新作出ましたが前作と合わせて遠縁で繋がってるのもありそうなので使えそうな部分を組み込んでいきます。
<Chapter4-2-11>
『耳元で叫べばどうなるか程度予想が付くじゃろう!?』
「いやぁ……」
「そうは言ってもですねぇ……」
うがー、と八重歯を剥き出しにして怒り狂うムラサメちゃん。
とは言え、そうされる側にも原因があると言っては駄目だろうか。
口にしたら火に油を注ぐ予感がプンプンしつつ、そんな感情に引っ張られそうになる中。
二人は顔を見合わせながら、言葉を選んでいるのが目に見えて分かった。
「一言だけ言わせて貰うなら、明らかに言い方が間違いだったと思うぞ俺は」
だからこそ、踏み込んで俺が一言伝える。
他の誰が言うよりも角が立たず、そしてそれを汲み取ってくれると信じて。
手段自体は間違ってないし、確認しておく必要性は先程の二人の話でも挙がってきた。
つまり、それ自体の重要度は全員が認識している(或いは認識
ただ、今まで行ってきたのは全て対処的な手法。
受け身でしか無かったのは事実で、それを歯痒く思っていたのは関係者全員だと思う。
それが、一転して此方が少しだけ優勢に立った。
解決する為に関わっているだろう物品……欠片を見つけることが出来た。
とは言っても、心の何処かで恐れが有るのは変わらないはずだ。
その辺りの気遣いがほんの少しだけズレていたのかね、というのが個人的見解。
『……そうか?』
「多分な。 まぁ、そうなる気持ちも全員分かってるからこそ強くは言えないけど」
そして、そういった感情を……気持ちを誰が強く持つのかといえば。
当事者である芳乃ちゃんや茉子ちゃんに負けずとも劣らないのはムラサメちゃんの筈だ。
こういう事をはっきり言葉にするのは余り好きではないが、俺が関わったから一歩進んだ。
より正確に言うなら、叢雨丸の力が利用できるようになったから。
霊力と呪力……相反するモノを取り込む素養があってしまったからこそ。
話が前進してしまった。
だからこそ、その考えが前のめりになるのか後ろ気味になるのかは当人の考え方次第。
代々、声が届くにしろ届かないにしろ。
その末路を見届けてきたのは間違いないのだから。
その気持ちは、間違いなく彼女の内側で熱を発し続けている。
「んんっ」
変な方向に向かいそうになった会話を遮って。
喉を鳴らしながら視線を自分に集めたのも、それらを踏まえた従者としての立場を持つ子。
つまりは茉子ちゃんだった。
「話を戻します。 此処は……そうですね。
ぶれいんすとーみんぐ……とか言うんでしたっけ?
ああいう状態として考えるのはどうでしょう?」
指をぴん、と一本立てながらの言葉。
ぶれ……?と首を捻るムラサメちゃんを他所に、脳内を検索。
あー、何だっけ。 聞き覚えはある……あ、思い出した。
「考えを否定しないで意見を集約する会議とかのやり方だっけ?」
「確かそんな感じです」
数を集める、という意味では有用。
考えられる事柄や少し発展した話なんかを擦り合わせる事もできる。
……確かに、ちょっと考えてみると今の状態に対しては効果的かもしれない。
事実、先程の三人で行っていた相談もその形式に近い。
出来る出来ない、して良いして悪いを全て他所に置いておいて先ずは意見を募る。
恐らくは研究者に近いみづはさんを混ぜるのが一番良いのだろうが……先ずはこの面子で、か。
「分かった、じゃあそれでちょっと進めてみよう。
スタートはムラサメちゃんが提案した……俺達が能動的に出現させる、でいいよな?」
『また言い方が戻っておる』
なにやら横からぶつくさ聞こえるが無視。
そう呼ばれたい気持ちもわかるし、俺自体は問題ではないが。
再び睨まれるのは勘弁だ。
特に、つい先程と同じことで二人の機嫌を損ねたくはない。
「先ず利用するのは川に残してある欠片、ですね?」
「山で探す、という手もありますが……時間の消耗加減が見込めませんからね」
そんな気持ち(或いは祈り)を二人は受け取ってくれたのだと信じる。
彼女に、或いは奥さんに許して貰う男側の気持ちを不意に理解したような気分になりつつ。
二人が言葉にするのに続き、俺も幾らか意見を口にする。
「欠片の総数を推測する、というのも一つの手だよな」
「総数を?」
「ああ。 概算にしかならないと思うけど。
なにせ、破片一つ一つから現れるんだったらどれだけ出るかは考えとかないと怖いだろ」
ああ、と小さく頷きつつ言いたいことを理解してくれる。
複数体以上になった場合を考えると、成り立ちが悪意で成立している以上。
数日前の連携を超える行動を取ってくるのは明白とも言える。
だからこそ、同時現出に及び腰になっている……という側面は確実に存在する。
「後は実験してみないと分かりませんが……絞り出せる祟り神の強さも気になるわね」
「ちょっと嫌な言い方ですが……ですよねぇ~」
「確かに間違いなく絞り出すようなもんだもんなぁ」
『……せめて、もう少しこう……呼び出す、とかにせぬか?』
うん、そっちのほうが真剣味は強い。
指してるものは同じなのにな。
「あ」
「ん?」
「いえ、もし実験できるのなら……という前提にはなりますが」
呼び出すことが出来たのなら、と更に付け加え。
身体を一度小さく揺らし、それに合わせて肢体も跳ねさせながら。
茉子ちゃんは、一つ大まかな変化を確認したいと口にした。
「時間帯による変化も、できれば確かめたいです」
あー、と。
全員が異口同音に同じ言葉を発しながら。