この再構成だと意図して芳乃と茉子は鏡合わせの子孫、みたいに互いに欲しい物を一つずつ持ってるみたいなイメージです。
<Chapter2-3-4>
『何処から来たの?』
『好きなものは?』
『休みの日何してんだ?』
『正直何で穂織に転校を?』
そんなある程度予想できていた会話を踏まえ。
幾つかの休み時間を飛ばして、昼休み。
前の学校だったら他にも選択肢はあったけど、穂織だとほぼ弁当一択。
それも他のクラスが他の学年とイコールになる以上、大抵がクラス内で食べるらしい。
違うとしたら……年上か年下に
「はぁ。」
「おー、お疲れ。」
「他人事みたいに言いやがって……。」
「実際他人事だろ?」
結局、廉太郎と机を突き合わせての昼食。
弁当箱から出てきたのは色とりどり……というには少しだけ茶色っぽいけれど。
唯それでも男の俺が満足するに十二分過ぎる量とメニュー。
……料理が特異なのは知ってたけど、此処まで手を入れてくれなくても、と思ってしまうレベル。
素直に感謝しつつ、その内お礼も考えよう。
「ったく……。」
「一応途中途中入ってやったろ?」
「何度か煽り倒してただろーが。」
「アレくらいのほうが良いんだっての。」
本当かよ、と愚痴りながら一口。
……あ、この煮物味が染み込んで好き。
どうやって作ったんだろうか、昨晩煮物なんか出てなかったのに。
「ま、鞍馬が間に入ったからってのは間違いなくあるだろうな。」
「そうじゃなければもっと根掘り葉掘り聞かれてたと思うぜ。異性との経験とかな。」
隣から聞こえてくる男子の声二つ。
質問は……してこなかった二人だよな。
「えーっと……すまん、名前は?」
「ああ、ちゃんと挨拶してなかったもんな。俺は
「
「宜しく。」
軽く手を上げてそれを以て挨拶とする。
男同士だとこんなもんで済むし、やっぱり楽でいい。
まあ完全に誰も知らない場所に行くならもう少し控えると言うか様子を見てからにするんだが。
「しかし……何でそんな付き合った経験だのを聞きたがるかねえ。」
良く分からないというか……こう、あんまり自慢したり大っぴらにする理由に納得がいかない。
地元の高校でも付き合ってる奴らはいても、大きな声で経験の有無なんか聞かなかったしな。
俺のいた周りでだけなんだろうか……まあ一人幼馴染っぽいのがいるやつはいたけど。
「お?余裕だな有地。経験してるからか?」
「そんなもんねえよ。つーかよくそんなに大声で聞けるな……?」
周囲の声が一旦小さくなった後でまた大きくなった。
……周りも聞いてたんじゃないのか今の。
いや別に隠すことでもないけど。
「そうだぞ、あんまり大声で聞くなよ……。」
周囲を一度ちらりと見た……大平が小さめの声で呟いた。
まあそれくらいが普通だよな、と思っていれば。
『田宮、まだ誰か狙ってるのかなぁ。』
『いやいや、それはないと思うけどね~。』
『二股掛けてたやつだもんね!』
…………何だか怪しい声が周りから聞こえてくる。
と言うか俺に聞こえるように言ってる絶対。
ほら、目の前の田宮が凄い「無」って顔してるし。
「……なあ、廉太郎?」
「ん?
「モノ扱いまでするか……?」
「いやまぁ…………巡り合わせとタイミングと、全てが悪かっただけではあるんだがなぁ。」
「聞けよ。」
ちらり、と横目で見れば芳乃ちゃんはクラスメイトの女子と歓談。
その横で笑みのようなものを浮かべながら、当然のように茉子ちゃんもいる。
なんというか、彼処は独特な雰囲気がしてる気がする……。
全く触れないとか、用事があっても声が掛けられないわけではないけれど。
ただ踏み込むには少しだけ気合が必要になる、というような。
「普通にクラスメイトで彼女作って、少しして別れて。 んでその翌日にまた別人と付き合ったわけだ。」
「…………翌日?」
いや何をどうしたらそんな事出来るんだよ。
元々その……えー、最初の彼女と次の彼女の仲が悪かった、とかならギリギリ分かるが。
この狭いクラスの中じゃ付き合ってるかどうかなんて簡単に把握されるだろうに。
「で、互いに対立してめっちゃギスギスしてな?」
「あの時は胃が痛かったわ~。」
「んで結局長続きせずに破局して、悪者扱いって流れ。」
ああ…………。
そりゃ無にもなるな、と言うか未だに引きずってるんじゃないのか田宮。
「ぶっちゃけそんな事するなら廉太郎だと思ってたわ。」
「お前俺のことそんな風に思ってたのか!?」
「春祭りと言い、昔のお前を知ってると今のお前が合致しないのは事実だ。」
誰彼構わず、とまでは言わないが端的に言ってエロガキだったもんなお前。
だから芦花姉にもぞんざいな扱いされてんだよ。
「有地言うねえ。」
「まあ今鞍馬が手を出そうとすればそれはそれで問題だけどな~。」
「好みがいねえって話だしな。」
「うっせえ!」
へー、好み。
後で聞いてみるか。
……やっぱり街中で手を出さないの、その辺の好き嫌いもあるからだろ?
俺は……いまいち良く分かってないが。
親しい異性と言って浮かぶのがあの二人と幼馴染、後従妹くらいだし。
「まあ俺から言えるのは妙な問題起こさないでくれ、ってくらいだな。」
「一番の新参のお前が言うのか将臣……。」
「いやまあ事実だろ?」
「だよ、なぁ。」
田宮も復活して、話に混ざりつつ。
「と、そうだ。 廉太郎、今日祖父ちゃん志那都荘か?」
「あん? あー……多分? 今日は町の方で集まりがあるって話だけどそれまではいるはず。」
「そっか、サンキュ。」
「何か用事か?」
「そんなとこ。」
忘れない内に、今日の状態を確認しておいて。
そのまま昼休みが終わる10分くらい前までの会話を終わらせ。
授業が始まる前に、とトイレに立った先。
曲がり角を曲がった先で、待ち構えていたように声を掛けられた。
「将臣くん。」
「…………え、芳乃ちゃん?ってその言い方。」
「あ、ごめんなさい。つい出ちゃった……じゃなかった。一つお願いがあるんです、けど。」
「お願い?俺に?」
「はい。さっきの話、聞いてしまいまして。」
話……どの部分の話だ?
「玄十郎さんに、用事なんですよね?」
「ああ、うん。その話か。」
「……私も、一緒してもいいですか?」
「え?」
別に、構わないけど――――何故?