ゆずソフトショップ行く機会があったのでガシャポン二回だけ回したら芳乃様と茉子でした……はい、書きます……
<Chapter4-2-14>
風呂上がり。
珍しく誰も顔を出さない部屋の中。
僅かにだけ確保できた自分一人の時間の中で考えるのは、つい先程聞いてしまったこと。
ムラサメちゃんから聞いた、”獣が語られていた”という嘗ての記憶。
穂織という土地に言い伝えられている”イヌツキ”と言う言葉。
そして何より、芳乃ちゃんに生えてしまう獣耳……犬耳の繋がり。
(獣人……じゃなく、単純な獣としての伝えられ方。
叢雨丸が作り出された時には既に存在していたらしい伝承、だよな)
戦国時代より更に前。
歴史の授業で知るような事柄よりも更に身近な伝承としての民話。
俺が知っているのは、そう言った伝えられている言葉の真意としての一つの読み解き方。
何らかの意味が込められていたのだろうという解釈の仕方。
(少なくとも、今まで調べてきた資料には記載が無かった事なのは間違いない。
となると、戦国時代のあれこれで混ぜられたとか……或いは消失してしまった、とかか?)
他の出来事に吸収されたり、伝える人が途絶えることで失われてしまう。
特に殺し合いという出来事が巻き起こっていて、身内同士でのそれが行われた土地である以上。
完全に否定し切ることは出来ずとも、取っ掛かりくらいは何とか探し出す事くらいは出来る。
(資料全てを当たった方が確実なんだけど、
崩し文字、或いは達筆な文字。
倉庫に収められた書物は、虫食いこそ無かったけれど読むことそのものに難儀する。
学校の授業で習った古語の知識をひっくり返して、何となく当たりは付けることは出来ても。
少なくともそれを実感しているから、時間がある時に読める人達に協力を依頼するのは決定し。
今はパソコンを前に、ノートを手前に。
完全な調べ物をする時の格好を取りつつも、思い当たる単語を淡々と打ち込んでいく。
獣。
神話。
戦国時代。
民話。
伝承。
石。
興味を持って調べていた分野に近いのもあるからこそ、飽きることもなく。
そして何より二人の為だと理解できているからこそ、根気を入れて学ぶことが出来ている分野。
元々知っていた事、知らなかったこと。
その幾つもが出てきて、大事そうだと思う部分や重なる部分をメモし。
例の調査記録のように自分なりの推測を別の色で追記する。
正しい意味での”勉強”を楽しんで行えているような気分になりつつも。
(穂織について出てくるのはやっぱり表面上が殆ど……ではあるけど)
これはもしかすると近いのかな、と。
画面に表示されたページを見て一つ息を吐く。
もしかすると分御霊という形でこの神社にも祀られているかもしれない一柱。
存在としては日本武尊に関わる逸話があるとされる、善人を守護し、悪人を罰する存在。
(一つの考え方として、あの石に宿った憎悪の根幹に先ず間違いなく獣は関わってる)
鹿や猪と言った害獣から作物を守護する存在としての役割も担う神。
今でこそ観光地として成立しているものの、当時……戦国時代の主流と言えばやはり田畑。
水や土なんかの土台には恵まれていても、山々に囲まれているこの土地は広げようも無いはず。
だから、多分その部分は狩猟……山の幸に頼っていた部分も少なからずあったと思う。
(これは一応ムラサメちゃん……と安晴さんに聞いてみるか)
小さくメモ。思考を次へ。
(大なり小なり変化はあったと思うが、多分基本的な考え方はずっと遡っていけるはずだ)
それこそ、民話伝承……親から子へ言い伝えられるお話としてだってその筈。
生憎俺はそれを聞く機会は殆ど無く、婆ちゃんから可愛がられていたくらいで止まってしまっているけれど。
文字が書けないから歌や物語として伝え残す、という考え方自体は聞いた事がある。
彼女が覚えていた断片がそれに近いものだとするなら、山に対しての畏敬の念は必ず持っているはず。
……というより、呪いの根幹であり。
古くからずっと討伐に出向いていた先もまた山であるのなら。
山に散らばったあの幾つもの破片と獣は先ず繋がるものであるのは間違いないだろうし。
そして朝武家を恨み続ける根幹もまた、嘗てその血を持つ存在が何かを起こしてしまったのが切っ掛け。
(多分、ちょっとした失敗――――とかじゃないと思うんだよな)
もっと根幹的な何か。
決してしてはいけなかったことにでも手を出して……。
「…………ん?」
あれ、今何かが繋がりそうな気がする。
忘れないうちにメモしておこう。
ええっと……多分。
朝武の血を持つものがしてしまった禁忌。
深い、重い呪いに繋がるような思い。
そして多分、其処に繋がってしまう周囲からの偏見、悪感情。
「んん~~~~?」
何かがこう、喉元で引っ掛かっているような感覚。
ただそれが出てこないムズムズ感。
首を振り、目の前の機械で調べてもその引っ掛かりが抜けず余計に増す変な感じ。
なんだろうか、これは。
そう思いつつ、ノートを読み返そうともう一度手を伸ばした時だった。
控えめに、幾度か障子戸を叩くような音がして。
女の子の声が、部屋の外から響いたのは。