芳乃様を推していきたい所……だけどどっちともイチャイチャさせたいですね。
<Chapter2-3-1>
<Chapter2-3-1>
朝方。
今日から再開する予定だったランニングをしに起きると、丁度神社へ入ろうとする茉子ちゃんと遭遇した。
「あ、おはよう。」
「お、おはようございます。」
普通に挨拶をしたはずなのに、何処か距離を取っているようで。
急がないと食事が遅くなるから、と足早に入り口を立ち去って。
首を傾げているのは俺一人。
ムラサメちゃんは何だか芳乃ちゃんを見に行くと言い残して向こうに去って。
……まあ、良く分からないままに神社を出。
普段通りのコースを走る……ついでに志那都荘へと立ち寄った。
誰かがいるのなら伝言を頼もうか、なんて思っていたけどいる筈もなく。
そのままのペースで向かうのは従兄妹宅。
全力で走り、小走りで走り。
そんな聞き齧った走り方で向かった先で、いつも通りに座り込んでいる青年の姿。
「よ、おはよ。」
「おう。」
手に握っていた何かを投げつけられ、受け取る。
感じた冷たさ……瓶に入った牛乳を開け、一気に煽った。
「瓶此方置いとけ、後で片付けとくから。」
「ん、悪い。」
「気にすんな、今更一人分増えても大して変わらねーから。」
投げ返す、なんてことはせずに指定された場所に置いて二人で歩き出す。
廉太郎の手には無い……が、まあそう呼ぶということは帰ったら飲むんだろう。
神社でも多分口に出せば出る……とは思うんだが、朝は大体お茶系列が多いし。
いや全く文句もないし嬉しいけど。
「そういや将臣、お前マジで再開すんの?」
「何の話だよ。」
「祖父ちゃんが気持ち嬉しそうに言ってたけどさ、剣道。」
「あー、それか……。 再開するつもりではいる。」
「なんか曖昧じゃね?」
色々と抜け落ちてるのは分かっても、踏み出さないと意味がないのは分かっていた。
だからこそ前準備として聞いて、問題なく……というのもなんか違うが、話だけはしてあったけど。
祖父ちゃんがそう捉えてくれているのなら、多分問題なく学び直すことはできそうだ。
「一応『やりたいって言ったらもう一度やらせてくれる?』とは聞いておいたんだよ、制服買いに行く時。」
「ほうほう、そんで?」
「『学び直す気があるのなら儂は一向に構わない』って返ってきた。」
「まー、俺等の年代でやってる奴いないもんなー。祖父ちゃんも寂しいんだろうよ。」
「かねえ。」
歩きから、少しずつ小走りへ。
互いに話しながら、あまり遅くならないペースを理解し始めたからこそ出来ること。
以前とは違い、待機するということが無くなって。
代わりに、元来た方向――――神社の方向へ走るという形に移り変わりつつあった。
これは廉太郎からの提案で、変わり始めたのは実は今日から。
「朝走る時間と登校の時間考えると此方のがマシだから」とのこと。
確かに何もしないで話していることが出来た春休みに比べれば、朝は忙しいし。
「たださぁ。」
「?」
「剣道やるなら朝走ってる余裕あんのか?」
「ああ、それに関しては相談するつもり。」
今までは運動……というよりも体力維持の一環としてのランニング。
ただ剣道を再開するなら、体力は勿論必要だが短時間に動けるような摺足とかもやり直さなきゃいけないだろうし。
……スケジュール頼んだらなんとかなるよな?
一応さっきは意識して全力から小走り、また全力って走り方してみたけど超疲れる。
「ま、何でも良いが。お前がやり直すなら俺も……って思わないわけでもないんだがな。」
「でも?」
「放課後は大体志那都荘で手伝いしてっからさ。休日前とかはたまに泊まったりもするし。」
「大真面目過ぎる……お前本物かよ。」
「偽物がこんな事するかよ。」
確かに、と苦笑を浮かべた。
端から見れば好青年っぽいんだけどなぁ、一体何があったんだかって聞くのも怖い。
「あ、それと一応忠告しとくぞ。」
「何をだよ。」
「巫女姫様と常陸さんに関して。」
「え。」
足を止めて、少し先で止まった彼奴の顔を見た。
いや、まだ学校行き始めて初日だぞ?
忠告受けるようなことしたか!?
「落ち着け、血走った目で此方見るなこえーんだよ!」
「なら忠告ってなんだよ……。」
「いや……一応確認なんだが、お前等関係は隠してんだよな?」
「当たり前のことを言われてもその通りとしか言えないぞ。」
「だったらもう少し隠せよ!」
「そんな目立つことしてたか!?」
互いに言い合いながら、少しずつ歩き始める。
このまま無駄に話しても時間が消えるだけだ。
事情を知ってる此奴が言うのなら何かしら理由があるはずだ……落ち着け。
「ああ……まあ、お前自身には多分失点はないから、お前から二人に伝えておいてくれって意味のが大きいんだけどな?」
「ああ。」
「まぁまだ気付いてる奴はいないとは思うんだが、疑って見れば疑問に思うような態度が見え隠れしてんだよなぁ……。」
「例えば?」
此奴からすると完全に親切心から言ってくれてるから、ある程度真面目に聞く。
正直誰かに相談するとしても祖父ちゃんか此奴か、或いは安晴さんくらいしか選択肢がないし……。
元の学校のやつとは……何でだろうか、一人を除いて余り連絡する気が起きなかった。
「普通のあの二人はもうちょい距離取ってる、お前に対してはなんと言うかもっと
「いや、それ分かるやついるのかよ……?」
「女子なら気付きそうだけどな~。念の為気をつけとけよ?昼食時とか。」
「……分かってるよ。」
全く目を合わせない……のも不自然だろうし。
どうするのが自然なんだろうか。
近い、ってことだけでも上手く説明できる機会があれば別かもしれないが……。
「っと、そろそろ戻らねえと不味いか。」
と、そんな折。
スマホの時間を見て、廉太郎が呟いた。
「あー、もうそんな時間か?」
「シャワー浴びるとどうしてもな~。んじゃまた後でな。」
「おう。」
見送って、少し空腹を実感し始めながら神社へと足を進める。
……登校時までは距離取らなくても大丈夫だよな?
というか……その辺説明できるいい方法無いか二人に相談してみるか。
言わないでいるより、相談したほうがいい結果を生みやすい。
昨日実感した、一つの答えだから。