恋心、想花の如く。   作:氷桜

25 / 171
芳乃様回。
……Chapter2からどうしようかなぁ、と悩み通しです。


<Chapter1-3-8-Y>

 

<Chapter1-3-8-Y>

 

 

え。

 

そんな言葉が、私の脳内を回った。

何故、そんな呼ばれ方をしたのか。

何故、当然のような顔をしているのか。

神社にいてって、言ったはずなのに。

そんな言葉を、口に出そうとして。

けれど、口に出すことは出来なかった。

 

私のことを、下の名前で呼んで。

助けて、なんてお願いしたのは。

あの時に会った、それ以来会うこともなかった男の子で。

 

それが、有地さんだと?

少しだけ感じた既視感の元は、そこだと?

頬に、熱が昇るのを感じて。

彼の顔をまともに見られない。

 

「ご主人、ちょっとクサすぎやしないかの?」

「そうかな?」

 

そんな、ムラサメ様と話している二人。

 

「……良かったですね~。」

「茉子ぉ……。」

「羨ましいです、本当に。」

 

だから、そんな二人に聞こえないように話をした。

あの時、一緒にいた二人だからこそ。

感情を共有できると思って。

 

「……茉子も、助けて貰ったじゃない。」

「いやいや、ワタシなんてそんな。」

「そんなことはないと思うけど。」

 

自分が、それだけ頑固になってしまっているのは分かってる。

ただ、茉子も……それに近いくらいに頑固なまま。

もう少し言うのなら。

私ではどうにも出来ない、一族に縛られた女の子として。

 

「……後、芳乃様。」

「はい?」

「胸元、気をつけてくださいね。 有地さんは気付いてませんけど、祟り神の攻撃で破けてます。」

 

自分の巫女服を見れば、全てが……なんて言わないけれど。

所々が破けて下着や肌が見えてしまっている。

霊的な加護で護れたとは言え、どうしてもこういった傷は付いてしまうものだから。

ずっとずっと慣れているはずなのに。

そんな当たり前の格好がどうにも()()()()()

 

「……そうね、有難う。」

「いえいえ。 今日も、お疲れさまでした。」

「茉子も。」

 

そんな、気分を落ち着かせる少しの時間。

 

「後、あの突撃自体は褒められんが気合は良かったと思うぞ?」

「他に手段が浮かばなかったんだよなぁ……。」

「吾輩の神力自体もご主人の活力で上下する。 そういう意味では、あの感情の発露は最適じゃったと思うがな。」

 

反省会というか、ムラサメ様から有地さん――――ま、()()()に対する指導を耳に入れながら。

隣り合う、ずっと昔からの友人に小さく聞いた。

 

「ねえ、茉子。」

「はい?」

「……約束、護ってくれるんだって。」

「……そうみたい、ですね。」

「それに、どう答えてあげれば良いのかな。」

「あは……ワタシも、それは分かりませんけど。」

 

格好良かったですよね。

そんな言葉。

…………うん。

そんな言葉。

 

絶対に、彼には聞かれたくない言葉。

其処に込められた感情を、お互いに自覚することはなく。

今だけは、あの時の私達で。

今だけは、あの時の彼を見つめていた。

 

頬を、ぱん、と。 一度叩いて。

十二時の鐘が、鳴るまでの間の話だ。

 

 

<Chapter1 End>




別名:その感情の名は。

という訳でChapter1完了。
この時点での好感度想定は原作Chapter4突入時!
要するに共通ルート段階でガンガンデートとかイチャイチャとかしたいよねって!
ただR-元服は全ての原因をある程度理解してから。
そうじゃないと将臣君を分け合う感じにならないからね!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。