラサメ様。 その実験というのは?」
『ああ。 駒川の者にも色々と調べてもらっている筈だし、その協力もいる。
……吾輩を含め、全員が協力する必要性が有る。』
そう前置きをして。
『確か、ご主人が見つけた川の破片はまだ幾つかあったはずだな?』
「ああ……それにこの間の祟り神のも川に沈めたままだ。」
『そちらは後……出来れば山より離れた場所で試したいのでな。
……何をするかと言えば単純での。
……。
…………。
「「「はぁ!?」」」
異口同音に声が重なり。
きぃんと、神社の中で声が広がり。
耳鳴りでもするかのように、両手で耳を抑えた少女が一人生まれた。