恋心、想花の如く。   作:氷桜

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ざっと考えただけでChapter1-1-10くらいまで行きそうな件。
どっかでヒロイン視点も入れたいなー


<Chapter1-1-4>

 

<Chapter1-1-4>

 

 

神社の境内。

鳥居を潜った先の玉砂利が敷かれた辺りは、人で溢れていた。

肘と肘、腕と腕をぶつけながらに見つめるのは全員同方向。

神社の中、開かれた領域。

物珍しいのか、カメラやスマホを掲げて撮ろうとしている人まで見えた。

 

「いや、流石に混み過ぎでは?」

「それだけ物珍しいってことでしょ。」

「春祭りとはいえなぁ……。」

 

いつもはシーズンを外していたし、ここまで混んでいる姿は見たことがなく。

人、人、人。

幾らここより都会に住んでいたとは言っても、ぶっちゃけ気持ち悪くなってくる。

 

「んー……お、丁度今、巫女姫様が舞を奉納してるみたい。」

「祖父ちゃんは裏かな?」

「まー坊。 もう少し興味持ってもいいと思うんだけど。」

「いやだって、舞でしょ?」

 

神に捧げる踊り。

簡単に浮かぶ例で言えば、神話のダンサーとして有名なアメノウズメ。

祝詞と舞と、神に奉納するものとしては定番中の定番。

 

「巫女姫様のはちょっと凄いんだよ? お祭りの見どころの一つになるくらいだし。」

「物珍しいからとかではなく?」

「観光客にも人気だけど、そうじゃなくて!」

 

神社の中の方をぴょんぴょん飛びながら指差す姿にちょっと和みつつ。

 

「ほら、ここからでもまー坊なら見えない?」

「どーかな……。」

 

言われて、少し位置を変えて頭と頭の隙間から視線を向ける。

外国人が妙に多かったから、場所を見つけるのに多少手間取る羽目になったけれど。

すると――。

 

――――しゃん。

そんな耳を体現するような、舞を踊る少女がいた。

持っているのは模造の短刀……付いているのは五色の紙垂(しで)だろうか。

確か、紙垂はその色に応じて意味が違った筈だけどそこまでは流石に覚えていない。

ただ。

 

「…………。」

 

ひたすらに、目を奪われた。

姿勢、手の振り、位置取り。

舞う髪、袖が翻り、再び降りる。

それらだけで、「神事」を執り行っているように清められる感じがしていく。

恐らく、見惚れているのは俺だけではない。

周囲の音もどんどんと消えていき、声も、音も無と化す。

舞台で聞こえる鈴の音、街の方から聞こえる雑音。

それらが全て飲まれていくようで、全てが彼女の舞う舞台に飲み込まれていく。

何度も、何度も。

鈴の音が響くように、繰り返すように。

彼女に周囲が支配されているような錯覚。

 

(……これが、神降ろしってやつなのかな。)

 

まるで天女か、そういった……()()()()()()()()、特殊な人間のような。

そんな事を考えてしまうくらいに。

彼女に見惚れながら――――同時に、妙な錯覚を覚えていた。

()()()()()()()()()()()()

そんな筈もないのに。

そう思ってしまったのはきっと……彼女の髪色に、覚えがあったからなんだろう。

それを同一視してしまっているだけなのだ。

じっと、そんな風に見つめていれば。

 

ぴょこっ。

 

「!?!???」

 

え、何だあれ!?

天女……少女の頭に獣耳!?

そんなものが見えた気がしたのも一瞬。

視界の端で動揺するような黒い何かが見えた気がしたが、そんなものに気を配ってられなかった。

次の瞬間には姿を消し。

 

「…………? ……………………?」

 

幻覚か何かだったのか、と目を擦ったり周囲を見回す羽目になった。

勿論そんな事をすれば相応に目立つわけで。

 

「まー坊?」

「あー……いや、なんでも無い。」

 

多分疲れてたか、何かにトリップしてろくでもないものでも見たんだろう。

多分そう、きっとそう。

 

「見間違い……だよな。」

 

自分を納得させる為に、そんな事をもう一度呟いた。

 

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