恋心、想花の如く。   作:氷桜

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そろそろ原作展開に戻りたい。
多分次次回くらいには、多分。


<Chapter2-1-6>

 

<Chapter2-1-6>

 

 

幾日かを過ごし、春休みの流れも定まってきた。

 

朝は雨が降ってなければランニング。

最近は出る時間帯を把握したのか、毎回のように茉子ちゃんが見送ってくれるのがむず痒いやら。

そのまま走っていって廉太郎と小春(いとこ)の家の間際で廉太郎と合流。

いなければいないでそのまま走るし、いるようなら雑談を兼ねて少し過ごしていく。

 

小春が一度も顔を出さないのも不思議だったが、廉太郎曰く

『朝弱いんだよなー、夜まで色々やってるし彼奴』

とのこと。

まあ、深くは聞かなかったが。

やっぱり仲の良い兄妹やってるじゃん、とは思う。

 

その後は戻って朝食。

どんな味が好き、とか何だとかそんな話を交えながらの四人での朝食。

……ただ安晴さんの好みだけはマジで理解できない。

そんな風に話を振れば、他二人も真顔で頷くくらいには理解できない。

 

大抵その後は各々の行動。

安晴さんは神主の責務、仕事として客の対応だったり毎日の祝詞を上げたり。

芳乃ちゃんは舞の練習を前提として、時折不機嫌と言うか虚無のような顔になりながら何かの対応。

茉子ちゃんは色んな家事の手伝いや買い物だったり、その時に応じて。

 

俺は……はっきり言ってその日による。

家の中にずっと籠もっている、というのだけはないようにしながら。

芳乃ちゃんの手が空いていたら授業についての確認だったり。

掃除や洗濯を手伝いながら誂われて、それを言い返したり。

 

毎日決まって行っていることと言えば――――。

 

「ほれご主人、次じゃ次。」

「言われなくてもやるっての。」

 

こうやって、昼過ぎに叢雨丸に慣れることくらい。

……一週間も経っていない身としては強くは言えないけれど。

「重さ」はある程度分かった気がする。

自分の身体の一部のように、なんて技量には遥かに及ばないけど。

そういうのが出来れば格好良いなぁ、とは思ってる。

 

「実際、さ。」

「うむ?」

「叢雨丸を最初に扱った……先代様って言い方でいいのかな?」

「何とも言えんがのう。間違ってはないじゃろうしそれでいいとは思うぞ。」

 

ならそれでいいか。

 

「先代様はどの程度叢雨丸を扱ってたんだろうな、って。」

「どの程度、なぁ。時代が時代じゃったし……。」

「まあ、そこまでは俺が行き着けるとは思ってないけどさ。足元くらいには追いつきたいよな。」

「目標が妙に低いんじゃよな、ご主人。」

 

そんなもんだろ。

今日のノルマとしていた10セットを終わらせ、用意しておいた水を一口に煽る。

まだ気温が高くなってきているとは言えないけど、集中しているとどうしても汗を異様に掻く。

流した汗の分だけなんて言葉もあるが、それを実感していた。

 

「まだ日が高いなぁ……。」

「この後はどうするんじゃ?」

「明日は制服の確認とかで祖父ちゃんと出るんだけど……今日に限ってはすっぽり開いてるんだよなぁ。」

「ふむ。ではご主人よ。」

「どうしたんだ改まって。」

 

いやな、と一息置く理由も浮かばないけど。

 

「茉子がこの後買い出しに出るとか言っておったのでな。」

「あ~……だったら付いていこうかな、邪魔にならないなら。」

()()()とやらにでも誘ってみたら、と思ったんじゃが。」

 

誰がだよ、ないない。

あの時は話がしたかったからそういう名目にしただけだろうし。

それにあれだけ可愛いんだし、芳乃ちゃんにしろ茉子ちゃんにしろ学校のアイドルクラスだろ。

……いや、巫女姫って呼ばれ方は既に生き神様みたいなもんだけど。

やっぱりそんな彼女の名目上婚約者ってバレたらヤバい気がするぞ俺。

 

「まあ茉子ちゃんの手伝いには行く。ムラサメちゃんは?」

「芳乃の様子を見た後は適当に過ごすことにする。」

「はいよ、じゃあまた後で。」

「うむ。」

 

まあ、買い物に行く以上は軽く汗流した後にするか、と。

裏口から入ろうとしたら、ばったり出くわした。

 

「おっと、っと!?」

「きゃっ!?」

 

というか、丁度出入りしようとしていたタイミングだったのでぶつかった。

弾き飛ばされる、とまではいかないがお互いに一歩下がり。

 

「あ、ぅあ、すいません将臣さん!」

「いや、ごめん俺もちゃんとしてなかった。」

 

互いに何故か目を合わせられなくて、右と左を向いての会話。

前の学校でも友人と似た感じのことを起こしたことはあったけど。

何故か恥ずかしい――――と思うのはさっきのムラサメちゃんの発言のせいだろうと自分で納得した。

 

「あー…………いいや。茉子ちゃん、ちょっと聞きたいんだけど。」

「は、はいっ。」

 

向こうはまだ落ち着いてないし、強引に話を確認しておこう。

……俺、此処まで強引だったっけ?と思わなくもないけど。

 

「さっきムラサメちゃんから聞いたんだけど、今日は買い物行くんだって?」

「あ~……そう、ですね。ほら、今は晴れてますけど、向こう見て下さい。」

 

指差された方角は裏山とは違う方角の、結局山。

というか周辺がだいたい山だからそれ以外に形容できない。

 

「山頂に雲が掛かってますよね?」

「ああ、うん。」

 

言われてみれば、確かに傘を被ったように雲が覆っている。

 

「ああなると数時間もしない内に雨が降るので……その前に色々と取り込んでおきたくて。」

「地元の知恵ってやつかぁ……。」

「皆知ってますから、多分今日はお店も早く閉まっちゃいますよ?」

 

古き良き田舎と言って良いのか凄い悩む。

まあ確かに客が来ないなら閉めちゃうのも道理か。

 

「なら、ちょっと着替えだけ済ませたら取り込みとかも含めて付き合うよ。荷物持ち程度にしかならなくて申し訳ないけど。」

「いえいえ……良いんですか?ワタシとしては一人でも慣れてますし。」

「雨が降るのが分かってて女の子一人はちょっとなぁ。」

 

そんな小さく漏れた発言に。

なんとも言いにくそうな顔をしていたのが、不思議だった。

 

――――また、一日が過ぎていく。

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