恋心、想花の如く。   作:氷桜

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”どうやって”?の前段階。


<Chapter4-2-10>

 

耳を塞いでゴロゴロしているのを眺めつつ。

三人で見合ってしまった。

 

「……なぁ二人共。 多分考えてることは同じだと思うんだけど。」

「でしょう、ね。」

「それが出来るなら……いや、して何が変わったのかというのもありますか。」

 

そうだ。

最初からそれが出来るならしても良かった。

にも変わらず今になって言葉にする理由がわからない。

それを聞きたいんだが……。

 

『ぬおおおおお…………!』

「駄目そうだなぁ……。」

「ですねえ……。」

 

そんなに煩かったか。

まあ耳元で三者三様に声を上げれば似たような反応になる理由も分かるが。

そんな転がる程か。

 

「少し待ちます?」

「なら、一旦三人で考えてみないか?

 出来る出来ないは置いておいて、実際に呼び出せたらどう変わるか。」

 

俺達全員にも負担を掛けると言っていた。

つまり、何かしらで動く必要性が有る。

なら何が変わるかを推測しておいてもいいよな?

 

「……ですね。」

 

それを受け入れる意見が巫女姫様から出た。

リミットはムラサメちゃんが復活するまで。

だからまぁ、長くて五分も見積もればいいだろう。

 

「ならまずワタシから。

 ……呼び出せて変わるのは()()()()()()です。」

「一番手堅いところ来るね。」

 

優位性。

常に攻められ続けている、という状態をひっくり返せる。

此方が楽な時に攻め、相手の瘴気というリソースを枯らす。

或いは其処まで行けなくても動けなくさせる。

時間は相手の味方だが、短期的に見れば此方の味方の事もある。

 

「私としては……他にも協力する、って話があったし。

 ()()()させられるんじゃないかなぁ、とか思うんだけどどう?」

「ああ……結界、と言っても神社のを利用しなければいいですからね。」

「有用かは別だけど。」

 

弱体化。

駒川……みづはさんのような研究者に頼んで小さい結界で取り囲んだりか。

侵入できないとかではなく、単純に他の欠片と()()()()()と考えても良い。

多分、それだけで一気に楽にはなる。

 

「俺として……大体言われちゃったな。

 そうだな、()()()()()()とか?」

 

これ自体は生かせるとは全く思っていない手段。

ただ、しようと思えば出来てしまう行為。

 

「……無理、ですか?」

「そう。 ……どう説明していいか分からないけどさ。

 一つの欠片からじゃなく、複数の欠片から一つの祟り神を呼べる。」

 

最後の最後、時間が足りなくなった時に掴める藁の一本。

祟り神を全て現出させ、それを祓うことで終わらせる。

直ぐに瘴気がまた宿りそうな気もするが、一時的にでも終わらせれば順番に片付ければ良い。

今考えるべきなのは、ずっと積もり積もった悪感情の浄化なのだから。

 

「将臣くん、それは……。」

「いえ、芳乃様。 今までではそんな事も考えられなかった、というのが大事なんです。

 そういう手が取れる、というのと取りたくても取れない、では雲泥の差がありますから。」

 

……芳乃ちゃんと茉子ちゃん。

得て来た知識と考えの差。

否定的と肯定的、まあある程度予想通り。

 

「俺もそんな手段最初から取ろうとは思わないよ。

 ただ、そういう可能性を込で考えられるっていうのは大きくないか?」

「…………なんだか、二人で通じ合ってるみたいですね。」

 

可能性を握っておく、という事を説明すれば。

拗ねたように細目で俺達をジーッと見つめる。

……こういう時に獣耳があったりすれば猫みたいだよなぁ、と時々思う。

勿論呪いの象徴に過ぎないから、無い方が良いけど。

あっても可愛く見えてしまうのは……なんだ、卑怯。

 

「そうです?」

「そうなの!」

「まぁまぁ。」

 

理解していない茉子ちゃん。

それに反発する芳乃ちゃん。

二人を……というより芳乃ちゃんを落ち着かせようとする俺。

そんな風に構っていれば、ジーッと見つめる目線が俺へと移る。

 

「…………今度は何?」

「……何だと思います?」

 

何も言わずにジーっと見つめられる。

……その理由に気付いたように、苦笑を浮かべる茉子ちゃんが見えて。

ひょっとして、と思ってしまったこと。

 

彼女に、手を伸ばす。

頭……頭部、時折獣耳が見える位置辺りに触れ。

綺麗に櫛などで梳かされているのだろう、撫でる。

……すっごい恥ずかしい。

 

(でも、なぁ。)

 

それが正解、とでも言いたそうに。

されるがままに身を任せて来た。

……いや、色々不味くないか?

汗と混じって、不思議な甘い匂いもするし。

だが、離そうとすればまた同じような目で見つめられ。

 

結局、それから解放されたのは。

ムラサメちゃんが立ち直り、俺達に食って掛かってくる頃だった。

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