恋心、想花の如く。   作:氷桜

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茉子視点。
意識を失った後の出来事。
短めです。

……実際あのシーン誰が一緒に救助に行ったんですかね。
安晴さんは以前に大怪我負ってるし、行ったとしたら祖父ちゃん?
でもChapter1-3を見る限り着替えさせるために~っぽいし。


<Chapter1-2-7-M>

 

<Chapter1-2-7-M>

 

 

遅いなぁ、と思いながらただ待っている時の事でした。

 

昼食の後、芳乃様はいつものように舞の練習へ。

有地様は安晴様に何かを伝えた後、走って何処かへ。

それを、ただいつものように家事をしながら見送って。

夜になっても戻ってこない彼を、心配しながら三人で待っていて。

 

「んん…………ふぁ、っ。」

「……芳乃様!?」

「…………大丈夫。 いつもの、だから。」

 

芳乃様の頭から、いつものように獣の耳が生える現象を確認して。

今日もまた、調伏――――祟り神を祓う為の準備を始めていた頃。

 

「芳乃! 茉子! 緊急事態じゃ!」

 

障子をすり抜けて、ムラサメ様が焦った顔で出てきたのはそんな時でした。

 

「ムラサメ様?」

「ご主人が、山で……!」

 

互いに顔を見合わせて。

芳乃様が安晴様へ連絡している間に、ワタシは急いでいた()()()()()

今日の予定を、有地様の救助に変えて。

何方ともなく、大急ぎで移動を始めて。

 

「…………吾輩のせいだ。」

「ムラサメ様……。」

「はっきり、山には入るなと告げておけば……!」

「……いえ。 それは私が止めたのが原因です。 ムラサメ様。」

 

互いが互いを責め合う、そんな道中。

空気は淀みながらも、周囲を観察しながらの進軍。

もう何度も、何十度も行ってきた祟り神の祓いだと言うのに。

普段とは違う――――もっと明白な、『死』を感じさせられる道程。

 

(ワタシは――――。)

 

それらを、よく知っていました。

何かがあれば自分の命を投げ捨て、巫女姫様をお護りする。

そんな家系からの言い伝えを介して、自分なりに。

()()()()()()()()()()のだから。

 

ムラサメ様の案内した先……崖、というには背の低い場所に転がった有地様を見て。

 

「有地様!」

「有地さん!」

 

ワタシ達は、何方も彼へと駆け寄りました。

呼吸は……ある。

けれど、見る限り酷い怪我。

それ以上はこの場で見られるものでもなく。

二人で力を合わせて、建実神社へ。

正確にはその途中……玄十郎様や安晴様が待つ、麓までの移動をしようとした。

そんな時、でした。

 

「――――。」

「……有地様?」

 

声にならない声で、何かを呟いていました。

気絶しているからなのか、魘されているからなのか。

言葉を漏らしているのを、忍びとしてつい聞いてしまいました。

癖のような、或いは何かに呼ばれているような。

そんな、自分でも良く分からない感情と共に。

 

「……ご、め…………。」

 

誰かに、謝り続ける言葉。

それが。

 

「……し…………ま……こちゃ、ん……。」

 

その言葉が、自分を指しているような気がして。

心がぎゅっと、縮こまるような気がして。

 

「茉子?」

「……いえ、何でも有りません。 急ぎましょう、芳乃様。」

 

そんな風に呼んでくれた、あの時の――――。

ワタシが、一時だけ夢見てしまった。

それを引きずり続けている相手……彼と被ってしまって。

有り得ない、と分かっていながら。

 

()()()()()()

 

自分の意志で、そう思ってしまいました。

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